抱っこひも市場レポート|+8.6%成長・単価+24%
本記事は、抱っこひも・ベビースリングをECで販売する事業者・メーカーの方に向けた市場レポートです。主要ECモールにおける2026年2〜4月の抱っこひも・ベビースリングカテゴリの推定売上は約10.64億円(前年同期比+8.6%)、推定販売数は約11.2万個(同▲12.2%)、平均単価は約9,498円(同+23.7%)でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。販売数が二桁減となる一方で平均単価が大きく上昇し、市場全体の売上はむしろ拡大しています。出生数が伸び悩むなかでも市場が成長するこの構図を、サブカテゴリ別・価格帯別に読み解きます。
目次
本レポートのサマリー
- 市場規模: 約10.64億円(前年同期比 +8.6%)
- 販売数量: 約11.2万個(前年同期比 ▲12.2%)
- 平均単価: 約9,498円(前年同期比 +23.7%)
- 主要サブカテゴリ: 抱っこひも(77.0%)/ベビースリング(14.7%)/パーツ・アクセサリー(7.0%)
- キートレンド: 数量減・単価増の「高機能ハイエンドへの集中」/抱っこひもが市場の8割弱/高価格帯が売上の50%超
抱っこひも・ベビースリングのEC市場規模と推移
2026年2〜4月の抱っこひも・ベビースリングのEC市場規模は約10.64億円、前年同期比+8.6%でした。販売数が▲12.2%と二桁減になる一方、平均単価は+23.7%と大幅に上昇しており、市場は「数量減・単価増」へと明確に転換しています。出生数が伸び悩むなかでも売上が拡大しているのは、購入が高機能・ハイエンドのモデルへ集中しているためと見られます。より広いキッズ・ベビー・マタニティ全体の動向はキッズ・ベビー・マタニティのEC市場規模レポートで扱っており、本記事はその中の抱っこひも・ベビースリングカテゴリを深掘りします。同じ育児安全カテゴリの動向はチャイルドシートのEC市場規模レポートもあわせてご覧ください。
| 指標 | 2026年2〜4月 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 推定売上 | 約10.64億円 | 約9.80億円 | +8.6% |
| 推定販売数 | 約11.2万個 | 約12.8万個 | ▲12.2% |
| 平均単価 | 約9,498円 | 約7,678円 | +23.7% |
販売数が減るなかで売上が伸びる市場は、平均単価の上昇がそのまま市場拡大を牽引していることを意味します。抱っこひもは赤ちゃんを長時間支える育児の必需品であり、新生児対応・腰や肩の負担軽減・多機能化といった付加価値が、単価の引き上げを後押ししているものと見られます。買い替えのきく消耗品ではなく「失敗したくない買い物」であることが、価格よりも機能・安心を重視する購買行動につながっていると考えられます。
サブカテゴリ別の構成と勝ち負け
抱っこひも・ベビースリングカテゴリは、抱っこひもが市場全体の8割弱(77.0%)を占める最大の柱となっています。上位4サブカテゴリで市場のほぼ全量を構成し、需要は抱っこひも本体に集中しています。
| サブカテゴリ | 構成比 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 抱っこひも | 77.0% | +13.8% |
| ベビースリング | 14.7% | ▲3.1% |
| パーツ・アクセサリー | 7.0% | ▲11.6% |
| おんぶ専用紐 | 1.3% | ▲4.1% |
市場の柱である抱っこひもが+13.8%と力強く伸びる一方、ベビースリング(▲3.1%)、パーツ・アクセサリー(▲11.6%)、おんぶ専用紐(▲4.1%)は前年から数字を落としています。本体である抱っこひもの単価上昇が市場全体を押し上げる一方、補助的なスリングや後付けのパーツは縮小しており、需要が「多機能な一台に集約される」流れが読み取れます。事業者は、低価格の小物点数を広げるよりも、機能で選ばれる本体モデルの品揃えに重心を置く判断が有効です。
価格帯別の販売構成と購買行動
抱っこひも・ベビースリングは、価格帯ごとに購買の「位置づけ」がはっきり分かれるカテゴリです。平均単価(約9,498円)を基準に低・中・高の3価格帯で売上構成比を見ると、高価格帯が売上の50%超を占め、市場の中心が完全に上位モデルへ移っていることがわかります。
| 価格帯 | 売上構成比 |
|---|---|
| 低価格帯(〜約4,800円) | 12.7% |
| 中価格帯(約4,800〜14,300円) | 36.6% |
| 高価格帯(約14,300円〜) | 50.7% |
低価格帯(〜約4,800円): スリング・パーツ・補助小物
低価格帯では、ベビースリングや、抱っこひもに後付けする収納パーツ・補助小物が中心です。メインの抱っこひもを持ったうえで「もう一つ軽量なもの」「特定の場面用」として買い足される傾向が見られます。1点あたりの単価は低く、市場全体での売上構成比は約13%にとどまります。
中価格帯(約4,800〜14,300円): 標準的な抱っこひも
中価格帯は、機能と価格のバランスがとれた標準的な抱っこひもが中心です。必要な基本機能を備えつつ手の届きやすい価格に収めたモデルが、はじめての購入層を中心に選ばれています。かつては市場の主戦場だったゾーンですが、構成比は約37%で、より高機能なモデルへ需要が一部移行しつつある段階です。
高価格帯(約14,300円〜): 多機能・ハイエンドの抱っこひも
