傘市場レポート|日傘56.2%・単価+8.8%
本記事は、日傘や雨傘、晴雨兼用傘などの傘をECで販売する事業者・メーカーの方に向けた市場レポートです。主要ECモールにおける2026年4〜6月の傘市場の推定売上は約38.5億円(前年同期比▲0.9%)、推定販売数は約99.6万点(同▲8.8%)、平均単価は約3,865円(同+8.8%)でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。売れた本数は1割近く減っているのに、売上はほぼ前年並みで着地しています。しかも売上の主役は雨傘ではなく日傘です。売上の56.2%を日傘が占める構造を、サブカテゴリ別・価格帯別に読み解きます。
本レポートのサマリー
- 市場規模: 約38.5億円(前年同期比 ▲0.9%)
- 販売数量: 約99.6万点(前年同期比 ▲8.8%)
- 平均単価: 約3,865円(前年同期比 +8.8%)
- 主要サブカテゴリ: 日傘(56.2%)/晴雨兼用傘(20.2%)/レディース雨傘(8.4%)
- キートレンド: 日傘+晴雨兼用傘で売上の76.4%/日傘は販売数▲13.2%を単価+13.8%で補い売上は▲1.2%にとどまる
傘のEC市場規模と推移
2026年4〜6月の傘のEC市場規模は約38.5億円、前年同期比▲0.9%でした。販売数は▲8.8%と大きく減った一方、平均単価は+8.8%と上がり、金額はほぼ前年並みを保っています。4〜6月は梅雨入りと日差し対策の準備が重なり、6月に需要の山が来る季節性の強い時期です。その年間最需要期にあって、本数は減りながら金額が維持されたことが今期の特徴です。上位カテゴリ全体の動きはバッグ・小物・ブランド雑貨のEC市場規模レポートで扱っており、本記事はそのなかの傘カテゴリを深掘りします。
| 指標 | 2026年4〜6月 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 推定売上 | 約38.5億円 | 約38.8億円 | ▲0.9% |
| 推定販売数 | 約99.6万点 | 約109.2万点 | ▲8.8% |
| 平均単価 | 約3,865円 | 約3,554円 | +8.8% |
販売数の減少幅(▲8.8%)と単価の上昇幅(+8.8%)がほぼ相殺し、売上は▲0.9%で着地しました。これは値下げによる数量確保とは正反対の動きです。安い1本を毎シーズン買い替える消費から、機能で選んだ1本を長く使う消費へ、購入の重心が移っています。売れる本数を前提にした仕入れ計画のままでは、在庫が余りやすい局面です。
サブカテゴリ別の構成と勝ち負け
傘市場は、日傘が56.2%、晴雨兼用傘が20.2%を占め、この2カテゴリで売上の76.4%に達します。「傘」という括りでありながら、金額の主役は雨をしのぐ道具ではなく日差しを避ける道具です。雨傘3カテゴリ(レディース8.4%/男女兼用7.3%/メンズ6.6%)の合計は22.3%にとどまります。伸びたのはメンズ雨傘(+11.7%)と晴雨兼用傘(+7.1%)、深く沈んだのはレディース雨傘(▲19.7%)でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。
| サブカテゴリ | 構成比 | 前年同期比 | 平均単価 |
|---|---|---|---|
| 日傘 | 56.2% | ▲1.2% | 4,477円 |
| 晴雨兼用傘 | 20.2% | +7.1% | 3,730円 |
| レディース雨傘 | 8.4% | ▲19.7% | 3,658円 |
| 男女兼用雨傘 | 7.3% | ▲2.0% | 3,209円 |
| メンズ雨傘 | 6.6% | +11.7% | 3,513円 |
| 傘用アクセサリー | 1.4% | ▲1.4% | 920円 |
