こたつの需要はいつから?暖房器具全体の市場とあわせてチェック!
今回、暖房器具として「ストーブ・ヒーター」「ホットカーペット」「電気毛布」「こたつ」のジャンルを暖房器具と定義いたしました。季節指数の定義は、各年(1月~12月)の平均売上を100とし、2019年~2022年までの4年間の各月平均で試算しました。 ※各モールの詳細ジャンルに関しては備考で記載しております。

寒くなるとこたつが恋しくなる!「体感温度」と「降温商品」
ここで、暖房器具の売れ行きに影響した可能性がある、「気温」について考えていきたいと思います。 皆さんは半袖で過ごせるくらい暑い日が続いた日の翌日、突然半袖では寒くて過ごしづらい日がきて、「今日は温かい物が食べたい…鍋にしようかな…」と思ったことはないでしょうか?誰しも一度は経験するこの暖かい(むしろ暑い)から寒い(冷える)へ気温が変化した時、「体感温度」が購買行動に重要な影響を与えている可能性があります。これはウェザーマーケティングと言われており、温度や気候が体感温度に影響し、最終的には購買行動にも影響するというものです。 体感温度は気温と近い関係ですが、気温だけでなく湿度、風速、熱放射量が含まれます。そのため、冬は気温だけでなく、風が吹くと体感温度は気温以上に低く、夏は風が吹かず直射日光に当たっていれば体感温度は気温以上に感じるのです。 体感温度が低下する際に販売量に影響が出ると言われる商品を「降温商品」と言い、鍋やカイロ、防寒着の需要が高まると言われています。今回の暖房器具ジャンルもまさに降温商品の一つと考えられます。
3大ECモール毎に異なるプレイヤー!こたつジャンルのメーカー構成比をチェック
さてここからは、こたつジャンルの各モールでのジャンル、売上構成の比較をNint ECommerceでチェックしていきましょう。※データソース「2021年1月~12月/2022年1月~12月」
楽天市場

Yahoo!ショッピング

Amazon

市場全体

14,000円以上の価格帯の商品が好調?
3モールの中で一番売上構成比の高いジャンルを中心に、価格帯を切り口にNint ECommerceを使い確認いたしました。※データ期間:2021年10月~12月/2022年10月~12月
2021年度

