授乳・ベビー食事用品市場レポート|売上+9.2%
本記事は、哺乳びん・粉ミルク・離乳食などの授乳・ベビー食事用品をECで販売する事業者・メーカーの方に向けた市場レポートです。主要ECモールにおける2026年4〜6月の授乳・ベビー食事用品市場の推定売上は約33.3億円(前年同期比+9.2%)、推定販売数は約121.9万点(同+17.6%)、平均単価は約2,735円(同▲7.1%)でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。販売数の伸びが売上の伸びを上回り、平均単価は下がるという「数量主導の拡大」が特徴で、その背景にあるサブカテゴリの構成変化と、価格帯ごとの売れ方を読み解きます。
目次
本レポートのサマリー
- 市場規模: 約33.3億円(前年同期比 +9.2%)
- 販売数量: 約121.9万点(前年同期比 +17.6%)
- 平均単価: 約2,735円(前年同期比 ▲7.1%)
- 主要サブカテゴリ: 粉ミルク(33.6%)/哺乳びん・授乳用品(18.7%)/離乳食・ベビーフード(13.6%)
- キートレンド: 販売数+17.6%が売上+9.2%を上回る数量主導の拡大/最大カテゴリの粉ミルクは▲2.3%と微減、洗浄・消毒用品(+55.9%)・哺乳びん・授乳用品(+27.6%)が伸長
授乳・ベビー食事用品のEC市場規模と推移
2026年4〜6月の3ヶ月間で、主要ECモールにおける授乳・ベビー食事用品のEC市場規模は約33.3億円、前年同期比+9.2%でした。販売数が+17.6%と二桁で伸びる一方、平均単価は▲7.1%と下がっており、売上の増加は単価ではなく数量が主導しています。上位カテゴリ全体の動きはキッズ・ベビー・マタニティのEC市場規模レポートで扱っており、本記事は授乳・食事まわりの用品群を深掘りします。同じ育児準備期のベビーバス・沐浴用品市場レポートとあわせてご覧いただくと、月齢の進行にともなう需要の移り方が把握できます。
| 指標 | 2026年4〜6月 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 推定売上 | 約33.3億円 | 約30.5億円 | +9.2% |
| 推定販売数 | 約121.9万点 | 約103.7万点 | +17.6% |
| 平均単価 | 約2,735円 | 約2,944円 | ▲7.1% |
平均単価が下がりながら売上が伸びているのは、1点あたりの価格が低い商品群の販売点数が増えているためです。授乳・食事まわりの用品は月齢の進行に合わせて買い替え・買い足しが続き、点数の伸びがそのまま市場規模に反映されやすい構造を持ちます。単価の低下は値下げ競争というより、購入されるカテゴリの構成が変わったことによる平均値の下振れです。通年で需要がありつつ新生活・入園入学の時期に山ができる点も、点数の伸びを支えています。
サブカテゴリ別の構成と勝ち負け
市場最大のサブカテゴリは粉ミルクで、市場全体の33.6%(2026年4〜6月の3ヶ月間で約11.2億円)を占めます。ただし前年同期比は▲2.3%と微減で、市場全体の伸びには寄与していません。伸びを牽引したのは洗浄・消毒用品(+55.9%)、哺乳びん・授乳用品(+27.6%)、離乳食・ベビーフード(+22.4%)、スタイ・お食事エプロン(+18.1%)で、ベビー食器は▲11.8%と唯一の二桁減でした。
| サブカテゴリ | 推定売上 | 構成比 | 前年同期比 | 平均単価 |
|---|---|---|---|---|
| 粉ミルク | 約11.2億円 | 33.6% | ▲2.3% | 8,247円 |
| 哺乳びん・授乳用品 | 約6.2億円 | 18.7% | +27.6% | 3,666円 |
| 離乳食・ベビーフード | 約4.6億円 | 13.6% | +22.4% | 982円 |
| スタイ・お食事エプロン | 約3.9億円 | 11.8% | +18.1% | 1,838円 |
| ベビー食器 | 約3.8億円 | 11.3% | ▲11.8% | 2,665円 |
| 洗浄・消毒用品 | 約2.2億円 | 6.6% | +55.9% | 6,373円 |
