2023年中国春節消費に対する日系企業の取り組みをECデータから紐解く

3年ぶりの帰省も!?ゼロコロナ対策緩和で大移動復活

中国で春節(旧正月)当日の1月22日を含む、1月21日〜1月27日の春節休暇を迎えた。 中国政府機関(文化和旅游数据中心)の発表によると、国内旅行者数は3億人超えで昨年比+23%、 コロナ前の2019年と比べて、約9割まで回復したとのことだ。 各交通の旅客輸送量(回数ベース)について、国内航空では900万人と、昨年比で+80%、 鉄道では5,000万人と、昨年比で+60%、2019年の8割近くまで達した。 ゼロコロナ対策の緩和に加えて、感染者数の一次ピークを過ぎたことが要因で、 旅行以外にも、3年ぶりの帰省など、多くの人たちが春節を故郷で過ごすこととなった。
※Nint作成、春節期間の国内移動人数変動のイメージ図

手土産や大人数での集まりによる消費が多く、飲食ジャンルでは特定カテゴリが人気

春節中の帰省では手土産持参のほか、家族や親戚へのお年玉やプレゼントに加えて、親戚回りの数が多く、さらに大人数となることが多いため、期間前・中は多くの出費を伴う。
※企鹅有调、「兔年春节消费意愿和行为调研报告」、2022年1月
手土産としても、親戚や友人との集まりの中での消費としても、飲食ジャンルは欠かすことができない為、最も大きい消費項目となっている。
その中でも以下カテゴリはよく選ばれている。
例年、各ブランドはこの消費機会を逃すまいと、様々な施策を実施している。
※Nint作成

日系企業でもギフト用・ファミリー用の期間限定商品を発売し、売上に大きく貢献

ポッキーなどで有名なグリコも中国で人気を得ている。
春節前に以下商品を発売し、流通量の推移を見ると、春節1ヶ月前から増加し、約2週間の間をピークとして購入されているようだ。
※Nintサービス「情報通」画面、Alibaba
約1ヶ月間の販売にもかかわらず、流通量が約7万件、直近半年間でのグリコブランドにおける商品(URL単位)ランキングでは8位につけている。 需要量に加えて、通常のセット商品と比べて高単価となっているため、流通額順位でも6位と、さらに上位につけている。春節期間限定商品の需要度の高さが伺える。 また、ブランド旗艦店における人気商品を見ると、以下兎年にちなんだセット商品が人気No.1となっている。
店舗内他商品よりも比較的に単価が高いため、春節期間中の店舗全体における購入商品単価では、前期比+8元と、約15%上昇している。
※Nintサービス「情報通」をもとに作成、Alibaba

清酒/焼酎カテゴリでは、ネーミング効果や特需商品で前年同期比約+30%と成長!

一方でお酒カテゴリのトレンドを見と、流通額では1月18日をピークに12月末から徐々に増加している。
※Nintサービス「情報通」画面、JD
酒類において最もシェアが大きい白酒では、2022年の年間平均流通額で約70%、流通量で約40%の市場シェアをとっているのに対して、春節期間の約1ヶ月間では流通額で約80%、流通量では約50%と、市場シェアが拡大し、春節中の季節指数が高い。 日本酒を含む清酒/焼酎カテゴリでは、春節前1ヶ月間の流通額が約3700万元と、前年同期比では+26%と成長を遂げている。
※Nintサービス「情報通」画面、JD
ブランド別で見ると、半分以上のシェアを占める「獺祭」がトレンドを形成していることがわかる。
※Nintサービス「情報通」画面、JD
「獺祭」と「眞露」ブランドを除いた各ブランドの日別トレンドを見ると、山を形成しているブランドと緩やかに春節までに増加しているブランドと、はっきり別れていることがわかる。
さらに山を形成している「菊正宗」と「十四代」の比較では、山の数や山の日が異なっている。
※Nintサービス「情報通」画面、JD
日本酒を含む清酒/焼酎カテゴリにおける12月〜1月期間中の商品名ワードクラウドを見てみると、「年货送礼」や「礼盒装」といったワードが含まれた商品が期間中によく購入されている。
※Nintサービス「情報通」画面、JD
「白鶴」では、商品名に使うワードでギフト用と家庭消費用に分けており、購入目的に応じた商品ポジショニングの明確化を行なっている。
また、以下酒器セットも当期間におけるモール内清酒/焼酎カテゴリ流通額ランキングで70位→30位と前期から急上昇している。 期間中の手取り価格は39.8元と、通常小売価格の40元からほぼ値引きしていないにもかかわらず、大きく順位を上げているため、期間中の需要の高さが伺える。 お酒と酒器セットを組み合わせて、ギフト平均単価まで上げ、期間限定で発売することは一つの施策として有効かもしれない。

春節後の消費市場は鈍化傾向、大型キャンペーンに備えて力を溜める期間

ゼロコロナ対策の緩和と感染ピークの経過により、3年ぶりの帰省をする人々も多くいた。
手土産需要や大人数での消費に対して、飲食ジャンルの企業では期間中様々な施策をおこなっており、 日系企業含めて、限定商品の発売や商品ページ、ネーミングの変更を実施していた。
春節後の3・4月について、2022年のデータでは春節期間中の6〜7割ほどの市場消費規模となっている。 その後は、上半期最大のECキャンペーンである「618」に向けて、市場消費は徐々に上がる傾向にある。 各社は力を溜めて、準備に取り掛かる期間であることが言えそうだ。
※Nintサービス「情報通」をもとに作成、Alibaba・JD・Douyinの三大プラットフォーム合計、2022年1月〜11⽉

この分析に用いたデータについて

この記事はNintグループ(Nintホールディングス株式会社、株式会社Nintおよび任拓数据科技(上海)有限公司のことをいいます。)が提供するECデータ推計サービスに基づき作成されています。 記事中の数値はすべてNintグループが独自の技術を用いて算出した推計値となり、紙面の特性上詳細なデータは省略しております。本記事(および、その複製物を含む)は、当社の書面による承諾なしに第三者に譲渡、転売、貸与または利用許諾することを禁止します。

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