トイレ用品市場レポート|紙が56%・売上+3.7%
本記事は、トイレットペーパーや掃除用具、便座・ホルダーなどのトイレ用品をECで販売する事業者・メーカーの方に向けた市場レポートです。主要ECモールにおける2026年5〜7月のトイレ用品市場の推定売上は約16.88億円(前年同期比+3.7%)、推定販売数は約57.6万点(同+1.8%)、平均単価は約2,931円(同+1.9%)でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。3指標がそろって小幅なプラスとなる、生活必需の消耗品らしい安定した動きです。市場の過半を占めるトイレットペーパーの構造と、消耗品と設備で分かれた明暗を読み解きます。
本レポートのサマリー
- 市場規模: 約16.88億円(前年同期比 +3.7%)
- 販売数量: 約57.6万点(前年同期比 +1.8%)
- 平均単価: 約2,931円(前年同期比 +1.9%)
- 主要サブカテゴリ: トイレットペーパー(56.3%)/トイレットペーパーホルダー(14.0%)/トイレ用掃除用具(6.8%)
- キートレンド: 紙製品が市場の過半/中価格帯に売上の76.1%が集中/消耗品は堅調・設備系の便座は前年割れ

トイレ用品のEC市場規模と推移
2026年5〜7月のトイレ用品のEC市場規模は約16.88億円、前年同期比+3.7%でした。販売数が+1.8%、平均単価が+1.9%と、数量と単価がほぼ同じ幅で伸びており、どちらか一方に偏らない成長です。景気や流行に左右されにくく、なくなれば買い直される消耗品が中心のため、四半期単位で大きく振れにくい構造になっています。日用品全体の動きは日用品・文房具のEC市場規模レポートで扱っており、本記事はそのなかのトイレ用品カテゴリを深掘りします。
| 指標 | 2026年5〜7月 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 推定売上 | 約16.88億円 | 約16.27億円 | +3.7% |
| 推定販売数 | 約57.6万点 | 約56.6万点 | +1.8% |
| 平均単価 | 約2,931円 | 約2,877円 | +1.9% |
注目したいのは、売上の伸び(+3.7%)が数量の伸び(+1.8%)のおよそ2倍である点です。単価が+1.9%上がった分がそのまま上乗せされており、値上げや大容量パックへのシフトが売上を押し上げています。数量は横ばいに近く、購入者が急に増えたのではなく1回の買い物の金額が上がった市場です。伸びしろは新規客の獲得より、まとめ買いの単位設計にあります。
サブカテゴリ別の構成と勝ち負け
トイレ用品市場は、トイレットペーパーが56.3%と過半を占め、トイレットペーパーホルダー(14.0%)を合わせると紙とその周辺で市場の7割に達します。伸び率が高いのは、その他(+20.0%)とトイレ用掃除用具(+10.5%)です。一方、便座は▲7.1%と唯一の二桁近い減少となり、消耗品は堅調・設備系は弱い、という明暗がはっきり分かれました。
| サブカテゴリ | 構成比 | 前年同期比 | 平均単価 |
|---|---|---|---|
| トイレットペーパー | 56.3% | +2.0% | 3,092円 |
| トイレットペーパーホルダー | 14.0% | +1.1% | 4,353円 |
| その他 | 8.0% | +20.0% | 2,619円 |
| トイレ用掃除用具 | 6.8% | +10.5% | 1,360円 |
| 便座 | 4.6% | ▲7.1% | 11,349円 |
トイレットペーパーの平均単価3,092円は、1ロール単位ではなく多ロールのパックがまとめて買われていることを示しています。かさばって持ち帰りづらい商品ほどECと相性がよく、この構成比の高さはその典型です。対照的に、平均単価11,349円の便座は買い替えサイクルが長い設備であり、市場全体の伸びとは切り離して見る必要があります。同じ消耗品の動きは日用消耗品のEC市場規模レポート、水まわり用品の関連需要はバス用品市場レポートもあわせてご覧いただくと、同一顧客層の買い回りが見えてきます。
価格帯別の販売構成と購買行動
トイレ用品は、売上が中価格帯に強く集中するカテゴリです。平均単価(約2,931円)を基準に低・中・高の3価格帯で売上構成比を見ると、中価格帯が76.1%を占め、高価格帯は16.6%、低価格帯は7.3%にとどまります。売上の過半を高価格帯が占めるカテゴリが多いなかで、トイレ用品は中間の帯に売上が集まる、めずらしい形をしています。
| 価格帯 | 売上構成比 |
|---|---|
| 低価格帯 | 7.3% |
| 中価格帯 | 76.1% |
| 高価格帯 | 16.6% |
低価格帯: 掃除用具・単品の買い足し
低価格帯は売上の7.3%ですが、販売数量では30.7%を占めます。ブラシやシートなどのトイレ用掃除用具(平均単価1,360円)が中心で、必要なときに単品で買い足される商品群です。1件あたりの金額は小さいものの購入頻度が高く、「ついで買い」の受け皿として働きます。単品で利益を狙うより、まとめ買いへ引き上げる入り口として設計したいゾーンです。
中価格帯: 多ロールパックの紙製品が主戦場
売上の76.1%を占める中価格帯が、この市場の主戦場です。トイレットペーパー(平均単価3,092円)の多ロールパックや、ホルダー(4,353円)などがこの帯に収まります。1回あたり数千円で数週間から数か月分をまとめ買いする行動が定着しており、価格よりロール数・巻き長さ・配送のしやすさが決め手になります。再購入の間隔が読みやすく、リピート設計の効果が最も出やすい帯です。
高価格帯: 便座など設備系の入れ替え需要
高価格帯は売上の16.6%を占めますが、販売数量では4.5%にすぎません。便座(平均単価11,349円)に代表される設備系が中心で、故障や住まいのリフォームをきっかけに動く需要です。この帯は前年同期比▲7.1%と弱く、消耗品の堅調さとは逆の動きを示しました。購入の理由が消耗ではなく交換であるため、数量を積む発想は合いません(Nint ECommerce調べ・推計値)。

