ベビーカー市場レポート|約24億円・本体56.3%が柱
本記事は、ベビーカー本体やシート・カバー・フックなどの関連アクセサリーをECで販売する事業者・メーカーの方に向けた市場レポートです。主要ECモールにおける2026年4〜6月の推定売上は約24.04億円(前年同期比▲4.5%)、推定販売数は約28.6万点(同▲3.9%)、平均単価は約8,401円(同▲0.6%)でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。3指標がそろって小幅に減るなか、日よけ・虫よけカバーやフックは前年を上回りました。本体が柱の市場でどこに伸びしろが残るのかを読み解きます。
目次
本レポートのサマリー
- 市場規模: 約24.04億円(前年同期比 ▲4.5%)
- 販売数量: 約28.6万点(前年同期比 ▲3.9%)
- 平均単価: 約8,401円(前年同期比 ▲0.6%)
- 主要サブカテゴリ: ベビーカー本体(56.3%)/マット・シート・クッション(23.9%)/その他(5.9%)
- キートレンド: 本体が売上の56.3%を占める一方、日よけ・虫よけカバー(+10.3%)とベビーカー用フック(+6.5%)は前年を上回って伸長
ベビーカーのEC市場規模と推移
2026年4〜6月のベビーカーのEC市場規模は約24.04億円、前年同期比▲4.5%でした。推定販売数は約28.6万点で▲3.9%、平均単価は約8,401円で▲0.6%と、単価はほとんど動いていません。梅雨から夏本番へ向かう需要期にあたりますが、市場全体は前年を下回りました。上位カテゴリ全体の動きはキッズ・ベビー・マタニティのEC市場規模レポートで扱っており、本記事はそのなかのベビーカーを深掘りします。
| 指標 | 2026年4〜6月 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 推定売上 | 約24.04億円 | 約25.16億円 | ▲4.5% |
| 推定販売数 | 約28.6万点 | 約29.8万点 | ▲3.9% |
| 平均単価 | 約8,401円 | 約8,448円 | ▲0.6% |
売上▲4.5%・販売数▲3.9%・単価▲0.6%という並びは、価格競争ではなく買う人の数そのものが目減りした状態を示します。本体の需要は生まれてくる子どもの数に結び付くため、販売点数を短期で押し上げるのは容易ではありません。すでにベビーカーを使っている家庭に何を追加提案できるかが、売上を分ける論点になります。
サブカテゴリ別の構成と勝ち負け
ベビーカー市場は、本体が売上の56.3%(平均単価39,388円)を占め、マット・シート・クッションが23.9%で続きます。上位2つで市場の約8割です。伸び率では本体が▲3.9%と市場並み、マット・シート・クッションは▲10.7%と減少幅が大きくなりました。対照的に、日よけ・虫よけカバー(+10.3%)、その他(+9.6%)、ベビーカー用フック(+6.5%)は前年を上回りました。
| サブカテゴリ | 構成比 | 前年同期比 | 平均単価 |
|---|---|---|---|
| ベビーカー本体 | 56.3% | ▲3.9% | 39,388円 |
| マット・シート・クッション | 23.9% | ▲10.7% | 8,184円 |
| その他 | 5.9% | +9.6% | 2,437円 |
| 収納カバー | 2.9% | ▲9.6% | 2,877円 |
| ベビーカー用フック | 2.8% | +6.5% | 1,993円 |
| 日よけ・虫よけカバー | 2.8% | +10.3% | 2,384円 |
伸びたものと減ったものの差は、「買い替えの出費」か「今の不便を解消する出費」かにあります。日よけ・虫よけカバーは暑さと虫への対策、フックは荷物の持ち運びという、その季節の困りごとを直接解決する商品で、いずれも平均単価2,000円前後と買い足しのハードルが低い点も共通します。同じ育児期の家庭が買う周辺の動きはチャイルドシート市場レポートや抱っこひも市場レポートでも扱っています。
価格帯別の販売構成と購買行動
平均単価(約8,401円)を基準に低・中・高の3価格帯で売上構成比を見ると、高価格帯が57.3%と過半を占め、中価格帯26.8%、低価格帯15.8%と続きます。金額の過半は本体の購入で決まりますが、購入回数の主役は低・中価格帯のアクセサリーです。
| 価格帯 | 売上構成比 |
|---|---|
| 低価格帯 | 15.8% |
| 中価格帯 | 26.8% |
| 高価格帯 | 57.3% |
低価格帯: フック・日よけ・虫よけカバーなどの買い足し
低価格帯(15.8%)の中心は、ベビーカー用フック(平均単価1,993円)や日よけ・虫よけカバー(2,384円)といった後付けのアクセサリーです。すでに本体を持つ家庭が、暑さ・虫・荷物という目の前の不便を解消するために買い足す層で、届く早さと対応機種の分かりやすさが決め手になります。単価は低いものの前年を上回って伸びており、本体購入後の顧客と再び接点を持てるゾーンです。
中価格帯: シート・マット・収納カバーの快適性向上
中価格帯(26.8%)は、マット・シート・クッション(平均単価8,184円)や収納カバー(2,877円)が中心です。座り心地や汚れ対策、保管のしやすさを高める買い物で、前年同期比はそれぞれ▲10.7%・▲9.6%と減少幅が大きくなりました。「あると良いが今すぐでなくてもよい」出費が先に絞られた形で、用途と効果を具体的に示す説明がこの帯では効きます。
高価格帯: ベビーカー本体の選定
