ベビーヘルスケア・衛生用品市場レポート|数量減・単価+12.1%
本記事は、ベビーローションや鼻吸い器、ベビー用日焼け止め、ウェットティッシュなど、赤ちゃんのヘルスケア・衛生用品をECで販売する事業者・メーカーの方に向けた市場レポートです。主要ECモールにおける2026年4〜6月のベビーヘルスケア・衛生用品市場の推定売上は約17.59億円(前年同期比+8.4%)、推定販売数は約58.3万点(同▲3.3%)、平均単価は約3,018円(同+12.1%)でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。売れた点数は減っているのに売上は伸びている。この動きの中身を、サブカテゴリ別・価格帯別に読み解きます。
目次
本レポートのサマリー
- 市場規模: 約17.59億円(前年同期比 +8.4%)
- 販売数量: 約58.3万点(前年同期比 ▲3.3%)
- 平均単価: 約3,018円(前年同期比 +12.1%)
- 主要サブカテゴリ: ベビーローション・オイル(26.5%)/鼻吸い器・鼻みず取り器(22.3%)/日焼け止め・UVケア(10.5%)
- キートレンド: 点数は減り単価が上がる高付加価値シフト/鼻吸い器(+16.1%)と水まくら・保冷シート(+206.6%)が伸長、日焼け止め・UVケアは▲18.0%
ベビーヘルスケア・衛生用品のEC市場規模と推移
2026年4〜6月のベビーヘルスケア・衛生用品のEC市場規模は約17.59億円、前年同期比+8.4%でした。注目したいのは伸びの中身です。推定販売数は▲3.3%と前年同期を下回った一方、平均単価は+12.1%と二桁で上昇しています。買う点数が増えて市場が伸びたのではなく、1点あたりに支払われる金額が上がったことで売上が押し上げられた四半期でした。カテゴリ全体の枠組みはキッズ・ベビー・マタニティのEC市場規模レポートで扱っており、本記事はそのなかのヘルスケア・衛生用品を深掘りします。
| 指標 | 2026年4〜6月 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 推定売上 | 約17.59億円 | 約16.23億円 | +8.4% |
| 推定販売数 | 約58.3万点 | 約60.3万点 | ▲3.3% |
| 平均単価 | 約3,018円 | 約2,693円 | +12.1% |
数量が▲3.3%でも売上が+8.4%になるのは、単価の上昇分(+12.1%)が数量の減少分を上回っているからです。ベビー用品は、価格の安さよりも「肌に合うか」「安心して使えるか」が優先される買い物です。値ごろ感で点数を積み上げるより、成分や機能を説明して選んでもらう売り方のほうが、市場の流れに沿っています。
サブカテゴリ別の構成と勝ち負け
サブカテゴリで見ると、最大はベビーローション・オイルの26.5%、次いで鼻吸い器・鼻みず取り器が22.3%で、この2つで市場の半分近くを占めます(上位6サブカテゴリの合計は86.8%)。前年同期比では水まくら・保冷シートが+206.6%、鼻吸い器・鼻みず取り器が+16.1%、手・口ふきウェットティッシュが+12.6%と市場全体の+8.4%を上回り、日焼け止め・UVケアは▲18.0%と唯一の大幅な減少でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。
| サブカテゴリ | 構成比 | 前年同期比 | 平均単価 |
|---|---|---|---|
| ベビーローション・オイル | 26.5% | ▲3.5% | 4,528円 |
| 鼻吸い器・鼻みず取り器 | 22.3% | +16.1% | 5,818円 |
| 日焼け止め・UVケア | 10.5% | ▲18.0% | 3,160円 |
| 水まくら・保冷シート | 9.7% | +206.6% | 4,831円 |
| 手・口ふきウェットティッシュ | 9.0% | +12.6% | 2,315円 |
| 歯ブラシ・虫歯ケア | 8.8% | ▲2.1% | 1,199円 |
伸びた2つには共通点があります。鼻吸い器・鼻みず取り器は平均単価5,818円、水まくら・保冷シートは4,831円と、いずれも市場平均の約3,018円を上回る価格帯です。暑さ対策を夏前に前倒しで用意する買い方が、構成比を押し上げています。逆に、最大サブカテゴリのベビーローション・オイルは▲3.5%、日焼け止め・UVケアは▲18.0%と落ち込みました。同じ夏向けの商材でも結果は正反対です。沐浴や食事まわりの動きはベビーバス・沐浴用品市場レポートや授乳・ベビー用食事用品市場レポートでも扱っており、あわせてご覧いただくと同じ育児世帯の支出の広がりが見えます。
価格帯別の販売構成と購買行動
平均単価(約3,018円)を基準に低・中・高の3価格帯で売上構成比を見ると、高価格帯が47.2%、中価格帯が41.6%で、この2帯で市場の88.8%を占めます。低価格帯は11.2%です。赤ちゃんに直接使うものほど価格の安さは決め手になりにくく、機能と安心感が選ばれる基準になっています(Nint ECommerce調べ・推計値)。
| 価格帯 | 売上構成比 |
|---|---|
| 低価格帯 | 11.2% |
| 中価格帯 | 41.6% |
| 高価格帯 | 47.2% |
低価格帯: ウェットティッシュ・歯ブラシなどの日用消耗品
低価格帯は、手・口ふきウェットティッシュ(平均単価2,315円)や歯ブラシ・虫歯ケア(1,199円)など、毎日使って減っていくものが中心です。売上構成比は11.2%と小さいものの、購入の頻度は高く、まとめ買いと定期的な買い足しが起きるゾーンです。金額を稼ぐ帯ではなく、次の買い物につなげる入り口として設計する価値があります。
中価格帯: 日焼け止め・保冷グッズなどの季節ケア用品
