ギター・ベース市場レポート|単価+8.0%・パーツが4割
本記事は、ギター・ベース本体や弦・ピックアップなどのパーツをECで販売する事業者・メーカーの方に向けた市場レポートです。主要ECモールにおける2026年4〜6月のギター・ベース市場の推定売上は約17.9億円(前年同期比▲0.1%)、推定販売数は132,660点(同▲7.5%)、平均単価は13,466円(同+8.0%)でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。売れた点数は1割近く減っているのに、売上はほぼ前年並みを保っています。数量の減少を単価の上昇が埋め合わせたこの構造を、サブカテゴリ別・価格帯別に読み解きます。
目次
本レポートのサマリー
- 市場規模: 約17.9億円(前年同期比 ▲0.1%)
- 販売数量: 132,660点(前年同期比 ▲7.5%)
- 平均単価: 13,466円(前年同期比 +8.0%)
- 主要サブカテゴリ: ギター(42.7%)/アクセサリー・パーツ(40.9%)/ベース(8.2%)
- キートレンド: 売上プラスはアクセサリー・パーツ(+6.1%)のみ/入門セットが▲11.2%と最も縮小
ギター・ベースのEC市場規模と推移
2026年4〜6月のギター・ベースのEC市場規模は約17.9億円、前年同期比▲0.1%でほぼ横ばいでした。ただし内訳を見ると、販売数は132,660点で▲7.5%と減少し、平均単価は13,466円で+8.0%と上昇しています。売れた点数が減った分を、1点あたりの単価が押し戻した形です。楽器全体の動きは楽器・音響機器のEC市場規模レポートで扱っており、本記事はそのなかのギター・ベースカテゴリを深掘りします。
| 指標 | 2026年4〜6月 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 推定売上 | 約17.9億円 | 約17.9億円 | ▲0.1% |
| 推定販売数 | 132,660点 | 143,444点 | ▲7.5% |
| 平均単価 | 13,466円 | 12,472円 | +8.0% |
数量が減って単価が上がる動きは、買い手の層が入れ替わっているサインです。安価な入門機を1本目として買う層が細り、すでに演奏している人が高いモデルやパーツにお金を使う構図に寄っています。また4〜6月は、楽器の需要が高まる年末のギフト期の前段にあたります。この時期の数量減をそのまま通期の縮小と読まず、どの層の購入が減ったのかまで分解して見る必要があります。
サブカテゴリ別の構成と勝ち負け
ギター・ベース市場は、ギター(エレキ/アコースティック)が42.7%、アクセサリー・パーツが40.9%を占め、この2つで市場の83.6%に達します。売上が前年を上回ったのはアクセサリー・パーツ(+6.1%)だけで、ギターは▲2.5%、ベースは▲4.3%、入門セット等のセットは▲11.2%と縮小しました。特にセットの落ち込みが大きく、初めて楽器を買う層の需要が弱まっていることが数字に表れています。
| サブカテゴリ | 構成比 | 前年同期比 | 平均単価 |
|---|---|---|---|
| ギター(エレキ/アコースティック) | 42.7% | ▲2.5% | 99,377円 |
| アクセサリー・パーツ | 40.9% | +6.1% | 6,246円 |
| ベース | 8.2% | ▲4.3% | 87,780円 |
| セット(入門セット等) | 8.1% | ▲11.2% | 23,363円 |
注目したいのは、アクセサリー・パーツの中身です。売上は+6.1%と伸びた一方で販売数は▲7.5%と減っており、売れた点数が減るなかで金額を伸ばしています。弦やピックを数多く売るというより、ピックアップやペグといった単価の高い交換パーツの買い足しが金額を押し上げた形です。本体側では、ギターが販売数▲2.9%に対し売上▲2.5%と減少幅がほぼ同じで単価を保つ一方、ベースは販売数▲13.0%と大きく減りながら売上は▲4.3%にとどまり、少数の高単価モデルに購入が集中しました。楽器カテゴリ内の他ジャンルの動きはピアノ・キーボード市場レポートや管楽器・吹奏楽器市場レポートでも扱っています。
価格帯別の販売構成と購買行動
ギター・ベースは価格帯で購買の目的がはっきり分かれるカテゴリです。平均単価(13,466円)を基準に低・中・高の3価格帯で売上構成比を見ると、高価格帯が50.9%で過半を占め、低価格帯が40.9%で続きます。中価格帯は8.1%にとどまり、金額が両端に寄った二極構造になっています。
| 価格帯 | 売上構成比 |
|---|---|
| 低価格帯 | 40.9% |
| 中価格帯 | 8.1% |
| 高価格帯 | 50.9% |
低価格帯: 弦・ピック・交換パーツ
低価格帯は、平均単価6,246円のアクセサリー・パーツが中心です。弦やピック、シールドなどの消耗品に加え、ピックアップやペグといった交換パーツが並びます。すでに楽器を持っている人が繰り返し買う領域で、売上構成比40.9%と金額でも市場の4割を担います。本体の販売が鈍っても支出が続く、リピート顧客との接点になるゾーンです。
中価格帯: 入門セット・エントリーモデル
売上構成比8.1%の中価格帯は、平均単価23,363円のセット(入門セット等)が主役です。本体にアンプ・チューナー・ケースまで揃えた「これ1つで始められる」商品が該当します。前年同期比▲11.2%と4サブカテゴリで最も縮小し、販売数も同じく▲11.2%でした。初めて楽器を買う層の入り口が細り、市場のなかで最も薄くなっている帯です。
高価格帯: ギター・ベース本体
