国内3大ECモール、マスク市場の今~現在(2023年4月まで)と過去を振り返り、最新動向を見る~




2023年3月13日より、マスク着用に関しては個人判断となり、マスクを外す人、花粉症など季節性の理由により着用を継続する人、個人事情により着用を継続する人、など個々人によって対応が変化したかと思われます。また、同年5月8日からは、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが2類相当から、5類感染症へと移行しました。これにより、小売業・外食業界の各社も従業員のマスク着用に関して、個人判断に委ねる企業・着用に関して継続方針の企業など、様々な対応が進んでおります。3月からの個人判断により、EC市場においてのマスク売上がどのように推移しているのか、また、昨年度と比較して、どのような商品が好まれるようになったのか、その推移について興味を持たれている方も多くいるかと思います。そこで今回、マスク着用が個人判断となった、3月・4月のEC市場におけるマスクがどのように推移したかを調査しました。


【目次】
1. 「マスク」市場の現状と今後の展望
2. 「マスク」市場の平均単価
3. マスク市場のメーカー比較
4. 楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングで売れているマスクの種類や特徴
5. 楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングで現在売れているマスク市場の種類や特徴
6. まとめ


1.「マスク」市場の現状と今後の展望

Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングの3モールにおいて、2023年5月時点のNint推計データより、2023年3〜4月の「マスク」ジャンルは前年同時期比で99%へと横ばいでの推移となりました。



上記のように2カ月の合計では横ばいとなっておりますが、その内訳を単月ごとで確認すると、その状況は異なっており、3月の売上に関しては、107%と前年を上回る伸長となっております。これは、販売数自体は75%へと縮小したものの、平均単価が142%と上昇したことによる影響が大きな要因です。

また本年3月は、スギ・ヒノキ花粉の飛散量が全国平均で例年の2倍以上と多く、一部地区では例年の7倍とも言われるほど飛散した年であったこともマスク需要継続に影響した可能性があります。一方、4月の売上に関しては、91%へと昨年度を下回る結果となっております。これには、販売数量が前年比で63%と減少したことの影響が大きく、売上が前年を下回る結果となっております。



このように、3モール全体で確認すると、3月に関してはマスク着用の個人判断が中旬であったことや、花粉症対策、世情判断などから、売上は微増傾向でありましたが、4月にはその世情状況が少しずつ変化し3モールでの売上が苦戦したのではないかと思われます。

特に注目すべき点は、需要がどのように推移しているか把握するためのもう一つの指標である、販売数量が2カ月連続で低下傾向であることです。これには、今まで購入していたマスクで既に多くの「ストック分」があり、3月13日の個人判断以降一旦様子を見るためにも、今あるストックをまずは使い切る方向で、購入を控えているなどの動きが影響している可能性もあります。特に3モールでは、2023年3月13日記事で挙げたような、箱売りタイプが多いため、ストック分が多く残り需要が低下している可能性が考えられます。

一方、各モール単位で確認すると、大変興味深い状況が起きております。

Amazonでは3月・4月とも前年同時期比で売上が縮小しております。
その要因は平均単価が低下したことによる、売上カバーが出来なかった点が考えられます。3月は出品者の多くが需要変化の可能性を考慮し、「売り切り」に向けて動いたことが推察され、平均単価が大きく減少したものの販売数量は増加しましたが、売上は前年同時期比で縮小という結果でした。一方4月に関しては、平均単価は前年同時期並みに回復したものの、需要の低下による販売量の縮小が影響し、売上縮小となっています。

楽天市場におけるマスクの売上は、3月・4月ともに前年同時期比で拡大傾向にあります。これに対し、販売数量は他のモールと同様に、同期間で減少しています。売上が前年を上回った要因は、「平均単価」の上昇によるものです。
楽天市場における3月・4月のマスクの平均単価は、それぞれ前年比135%、132%に上昇し、この価格上昇が結果的に売上増加に寄与しました。詳細ジャンルを分析すると、売上構成が高い「大人用マスク」ジャンルが、マスク全体の平均単価を大幅に引き上げています。大人用マスクジャンル自体の販売数量は、他のモールや他のサブジャンルと同様に減少しており、3月・4月は前年比70%へと苦境に立たされています。しかし、売上は3月・4月ともに前年比120%以上となっております。これは、大人用マスクジャンルでの主力商品が高単価商品へと集中・シフトした結果、平均単価が上昇したためと推察されます。結果、この平均単価の上昇は、楽天市場のマスクジャンルの売上が前年越えすることにつながっています。

Yahoo!ショッピングでは3月・4月とも前年同時期比で売上が縮小しております。
3月は平均単価、販売数量、ともに伸び悩み売上が縮小しました。4月に関しては、マスク需要全体の低下の影響が出ているのか、販売数量低下の影響が大きく、売上が縮小しております。

2.「マスク」市場の平均単価

平均単価は1,267円と前年同時期比で143%へと低単価商品の売上が減少したため拡大しております。

特に楽天市場の大人用マスクジャンルの価格上昇の貢献が高く、ジャンル全体の平均単価65.5円の上昇に寄与しています。該当ジャンルの中心商品は、2022年4月以降に販売され、継続して市場シェアの1割近くを占めている1900円台の商品となります。その他の特徴としては、売上シェアが高い商品はほぼ全てがジャンル全体の平均単価より高い価格の商品で構成されております。

3.マスク市場のメーカー比較

各メーカーの動向をみると、A社が市場シェアの約20%を占めており、不動の1位をキープしております。この傾向は、昨年度から変わっておりませんでした。

また、気になる2023年3月〜4月の上位メーカーの動向ですが、一部のメーカーで順位変動が見られましたが、TOP5内での順位変動となっておりました。昨年度との比較では、本年3位のC社が前年同時期比で一番売上を拡大しており、売上は21倍と急速に拡大しております。その要因は、楽天市場で売上が急成長しており、特に1万円以上の高単価商品の販売が好調でした。

