登山・クライミング市場レポート|売上+13.3%・靴が56%
本記事は、登山靴やトレッキングポール、ウェアやクライミングギアをECで販売する事業者・メーカーの方に向けた市場レポートです。主要ECモールにおける2026年5〜7月の登山・クライミング市場の推定売上は約9.54億円(前年同期比+13.3%)、推定販売数は約19.2万点(同+17.0%)、平均単価は約4,977円(同▲3.1%)でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。平均単価が下がりながら売上が二桁で伸びた、数量が牽引するタイプの成長です。この構造を、サブカテゴリ別・価格帯別に読み解きます。
本レポートのサマリー
- 市場規模: 約9.54億円(前年同期比 +13.3%)
- 販売数量: 約19.2万点(前年同期比 +17.0%)
- 平均単価: 約4,977円(前年同期比 ▲3.1%)
- 主要サブカテゴリ: 靴・ブーツ(56.3%)/トレッキングポール(12.0%)/ウェア(5.4%)
- キートレンド: 数量が単価を上回って伸長/靴・ブーツが売上の過半/周辺装備の伸び率が柱を上回る

登山・クライミングのEC市場規模と推移
2026年5〜7月の登山・クライミングのEC市場規模は約9.54億円、前年同期比+13.3%でした。注目したいのは伸びの中身です。販売数が+17.0%と売上の伸びを上回り、平均単価は▲3.1%と下がっています。単価を上げて売上を積み上げた市場ではなく、買う人・買う点数が増えて拡大した市場だということです。夏山シーズンにあたる5〜7月は装備を新調・買い足しする時期にあたり、その需要が数量の増加として表れました。上位カテゴリ全体の動きはスポーツ・アウトドアのEC市場規模レポートで扱っており、本記事はそのなかの登山・クライミングカテゴリを深掘りします。
| 指標 | 2026年5〜7月 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 推定売上 | 約9.54億円 | 約8.42億円 | +13.3% |
| 推定販売数 | 約19.2万点 | 約16.4万点 | +17.0% |
| 平均単価 | 約4,977円 | 約5,136円 | ▲3.1% |
多くのEC市場では、値上げや高価格モデルへのシフトで単価が上がり、その分だけ売上が伸びる形が目立ちます。登山・クライミングはその逆で、単価が下がってもなお二桁成長しました。既存の愛好者の買い替えだけでは説明がつかない伸び方で、比較的手に取りやすい価格帯から入る新しい購入者の裾野が広がっていると読めます。
サブカテゴリ別の構成と勝ち負け
登山・クライミング市場は、靴・ブーツが56.3%と売上の過半を占める一本柱の構造です。平均単価は12,428円とカテゴリ平均(約4,977円)の約2.5倍で、金額の重心がここに集中しています。ただし伸び率で見ると様子が変わります。柱の靴・ブーツが+9.5%であるのに対し、ウェアは+44.3%、カラビナは+28.8%、その他は+23.7%と、周辺装備のほうが速く伸びました。
| サブカテゴリ | 構成比 | 前年同期比 | 平均単価 |
|---|---|---|---|
| 靴・ブーツ | 56.3% | +9.5% | 12,428円 |
| その他 | 13.4% | +23.7% | 3,516円 |
| トレッキングポール | 12.0% | +6.9% | 4,923円 |
| ウェア | 5.4% | +44.3% | 8,951円 |
| カラビナ | 3.2% | +28.8% | 1,146円 |
柱より周辺が速く伸びるのは、買い替えだけでなく、これから一式そろえる人が増えたときに起きる動きです。ウェア(平均8,951円)やカラビナ(1,146円)は靴を買った後に追加で必要になる装備であり、その伸びが二桁後半に達しています。品揃えを靴・ブーツで完結させず、同一顧客が続けて買う周辺装備まで取り込めるかが売上の伸び幅を左右します。屋外レジャー全体の購買動向はアウトドア市場レポートやアウトドア・キャンプのEC市場規模レポートでも扱っており、あわせてご覧いただくと同じ顧客層の支出の広がりが見えます。
価格帯別の販売構成と購買行動
登山・クライミングは、金額と数量で主役が入れ替わるカテゴリです。平均単価(約4,977円)を基準に低・中・高の3価格帯で売上構成比を見ると、高価格帯が62.8%と過半を超えます。一方、販売数量のシェアは低価格帯が55.0%、高価格帯は16.6%にとどまります。売上を支えるのは少数の高額購入、点数を支えるのは多数の低額購入という二層構造です(Nint ECommerce調べ・推計値)。
| 価格帯 | 売上構成比 |
|---|---|
| 低価格帯 | 8.3% |
| 中価格帯 | 28.9% |
| 高価格帯 | 62.8% |
低価格帯: カラビナ・小物・消耗パーツ
低価格帯は売上の8.3%にすぎませんが、販売数量では55.0%を占めます。カラビナ(平均1,146円)に代表される小物や、なくしたり傷んだりしたら買い足す消耗パーツが中心です。1点あたりの金額は小さくても購入の回数と点数が多く、店舗との接点をつくる入り口として機能します。まとめ買いの設計と、在庫を切らさない運用が効くゾーンです。
中価格帯: トレッキングポール・入門装備
売上の28.9%を占める中価格帯は、トレッキングポール(平均4,923円)やウェアの一部など、本格的な道具に踏み出す最初の一歩にあたる装備が中心です。カテゴリ平均単価(約4,977円)とほぼ重なり、初めて登山用品を買う層がまず選ぶ価格帯です。ここで満足のいく買い物ができた顧客が、次に高価格帯の靴・ブーツへ進みます。選び方の説明や比較のしやすさが転換率に効きます。
高価格帯: 登山靴・ブーツ・本格ウェア
高価格帯は売上の62.8%を占める一方、販売数量では16.6%です。靴・ブーツ(平均12,428円)と本格的なウェア(8,951円)が中心で、1件あたりの金額が大きく、購入の検討期間も長くなります。サイズや足型、防水性や重量といった仕様が選択を左右するため、商品ページの情報量とレビューの厚みが競争力に直結します。金額の柱であるこの帯での取りこぼしが、市場の伸びを取り込めるかを分けます(Nint ECommerce調べ・推計値)。