最大の日傘は、販売数48万3千点(▲13.2%)と本数を大きく落としながら、平均単価4,477円(+13.8%)で売上を▲1.2%に押しとどめました。遮光・UVカットや軽さといった機能で選ばれる価格帯へ、購入層が移った形です。対照的にレディース雨傘は単価がほぼ横ばい(▲0.3%)で、販売数▲19.5%がそのまま売上▲19.7%に直結しました。その需要の一部を受け止めたのが晴雨兼用傘で、主力のなかで唯一販売数を増やし(+1.8%)、売上+7.1%と伸びています。1本で日差しと雨の両方をまかなう買い方が広がった動きです。メンズ雨傘は販売数+6.9%・単価+4.5%とどちらもプラスで、男女兼用雨傘は販売数▲15.4%を単価+15.8%で補いました。日差し対策の支出の広がりは眼鏡・サングラス市場レポート、持ち物全体の買い回りはバッグ市場レポートでも扱っています。
価格帯別の販売構成と購買行動
傘は価格帯によって買う目的がはっきり分かれるカテゴリです。平均単価(約3,865円)を基準に低・中・高の3価格帯で売上構成比を見ると、高価格帯が56.2%で過半を占め、中価格帯が42.4%で続きます。低価格帯は1.4%で、金額のほとんどは日傘と雨傘・晴雨兼用傘の本体が生み出しています(Nint ECommerce調べ・推計値)。
| 価格帯 | 売上構成比 |
|---|---|
| 低価格帯 | 1.4% |
| 中価格帯 | 42.4% |
| 高価格帯 | 56.2% |
低価格帯: 替え手元・収納ケースなどの傘用アクセサリー
低価格帯(1.4%)は平均単価920円の傘用アクセサリーのゾーンです。販売数は5万7千点(+11.0%)と本数を伸ばした一方、単価は▲11.2%と下がり、売上は▲1.4%とほぼ横ばいでした。壊れた部品の交換や持ち運びの工夫といった実用の買い足しが中心で、単体では金額を作りにくい帯です。本体購入時の同時提案で客単価に効かせるゾーンです。
中価格帯: 雨傘と晴雨兼用傘が並ぶ主戦場
売上構成比42.4%の中価格帯には、晴雨兼用傘(3,730円)、レディース雨傘(3,658円)、メンズ雨傘(3,513円)、男女兼用雨傘(3,209円)が並びます。価格はほぼ横並びなのに、勢いは正反対です。晴雨兼用傘は+7.1%、メンズ雨傘は+11.7%と伸び、レディース雨傘は▲19.7%と沈みました。同じ財布の同じ予算帯で、選ばれる中身が入れ替わっています。この帯で誰を主役に据えるかが、来期の売上を左右します。
高価格帯: 遮光・UV機能を備えた日傘
高価格帯(56.2%)を構成するのは、平均単価4,477円の日傘です。販売数は▲13.2%と落ちましたが、単価が+13.8%と上がったことで売上は▲1.2%にとどまりました。数が減るなかでも、遮光性能や軽さ、折りたたみの携帯性といった機能で選ばれる商品が残り、1本あたりの金額を押し上げています。日傘は買い替えサイクルが長く、価格よりも性能表示で比較される商材です(Nint ECommerce調べ・推計値)。
傘の事業者が来期取るべき3つの打ち手
ここまでの市場データをふまえ、傘をECで扱う事業者が来期に向けて取るべき打ち手を3つに整理します。
打ち手1: 日傘は「機能を数字で示して単価を上げる」設計に寄せる
売上の56.2%を占める日傘は、販売数▲13.2%を単価+13.8%で補って売上▲1.2%に着地しました。本数を取り戻す値引きよりも、遮光率・UVカット率・重量・たたんだ寸法といった性能を比較できる形で示し、選ばれる価格帯に商品を置き直すほうが金額に結びつきます。同じ4,477円前後の帯で何を訴えるかが、来期の売上を決める分岐点になります。
打ち手2: レディース雨傘は晴雨兼用への置き換わりを前提に組み替える
レディース雨傘は売上▲19.7%・販売数▲19.5%と、単価を保ったまま本数だけを失いました。その裏で晴雨兼用傘は販売数+1.8%・売上+7.1%と主力で唯一本数を伸ばしています。雨専用の在庫量を見直し、1本で両用途をまかなえる商品に品揃えの比重を移すことで、失った需要を自社内で受け止められます。商品ページ側も「雨の日用」から「日差しと雨の両方に使える」へ言い換えが必要です。
打ち手3: 伸びている帯を競合の品揃えと価格から逆算する
メンズ雨傘は販売数+6.9%・単価+4.5%で売上+11.7%と、本数と単価がともに伸びた数少ない領域です。構成比は6.6%と小さく、いま参入余地が残っている帯でもあります。Nint ECommerceでは、主要ECモールの競合ショップがどのサブカテゴリ・どの価格帯で傘を展開しているかを把握でき、自社の品揃えと値付けを組み立てる材料になります。
よくある質問(Q&A)
傘のEC市場規模はどのくらいですか?