4.楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングで売れているマスクの種類や特徴

2022年度の売れ筋商品の特徴としては、以下がありました。

2022年度の売れ筋商品の特徴
①4層構造のマスク
└上位商品には4層構造を謳ったものが多くランクインしております。これは高いフィルタ リング効果や快適な着用感が求められていることを示しています。4層構造は、より多く の保護層を提供し、ウイルスや花粉などの微粒子からの保護を高める可能性があります。

②立体マスク(3D)
└上位商品には、立体マスク構造の製品が多くみられました。これは、立体的なデザインが 人気があることを示しています。立体マスクは顔の形状に合わせて作られており、快適な 装着感や、口紅がつかないなどの利点があります。

③カラーマスク
└上位商品には、カラーマスクが多くランクインしております。機能性だけでなく見た目や ファッション性も重視されていることがわかります。カラーマスクは、個性を表現した  り、衣装に合わせたりするのに適しています。

④血色マスク
└リスト内の7個の商品が血色マスクであり、健康的な顔色を演出するマスクが流行してい ることがわかります。血色マスクは、顔の印象を明るく見せる効果があり、美容面でも注 目されています。

⑤子供用マスク
└売上上位30品の中に、子供用マスクを謳った商品が4品ありました。子供向けのマスク市 場も需要があることがわかります。子供用マスクは、子供の顔に合ったサイズやデザイン が特徴で、快適さや保護機能が重視されています。


同様に2023年度の売れ筋商品の特徴は以下となります。

2023年度の売れ筋商品の特徴
①クーポン
└多くの商品がクーポンの使用を推奨しています。これは購入者に対するインセンティブ を提供し、購入を促進するための一般的な販売戦略です。

②箱売り
└多くの商品が大量(例えば1ケース1200枚など)で販売されています。これはおそら  く、消費者が一度に大量に購入することで単価を下げることができるという利点があるか らだと推察いたします。

③花粉症対策
└花粉症対策としてのマスクの使用が強調されています。これは特定の季節(特に春)に需 要が高まることを示しています。本年は先ほど記述の通り、花粉の飛散量が多かったこと もこちらの機能性を謳った商品が多かった結果ではないかと伺えます。

④カラーマスク/デザインマスク
└カラーマスクやバイカラーマスク、血色マスク、立体マスクなど、デザインや色彩に焦点 を当てたマスクが増えています。これはマスクをただの保護具からファッションアイテム へと昇華させるトレンドを示しています。

⑤敏感肌向けマスク
└特定のマスクは敏感肌に優しいとされています。これはユーザーのさまざまな皮膚タイプ とニーズに対応するためのトレンドを示しています。これは消費者の中には、特に肌が敏 感な人々がいることを示しています。


昨年度と比較すると、より「個」に向けてその機能性を強化したものと、お得感を売り出した商品が多い傾向が見られます。

5.楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングで現在売れているマスク市場の種類や特徴

Amazonでの直近(5月10日時点)のランキングによると、

Amazon 直近(5月10日時点)の売れ筋商品の特徴
①不織布マスク
└不織布マスクの商品が上位商品の多くで謳われております。これは、不織布マスクが使 い捨てで便利であること、またウイルスや花粉などからの保護が期待できることから、消 費者にとって引き続き評価されている可能性を示しています。

②立体マスク
└立体マスクも上位商品に多く謳われております。これは立体マスクが着用者の顔に    フィットし、呼吸がしやすいといった利点から需要が高いことを示しています。

③バイカラーマスク
└バイカラーマスク商品も、多くランクインしております。これはマスクをファッションの 一部として捉える消費者が増えており、カラーバリエーションの豊富なマスクが求められ ていることを示しています。

④血色マスク
└血色マスク商品も多く見られます。これは、血色マスクが肌色に近い色合いで自然な印 象を与え、また肌に優しいといった特性から好評を得ている可能性があります。

⑤ブランドのマスクの人気
└メーカーブランドのマスクが数品上位にランクインしております。これはこのブランド のマスクが品質や機能性に優れていると評価されている可能性を示しています。

6.まとめ

マスクの着用に関して、個人判断となった3月と、その後の4月の比較、5月の売れ筋商品の比較をしましたが、全体の傾向としては以下と推察できました。

  • 販売数量は昨年度と比較しても、3月・4月共に低下。この低下をどのような要因と判断するかが、より深い分析が今後必要。⇒減少傾向が続くのか、今後の動向に注目。
  • 平均単価は上昇傾向であるが、3月は2モールで安くなるなど、3大モール間でも動きが  異なった。⇒今後、市場として売上確保には、付加価値による価格上昇などの戦略が必要になる可能性がある。
  • 本年3月、4月で大きく変遷したメーカーはなく、商品傾向も変わらない。⇒消費者のニーズが、3月13日を機に大きく変わることは今のところはない可能性。
  • 2023年のマスクは、より「個」に向けた製品が人気。⇒マスクとしての「機能性」以外にも、肌色に近い自然な印象を与える血色マスクや、ブランドマスク、敏感肌の方にも優しいマスクなどよりデザイン性が重視される傾向になってきている


本記事の内容をもとに今後の販売戦略の参考にしていただければと思います。



作成者
山本 真大(Yamamoto Masahiro, Marketing Div.マーケティングUnit)
編集者
Nint Blog 編集長 加藤 洋平(Kato Yohei, ERP Div.カスタマーサクセスUnit)



マスクジャンルについては以下の記事から過去データ分もご確認いただけます。





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