高価格帯は、新生児対応・腰や肩の負担軽減・付け替えのしやすさといった機能を盛り込んだ多機能・ハイエンドの抱っこひもが中心です。人気ブランドのモデルが上位を占め、長く使えること・身体への負担が少ないことが購買の決め手になっています。売上構成比は50%超と最大で、平均単価が前年から大きく上昇しているのは、この高単価ゾーンへの集中が市場を下支えしているためと見られます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
抱っこひも・ベビースリングの事業者が来期取るべき3つの打ち手
ここまでの市場データをふまえ、抱っこひも・ベビースリングをECで扱う事業者が来期に向けて取るべき打ち手を3つに整理します。
打ち手1: 高機能・ハイエンドの本体モデルに品揃えを寄せる
売上の50%超を占める高価格帯では、新生児対応や負担軽減といった機能を備えた多機能モデルが上位を占めています。数量が減る局面でも、単価の高い本体モデルを軸に据えることが売上維持・拡大の鍵になります。低価格の小物を広げるよりも、機能で選ばれる一台の魅力を磨き、訴求の中心に置く判断が有効です。
打ち手2: 「失敗したくない買い物」を支える情報設計を強化する
抱っこひもは買い替えのききにくい育児の必需品で、購入者は機能や使い勝手の比較に時間をかけます。月齢ごとの使い方、装着のしやすさ、身体への負担を抑える設計などを商品ページで丁寧に伝えることが、高単価でも選ばれる条件になります。安全性については過度な断定や誇大な表現を避け、適切な使用方法や対象月齢を正確に示すことが信頼につながります。
打ち手3: 競合ブランドの価格帯・機能の打ち出しを把握して磨く
高単価で構成比が高いハイエンド帯は、人気ブランドが価格と機能の打ち出しで競い合う領域です。Nint ECommerceでは、主要ECモールの競合ショップが抱っこひもをどの価格帯・どの機能訴求で展開しているかを把握でき、自社の品揃えと価格設定を磨く材料になります。
よくある質問(Q&A)
抱っこひも・ベビースリングのEC市場規模はどのくらいですか?
主要ECモールにおける2026年2〜4月の推定売上は約10.64億円で、前年同期比+8.6%でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。販売数は▲12.2%、平均単価は+23.7%で、数量減を上回る単価上昇が市場を拡大させています。
主要ECモールで売れ筋の抱っこひもカテゴリは何ですか?
抱っこひもが市場全体の8割弱(77.0%)を占めて最も大きく、ベビースリング(14.7%)、パーツ・アクセサリー(7.0%)が続きます。需要は多機能な抱っこひも本体に集中しています。
抱っこひもでモノが売れる価格帯はどこですか?
売上構成比が最も高いのは高価格帯(約14,300円〜)で、新生児対応や負担軽減を備えた多機能・ハイエンドモデルが中心です。50%超を占め、市場の主役になっています。次いで中価格帯の標準モデルが続きます。
販売数が減っているのに市場が伸びているのはなぜですか?
平均単価が前年同期比+23.7%と大きく上昇しているためです(Nint ECommerce調べ・推計値)。出生数が伸び悩むなかでも、購入が高機能・ハイエンドのモデルへ集中することで、数量減を上回る単価上昇が起き、市場全体の売上が拡大しています。
まとめと、より深く分析するためのヒント
- 2026年2〜4月の抱っこひも・ベビースリングEC市場は約10.64億円(前年同期比+8.6%)。数量▲12.2%を単価+23.7%が上回り市場拡大。
- 抱っこひもが市場の8割弱を占める柱で+13.8%。スリング・パーツ・おんぶ紐は需要が本体へ集約され縮小。
- 価格帯で位置づけが分化。高価格帯が売上の50%超を占め、多機能・ハイエンドへの集中が鮮明。
こうしたカテゴリ別・価格帯別の動向は、自社が扱う商品ジャンルやブランド単位ではどう見えるでしょうか。Nint ECommerceでは、主要ECモールの抱っこひも・ベビースリングカテゴリを、サブカテゴリ・ブランド・商品単位で深堀りし、競合ショップの売れ筋や価格帯、トレンドの先読みに活用できます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
関連サービス・資料
執筆者の視点
データを眺めて印象的だったのは、販売数が二桁減るなかで市場の売上がしっかり伸びているという、一見すると逆説的な構図です。出生数が伸び悩む環境でも、抱っこひもという「赤ちゃんの安全と毎日の負担に直結する道具」では、価格より機能・安心が優先される。だからこそ単価が+24%近くも上がり、高価格帯が売上の半分を超えるところまで来ています。台数を追う発想ではなく、一台あたりの価値をどこまで高められるか——出生数減という逆風下でも市場を伸ばせる商材の典型例として、数字から多くの示唆が得られるカテゴリだと感じました。
対象期間: 2026年2月〜2026年4月/データソース: Nint ECommerce(推計値)/対象カテゴリ: 抱っこひも・ベビースリング
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
note:https://note.com/nint_ecommerce
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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