主要ECモールにおける2026年4〜6月の推定売上は約38.5億円で、前年同期比▲0.9%でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。販売数は▲8.8%と減った一方、平均単価は+8.8%と上がり、金額はほぼ前年並みを保っています。
主要ECモールで売れ筋の傘はどの種類ですか?
日傘が56.2%で最も大きく、晴雨兼用傘(20.2%)が続きます。この2カテゴリで売上の76.4%を占め、雨傘3カテゴリの合計22.3%を大きく上回るのが傘市場の特徴です。4〜6月は日差し対策の需要が厚い時期にあたります。
傘でモノが売れる価格帯はどこですか?
金額では高価格帯(56.2%)が過半を占め、平均単価4,477円の日傘が中心です。中価格帯(42.4%)は3,200〜3,700円台の雨傘と晴雨兼用傘が並ぶ主戦場で、低価格帯(1.4%)は傘用アクセサリーです(Nint ECommerce調べ・推計値)。
なぜ販売数が減っているのに売上は前年並みなのですか?
日傘の単価が+13.8%と上がり、本数の減少(▲13.2%)を金額で補ったためです。遮光・UV機能を備えた商品が選ばれ、安い1本を都度買う消費から機能で選ぶ消費へ重心が移っています(Nint ECommerce調べ・推計値)。
まとめと、より深く分析するためのヒント
- 2026年4〜6月の傘EC市場は約38.5億円(前年同期比▲0.9%)。販売数▲8.8%を単価+8.8%が相殺し、金額はほぼ前年並み。
- 日傘(56.2%)+晴雨兼用傘(20.2%)で売上の76.4%。金額の主役は雨傘ではなく日差し対策で、日傘は単価+13.8%が下支え。
- レディース雨傘は▲19.7%と沈み、晴雨兼用傘(+7.1%)とメンズ雨傘(+11.7%)が伸びる。雨専用から両用への品揃えの組み替えが論点。
こうしたサブカテゴリ別・価格帯別の動向は、自社が扱うブランドや商品単位ではどう見えるでしょうか。Nint ECommerceでは、主要ECモール(楽天・Amazon・Yahoo!ショッピング 等)の傘カテゴリを、サブカテゴリ・ブランド・商品単位で深堀りし、競合ショップの売れ筋や価格帯、季節需要の立ち上がりの先読みに活用できます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
関連サービス・資料
執筆者の視点
データを見て意外だったのは、「傘市場」と言いながら売上の主役が雨傘ではなく日傘だった点です。しかも本数は1割以上減っているのに、単価が同じ幅で上がって金額を守っていました。雨の日にあわてて買う商品という私の思い込みは、数字を見て崩れました。梅雨と日差しが重なるこの時期に何を主力として置くか、その判断がそのまま売上に出る市場だと感じています。
対象期間: 2026年4月〜2026年6月/データソース: Nint ECommerce(推計値)/対象カテゴリ: 傘
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
note:https://note.com/nint_ecommerce
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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