売上構成比41.6%の中価格帯は、日焼け止め・UVケア(3,160円)や水まくら・保冷シート(4,831円)など、季節に合わせて用意される品が売れ筋です。梅雨から夏本番に向かう時期に需要が立ち上がるため、在庫と販促のタイミングが売上を左右します。同じ季節商材でも保冷グッズが+206.6%、日焼け止めが▲18.0%と結果が分かれており、帯単位ではなく品目単位で仕込みを判断する必要があります。
高価格帯: 鼻吸い器・スキンケアの上位品
高価格帯(47.2%)は、鼻吸い器・鼻みず取り器(平均単価5,818円)やベビーローション・オイルの上位品(4,528円)が中心です。1件あたりの金額が大きく、レビューや成分表示の丁寧さが購入の後押しになります。市場全体の平均単価が+12.1%と上がった背景には、この帯の商品が選ばれる度合いが高まったことがあります(Nint ECommerce調べ・推計値)。
ベビーヘルスケア・衛生用品の事業者が来期取るべき3つの打ち手
ここまでのデータをふまえ、ベビーヘルスケア・衛生用品をECで扱う事業者が来期取るべき打ち手を3つに整理します。
打ち手1: 数量を追わず、単価を上げる品揃えに寄せる
市場は販売数▲3.3%・平均単価+12.1%で売上+8.4%という構造で、点数を積み上げる発想では市場の伸びに乗れません。高価格帯が47.2%を占め、鼻吸い器・鼻みず取り器(平均単価5,818円)が+16.1%で伸びている事実を踏まえ、上位モデルや詰め替え・大容量など単価の高い選択肢を主役に据える見直しが有効です。
打ち手2: 季節商材は品目単位で仕込みを分ける
水まくら・保冷シートは+206.6%で構成比9.7%まで伸び、日焼け止め・UVケアは▲18.0%と沈みました。「夏物」とまとめて発注量を決めると、片方で欠品し、もう片方で在庫を抱えます。前年の実績を品目ごとに分けて確認し、需要が立ち上がる6月のピークに向けて、伸びている保冷系は前倒しで、落ちているUVケアは絞って仕込む判断が求められます。
打ち手3: 競合の価格と品揃えを見て、選ばれる理由を磨く
高価格帯47.2%・中価格帯41.6%で市場の88.8%を占めるこの領域では、どの価格帯にどんな機能の商品を置くかが競争力を決めます。Nint ECommerceでは、主要ECモールの競合ショップがどのサブカテゴリ・どの価格帯で商品を展開しているかを把握でき、自社の品揃えと価格設定を磨く材料になります。
よくある質問(Q&A)
ベビーヘルスケア・衛生用品のEC市場規模はどのくらいですか?
主要ECモールにおける2026年4〜6月の推定売上は約17.59億円で、前年同期比+8.4%でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。推定販売数は約58.3万点(▲3.3%)、平均単価は約3,018円(+12.1%)で、単価の上昇が売上を押し上げました。
売れているサブカテゴリはどれですか?
構成比が最も大きいのはベビーローション・オイル(26.5%)で、鼻吸い器・鼻みず取り器(22.3%)が続きます。伸び率では水まくら・保冷シート(+206.6%)と鼻吸い器・鼻みず取り器(+16.1%)が市場全体の+8.4%を上回りました。
販売数が減っているのに売上が伸びているのはなぜですか?
平均単価が+12.1%と上昇し、販売数の▲3.3%を上回っているためです。高価格帯が売上の47.2%を占め、単価5,818円の鼻吸い器・鼻みず取り器が伸びるなど、1点あたりの支払額が上がっています(Nint ECommerce調べ・推計値)。
ベビー用品で売れる価格帯はどこですか?
金額では高価格帯が47.2%、中価格帯が41.6%で、この2帯で市場の88.8%を占めます。低価格帯は11.2%です。安さより機能と安心感で選ばれる傾向が強く、価格を下げるより訴求内容を整えるほうが成果につながりやすい領域です。
まとめと、より深く分析するためのヒント
- 2026年4〜6月のベビーヘルスケア・衛生用品EC市場は約17.59億円(前年同期比+8.4%)。販売数▲3.3%・平均単価+12.1%で、単価上昇が伸びを主導。
- ベビーローション・オイル(26.5%)と鼻吸い器・鼻みず取り器(22.3%)が2大サブカテゴリ。水まくら・保冷シートが+206.6%と急伸、日焼け止め・UVケアは▲18.0%。
- 価格帯は高(47.2%)+中(41.6%)で市場の88.8%。安さではなく機能と安心感で選ばれる構造が表れている。
こうした動向は、自社が扱うブランドや商品単位ではどう見えるでしょうか。Nint ECommerceでは、主要ECモール(楽天・Amazon・Yahoo!ショッピング 等)のベビーヘルスケア・衛生用品カテゴリを、サブカテゴリ・ブランド・商品単位で深堀りし、競合ショップの売れ筋や価格帯、季節需要の先読みに活用できます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
関連サービス・資料
執筆者の視点
データを眺めて意外だったのは、同じ「夏に向けた準備品」であるはずの水まくら・保冷シートと日焼け止め・UVケアが、+206.6%と▲18.0%という正反対の結果になっていた点です。季節商材はまとめて需要を読みたくなりますが、実際に動いたのは「暑さから守る」ほうでした。点数が減っても単価で売上を作るという姿も含めて、ベビー用品の「安心にお金を払う」性格が数字に出ていると感じました。
対象期間: 2026年4月〜2026年6月/データソース: Nint ECommerce(推計値)/対象カテゴリ: ベビーヘルスケア・衛生用品
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
note:https://note.com/nint_ecommerce
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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