洋菓子市場レポート|単価+7.7%・数量▲11%
本記事は、洋菓子をECで販売する事業者・メーカーの方に向けた市場レポートです。主要ECモールにおける2026年4〜6月の洋菓子市場の推定売上は約37.8億円(前年同期比▲4.6%)、推定販売数は約130.0万点(同▲11.4%)、平均単価は約2,906円(同+7.7%)でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。販売数が二桁で減る一方、平均単価は+7.7%と上昇し、売上の減少幅は数量の減少幅よりも小さく収まっています。1点あたりの支出が上がるこの構造を、サブカテゴリ別・価格帯別に読み解きます。
目次
本レポートのサマリー
- 市場規模: 約37.8億円(前年同期比 ▲4.6%)
- 販売数量: 約130.0万点(前年同期比 ▲11.4%)
- 平均単価: 約2,906円(前年同期比 +7.7%)
- 主要サブカテゴリ: ゼリー(19.7%)/クッキー(16.4%)/各種洋菓子セット(14.3%)/アイスクリーム・シャーベット(14.0%)
- キートレンド: 数量▲11%を単価+7.7%が押し戻す「1点単価の上昇」/夏に向かう時期は冷菓が伸び、ギフト性の高いセット・チョコレート系は端境期
洋菓子のEC市場規模と推移
2026年4〜6月の洋菓子のEC市場規模は約37.8億円、前年同期比▲4.6%でした。販売数が▲11.4%と二桁で落ち込むなか、平均単価は+7.7%と上昇しており、売上の減少幅は数量の減少幅よりもかなり小さく収まっています。買われる点数は減っても、1点あたりに支払われる金額が上がることで市場全体の目減りが抑えられている構図です。菓子全体の動向はスイーツ・お菓子のEC市場規模レポートで扱っており、本記事はそのなかの洋菓子カテゴリを深掘りします。食品のEC市場規模レポートとあわせてご覧いただくと、単価上昇が洋菓子固有の動きかを見極めやすくなります。
| 指標 | 2026年4〜6月 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 推定売上 | 約37.8億円 | 約39.6億円 | ▲4.6% |
| 推定販売数 | 約130.0万点 | 約146.7万点 | ▲11.4% |
| 平均単価 | 約2,906円 | 約2,698円 | +7.7% |
販売数が二桁減でも売上が一桁減にとどまっているのは、原材料価格や物流費を反映した価格改定と、まとめ買い・詰め合わせなど1回あたりの購入金額が大きい買われ方が広がっているためと見られます。単価が伸びている局面では、値ごろ感だけで数を売る戦い方は消耗戦になりやすく、1点あたりの単価をどう設計するかが売上を左右します。
サブカテゴリ別の構成と勝ち負け
洋菓子市場はゼリーが最大の柱で、市場全体の約2割(19.7%)を占めます。クッキー(16.4%)、各種洋菓子セット(14.3%)、アイスクリーム・シャーベット(14.0%)が続き、上位4サブカテゴリで市場の6割強を構成します。前年同期比でプラスを確保したのはアイスクリーム・シャーベット(+6.6%)のみで、他はいずれも前年を下回りました。気温の上昇とともに冷たい菓子の需要が立ち上がる時期にあたり、冷菓とそれ以外で明暗が分かれています。
| サブカテゴリ | 構成比 | 前年同期比 | 平均単価 |
|---|---|---|---|
| ゼリー | 19.7% | ▲2.8% | 2,710円 |
| クッキー | 16.4% | ▲4.3% | 2,561円 |
| 各種洋菓子セット | 14.3% | ▲7.8% | 3,064円 |
| アイスクリーム・シャーベット | 14.0% | +6.6% | 3,661円 |
| チョコレート | 8.0% | ▲8.6% | 3,183円 |
| プリン | 4.7% | ▲8.7% | 3,161円 |
| チョコレートケーキ・ガトーショコラ | 3.3% | ▲7.6% | 3,187円 |
ゼリー(19.7%)とアイスクリーム・シャーベット(14.0%)の冷菓系で市場の3割強を占め、この2つは落ち込みが最も小さい、あるいは唯一のプラスというグループです。一方、贈答・手土産の性格が強い各種洋菓子セット(▲7.8%)やチョコレート(▲8.6%)、チョコレートケーキ・ガトーショコラ(▲7.6%)は、ギフト需要の端境期にあたる4〜6月に弱含みとなりました。平均単価はアイスクリーム・シャーベットが3,661円と最も高く、クッキーは2,561円と最も低い水準で、冷菓のまとめ買いと焼き菓子の買い足しという買われ方の違いが単価差に表れています。和菓子側の季節性と比べたい方は和菓子市場レポートもあわせてご覧ください。
価格帯別の販売構成と購買行動
洋菓子は、価格帯によって「自分で食べる」か「人に贈る」かの目的が分かれるカテゴリです。平均単価(約2,906円)を基準に低・中・高の3価格帯で売上構成比を見ると、中価格帯が73.0%と大きな厚みを持ち、高価格帯22.3%、低価格帯4.7%が続きます。
| 価格帯 | 売上構成比 |
|---|---|
| 低価格帯(平均単価の5割未満) | 4.7% |
| 中価格帯(平均単価の5割〜1.5倍) | 73.0% |
| 高価格帯(平均単価の1.5倍超) | 22.3% |
低価格帯: 単品・少量パックの買い足し
低価格帯は、単品のクッキーや少量パックのゼリーなど、日常の買い足しとして選ばれる商品が中心です。送料負担が相対的に重くEC上では単独で買われにくいため、売上構成比も4.7%にとどまり、この層だけで売上をつくるのは難しい価格帯です。
中価格帯: 詰め合わせ・まとめ買いの主戦場
売上の73.0%を占める中価格帯は、複数個入りの詰め合わせやファミリー向けのまとめ買いが集まる主戦場です。送料込みで納得できる価格に収まり、自家消費にも軽い手土産にも使える汎用性が、この価格帯へ需要を集めています。平均単価の+7.7%は、中価格帯のなかで内容量や組み合わせを見直した商品が選ばれた結果と見られます。
