製菓・製パン材料市場レポート|単価+6.2%・数量▲3.5%
本記事は、製菓・製パン材料をECで販売する事業者・メーカー・食品卸の方に向けた市場レポートです。主要ECモールにおける2026年5〜7月の製菓・製パン材料市場の推定売上は約7.14億円(前年同期比+2.5%)、推定販売数は約38.6万点(同▲3.5%)、平均単価は約1,848円(同+6.2%)でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。売上は伸びている一方で、売れた点数は減っています。伸びをつくっているのは購入者の広がりではなく単価です。柱となる大型サブカテゴリを持たないこの市場の構造を、サブカテゴリ別・価格帯別に読み解きます。
本レポートのサマリー
- 市場規模: 約7.14億円(前年同期比 +2.5%)
- 販売数量: 約38.6万点(前年同期比 ▲3.5%)
- 平均単価: 約1,848円(前年同期比 +6.2%)
- 主要サブカテゴリ: シロップ(14.6%)/粉類・ケーキミックス(14.3%)/ココアパウダー(11.6%)
- キートレンド: 首位でも構成比14.6%と分散した市場/数量が減るなか単価上昇が売上を支える構図

製菓・製パン材料のEC市場規模と推移
2026年5〜7月の製菓・製パン材料のEC市場規模は約7.14億円、前年同期比+2.5%でした。ただし推定販売数は約38.6万点で▲3.5%と前年を下回っており、伸びているのは平均単価(約1,848円・+6.2%)のほうです。手作り需要が最も高まるのは秋から冬にかけてで、5〜7月はその山から離れた時期にあたります。点数が減るなかで金額が前年を上回った点に、この市場の現在地が表れています。なお完成品側の動きは洋菓子市場レポートで扱っており、本記事はその手前にある「作る側」の市場を掘り下げます。
| 指標 | 2026年5〜7月 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 推定売上 | 約7.14億円 | 約6.96億円 | +2.5% |
| 推定販売数 | 約38.6万点 | 約40.0万点 | ▲3.5% |
| 平均単価 | 約1,848円 | 約1,740円 | +6.2% |
販売数が減っているのに売上が前年を上回るのは、1点あたりの金額が上がっているためです。原材料価格の上昇局面では同じ商品でも売価が切り上がり、平均単価は自然に押し上げられます。単価の上昇が止まれば、売上は数量の減少分をそのままかぶります。数量の推移を単価とは別の指標として追い続けることが欠かせません。
サブカテゴリ別の構成と勝ち負け
製菓・製パン材料市場の際立った特徴は、構成比の1位が14.6%(シロップ)にとどまり、上位5サブカテゴリを合計しても57%程度にしかならない点です。粉・糖類・油脂・チョコレート・ゲル化剤・香料といった多様な品目が細かく分かれて並び、ひとつの品目が過半を占める構造にはなっていません。品目数の広さがそのまま市場の姿になっているカテゴリです(Nint ECommerce調べ・推計値)。
| サブカテゴリ | 構成比 | 前年同期比 | 平均単価 |
|---|---|---|---|
| シロップ | 14.6% | ▲8.6% | 1,713円 |
| 粉類・ケーキミックス | 14.3% | +4.1% | 1,435円 |
| ココアパウダー | 11.6% | +10.8% | 2,145円 |
| 製菓用チョコレート | 9.2% | +1.9% | 3,918円 |
| ゼラチン | 7.3% | +16.8% | 2,717円 |
さらに目を引くのは、構成比の順位と伸び率が一致していないことです。首位のシロップは▲8.6%と前年を下回り、逆に構成比7.3%のゼラチンが+16.8%、11.6%のココアパウダーが+10.8%と二桁で伸びています。規模の大きい品目が市場を引っ張るという図式は、ここでは成り立っていません。平均単価3,918円とカテゴリ平均の2倍を超える製菓用チョコレートは+1.9%で、高単価の材料ほど伸び率は穏やかです。粉類・ケーキミックス(14.3%・+4.1%・平均1,435円)は最も単価が低く、日常のパン作りを支える品目として堅調です。食卓側の動向はパン・ジャム・シリアル市場レポート、和素材の菓子需要は和菓子市場レポートもあわせてご覧ください。
価格帯別の販売構成と購買行動
製菓・製パン材料は、用途と使う量で購買の性格が分かれるカテゴリです。平均単価(約1,848円)を基準に低・中・高の3価格帯で売上構成比を見ると、中価格帯が64.6%と大半を占め、高価格帯26.9%、低価格帯8.5%と続きます。販売数量では低価格帯が25.8%、高価格帯は8.0%で、金額と数量で主役が入れ替わります(Nint ECommerce調べ・推計値)。
| 価格帯 | 売上構成比 |
|---|---|
| 低価格帯 | 8.5% |
| 中価格帯 | 64.6% |
| 高価格帯 | 26.9% |
低価格帯: 少量の買い足しと初回のお試し
低価格帯は、レシピに必要な分だけを買い足す少量パックや、初めて使う材料を試す小容量品が中心です。売上構成比は8.5%と小さい一方、販売数量では25.8%を占め、4点に1点はこの帯から売れている計算です。金額は小さくても、レシピをきっかけに初めて店を訪れる入り口として機能します。送料負担が障壁になりやすく、まとめ買いへつなげる導線の設計が売上を左右します。
中価格帯: 市場の本体をなす定番材料
売上の64.6%を占める中価格帯が、この市場の本体です。粉類・ケーキミックス(平均1,435円)、シロップ(1,713円)、ココアパウダー(2,145円)といった、繰り返し使われる定番材料が集まります。作る頻度が高い層が定期的に補充する帯で、再購入の間隔が読みやすいのが特徴です。品切れを起こさない在庫運用と、複数品目をまとめて買える品揃えの厚みが客単価に直結します。
高価格帯: 業務用サイズと専門性の高い材料
高価格帯は売上の26.9%を占めますが、販売数量では8.0%にとどまります。製菓用チョコレート(平均3,918円)やゼラチン(2,717円)のように、専門性が高い材料や業務用の大容量サイズが中心です。買い手には菓子店・パン店・カフェなどの事業者や、頻繁に作る層が含まれ、品質と規格が選定の基準になります。1件あたりの金額が大きく、一度定着すると取引が続きやすい帯です。