2022年度

図5:特定ジャンルにおける、価格分布比較(上段:2021年 下段:2022年)
需要期(10月~12月)売れ筋商品はこたつ・布団のセット!
1位 :長方形リバーシブルこたつ・布団セット 2位 :正方形こたつ敷布団5層床暖房対応タイプ 3位 :長方形手元コントローラータイプこたつ・布団セット 4位 :長方形丸洗い可能、リバーシブルこたつ布団 5位 :長方形リバーシブルこたつ・布団セット 6位 :正方形リバーシブルこたつ・布団セット 7位 :長方形リバーシブルこたつ・布団セット(一人暮らし向け) 8位 :長方形リバーシブルこたつ・布団セット(一人暮らし向け) 9位 :正方形こたつテーブル(本体のみ) 10位:正方形リバーシブルこたつ・布団セット 11位:長方形こたつ掛け布団 12位:正方形リバーシブルこたつ・布団セット(一人暮らし向け) 13位:正方形こたつ掛け布団 14位:正方形リバーシブルこたつ・布団セット 15位:長方形こたつ・布団セット 16位:正方形リバーシブルこたつ・布団セット 17位:正方形リバーシブルこたつ・布団セット 18位:長方形リバーシブルこたつ・布団セット(一人暮らし向け) 19位:正方形リバーシブルこたつ・布団セット(一人暮らし向け) 20位:長方形こたつ布団 こたつは単品需要よりセットでの購入、またリバーシブルタイプが多く、消費者の多様なニーズに対応している印象です。また、一昨年・昨年度話題性のあった、「着るこたつ」は24位と残念ながらTOP20へのランクインはしませんでした(2021年では7位)。しかし全く新しいコンセプトとして2019年より登場した着るこたつが並居る競合製品の中で未だに24位となったことは、今後も注目の一つとなるのではないでしょうか。2023年こたつジャンルのトレンド予想!
さてここからは、2023年のこたつジャンルの動向を予想していきます。売上は、「商品」×「単価」×「転換率」が基本となりますが、今回「転換率」は前年同率とし、「商品」「単価」「環境要素」で予想していきます。【売れそうな商品】
2022年の傾向は、こたつ+こたつ布団のセットタイプであること、長方形タイプが上位にランクインしております。また、2021年と2022年の売上成長率が著しい製品を見ると、同様の傾向が見られました。新コンセプトの着るこたつは非常に興味深いですが、製品特性上、一人暮らしの世帯に限られる点は考慮すべき点になります。よって、2023年の売れ筋商品は、「長方形の布団付きこたつ」が継続傾向となるのではないかと予想します。【価格】
Nint ECommerceを活用して、2020年1月から、2022年12月までのこたつの平均単価を確認したところ、単価の上昇傾向が見られます。売れ筋商品の単価が平均単価よりも高いことから、価格に関しては2022年に比べ「微増となる」のではないかと予想します。
【環境要素】
3大ECモール、こたつ市場を取り巻く環境について検討します。環境要素はプラスに働く正の要素と、マイナスに働く負の要素があると思われますので、それぞれをまとめていきます。正の要素① EC化率の上昇
こたつジャンルは、家電もしくはインテリアに分類されることが多いですが、2023年8月に経済産業省から発表された電子商取引に関する市場調査によると、2022年の該当ジャンルのEC化率は、家電42.01%、インテリア29.59%であり、2021年から比較しても上昇が続いております。この傾向は2023年も継続するのではないかと予想されます。正の要素② こたつの所有率
2018年12月に株式会社ウェザーニュースから発表されたこたつの所有率に関する調査によると日本のこたつ所有率は51%となり、49%の世帯が所有していないとのことです。この所有率が上昇する機会があれば、プラスの要素で働く可能性があります。正の要素③ 世帯数の増加
こたつの所有数は1世帯あたり1台が一般的です。その点では国立社会保障・人口問題研究所が2018年に発表した日本の世帯数の将来推計(全国推計)によると日本の世帯人口は、2023年まで増加し続けるとの予想がされております。このことは世帯あたり1台の購入が通常となるこたつにおいてはプラスの要素になり得ます。正の要素④ (エアコンに比べ)電気代の安さ
昨今の世情状況から、電気・ガス・水道などインフラ関係の料金も軒並み上昇しています。また、大手電力会社は10月請求分より電気代の値上げを発表するなど、節電意識はより高まっていくでしょう。こたつはエアコンにくらべ電気料金が約1/3程度と節電効果が期待できるため、需要の増加につながる可能性があります。負の要素① アフターコロナによる影響
2023年はアフターコロナの時代に突入しました。人々の行動量は昨年度に比べ多くなり、フルリモートや自宅でのオンライン授業が減ってきている企業・学校も多いですよね。自宅にいたからこそ、着るこたつやこたつを購入していた層が今年は見込みづらいため、負の要素と言えます。 また、行動量の増加に伴い、オフライン店舗での購入により、ECからの流出も負の要素になりそうです。負の要素② 物価上昇による買い控え
インフラをはじめとした食品・日用雑貨品の値上げは家計を圧迫します。結果、購買行動にも影響が出る可能性があります。負の要素③ 家屋の構造上の問題
現在の家屋はフローリングが多いかと思います。フローリング家屋ではソファや椅子を使用することが多く、床に座ることが少なくなります。また、フローリングは畳と比べ冷えを感じることが多いため、こたつの需要へ影響している可能性があります。負の要素④ 代替商品
近年の暖房器具の技術発展により、こたつ以外の製品でも十分暖を取れることも多く、エアコンやファンヒーターなどの代替商品の存在も負の要素となりそうです。不確定な要素
こたつは体感温度の差が激しいほど購買行動に繋がりやすい可能性があります。そのため、「暖冬」になると負の要素として、「寒冬」になれば正の要素として作用する可能性があります。【売上】
商品・価格・環境から判断すると、2023年こたつジャンルは、負の要素がアリながらも前年比110%~120%で推移するのではないかと予想します。こたつを含む暖房器具市場規模・トレンドまとめ
3大ECモールにおける、暖房器具ジャンルは2022年には、2019年比較で220%を超える売上成長をしており、需要のピークは12月です。需要には「気温」「コロナ禍」「EC化」が影響している可能性があります。中でも、体感温度は購買決定に影響している可能性があり、例年10月が9月との寒暖差が大きくなることも、この時期に需要が高まる要因となっていると推察できます。 さらに、需要の中には、急激に上昇するタイプと、緩やかに上昇するタイプが存在し、「即暖」というが厳しい寒さになるほど重要視される可能性があります。こたつにフォーカスしてみると、3モールで異なるメーカーが上位に存在したり、上位5社の構成比が異なっているなど、特徴はさまざまです。 平均単価は上昇傾向にあり、この傾向は本年も続くのではないでしょうか。売れ筋はこたつと布団のセットタイプであり、その傾向は本年も続くと考えられます。2023年の市場規模は、正の要素・負の要素それぞれがありますが、前年比110~120%となるのではないかと予想いたします。備考
今回調査にあたり抽出したジャンルは以下の通りです。- Amazon :空調・季節家電、ラグ・カーテン・ファブリック ジャンル以下
- 楽天 :季節・空調家電、こたつ用布団・カバー ジャンル以下
- Yahoo!ショッピング :こたつ、冷暖房器具、空調家電 ジャンル以下
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