雛祭り・端午の節句市場レポート|五月人形・雛人形で75%
本記事は、雛人形・五月人形・こいのぼりといった季節節句アイテムをECで販売する事業者・メーカーの方に向けた市場レポートです。主要ECモールにおける2026年2〜4月の雛祭り・端午の節句カテゴリの推定売上は約32.78億円(前年同期比▲4.0%)、推定販売数は約20.5万個(同▲3.1%)、平均単価は約15,994円(同▲0.9%)でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。2〜4月は雛祭り(3/3)と端午の節句(5/5)の需要が立ち上がる本番期で、1年の売上がこの季節に集中する典型的な「季節×ギフト×高単価」市場です。五月人形と雛人形でカテゴリの75%を占める構造を、サブカテゴリ別・価格帯別に読み解きます。
目次
本レポートのサマリー
- 市場規模: 約32.78億円(前年同期比 ▲4.0%)
- 販売数量: 約20.5万個(前年同期比 ▲3.1%)
- 平均単価: 約15,994円(前年同期比 ▲0.9%)
- 主要サブカテゴリ: 五月人形(45.1%)/雛人形(29.9%)/名前旗(13.2%)
- キートレンド: 雛祭り・端午の本番期に需要が集中/五月人形+雛人形で市場の75%/高価格帯が約6割の高単価ギフト市場/住宅事情でコンパクト・モダン化
雛祭り・端午の節句のEC市場規模と推移
2026年2〜4月の雛祭り・端午の節句のEC市場規模は約32.78億円、前年同期比▲4.0%でした。販売数が▲3.1%、平均単価が▲0.9%と、いずれも小幅な減少にとどまっています。この時期は3月3日の雛祭り、5月5日の端午の節句に向けた節句人形の需要が一気に立ち上がる本番期で、1年の売上の大半がこの季節に集中します。より広い玩具・人形全体の動向はおもちゃのEC市場規模レポートで扱っており、本記事はその中の季節節句カテゴリを深掘りします。
| 指標 | 2026年2〜4月 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 推定売上 | 約32.78億円 | 約34.15億円 | ▲4.0% |
| 推定販売数 | 約20.5万個 | 約21.2万個 | ▲3.1% |
| 平均単価 | 約15,994円 | 約16,139円 | ▲0.9% |
平均単価が約1.6万円と高水準なのは、節句人形が「一生に一度」の贈り物として高単価で購入される商品だからです。出生数の減少を背景に数量は微減傾向にありますが、単価がほぼ横ばいで踏みとどまっており、市場全体としては需要の集中期に堅調な動きを見せています。
サブカテゴリ別の構成と勝ち負け
雛祭り・端午の節句カテゴリは、五月人形が市場全体の45.1%、雛人形が29.9%を占め、この2つだけで市場の75%を構成する柱となっています。需要は節句人形本体に明確に集中しています。
| サブカテゴリ | 構成比 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 五月人形 | 45.1% | ▲4.5% |
| 雛人形 | 29.9% | ▲2.4% |
| 名前旗 | 13.2% | +0.6% |
| こいのぼり | 8.1% | ▲12.8% |
| 名前札 | 2.3% | ▲7.4% |
五月人形・雛人形という本体軸が小幅な減少にとどまる一方、こいのぼり(▲12.8%)は大きく数字を落としています。屋外に飾る大型こいのぼりは戸建て住宅を前提とするため、集合住宅化や住宅事情の変化が逆風になっていると見られます。対照的に、名前旗(+0.6%)はプラスを維持しました。室内に飾れてスペースを取らず、子どもの名前を入れられるパーソナライズ性が支持されているものと考えられます。事業者は、本体の品揃えを軸に据えつつ、室内向け・コンパクトな関連アイテムへ重心を広げる判断が有効です。
価格帯別の販売構成と購買行動
雛祭り・端午の節句は、価格帯ごとに購買の「用途」がはっきり分かれるカテゴリです。平均単価(約15,994円)を基準に低・中・高の3価格帯で売上構成比を見ると、高価格帯が約6割を占め、節句人形本体の本格ギフトが市場を支えています。
| 価格帯 | 売上構成比 |
|---|---|
| 低価格帯(小物・名前旗中心) | 8.9% |
| 中価格帯(コンパクト飾り中心) | 31.6% |
| 高価格帯(本格飾り中心) | 59.5% |
低価格帯: 名前旗・名前札などの小物
低価格帯では、名前旗・名前札といった節句人形に添える小物が中心です。本体とは別に買い足される関連アイテムで、室内に飾りやすく、子どもの名前や生年月日を入れてパーソナライズできる点が支持されています。1点あたりの単価は低いものの、本体購入とあわせて買われる付帯需要のゾーンです。
中価格帯: コンパクト雛人形・兜飾り
中価格帯では、コンパクトな雛人形(親王飾り・収納飾りなど)や兜飾りが売れ筋です。マンションやコンパクトな住まいでも飾れるサイズ感と、現代的なインテリアになじむモダンなデザインが選ばれています。住宅事情の変化を背景に、「小さく飾れて出し入れしやすい」需要が伸びている価格帯です。
高価格帯: 本格的な雛人形・五月人形・鎧飾り