高価格帯(57.3%)はベビーカー本体(平均単価39,388円)が主役です。1件あたりの金額が大きく、出産前後などのタイミングで時間をかけて比較されます。前年同期比は▲3.9%で市場全体(▲4.5%)と同程度でしたが、点数を大きく伸ばしにくいカテゴリでもあります。金額の過半を担うこの帯では、品揃えと価格の見え方が分かれ目になります(Nint ECommerce調べ・推計値)。
ベビーカーの事業者が来期取るべき3つの打ち手
ここまでの市場データをふまえ、ベビーカーと関連アクセサリーをECで扱う事業者が来期に向けて取るべき打ち手を3つに整理します。
打ち手1: 本体の点数追いより、既存ユーザーへの買い足し提案に寄せる
市場は売上▲4.5%・販売数▲3.9%と点数の減少がそのまま売上に出ており、本体(56.3%・▲3.9%)の販売点数を短期で押し上げるのは負荷が大きい状況です。一方で日よけ・虫よけカバーは+10.3%、ベビーカー用フックは+6.5%と伸びています。すでにベビーカーを持つ家庭への買い足し提案へ販促の重心を移すほうが、同じ工数で積み上がる売上は大きくなります。本体購入者へのフォロー導線を整えることが起点です。
打ち手2: 需要期の困りごとに沿って、季節アクセサリーを前倒しで揃える
伸びている日よけ・虫よけカバー(平均単価2,384円)とフック(1,993円)は、暑さ・虫・荷物という季節の困りごとに直結する商品です。需要が高まる時期に在庫が切れていれば、その分はそのまま取りこぼしになります。在庫と広告出稿を前倒しし、商品ページでも「どの機種に付くか」「何が解決するか」を先に示すことで、短い検討時間のなかで選ばれやすくなります。
打ち手3: 売上の過半を占める高価格帯は競合の品揃え・価格を見て磨く
売上の57.3%を占める高価格帯は、本体(平均単価39,388円)の品揃えと価格設定が競争力を左右します。時間をかけて比較される商材のため、自社の並べ方が市場でどう見えているかの把握が前提になります。Nint ECommerceでは、主要ECモールの競合ショップがどのモデル・どの価格帯で本体やアクセサリーを展開しているかを確認でき、自社の品揃えと価格を磨く材料になります。
よくある質問(Q&A)
ベビーカーのEC市場規模はどのくらいですか?
主要ECモールにおける2026年4〜6月の推定売上は約24.04億円で、前年同期比▲4.5%でした。推定販売数は約28.6万点(▲3.9%)、平均単価は約8,401円(▲0.6%)です(Nint ECommerce調べ・推計値)。
主要ECモールで売上が大きいベビーカー関連の商品は何ですか?
ベビーカー本体が56.3%で最も大きく、マット・シート・クッション(23.9%)が続きます。上位2つで市場の約8割を占め、本体の平均単価は39,388円です(Nint ECommerce調べ・推計値)。
前年より伸びているサブカテゴリはどれですか?
日よけ・虫よけカバーが+10.3%、その他が+9.6%、ベビーカー用フックが+6.5%と前年を上回りました。いずれも平均単価2,000円前後で、季節の困りごとを解消する買い足し商品が動いています(Nint ECommerce調べ・推計値)。
売上が減っているのに平均単価が動かないのはなぜですか?
平均単価が▲0.6%とほぼ横ばいのため、値下げではなく売れた点数の減少(▲3.9%)が売上▲4.5%の主因です。サブカテゴリの構成比にも大きな変化はなく、購入者数の目減りがそのまま数字に出ています(Nint ECommerce調べ・推計値)。
まとめと、より深く分析するためのヒント
- 2026年4〜6月のベビーカーEC市場は約24.04億円(前年同期比▲4.5%)。販売数▲3.9%・単価▲0.6%で、点数の減少がそのまま売上に出た四半期。
- ベビーカー本体(56.3%・平均単価39,388円)が売上の柱。マット・シート・クッションは▲10.7%と減少幅が大きい。
- 日よけ・虫よけカバー(+10.3%)とベビーカー用フック(+6.5%)は伸長。低価格帯(15.8%)の買い足し提案に伸びしろが残る。
こうしたサブカテゴリ別・価格帯別の動向は、自社が扱うブランドや対応機種の単位ではどう見えるでしょうか。Nint ECommerceでは、主要ECモール(楽天・Amazon・Yahoo!ショッピング 等)のベビーカーカテゴリを、サブカテゴリ・ブランド・商品単位で深堀りし、競合ショップの売れ筋や価格帯、季節ごとの需要の山の先読みに活用できます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
関連サービス・資料
執筆者の視点
データを眺めて意外だったのは、市場が前年を下回るなかで、日よけ・虫よけカバーとフックだけがきれいに伸びていた点です。本体もシートも減っているのに、単価2,000円前後の後付けアクセサリーは前年超え。ベビーカーを買う人が減っても、すでに使っている人の「暑い」「荷物が持てない」という不便は季節ごとに生まれます。手元の一台をもっと快適にする提案のほうに答えがあると感じました。
対象期間: 2026年4月〜2026年6月/データソース: Nint ECommerce(推計値)/対象カテゴリ: ベビーカー
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
note:https://note.com/nint_ecommerce
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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