高価格帯(50.9%)は、ギター(平均単価99,377円)とベース(87,780円)の本体が占めます。1件あたりの金額が大きく、演奏経験のある層の買い増し・買い替えが需要の源です。ギターが販売数▲2.9%と踏みとどまる一方、ベースは▲13.0%と減り方が急でした。点数を追うより1本ごとの提案の質が問われる帯です(Nint ECommerce調べ・推計値)。
ギター・ベースの事業者が来期取るべき3つの打ち手
ここまでの市場データをふまえ、ギター・ベースと関連パーツをECで扱う事業者が来期に向けて取るべき打ち手を3つに整理します。
打ち手1: パーツ・アクセサリーを売上の第2の柱に育てる
4サブカテゴリのうち売上が前年を上回ったのはアクセサリー・パーツ(構成比40.9%・+6.1%)だけです。しかも販売数は▲7.5%で、点数を増やさずに金額を伸ばしています。安い消耗品を数で売る発想から切り替え、単価の取れる交換パーツの品揃えと、対応機種・規格が一目で分かる商品ページに資源を寄せる判断が有効です。本体を買った顧客の次の買い物を自社で受け止められれば、そのまま売上に積み上がります。
打ち手2: 入門セット依存を見直し、年末に向けて組み直す
セット(入門セット等)は▲11.2%と最も縮小し、構成比も8.1%まで薄くなりました。セットという売り方そのものより、価格と中身の組み合わせが今の買い手と合っていない状態です。本体+必要最小限のパーツを選べる形への組み替えや、単価23,363円の帯にとどまらない上位セットの用意など、構成の見直し余地があります。楽器の需要が高まる年末のギフト期に向けて、この時期から仕込んでおきたい領域です。
打ち手3: 高価格帯は競合の品揃え・価格を見て磨く
市場の50.9%を占める高価格帯のギター(99,377円)・ベース(87,780円)は、品揃えと価格設定が競争力を左右します。ベースが販売数▲13.0%と大きく減るなかで売上を▲4.3%に抑えられているように、どのモデルに購入が集中しているかを掴めるかが分かれ目です。Nint ECommerceでは、主要ECモールの競合ショップがどのモデル・どの価格帯で本体やパーツを展開しているかを把握でき、自社の品揃えと価格を磨く材料になります。
よくある質問(Q&A)
ギター・ベースのEC市場規模はどのくらいですか?
主要ECモールにおける2026年4〜6月の推定売上は約17.9億円で、前年同期比▲0.1%とほぼ横ばいでした(Nint ECommerce調べ・推計値)。販売数は132,660点で▲7.5%、平均単価は13,466円で+8.0%と、数量減を単価上昇が埋め合わせています。
主要ECモールで売れ筋のギター・ベース関連商品は何ですか?
ギター(エレキ/アコースティック)が42.7%で最も大きく、アクセサリー・パーツ(40.9%)が僅差で続きます。この2つで市場の83.6%を占め、残りはベース(8.2%)とセット(8.1%)という構成です。
ギター・ベースでモノが売れる価格帯はどこですか?
金額では高価格帯(50.9%)が過半を占め、ギター・ベースの本体が中心です。次いで低価格帯が40.9%で、弦やパーツなどの買い足しが該当します。中価格帯は8.1%と薄く、両端に寄った二極構造です(Nint ECommerce調べ・推計値)。
なぜ販売数が減っているのに売上は横ばいなのですか?
平均単価が12,472円から13,466円へ+8.0%上昇し、販売数▲7.5%の減少分を相殺しているためです。入門セットが▲11.2%と縮む一方、高単価の本体やパーツに購入が寄った結果と読めます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
まとめと、より深く分析するためのヒント
- 2026年4〜6月のギター・ベースEC市場は約17.9億円(前年同期比▲0.1%)。販売数▲7.5%に対し単価+8.0%で、数量減を単価上昇が埋め合わせ。
- 売上が前年を上回ったのはアクセサリー・パーツ(40.9%・+6.1%)のみ。入門セット等のセットは▲11.2%と最も縮小。
- 価格帯は高(50.9%)と低(40.9%)に金額が二極化し、中価格帯は8.1%。本体販売とパーツの買い足しの両輪をどう設計するかが売上を分ける。
こうしたサブカテゴリ別・価格帯別の動向は、自社が扱うブランドやモデル単位ではどう見えるでしょうか。Nint ECommerceでは、主要ECモール(楽天・Amazon・Yahoo!ショッピング 等)のギター・ベースカテゴリを、サブカテゴリ・ブランド・商品単位で深堀りし、競合ショップの売れ筋や価格帯、年末商戦に向けた仕込みの判断に活用できます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
関連サービス・資料
執筆者の視点
意外だったのは、売上がほぼ前年並みという1行の裏で、販売数が1割近く減っていたことです。市場全体の数字だけ見れば「変化なし」と読み飛ばしてしまう動きでした。しかも唯一プラスのアクセサリー・パーツですら、点数は減って金額だけが伸びている。楽器は買った後に長く付き合う商材だからこそ、1本目より、その後の交換や買い増しをどう受け止めるかで売上が決まる市場だと見えてきました。
対象期間: 2026年4月〜2026年6月/データソース: Nint ECommerce(推計値)/対象カテゴリ: ギター・ベース
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
note:https://note.com/nint_ecommerce
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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