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9月1日は防災の日!3大ECモールの防災グッズ市場のトレンド・売れ筋商品をチェック

こんにちは、Nintデータアナリストの山本です。

本日、9月1日「防災の日」は1923年の関東大震災が起きた日を起源としていますが、今年はその関東大震災からちょうど100年目の節目の年。

気象庁や内閣府で特設ページが設けられるなど、例年以上に関心が高まっております。

また近年はゲリラ豪雨や台風の影響などもあり、内閣府が発表している2022年の防災白書でも災害に対する意識は上昇していると言われています。しかし、防災関連商品の動向がどのように推移しているのか、特にEC市場においては把握しづらい状況があります。

そこで今回は、3大ECモール(Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング)の商品・売上を確認できるNint Ecommerceを使って、ECモールの防災グッズのトレンドを調査しました。防災グッズ市場動向の把握にぜひお役立てください。

※当サービスにおける売上・数量は弊社独自の統計技術により算出された「推計データ」です。

毎年3月が売上のピーク?「防災グッズ」市場の気になるトレンドを調査

今回は、防災グッズとして3大モールの防災用品ジャンルに出品されている商品をNint独自の基準で調査対象にし、2020年〜2022年の単月での売上推計データから防災グッズの市場とトレンドを確認いたしました。

図1:3大ECモールの防災グッズジャンル売上推移

2022年の3大ECモールにおける防災グッズジャンルの市場規模は、上昇傾向になりました。グラフから判断すると、市場の年間ピークは3月にあるようです。メディアによる東日本大震災の報道が増えることで消費者の防災意識が上昇し、売上へと影響している可能性があります。

その他特徴的な点として、2020年のみ4月が年間のピークとなっています。これは、新型コロナウイルス流行による緊急事態宣言の発出が売上に影響した可能性が高いと考えています。

防災グッズ市場のトレンドはメディアでの視認率とも関連性があるようです。

他に、防災グッズの売上に影響を与える要因として何が考えられそうでしょうか?自然災害と売上との関連性を調べました。

自然災害発生が防災グッズトレンドに影響している?

2020年1月〜2022年12月の台風の上陸数、地震の回数を日本気象協会のHPより確認し、今回の防災グッズジャンル伸長との関係性を考察いたしました。

図2:防災グッズジャンルの売上と、地震・台風発生回数の比較

上記を確認すると、台風の上陸数と売上との間には関連性が少ないように見えます。一方で、震度4以上の地震に関しては、発生頻度と売上に多少影響がありそうです。また、地震報道なども売上の上昇に影響を与えている可能性があります。

上記を裏付けるように、Google Trendsでの「地震」「防災グッズ」の検索ボリュームのトレンドを調査すると、下図のようになり、相関係数は0.64となりました。一方、「台風」と「防災グッズ」を同期間で比較すると、相関係数は0.18となりました。

※相関係数:‐1~1までの範囲が存在し、-1 もしくは1に近づくほど、二つの相関性が高いといえる指標です。今回の0.64は中程度の相関関係があると言えます。

図3:GoogleTrendsによる人気度調査(地震×防災グッズ)

このように、防災グッズの需要は地震と密接に影響している可能性が改めて確認できました。

3大ECモール毎に異なる防災グッズのジャンル構成比をチェック

今回のピックアップした防災グッズジャンルの各モールでのジャンル、売上構成の比較をNint ECommerceでチェックしました。

※データソース「2022年1月~12月」

楽天市場

Yahoo!ショッピング

Amazon

各モール毎に防災グッズジャンルの売上構成比率が異なるものの、いずれのモールでも売上構成の約半分は、防災セットと言われるリュックサックに簡易トイレやラジオ、保存食を詰め合わせたジャンルと、簡易トイレジャンル、非常食ジャンルで占められております。

非常食と携帯トイレのジャンルは、防災セットに含まれているにも関わらず、構成比が高くなっています。防災セットの中に入っている数だけでは不足したり、備蓄目的での需要が存在する可能性が考えられます。

3,500円以上の価格帯の商品が好調?

「価格」は合計売上を構成する非常に重要な要素です。今回は防災グッズジャンルの売上構成比が一番高いモールのジャンルで、2021年3月と2022年3月の価格構成比を比較することで、価格面の推移をNint ECommerceで調べてみました。

【2021年特定1ジャンルの9月実績】

【2022年特定1ジャンルの9月実績】

図7:特定ジャンルにおける、価格分布比較(上段:2021年 下段:2022年)

上記の図は、メッコチャートと呼ばれるデータ可視化手法で、チャートの中に占める面積で、視覚的に対象ジャンルのメーカー・価格帯毎の市場シェアを把握することができます。この価格帯の調査結果から、防災グッズジャンルの「高価格化」が起きているようです。

※その他のジャンルも同様に確認することができます。年別の価格帯推移などより詳細が知りたい場合は、株式会社Nintへお問い合わせください。

3月の売れ筋商品は防災士が監修したリュックセット

3大ECモールの防災グッズジャンルにおける、2022年3月度の売れ筋TOP20商品をまとめました。

1位  :防災士監修リュックサックタイプの特定ブランドの防災セット(2名分)

2位  :防災士監修リュックサックタイプの特定ブランドの防災セット(1名分)

3位  :防災士監修リュックサックタイプの特定ブランドの防災セット(3名分)

4位  :防災士監修リュックサックタイプの特定ブランドの防災セット(1名分)

5位  :リュックサックタイプ防災セット(1名分)

6位  :リュックサックタイプ防災セット(2名分)

