釣具・フィッシング市場レポート|単価+5.9%
本記事は、釣具・フィッシング用品をECで販売する事業者・メーカーの方に向けた市場レポートです。主要ECモールにおける2026年4〜6月の釣具・フィッシング市場の推定売上は約47.9億円(前年同期比+6.5%)、推定販売数は約111.9万点(同+0.5%)、平均単価は約4,279円(同+5.9%)でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。販売数がほぼ横ばいで推移するなか売上が伸びており、その伸びのほとんどは単価の上昇によるものです。リール・ロッドという高単価の本体カテゴリが市場を主導する構造を、サブカテゴリ別・価格帯別に読み解きます。
目次
本レポートのサマリー
- 市場規模: 約47.9億円(前年同期比 +6.5%)
- 販売数量: 約111.9万点(前年同期比 +0.5%)
- 平均単価: 約4,279円(前年同期比 +5.9%)
- 主要サブカテゴリ: リール本体(23.7%)/ロッド・竿本体(23.1%)/バッグ・バケツ・収納(18.7%)
- キートレンド: 高単価の本体2カテゴリで市場の約46.8%を占める/高価格帯が売上の67.7%に達する「道具本体主導」の構造
釣具・フィッシングのEC市場規模と推移
主要ECモールにおける釣具・フィッシングのEC市場規模は、2026年4〜6月の3ヶ月間で約47.9億円、前年同期比+6.5%でした。販売数は+0.5%とほぼ横ばいにとどまる一方、平均単価が+5.9%と伸びており、売上の増加はほぼ単価の上昇で説明できます。梅雨から夏本番前にかけては、釣行機会の増加に合わせて道具を新調・買い増しする需要が動く時期にあたります。スポーツ用品全体の動向はスポーツ・アウトドアのEC市場規模レポートで扱っており、本記事はそのなかの釣具・フィッシングカテゴリを深掘りします。屋外趣味という近い購買文脈を持つアウトドア市場レポートとあわせてご覧いただくと、市場横断の傾向が把握できます。
| 指標 | 2026年4〜6月 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 推定売上 | 約47.9億円 | 約45.0億円 | +6.5% |
| 推定販売数 | 約111.9万点 | 約111.3万点 | +0.5% |
| 平均単価 | 約4,279円 | 約4,042円 | +5.9% |
点数がほぼ横ばいということは、釣り人の数や購買回数そのものは大きく変わっていない状態です。そのうえで売上が伸びているのは、1点あたりにかける金額が上がっているためです。数を売って伸ばす市場ではなく、単価をどう引き上げるかが売上を分ける市場だと言えます。
サブカテゴリ別の構成と勝ち負け
釣具・フィッシング市場は、リール本体(23.7%)とロッド・竿本体(23.1%)という高単価の本体2カテゴリで市場の約46.8%を占めます。平均単価はリール本体が約28,537円、ロッド・竿本体が約23,622円と、市場平均(約4,279円)の5〜7倍に達します。3番手のバッグ・バケツ・収納(18.7%)は単価約4,800円と手に取りやすい価格帯です。伸び率ではロッド・竿本体(+13.4%)、ライン(+13.7%)、魚群探知機(+31.6%)が二桁で伸びており、道具の刷新と釣果を高める装備への支出が市場を押し上げています。
| サブカテゴリ | 推定売上 | 構成比 | 前年同期比 | 平均単価 |
|---|---|---|---|---|
| リール本体 | 約11.38億円 | 23.7% | +2.6% | 約28,537円 |
| ロッド・竿本体 | 約11.06億円 | 23.1% | +13.4% | 約23,622円 |
| バッグ・バケツ・収納 | 約8.95億円 | 18.7% | +1.5% | 約4,800円 |
| ウェア・アクセサリー | 約3.96億円 | 8.3% | +5.5% | 約7,283円 |
| ルアー・フライ | 約3.73億円 | 7.8% | +3.7% | 約1,282円 |
| ライン | 約1.33億円 | 2.8% | +13.7% | 約2,063円 |
| 魚群探知機 | 約0.93億円 | 1.9% | +31.6% | 約46,464円 |
もうひとつの特徴が、ルアー・フライの位置づけです。売上構成比は7.8%と大きくありませんが、平均単価が約1,282円と低く、販売数は約29.1万点と市場全体の約4分の1を占めます。根がかりで失う、対象魚や季節に合わせて買い足すといった消耗品の性格が強く、リピート購買の受け皿になっています。本体で単価を稼ぎ、ルアーやラインで購入頻度を確保する。この二層構造をどう設計するかが、釣具ECの品揃えの要になります。
価格帯別の販売構成と購買行動
平均単価(約4,279円)を基準に低・中・高の3価格帯で売上構成比を見ると、高価格帯が67.7%と全体の3分の2以上を占めます。低価格帯は14.5%、中価格帯は17.7%にとどまり、売上の重心が明確に高価格帯へ寄っているのが釣具・フィッシング市場の特徴です。
| 価格帯 | 売上構成比 |
|---|---|
| 低価格帯(平均の5割未満) | 14.5% |
| 中価格帯(平均の5割〜1.5倍) | 17.7% |
| 高価格帯(平均の1.5倍超) | 67.7% |
低価格帯: ルアー・フック・ラインなどの消耗品
低価格帯は、ルアーやフック、ラインといった消耗品が中心です。1点あたり数百円〜2,000円前後で、まとめ買いや送料無料ラインを満たすための併せ買いが多く見られます。売上構成比は14.5%と小さいものの、購入頻度が高く、再訪問を生む起点として捉えたいゾーンです。
中価格帯: 収納・小物・エントリーモデル
中価格帯(17.7%)には、タックルボックスやバッカン、クーラーなどの収納用品、ウェア・アクセサリー類、入門者向けのエントリーモデルが並びます。バッグ・バケツ・収納の平均単価が約4,800円と市場平均に近いことからも、この帯が「釣行を支える周辺装備」の中心だと読み取れます。
