旅行用品市場レポート|スーツケース78%・売上▲5.5%
本記事は、スーツケースや旅行小物をECで販売する事業者・メーカーの方に向けた市場レポートです。主要ECモールにおける2026年5〜7月の旅行用品市場の推定売上は約41.3億円(前年同期比▲5.5%)、推定販売数は約72.4万点(同▲4.5%)、平均単価は約5,703円(同▲1.1%)でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。市場全体は前年を下回りましたが、中身は一様ではありません。売上の78.4%を占めるスーツケース・キャリーバッグが減少する一方、旅先で使う小物は二桁で伸びています。その内訳を読み解きます。
本レポートのサマリー
- 市場規模: 約41.3億円(前年同期比 ▲5.5%)
- 販売数量: 約72.4万点(前年同期比 ▲4.5%)
- 平均単価: 約5,703円(前年同期比 ▲1.1%)
- 主要サブカテゴリ: スーツケース・キャリーバッグ(78.4%)/機内リラックスグッズ(5.9%)/トラベルポーチ・パッキングオーガナイザー(4.8%)
- キートレンド: 1サブカテゴリに売上の78.4%が集中/本体は▲8.1%、旅の小物は+11〜18%で伸長/売上は高価格帯59.2%・数量は低価格帯59.9%の二層構造

旅行用品のEC市場規模と推移
2026年5〜7月の旅行用品のEC市場規模は約41.3億円、前年同期比▲5.5%でした。販売数は▲4.5%、平均単価は▲1.1%と、金額・数量・単価が揃って小幅に前年を下回っています。単価がほぼ横ばいのまま数量が減っているため、値崩れではなく「買う人そのものが減った」形の縮小です。夏の旅行シーズンでありながら伸びなかった背景にあるのは、旅行需要ではなく道具の買い替えタイミングです。上位カテゴリ全体の動きは日用品・文房具のEC市場規模レポートで扱っており、本記事はそのなかの旅行用品カテゴリを深掘りします。
| 指標 | 2026年5〜7月 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 推定売上 | 約41.3億円 | 約43.7億円 | ▲5.5% |
| 推定販売数 | 約72.4万点 | 約75.8万点 | ▲4.5% |
| 平均単価 | 約5,703円 | 約5,767円 | ▲1.1% |
3指標の下げ幅がいずれも一桁前半にとどまる点は、市場が急激に崩れたのではなく需要が一巡した段階にあることを示しています。旅行用品は旅行のたびに買い直す商材ではなく、一度そろえれば数年使う耐久品が売上の中心です。全体の数字だけを見て「旅行需要が落ちた」と読むと打ち手を誤ります。
サブカテゴリ別の構成と勝ち負け
旅行用品市場は、スーツケース・キャリーバッグが売上の78.4%を占め、この1サブカテゴリの動きがそのまま市場全体の動きになります。そのスーツケース・キャリーバッグが▲8.1%と減少したことが、市場全体▲5.5%の主因です。一方、機内リラックスグッズは+17.6%、トラベルポーチ・パッキングオーガナイザーは+11.8%と二桁で伸び、「本体」と「道中で使う小物」で方向が分かれました。
| サブカテゴリ | 構成比 | 前年同期比 | 平均単価 |
|---|---|---|---|
| スーツケース・キャリーバッグ | 78.4% | ▲8.1% | 13,864円 |
| 機内リラックスグッズ | 5.9% | +17.6% | 2,444円 |
| トラベルポーチ・パッキングオーガナイザー | 4.8% | +11.8% | 1,854円 |
| 小物 | 3.0% | ▲4.6% | 1,573円 |
| 旅行用変圧器・変換プラグ | 2.1% | ▲1.5% | 2,123円 |
平均単価13,864円のスーツケース・キャリーバッグは、買い替えサイクルが長い耐久品です。旅行の機会が増えても、手元のスーツケースが使える限り買い直しは起きません。対して機内リラックスグッズ(2,444円)やトラベルポーチ(1,854円)は旅行のたびに買い足される低単価の商材で、旅行回数がそのまま販売数に反映されます。伸びているのは後者だという事実は、支出の向き先が移ったことを示します。関連する需要動向はバッグ市場レポートや財布・ケース市場レポートでも扱っています。
価格帯別の販売構成と購買行動
旅行用品は、金額の主役と数量の主役が入れ替わるカテゴリです。平均単価(約5,703円)を基準に低・中・高の3価格帯で売上構成比を見ると、高価格帯が59.2%と過半を占めます。ところが販売数量では低価格帯が59.9%、高価格帯は15.7%です(Nint ECommerce調べ・推計値)。数年に一度の大きな買い物と、旅行のたびの小さな買い物が別のレイヤーで動いています。
| 価格帯 | 売上構成比 |
|---|---|
| 低価格帯 | 14.3% |
| 中価格帯 | 26.5% |
| 高価格帯 | 59.2% |
低価格帯: 旅行のたびに買い足される小物
低価格帯は売上の14.3%にすぎませんが、販売数量では59.9%を占めます。トラベルポーチ(平均単価1,854円)や機内リラックスグッズ(2,444円)のような、出発前に思い出して追加する商材が中心です。決め手は価格よりも、出発日に間に合うかと必要な機能が一目で分かるかです。金額は小さくても購入頻度が高く、旅行前の検索でまず接触される入り口になります。
中価格帯: 短期旅行向けの実用ラインと複数点まとめ買い
売上構成比26.5%の中価格帯は、1〜2泊向けの小型キャリーや実用重視のモデル、旅行用変圧器・変換プラグ(2,123円)といった機能品、小物のまとめ買いが重なる帯です。ブランドよりも容量・重量・付帯機能で比較され、レビュー数と仕様の説明量が購入を後押しします。
高価格帯: 数年に一度のスーツケース購入
高価格帯は売上の59.2%を占める一方、販売数量では15.7%です。中心は平均単価13,864円のスーツケース・キャリーバッグで、長期旅行や出張に備えて数年に一度発生する買い物です。金額が大きいぶん検討期間が長く、容量・素材・保証まで比較されます。この帯が▲8.1%と減ったことが市場全体を押し下げました(Nint ECommerce調べ・推計値)。