登山・クライミングの事業者が来期取るべき3つの打ち手
ここまでの市場データをふまえ、登山・クライミング用品をECで扱う事業者が来期に向けて取るべき打ち手を3つに整理します。
打ち手1: 周辺装備のSKUを増やし、一式購入を受け止める
柱の靴・ブーツが+9.5%であるのに対し、ウェア+44.3%、カラビナ+28.8%、その他+23.7%と、周辺装備が市場全体の+13.3%を大きく上回って伸びました。これは、一式そろえる新規の購入者が増えたときに現れる伸び方です。靴の品揃えを軸に据えつつウェア・小物のSKUを広げ、靴の商品ページから関連装備へ回遊できる導線を用意することで、同じ顧客の2点目・3点目を自社で受け止められます。
打ち手2: 低価格帯を入り口に、高価格帯へつなぐ設計にする
低価格帯は売上構成比8.3%に対し販売数量シェアが55.0%、高価格帯は売上62.8%に対し数量16.6%です。数量の主役と金額の主役が別の帯にあるため、低価格帯の小物を「利益が薄い商品」として整理すると、新規顧客との最初の接点を失います。小物で入った顧客に次のシーズンで靴・ブーツ(平均12,428円)を提案する流れをメールや同梱物で設計し、1回きりの購入で終わらせない運用が有効です。
打ち手3: 秋の需要期に向けて競合の品揃え・価格を把握する
夏山シーズンの5〜7月に数量が+17.0%で伸びた実績は、そのまま秋の山行に向けた準備需要の予測材料になります。市場の62.8%を占める高価格帯は品揃えと価格設定が競争力を左右するため、需要期に入る前の見直しが効果的です。Nint ECommerceでは、主要ECモールの競合ショップがどのサブカテゴリ・どの価格帯で商品を展開しているかを把握でき、自社の品揃えと価格を磨く材料になります。
よくある質問(Q&A)
登山・クライミングのEC市場規模はどのくらいですか?
主要ECモールにおける2026年5〜7月の推定売上は約9.54億円で、前年同期比+13.3%でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。推定販売数は約19.2万点(+17.0%)、平均単価は約4,977円(▲3.1%)で、単価が下がるなかで数量が市場を押し上げました。
主要ECモールで売れ筋の登山・クライミング用品は何ですか?
靴・ブーツが売上構成比56.3%で最も大きく、その他(13.4%)、トレッキングポール(12.0%)が続きます。靴・ブーツの平均単価は12,428円とカテゴリ平均の約2.5倍で、金額の重心がここに集中する構造です(Nint ECommerce調べ・推計値)。
登山・クライミングでモノが売れる価格帯はどこですか?
金額では高価格帯が62.8%と過半を占め、登山靴・ブーツや本格ウェアが中心です。ただし販売数量では低価格帯が55.0%を占め、金額と点数で主役が入れ替わります。売上を作る帯と接点を作る帯を分けた設計が重要です(Nint ECommerce調べ・推計値)。
平均単価が下がっているのに売上が伸びているのはなぜですか?
販売数が+17.0%と売上の+13.3%を上回って伸びたためです。単価の低い周辺装備の伸び率が柱の靴・ブーツを上回っており、これから一式そろえる新規の購入者が増えたことが市場拡大の主因と読めます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
まとめと、より深く分析するためのヒント
- 2026年5〜7月の登山・クライミングEC市場は約9.54億円(前年同期比+13.3%)。販売数+17.0%に対し平均単価は▲3.1%で、数量が伸びを主導。
- 靴・ブーツが売上の56.3%を占める一方、伸び率はウェア+44.3%・カラビナ+28.8%と周辺装備が上回る。
- 価格帯は高(62.8%)が金額の柱、低(8.3%)が数量の55.0%を担う二層構造。入り口と主戦場を分けた設計が有効。
こうした動向は、自社が扱うブランドや品番の単位ではどう見えるでしょうか。Nint ECommerceでは、主要ECモール(楽天・Amazon・Yahoo!ショッピング 等)の登山・クライミングカテゴリを、サブカテゴリ・ブランド・商品単位で深堀りし、競合ショップの売れ筋や価格帯、シーズン需要の先読みに活用できます(Nint ECommerce調べ・推計値)。

関連サービス・資料
執筆者の視点
データを眺めて意外だったのは、平均単価が下がっているのに売上が二桁で伸びていた点です。多くのカテゴリでは単価の上昇が売上を押し上げますが、この市場は逆でした。しかも柱の靴・ブーツより、ウェアやカラビナといった周辺装備のほうが速く伸びています。買い替えではなく「これから始める人」が増えている市場だと、数字の並びから読み取れました。
対象期間: 2026年5月〜2026年7月/データソース: Nint ECommerce(推計値)/対象カテゴリ: 登山・クライミング
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
note:https://note.com/nint_ecommerce
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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