高価格帯: リール・ロッド本体と魚群探知機
売上の67.7%を占める高価格帯は、リール本体(平均単価 約28,537円)やロッド・竿本体(同 約23,622円)、魚群探知機(同 約46,464円)が中心です。釣果に直結する道具への投資であり、価格よりも性能・ブランド・適合機種で選ばれます。魚群探知機が+31.6%と大きく伸びていることからも、装備の高度化が進んでいる様子がうかがえます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
釣具・フィッシングの事業者が来期取るべき3つの打ち手
ここまでの市場データをふまえ、釣具・フィッシング用品をECで扱う事業者が来期に向けて取るべき打ち手を3つに整理します。
打ち手1: 本体2カテゴリの品揃えと在庫に資源を寄せる
リール本体とロッド・竿本体だけで市場の約46.8%を占め、価格帯でも高価格帯が67.7%に達します。点数が横ばいのまま売上が伸びている以上、成長の源泉は本体の単価にあります。上位機種や新モデルを欠品させない在庫設計に資源を寄せ、適合情報やスペック比較を商品ページで丁寧に示すことが、高額商品の後押しになります。
打ち手2: 消耗品でリピートを作り、本体へつなげる
ルアー・フライは販売数で市場の約4分の1を占める一方、平均単価は約1,282円です。この消耗品ゾーンで定期的な購入接点を確保し、シーズンの入替えや新モデル投入のタイミングで本体の買い替えを提案する導線が有効です。屋外趣味の周辺需要はアウトドア・キャンプのEC市場規模レポートとも重なる部分があり、併売の設計にも活かせます。
打ち手3: 伸びているサブカテゴリを競合の動きから読む
ロッド・竿本体(+13.4%)、ライン(+13.7%)、魚群探知機(+31.6%)と、伸び方はサブカテゴリごとに大きく異なります。Nint ECommerceでは、主要ECモールの競合ショップがどのブランド・どの価格帯で本体や電子機器を展開しているかを把握でき、自社の品揃えと価格設定を見直す材料になります。
よくある質問(Q&A)
釣具・フィッシングのEC市場規模はどのくらいですか?
主要ECモールにおける2026年4〜6月の3ヶ月間の推定売上は約47.9億円で、前年同期比+6.5%でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。推定販売数は約111.9万点(+0.5%)、平均単価は約4,279円(+5.9%)で、単価の上昇が売上の伸びを主導しています。
主要ECモールで売れ筋の釣具は何ですか?
売上ではリール本体(23.7%)とロッド・竿本体(23.1%)が二大カテゴリで、あわせて市場の約46.8%を占めます。販売数で見るとルアー・フライが約29.1万点と多く、金額の主役と点数の主役が分かれているのがこの市場の特徴です。
釣具でモノが売れる価格帯はどこですか?
平均単価(約4,279円)を基準にすると、高価格帯が売上の67.7%を占め、中価格帯17.7%、低価格帯14.5%と続きます。リール・ロッドの本体や魚群探知機といった高額商品が売上の大半を作る構造です(Nint ECommerce調べ・推計値)。
販売数がほぼ横ばいなのに売上が伸びているのはなぜですか?
販売数+0.5%に対し平均単価が+5.9%となっており、売上の伸び(+6.5%)のほとんどが単価上昇によるものです。ロッド・竿本体(+13.4%)や魚群探知機(+31.6%)など高単価カテゴリの伸びが、市場全体の単価を押し上げていると見られます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
まとめと、より深く分析するためのヒント
- 2026年4〜6月の釣具・フィッシングEC市場は約47.9億円(前年同期比+6.5%)。販売数+0.5%に対し単価+5.9%で、伸びはほぼ単価が作っている。
- リール本体(23.7%)+ロッド・竿本体(23.1%)で約46.8%。高価格帯が売上の67.7%を占める道具本体主導の構造。
- ルアー・フライは単価約1,282円・約29.1万点でリピートの受け皿。本体で単価、消耗品で頻度という二層設計が要になる。
こうしたサブカテゴリ別・価格帯別の動向は、自社が扱う商品ジャンルやブランド単位ではどう見えるでしょうか。Nint ECommerceでは、主要ECモール(楽天・Amazon・Yahoo!ショッピング 等)の釣具・フィッシングカテゴリを、サブカテゴリ・ブランド・商品単位で深堀りし、競合ショップの売れ筋や価格帯、シーズンごとのトレンドの先読みに活用できます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
関連サービス・資料
執筆者の視点
データを見て印象に残ったのは、点数がほとんど動いていないのに売上だけが伸びている点です。釣り人の数や釣行の回数が急に増えたわけではなく、同じ人が「前より良い道具」を選んでいる。その姿が数字にそのまま表れているように感じました。リールやロッドの本体で売上の柱を作りつつ、ルアーやラインの買い足しで年間を通じて接点を持ち続ける。この二層をどうつなぐかが、釣具ECの勝敗を分けるところだと考えます。魚群探知機の伸びも、釣りが感覚だけでなくデータで釣果を高める趣味へ変わりつつある兆しとして注視したい動きです。
対象期間: 2026年4月〜2026年6月/データソース: Nint ECommerce(推計値)/対象カテゴリ: 釣具・フィッシング
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
note:https://note.com/nint_ecommerce
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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