市場全体の平均単価が▲7.1%となった理由は、この構成の変化にはっきり表れています。平均単価8,247円と最も高い粉ミルクが微減にとどまる一方、982円の離乳食・ベビーフードや1,838円のスタイ・お食事エプロンが二桁で伸びたため、加重平均としての単価が下がりました。数量が伸びているのは、消費のたびに買い足しが発生するカテゴリです。事業者にとっては、購入頻度と1回あたりの点数(併せ買い)をどう設計するかが売上に直結します。二桁減のベビー食器は買い替え頻度の低い耐久品で、需要の総量よりデザイン・素材の選ばれ方で差がつく領域です。育児期に周辺で発生する需要はベビー用セーフティグッズ市場レポートでも扱っており、育児フェーズをまたいだ品揃えの検討材料になります。
価格帯別の販売構成と購買行動
授乳・ベビー食事用品は、価格帯によって「買い足し」と「まとめ買い」が分かれるカテゴリです。平均単価(約2,735円)を基準に低・中・高の3価格帯で売上構成比を見ると、高価格帯が55.8%と過半を占め、中価格帯が37.5%で続きます。販売点数を押し上げるのは低単価の商品群である一方、売上の重心は高価格帯にあるという二層構造です。
| 価格帯 | 売上構成比 |
|---|---|
| 低価格帯 | 6.7% |
| 中価格帯 | 37.5% |
| 高価格帯 | 55.8% |
低価格帯: 離乳食・ベビーフード、スタイ類
低価格帯は、平均単価982円の離乳食・ベビーフードや、1,838円のスタイ・お食事エプロンが中心です。日々の食事のたびに消費される商品群で、まとめ買いや種類違いの複数点購入が起きやすいゾーンです。売上構成比は6.7%と最も小さい一方、販売点数では市場の伸び(+17.6%)を支えます。単価が低いぶん、送料無料ラインを満たすための併せ買いが成立しやすい点も特徴です。
中価格帯: 哺乳びん・授乳用品、ベビー食器
売上の37.5%を占める中価格帯には、平均単価3,666円の哺乳びん・授乳用品や、2,665円のベビー食器が集まります。出産準備や離乳食の開始といった育児の節目に、まとめて揃えられる商品群です。哺乳びん・授乳用品が+27.6%と伸びる一方でベビー食器は▲11.8%と減り、同じ中価格帯でも消耗しやすい品目と長く使う品目で明暗が分かれました。セットやサイズ・月齢別の提案が組み立てやすいゾーンです。
高価格帯: 粉ミルク、洗浄・消毒用品
高価格帯(55.8%)の中心は、平均単価8,247円の粉ミルクと、6,373円の洗浄・消毒用品です。粉ミルクは複数缶・大容量でのストック購入が定着し、1回の注文金額が大きくなります。洗浄・消毒用品は+55.9%と最も伸び率が高く、器具類を含む商品構成のため単価が高い水準にあります。売上の過半がこの帯に集中しており、品揃えと価格設定が売上に反映されやすい領域です(Nint ECommerce調べ・推計値)。
授乳・ベビー食事用品の事業者が来期取るべき3つの打ち手
ここまでの市場データをふまえ、授乳・ベビー食事用品をECで扱う事業者が来期に向けて取るべき打ち手を3つに整理します。
打ち手1: 併せ買い・リピートを前提に品揃えを組む
販売数+17.6%に対し売上+9.2%という数量主導の伸びは、購入頻度と1回あたりの点数が市場を動かしていることを示しています。離乳食・ベビーフード(982円)やスタイ・お食事エプロン(1,838円)のような低単価品を単品で売るのではなく、種類違いのセットや月齢別のステップ提案、買い足しを想定した数量バリエーションを用意することが有効です。単価を上げる施策より、点数を増やす設計に資源を配分する判断が市場の動きと合致します。
打ち手2: 伸びているサブカテゴリに品揃えの重心を移す
最大構成比の粉ミルク(33.6%)が▲2.3%と足踏みするなか、洗浄・消毒用品(+55.9%)と哺乳びん・授乳用品(+27.6%)が市場の伸びを牽引しました。粉ミルク中心の品揃えのままでは市場の成長分を取り込めません。哺乳びんの関連用品や洗浄・消毒用品まで導線をつなぎ、育児の開始時にまとめて揃えられる構成にすることで、伸びているサブカテゴリの需要を引き込めます。▲11.8%のベビー食器は、点数を追うより素材・デザインでの選ばれ方を磨く領域です。
打ち手3: 売上の過半を占める高価格帯を競合と比べて磨く
売上の55.8%を占める高価格帯は、粉ミルクのストック購入や器具類を含む商品が中心で、価格設定とセット構成が競争力を左右します。Nint ECommerceでは、主要ECモールの競合ショップがどのブランド・どの容量・どの価格帯で品揃えしているかを把握でき、自社の価格とセット設計を見直す材料になります。
よくある質問(Q&A)
授乳・ベビー食事用品のEC市場規模はどのくらいですか?