高価格帯: 贈答・特別な日のギフト
高価格帯(22.3%)は、贈答用の化粧箱入りギフトや大容量の詰め合わせ、名店・専門店の商品が中心です。相手に贈る前提のため価格よりも中身と見栄えが重視され、熨斗・メッセージカードなどの対応可否が選ばれる条件になります。4〜6月は贈答需要の端境期にあたり、この価格帯の主力である洋菓子セット・チョコレート系が前年を下回りました(Nint ECommerce調べ・推計値)。
洋菓子の事業者が来期取るべき3つの打ち手
ここまでの市場データをふまえ、洋菓子をECで扱う事業者が来期に向けて取るべき打ち手を3つに整理します。
打ち手1: 数量減を単価で吸収する商品設計に切り替える
販売数▲11.4%に対し平均単価+7.7%という数字は、値下げによる数量回復が市場全体では起きていないことを示しています。同じ商品を安く数多く売るより、内容量の見直しや組み合わせ販売で1点単価を引き上げる設計に切り替えるほうが、売上の目減りを抑えられます。まずは自社の売れ筋を、点数と単価のどちらが落ちているのかに分解して把握しましょう。
打ち手2: 4〜6月は冷菓を前面に出す
この期間で前年を上回ったのはアイスクリーム・シャーベット(+6.6%)のみで、ゼリーも減少幅が最小(▲2.8%)にとどまりました。気温が上がる時期は冷菓が下支え役になるため、トップページや検索対策の主役をこの時期だけ冷菓へ寄せる運用が有効です。アイスクリーム・シャーベットは平均単価3,661円とサブカテゴリ内で最も高く、まとめ買い前提の複数個セットで単価と数量の両方を取りにいけます。
打ち手3: ギフト商戦は競合の品揃えを見て前倒しで仕込む
洋菓子セット・チョコレート系は4〜6月が端境期で、需要の山は年末のギフト・クリスマス商戦に向かって立ち上がります。端境期のうちに商品構成と価格を固めることが、最需要期の取りこぼしを防ぐ近道です。Nint ECommerceでは、主要ECモールの競合ショップがどの価格帯・どの詰め合わせ構成でギフトを展開しているかを把握でき、自社の品揃えと価格を磨く材料になります。
よくある質問(Q&A)
洋菓子のEC市場規模はどのくらいですか?
主要ECモールにおける2026年4〜6月の3ヶ月間で、推定売上は約37.8億円、前年同期比▲4.6%でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。販売数は約130.0万点(▲11.4%)、平均単価は約2,906円(+7.7%)です。
主要ECモールで売れ筋の洋菓子は何ですか?
ゼリーが市場全体の19.7%を占めて最も大きく、クッキー(16.4%)、各種洋菓子セット(14.3%)、アイスクリーム・シャーベット(14.0%)が続きます。上位4サブカテゴリで市場の6割強を構成しています。
洋菓子でモノが売れる価格帯はどこですか?
平均単価(約2,906円)の5割〜1.5倍にあたる中価格帯が売上の73.0%を占め、需要が明確に集中しています。高価格帯は22.3%で贈答用ギフトが中心、低価格帯は4.7%にとどまります(Nint ECommerce調べ・推計値)。
なぜ販売数が二桁減なのに売上の減少は一桁にとどまっているのですか?
平均単価が+7.7%と上昇し、1点あたりの支出が増えているためです。価格改定に加え、詰め合わせやまとめ買いなど1回の購入金額が大きい買われ方が中価格帯に集まったことが背景と見られます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
まとめと、より深く分析するためのヒント
- 2026年4〜6月の洋菓子EC市場は約37.8億円(前年同期比▲4.6%)。販売数▲11.4%を単価+7.7%が押し戻す「1点単価上昇」の構造。
- ゼリー(19.7%)とアイスクリーム・シャーベット(14.0%)の冷菓系が市場を下支え。アイスは唯一の前年超え(+6.6%)で平均単価も3,661円と最高。
- 価格帯は中価格帯が73.0%と突出。贈答色の強い洋菓子セット・チョコレート系は端境期で弱く、需要の山は年末に向かう。
こうした動向は、自社が扱う商品ジャンルやブランド単位ではどう見えるでしょうか。Nint ECommerceでは、主要ECモールの洋菓子カテゴリをサブカテゴリ・ブランド・商品単位で深堀りし、競合ショップの売れ筋や価格帯、季節ごとのトレンドの先読みに活用できます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
関連サービス・資料
執筆者の視点
データを見て印象に残ったのは、販売数が二桁減っているのに売上はその半分以下の減少で済んでいる点です。売れた点数だけを見れば厳しい市場に映りますが、1点あたりの支出は着実に上がっています。特に中価格帯へ売上の7割超が集まっている構図は、「送料を含めて納得できる詰め合わせ」が洋菓子ECの標準になったことの表れだと感じます。4〜6月という冷菓が主役の時期に、ギフト系の弱さをどう織り込んで在庫と販促を組むか。季節で主役が入れ替わるカテゴリだからこそ、四半期ごとに品揃えの重心を動かす運用が効いてくる市場だと、数字から改めて見えてきました。
対象期間: 2026年4月〜2026年6月/データソース: Nint ECommerce(推計値)/対象カテゴリ: 洋菓子
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
note:https://note.com/nint_ecommerce
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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