トイレ用品の事業者が来期取るべき3つの打ち手
ここまでの市場データをふまえ、トイレ用品をECで扱う事業者が来期に向けて取るべき打ち手を3つに整理します。
打ち手1: 中価格帯のパック構成を作り込む
売上の76.1%が中価格帯に集中し、その中身はトイレットペーパー(平均単価3,092円)の多ロールパックです。ここで戦えるかどうかが売上の大半を決めます。ロール数・巻き長さ・配送単位の組み合わせを増やし、1回の購入で何週間分をまかなえるかを商品ページで明示することが有効です。単価が+1.9%上がっても数量が落ちていない今は、パック単位を1段階上げる提案が通りやすい局面です。
打ち手2: 伸びている掃除用具を同梱導線に組み込む
トイレ用掃除用具は+10.5%、その他は+20.0%と、市場全体の+3.7%を大きく上回って伸びています。いずれも平均単価は低く(掃除用具1,360円)、単体では利益を作りにくい商品群です。紙製品のまとめ買いに合わせて掃除用具を提案する同梱・セット導線を整えると、1回あたりの購入金額を押し上げられます。低価格帯が数量の30.7%を占める点からも、無理のない接続です。
打ち手3: 設備系は在庫を絞り、競合の価格を見て決める
便座(平均単価11,349円)は▲7.1%と前年を下回り、数量シェアも4.5%と限られます。品揃えを広げるより、動く型番を絞って在庫リスクを抑える判断が現実的です。Nint ECommerceでは、競合ショップがどの商品群をどの価格帯で展開しているかを把握でき、絞り込む型番と価格を決める材料になります。
よくある質問(Q&A)
トイレ用品にはどんな商品が含まれますか?
本レポートのトイレ用品は、トイレットペーパーなどの紙製品、トイレットペーパーホルダー、ブラシやシートといったトイレ用掃除用具、便座などの設備系を含むカテゴリです。売上構成比では紙製品が56.3%、ホルダーが14.0%で、紙とその周辺が市場の約7割です(Nint ECommerce調べ・推計値)。
トイレ用品のEC市場規模はどのくらいですか?
主要ECモールにおける2026年5〜7月の推定売上は約16.88億円で、前年同期比+3.7%でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。同期間の推定販売数は約57.6万点(+1.8%)、平均単価は約2,931円(+1.9%)です。3指標がそろって小幅なプラスで、四半期単位では振れにくいカテゴリです。
トイレットペーパーはECでいくらくらいで買われていますか?
2026年5〜7月のトイレットペーパーの平均単価は約3,092円でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。1ロール単位ではなく、多ロールをまとめたパックで購入されているためこの水準です。かさばる商品を届けてもらう買い方が定着し、価格よりロール数や巻き長さが比較の軸になります。
トイレ用品はどの価格帯を狙うべきですか?
売上でみると中価格帯が76.1%を占め、ここが主戦場です。低価格帯は売上7.3%に対し数量では30.7%を占め、買い足しやついで買いの入り口になります。高価格帯は売上16.6%・数量4.5%で、便座など交換時に動く帯です。まず中価格帯の品揃えを固め、低価格帯で接点を増やす順序が取り組みやすい形です。
まとめと、より深く分析するためのヒント
- 2026年5〜7月のトイレ用品EC市場は約16.88億円(前年同期比+3.7%)。販売数+1.8%・単価+1.9%と、数量と単価が同じ幅で伸びる安定型。
- トイレットペーパー(56.3%)とホルダー(14.0%)で市場の約7割。伸びが速いのは掃除用具(+10.5%)で、便座(▲7.1%)だけが前年割れ。
- 売上は中価格帯に76.1%が集中。多ロールパックの構成づくりと、低価格帯からの引き上げ導線が売上を左右する。
こうした動向は、自社が扱うブランドや商品単位ではどう見えるでしょうか。Nint ECommerceでは、主要ECモール(楽天・Amazon・Yahoo!ショッピング 等)のトイレ用品カテゴリを、サブカテゴリ・ブランド・商品単位で深堀りし、競合ショップの売れ筋やパック構成、価格帯の分布を確認できます(Nint ECommerce調べ・推計値)。

関連サービス・資料
執筆者の視点
データを眺めて意外だったのは、売上の76.1%が中価格帯に集まっていた点です。多くのカテゴリでは高価格帯が金額の過半を握りますが、トイレ用品では16.6%にとどまります。数千円のパックを繰り返し買う行動が市場の骨格になっているためです。派手な数字は出ませんが、崩れにくい市場の形が数値にそのまま表れていると感じました。
対象期間: 2026年5月〜2026年7月/データソース: Nint ECommerce(推計値)/対象カテゴリ: トイレ用品
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
note:https://note.com/nint_ecommerce
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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