旅行用品の事業者が来期取るべき3つの打ち手
ここまでの市場データをふまえ、旅行用品をECで扱う事業者が来期に向けて取るべき打ち手を3つに整理します。
打ち手1: 伸びている旅の小物を、売上の第二の柱に育てる
機内リラックスグッズ+17.6%、トラベルポーチ・パッキングオーガナイザー+11.8%と、低単価の小物は市場全体(▲5.5%)に対して明確に伸びています。構成比はそれぞれ5.9%・4.8%と小さく、SKUを増やしても在庫リスクは限定的です。スーツケースの販売に連動させず、単独で検索・購入される商材として商品ページを整えれば、本体市場の減少局面でも取引件数を積み上げられます。
打ち手2: 秋冬の旅行期に向け、買い替え理由を提示する
スーツケース・キャリーバッグは平均単価13,864円で売上の78.4%を占めますが、前年同期比▲8.1%と減少しました。単価が▲1.1%とほぼ動いていないことから、値引きでは反転しにくい局面です。容量不足・キャスターの劣化・機内持ち込み規定への適合といった買い替え理由を訴求に組み込み、秋の連休から年末年始の検討期に合わせて露出を前倒しします。
打ち手3: 高価格帯の品揃えと価格を、競合と突き合わせて磨く
売上の59.2%を占める高価格帯は販売数量では15.7%しかなく、1件の獲得競争が金額を左右します。どの容量帯・どの価格レンジに競合が商品を並べているかを把握しないまま品揃えを決めると、激戦帯に自社の主力を置いてしまいます。Nint ECommerceでは、競合ショップがどの価格帯・どのサブカテゴリで売上を作っているかを確認でき、自社の品揃えと価格設計を見直す材料になります。
よくある質問(Q&A)
旅行用品のEC市場規模はどのくらいですか?
主要ECモールにおける2026年5〜7月の推定売上は約41.3億円で、前年同期比▲5.5%でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。推定販売数は約72.4万点(▲4.5%)、平均単価は約5,703円(▲1.1%)と、3指標がいずれも小幅に前年を下回りました。
主要ECモールで伸びている旅行用品はどのカテゴリですか?
機内リラックスグッズが+17.6%、トラベルポーチ・パッキングオーガナイザーが+11.8%と二桁で伸びています。いずれも平均単価2,000円前後の小物で、旅行のたびに買い足される商材です。一方、売上の78.4%を占めるスーツケース・キャリーバッグは▲8.1%でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。
旅行用品でモノが売れる価格帯はどこですか?
金額では高価格帯が売上の59.2%を占め、平均単価13,864円のスーツケース・キャリーバッグが中心です。ただし販売数量では低価格帯が59.9%、高価格帯は15.7%です。金額を作る帯と件数を作る帯が分かれているのが旅行用品の特徴です(Nint ECommerce調べ・推計値)。
なぜ旅行用品の市場全体は前年を下回ったのですか?
売上の78.4%を占めるスーツケース・キャリーバッグが▲8.1%と減少し、市場全体を押し下げたためです。買い替えサイクルが長い耐久品で、一度そろえた層の買い直しが起きにくい時期にあたります。低単価の旅行小物は同じ期間に二桁で伸びました(Nint ECommerce調べ・推計値)。
まとめと、より深く分析するためのヒント
- 2026年5〜7月の旅行用品EC市場は約41.3億円(前年同期比▲5.5%)。販売数▲4.5%・単価▲1.1%で、値崩れではなく購入件数の減少による縮小。
- 売上の78.4%を占めるスーツケース・キャリーバッグが▲8.1%。一方で機内リラックスグッズ+17.6%、トラベルポーチ+11.8%と小物は伸長。
- 売上は高価格帯(59.2%)、数量は低価格帯(59.9%)が主役。金額を作る帯と件数を作る帯を分けて設計することが売上に直結。
こうした動向は、自社が扱う容量帯やブランド単位ではどう見えるでしょうか。Nint ECommerceでは、主要ECモール(楽天・Amazon・Yahoo!ショッピング 等)の旅行用品カテゴリを、サブカテゴリ・ブランド・商品単位で深堀りし、競合ショップの売れ筋や価格帯、旅行シーズンに向けた需要の先読みに活用できます(Nint ECommerce調べ・推計値)。

関連サービス・資料
執筆者の視点
データを眺めて意外だったのは、夏の旅行シーズンの数字なのに市場全体が前年を下回っていた点です。ただ内訳を開くと、減っていたのはスーツケースという「数年に一度の買い物」だけで、旅先で使う小物はむしろ二桁で伸びていました。旅行に行く人が減ったのではなく、道具をすでに持っている人が増えたという読みです。1サブカテゴリに売上の78.4%が集中する市場では、全体の増減だけを見ると打ち手を取り違えます。
対象期間: 2026年5月〜2026年7月/データソース: Nint ECommerce(推計値)/対象カテゴリ: 旅行用品
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
note:https://note.com/nint_ecommerce
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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