主要ECモールにおける2026年4〜6月の3ヶ月間の推定売上は約33.3億円で、前年同期比+9.2%でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。販売数は+17.6%、平均単価は▲7.1%で、数量の伸びが売上を主導しています。
主要ECモールで売れているサブカテゴリはどれですか?
粉ミルクが市場全体の33.6%で最大、哺乳びん・授乳用品(18.7%)、離乳食・ベビーフード(13.6%)が続きます。伸び率では洗浄・消毒用品(+55.9%)と哺乳びん・授乳用品(+27.6%)が上位です(Nint ECommerce調べ・推計値)。
授乳・ベビー食事用品でモノが売れる価格帯はどこですか?
売上構成比では高価格帯が55.8%、中価格帯が37.5%で、両者で市場の9割超を占めます。高価格帯は粉ミルクや洗浄・消毒用品、中価格帯は哺乳びん・授乳用品やベビー食器が中心です。
なぜ販売数が伸びているのに平均単価は下がっているのですか?
単価8,247円の粉ミルクが▲2.3%と微減する一方、982円の離乳食・ベビーフードなど低単価カテゴリが二桁で伸びたためです。値下げではなく、売れるカテゴリの構成が変わったことによる平均値の低下です(Nint ECommerce調べ・推計値)。
まとめと、より深く分析するためのヒント
- 2026年4〜6月の3ヶ月間の授乳・ベビー食事用品EC市場は約33.3億円(前年同期比+9.2%)。販売数+17.6%が売上を上回り、平均単価は▲7.1%の数量主導の拡大。
- 最大構成比の粉ミルク(33.6%)は▲2.3%と足踏み。洗浄・消毒用品(+55.9%)・哺乳びん・授乳用品(+27.6%)・離乳食(+22.4%)が伸びを牽引し、ベビー食器(▲11.8%)は減少。
- 価格帯は高(55.8%)・中(37.5%)で9割超。点数を増やすのは低単価の消耗品、売上を作るのは高価格帯という二層構造。
こうしたサブカテゴリ別・価格帯別の動向は、自社が扱う商品ジャンルやブランド単位ではどう見えるでしょうか。Nint ECommerceでは、主要ECモール(楽天・Amazon・Yahoo!ショッピング 等)の授乳・ベビー食事用品カテゴリを、サブカテゴリ・ブランド・商品単位で深堀りし、競合ショップの売れ筋や価格帯、季節ごとの需要の山の先読みに活用できます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
関連サービス・資料
執筆者の視点
印象に残ったのは、市場が伸びているのに平均単価は下がるという組み合わせでした。単価の下落を見ると値下げ圧力を疑いがちですが、内訳を開けば単価8,000円台の粉ミルクが足踏みし、1,000円前後の離乳食が伸びたという構成変化が答えでした。この市場は「1回いくら買ってもらうか」より「何回・何点買ってもらうか」で伸びます。カテゴリ全体の単価だけを見て価格戦略を組むと判断を誤りやすい、と改めて感じました。
対象期間: 2026年4月〜2026年6月/データソース: Nint ECommerce(推計値)/対象カテゴリ: 授乳・ベビー食事用品
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
note:https://note.com/nint_ecommerce
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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