高価格帯は、本格的な雛人形・五月人形・鎧飾り(職人もの)が中心です。祖父母世代が孫へ贈る「一生に一度」のギフトとして、人形作家・伝統工芸の作り手による本格飾りが選ばれ、市場の約6割の売上を支えています。単価は高く、節句という不変の行事に支えられた安定需要が見込めるゾーンです。平均単価が約1.6万円と高水準で踏みとどまっているのは、この高単価ギフト需要が市場を下支えしているためと見られます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
雛祭り・端午の節句の事業者が来期取るべき3つの打ち手
ここまでの市場データをふまえ、雛祭り・端午の節句アイテムをECで扱う事業者が来期に向けて取るべき打ち手を3つに整理します。
打ち手1: コンパクト・モダン飾りの品揃えを厚くする
住宅事情の変化を背景に、中価格帯ではコンパクトな雛人形・兜飾りが売れ筋になっています。屋外設置を前提とする大型こいのぼりが▲12.8%と落ち込む一方、室内に飾れてスペースを取らないアイテムへ需要が移っています。マンション住まいでも飾りやすいサイズ感と、現代のインテリアになじむモダンなデザインの品揃えを厚くすることが、数量微減局面での売上維持の鍵になります。
打ち手2: 名前旗などのパーソナライズ小物で付帯需要を取る
本体が小幅減のなか、子どもの名前を入れられる名前旗は+0.6%とプラスを維持しています。室内に飾れてスペースを取らず、贈り手の気持ちを込めやすいパーソナライズ性が支持されています。節句人形本体とあわせて提案できる小物の品揃えと、名入れ・オプション対応を整えることで、本体購入に紐づく付帯需要を取り込む判断が有効です。
打ち手3: 本格飾りは競合の品揃え・価格を見て磨く
高単価で安定する本格的な雛人形・五月人形・鎧飾りは、作り手のブランド・付帯サービス・価格設定が競争力を左右します。Nint ECommerceでは、主要ECモールの競合ショップが節句人形をどの価格帯・どの飾りタイプで展開しているかを把握でき、自社の品揃えと価格を磨く材料になります。
よくある質問(Q&A)
雛祭り・端午の節句のEC市場規模はどのくらいですか?
主要ECモールにおける2026年2〜4月の推定売上は約32.78億円で、前年同期比▲4.0%でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。販売数は▲3.1%、平均単価は約15,994円(▲0.9%)です。雛祭り・端午の本番期に需要が集中する季節市場です。
主要ECモールで売れ筋の節句アイテムは何ですか?
五月人形が市場全体の45.1%、雛人形が29.9%を占め、この2つで市場の75%を構成します。続いて名前旗(13.2%)、こいのぼり(8.1%)が並びます。節句人形本体が市場の中心です(Nint ECommerce調べ・推計値)。
節句人形でモノが売れる価格帯はどこですか?
売上構成比が最も大きいのは高価格帯(約6割)で、本格的な雛人形・五月人形・鎧飾りが中心です。中価格帯(31.6%)はコンパクト雛人形・兜飾り、低価格帯(8.9%)は名前旗などの小物が支えています。
こいのぼりが落ち込んでいるのはなぜですか?
屋外に飾る大型こいのぼりは戸建て住宅を前提とするため、集合住宅化や住宅事情の変化が逆風になっていると見られます(前年同期比▲12.8%)。一方で室内に飾れる名前旗(+0.6%)は堅調で、需要がコンパクト・室内向けへ移る傾向が読み取れます。
まとめと、より深く分析するためのヒント
- 2026年2〜4月の雛祭り・端午の節句EC市場は約32.78億円(前年同期比▲4.0%)。雛祭り・端午の本番期に需要が集中する季節市場。
- 五月人形(45.1%)+雛人形(29.9%)で市場の75%。出生数減で数量微減も、平均単価約1.6万円・高価格帯6割の高単価ギフト構造は堅調。
- 住宅事情でコンパクト・モダン飾りへシフト。名前旗は+0.6%とプラス維持、こいのぼりは▲12.8%(戸建て減)。
こうしたサブカテゴリ別・価格帯別の動向は、自社が扱う商品ジャンルやブランド単位ではどう見えるでしょうか。Nint ECommerceでは、主要ECモールの雛祭り・端午の節句カテゴリを、サブカテゴリ・ブランド・商品単位で深堀りし、競合ショップの売れ筋や価格帯、トレンドの先読みに活用できます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
関連サービス・資料
執筆者の視点
データを眺めて印象的だったのは、出生数の減少という構造的な逆風のなかでも、市場全体が小幅な減少にとどまっている点です。節句人形は「一生に一度」「子や孫の健やかな成長を願う」という不変の行事に支えられており、単価約1.6万円・高価格帯6割という高単価構造が市場を底堅く保っています。一方で、屋外のこいのぼりが▲12.8%と落ち込み、室内に飾れる名前旗がプラスを維持しているコントラストは象徴的でした。住まいが変われば飾り方も変わる——伝統行事のかたちが、住宅事情という生活の現実に合わせて静かに「コンパクト・室内」へ移っていく様子が、数字からくっきりと見えてきました。
対象期間: 2026年2月〜2026年4月/データソース: Nint ECommerce(推計値)/対象カテゴリ: 雛祭り・端午の節句
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
note:https://note.com/nint_ecommerce
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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