製菓・製パン材料の事業者が来期取るべき3つの打ち手
ここまでの市場データをふまえ、製菓・製パン材料をECで扱う事業者が来期に向けて取るべき打ち手を3つに整理します。
打ち手1: 単価上昇に頼らず、数量の減少に手を打つ
売上+2.5%という数字だけを見れば市場は伸びていますが、内訳は単価+6.2%・数量▲3.5%です。金額の伸びは購入者の広がりによるものではありません。売上を単価要因と数量要因に分けて毎月追い、数量が落ちている品目を早く特定することが先決です。そのうえで、少量パックからまとめ買いへつなぐセット販売やレシピ提案など、点数そのものを増やす施策に資源を配分したいところです。
打ち手2: 伸びている中位品目に品揃えを寄せる
この市場では、構成比の順位と伸び率が一致しません。首位のシロップ(14.6%)は▲8.6%と縮み、ゼラチン(7.3%・+16.8%)とココアパウダー(11.6%・+10.8%)が伸びています。規模の大きい品目に横並びで棚を割くのではなく、伸びている中位の品目に品揃えと露出を寄せる判断が効きます。上位5品目で57%程度という分散した構造は、新しい品目でシェアを取りにいく余地が残っていることも意味します。
打ち手3: 需要の山に入る前に、競合の価格と品揃えを把握する
製菓・製パン材料は秋から冬にかけて需要が高まる商材です。売上の64.6%を占める中価格帯と26.9%の高価格帯では戦い方が異なるため、山に入る前にどの帯で何を主力に置くかを決めておく必要があります。Nint ECommerceでは、主要ECモールの競合ショップがどの品目・どの価格帯で材料を展開しているかを把握でき、繁忙期に向けた品揃えと価格設計の材料になります。
よくある質問(Q&A)
製菓・製パン材料のEC市場規模はどのくらいですか?
主要ECモールにおける2026年5〜7月の推定売上は約7.14億円で、前年同期比+2.5%でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。推定販売数は約38.6万点で▲3.5%、平均単価は約1,848円で+6.2%と、単価の上昇が売上の伸びをつくっています。
主要ECモールで売れ筋の製菓・製パン材料は何ですか?
構成比ではシロップ(14.6%)が最も大きく、粉類・ケーキミックス(14.3%)、ココアパウダー(11.6%)が続きます。首位でも14%台にとどまり、上位5品目の合計でも57%程度と、品目が分散しているのが特徴です。
製菓・製パン材料でモノが売れる価格帯はどこですか?
金額では中価格帯が64.6%を占め、高価格帯が26.9%で続きます。数量で見ると低価格帯が25.8%、高価格帯は8.0%で、金額と点数では主役が入れ替わります(Nint ECommerce調べ・推計値)。定番材料が集まる中価格帯が主戦場です。
販売数が減っているのに売上が伸びているのはなぜですか?
1点あたりの平均単価が+6.2%と上がり、数量の▲3.5%を上回ったためです。原材料価格の上昇局面と重なる動きで、買い手の数が広がったことによる伸びではない点に注意が必要です(Nint ECommerce調べ・推計値)。
まとめと、より深く分析するためのヒント
- 2026年5〜7月の製菓・製パン材料EC市場は約7.14億円(前年同期比+2.5%)。数量は▲3.5%で、単価+6.2%が伸びをつくっている。
- 首位のシロップでも構成比14.6%、上位5品目の合計で57%程度と分散型。順位と伸び率が一致せず、ゼラチン+16.8%・ココアパウダー+10.8%が伸びを主導。
- 金額は中価格帯(64.6%)が本体、数量は低価格帯(25.8%)が支える二層構造。
こうした動向は、自社が扱う品目やブランド単位ではどう見えるでしょうか。Nint ECommerceでは、主要ECモール(楽天・Amazon・Yahoo!ショッピング 等)の製菓・製パン材料カテゴリを、サブカテゴリ・ブランド・商品単位で深堀りし、競合ショップの売れ筋や価格帯、繁忙期の仕入れ計画の先読みに活用できます(Nint ECommerce調べ・推計値)。

関連サービス・資料
執筆者の視点
データを見て意外だったのは、構成比の1位が14.6%しかなかったことです。多くのカテゴリではひとつのサブカテゴリが3〜5割を占め、そこを押さえれば市場の姿がつかめます。ところがこの市場は、首位が14%台で上位5品目を足しても6割に届かない。しかも1位のシロップが前年割れで、7.3%のゼラチンが二桁で伸びている。規模の順に見ていくと打ち手を外す市場だと感じました。
対象期間: 2026年5月〜2026年7月/データソース: Nint ECommerce(推計値)/対象カテゴリ: 製菓・製パン材料
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
note:https://note.com/nint_ecommerce
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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