7位  :防災士監修リュックサックタイプの特定ブランドの防災セット(2名分)

8位  :携帯トイレ(50回分)

9位  :非常食セット(7日分)

10位:携帯トイレ(100回分)

11位:防災士監修リュックサックタイプの特定ブランドの防災セット(1名分)

12位:リュックサックタイプ防災セット(2名分)

13位:非常食セット(7日分)

14位:非常食セット(7日分)

15位:リュックサックタイプ防災セット(1名分)

16位:リュックサックタイプ防災セット(1名分)

17位:携帯トイレ(50回分)

18位:防災士監修リュックサックタイプの特定ブランドの防災セット(1名分)

19位:携帯トイレ(50回分)

20位:リュックサックタイプ防災セット(1名分)

非常食単体や、簡易トイレ単体よりは防災グッズがひとまとまりになっている防災リュックセットが上位を占めました。

2023年防災の日(9月1日)のトレンドを予想!

さてここからは、2023年の9月の売上を「売れそうな商品」「価格」の要素から考え、予想していきます。

売れそうな商品は?

2022年は、リュックタイプの防災セットが売上の上位を占めました。2023年も同様の傾向は続き、リュックタイプの防災セットの購入が継続するものと予想します。

内閣府が発表した2022年の防災白書の「防災に関する世論調査」によると、「食料や水の備蓄」を行っている世帯は全体の40.8%に止まっています。防災の日100年の節目に防災意識が高まることで、防災グッズの買い替え需要に加えて、これまで備蓄をしていなかった世帯の新規需要が発生することも考えられます。非常食、簡易トイレなどの商品は単体で購入すると割高で、購入漏れが発生する可能もあるため、オールインワンに近い、【防災リュック】を購入する傾向が強いのではないかと予想しております。

価格トレンドはどうなる?

Nint ECommerceを活用して、2020年1月から、2023年7月までの防災グッズの平均単価を確認したところ、上昇傾向が見られます。しかしながら、直近1年は平均価格は上下するものの、3,000円~3,500円の間で上下をしております。そのため、本年9月においては、価格が急上昇することはなく、【昨年並みで推移】すると予想しています。

市場規模・売上はどうなる?

商品・価格から判断すると、商品・価格とも2022年と同様の傾向が予想されることから、重要になってくるのは「販売量」です。昨年度の特徴と、商品特性から、本年の防災グッズジャンルの販売量・売上を予想します。

<2022年9月の特徴>
・2019年、20年、21年の9月と比較すると、2022年は過去最高の売上となっている。 ・売れ筋商品は、「防災セット」「簡易トイレ」「非常食」である。 ・非常食は、賞味期限が複数年は持つ設計となっているものが多い →買い替えのサイクルが長い。 →上記を裏付けるように、防災グッズジャンルは、2020年↑ 2021年↓ 2022年↑  と売上の上昇と減少を繰り返している。

上記の特徴から、例年通りであれば、売上は前年比85%程度で推移すると思われます。しかしながら、本年は関東大震災より100年目という節目の年です。

メディアでの特番やニュースでの特集など、露出が増加し、結果として消費者の防災に対する意識が上昇、新規の購買需要が発生する可能性があります。

また、近年上昇し続けているEC化率も後押しの要素となります。防災グッズが含まれるジャンルのEC化率は2021年度の時点で28.25%となり、2020年度の26.03%から上昇を続けています。近隣の店舗でほしい商品を購入できない消費者がEC市場へ流入してくる可能性もあります。

地震・台風など予測困難な事象による影響も大きいジャンルですが、これらの要素が販売量の増加へ寄与することで、最終的には【前年比90~95%での推移】となるのではないかと予想しています。

防災グッズ市場・トレンドまとめ

今年は関東大震災より100年の節目の年ということで防災意識の高まりが予想されます。昨年度の3大ECモールの市場においては地震などの影響と商品購入サイクルの重なりから過去最高の売上を記録しました。

そのため、今年は昨年度の特殊需要の影響により、一部買い替え需要が前倒しされ需要の先き食いが発生している可能性があるため、苦戦が予想されます。

しかしながら、防災グッズの購入世帯が全体の4割程度であること、関東大震災から100年目の節目ということを考慮すると、新規の購入需要が見込まれるのではないかと思われます。

特に、リュックタイプの防災セットは昨年の売上傾向からも引き続き人気が続くことが予想されます。新規購入を検討する世帯が増える中では、単体での購入よりも、防災関係の商品が一緒に購入できる、オールインワンの防災リュックがより注目されるのではないでしょうか。

オフラインとの違いとして、売り場が制限されない点、24時間購入が可能な点、自宅まで届く点など、ECならではの特性で新規需要を確保できるかが、本年のポイントとなりそうです。

備考

参考URL

調査対象:Nint推計データ

Nint推計データは、AIやクローリングなどの技術により⽇本国内の3⼤ECモールで販売される商品の売上⾦額・販売数量を⾼精度に推計したデータに、サイト内でのプロモーションデータ等を加えた、EC市場の総合的な分析を可能にするビッグデータです。

3大モールの防災用品ジャンルに出品されている商品をNint独自の基準で調査対象にしました。

※詳細ジャンルに関しては株式会社Nintへお問い合わせください。

データ抽出期間:2020年1⽉〜2023年7⽉(※本稿における Nint 推計データは 2023年8⽉時点のものを使⽤)

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【出典:Nint BLOG「9月1日は防災の日!3大ECモールの防災グッズ市場のトレンド・売れ筋商品をチェック」(2023年9月1日公開)】

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