ネットワーク機器市場レポート|無線LANルーター7割・+9.6%
本記事は、無線LANルーターやスイッチングハブといったネットワーク機器をECで販売する事業者・メーカーの方に向けた市場レポートです。主要ECモールにおける2026年2〜4月のネットワーク機器カテゴリの推定売上は約12.03億円(前年同期比+9.6%)、推定販売数は約10.3万個(同▲1.6%)、平均単価は約11,678円(同+11.3%)でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。販売数がほぼ横ばいのなか単価上昇が売上を押し上げる構図で、Wi-Fi規格の世代交代に伴う「高機能機への買い替え」の動きを、サブカテゴリ別・価格帯別に読み解きます。市場全体の約7割を占めるのが無線LANルーターであり、本記事ではその牽引力を軸に整理します。
目次
本レポートのサマリー
- 市場規模: 約12.03億円(前年同期比 +9.6%)
- 販売数量: 約10.3万個(前年同期比 ▲1.6%)
- 平均単価: 約11,678円(前年同期比 +11.3%)
- 主要サブカテゴリ: 無線LANルーター(70.5%)/その他(15.1%)/スイッチングハブ(7.6%)
- キートレンド: 無線LANルーターが市場の約7割。Wi-Fi 6/6E/7対応への買い替えで単価+11%。有線LANルーター+41%・スイッチングハブ+10.7%と有線回帰の動きも
ネットワーク機器のEC市場規模と推移
2026年2〜4月のネットワーク機器のEC市場規模は約12.03億円、前年同期比+9.6%でした。販売数は▲1.6%とほぼ横ばいで推移する一方、平均単価は+11.3%と大きく上昇しており、市場は「数量維持・単価増」のフェーズにあります。台数が増えなくても売上が伸びているのは、Wi-Fi規格の世代交代に伴い、より高機能・高速なルーターへ置き換えが進んでいるためと見られます。パソコンと一緒に使う周辺機器全体の動向はパソコン・周辺機器のEC市場規模レポートで扱っており、本記事はその中でも通信インフラを担うネットワーク機器カテゴリを深掘りします。配線まわりやケーブル類を含む周辺小物の動向はPCアクセサリーのEC市場規模レポートもあわせてご参照ください。
| 指標 | 2026年2〜4月 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 推定売上 | 約12.03億円 | 約10.98億円 | +9.6% |
| 推定販売数 | 約10.3万個 | 約10.5万個 | ▲1.6% |
| 平均単価 | 約11,678円 | 約10,492円 | +11.3% |
数量がほぼ横ばいのなか売上が一桁後半で伸びているのは、単価上昇が市場を牽引しているためです。在宅勤務の定着やIoT機器の増加、高速回線の普及によって、家庭やオフィスのネットワーク環境を見直す需要が続いており、安価な旧世代機の買い替えではなく、Wi-Fi 6/6E/7対応の高機能ルーターへの置き換えが進んでいる構図と見られます。数量を追うよりも、高機能機の価値をきちんと伝える品揃えが、売上を伸ばす鍵になります。
サブカテゴリ別の構成と勝ち負け
ネットワーク機器カテゴリは、無線LANルーターが市場全体の約7割(70.5%)を占める最大の柱です。この柱が前年から+12.0%と伸びており、市場全体の成長を主導しています。あわせて、スイッチングハブが+10.7%、有線LANルーターが+41.0%と、有線まわりの機器も堅調に伸びている点が特徴です。
| サブカテゴリ | 構成比 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 無線LANルーター | 70.5% | +12.0% |
| その他 | 15.1% | ▲3.4% |
| スイッチングハブ | 7.6% | +10.7% |
| 有線LANルーター | 3.5% | +41.0% |
| 無線LAN子機 | 1.6% | ▲8.7% |
| 有線LAN | 0.9% | +21.9% |
| ネットワークカード | 0.5% | +18.6% |
市場の約7割を占める無線LANルーターが+12.0%と伸び、市場全体を引き上げています。Wi-Fi 6/6E/7といった新規格への対応や、家中をカバーするメッシュWi-Fiの普及が、買い替えと単価上昇を後押ししていると見られます。一方で、スイッチングハブ+10.7%、有線LANルーター+41.0%、有線LAN+21.9%と、有線まわりの機器も堅調です。通信の安定性を重視して有線接続に回帰する「安定志向」の需要が、無線とは別の軸で市場を底支えしています。事業者は、主力の無線LANルーターで新規格対応機を厚く揃えつつ、有線まわりの安定志向ニーズも取りこぼさない品揃えが有効です。
価格帯別の販売構成と購買行動
ネットワーク機器は、価格帯ごとに購買の「目的」がはっきり分かれるカテゴリです。平均単価(約11,678円)を基準に低・中・高の3価格帯で売上構成比を見ると、中価格帯が約5割、高価格帯が約4割を占め、主力ルーターと高機能機への支出が市場の中心になっています。
| 価格帯 | 売上構成比 |
|---|---|
| 低価格帯 | 10.3% |
| 中価格帯 | 49.2% |
| 高価格帯 | 40.4% |
低価格帯: LANケーブル・子機・小型機器
低価格帯では、LANケーブルや無線LAN子機、小型のネットワーク機器が中心です。既存環境への買い足しや、接続トラブルの解消、消耗品の補充として購入されるゾーンで、1点あたりの単価は低く、まとめ買いや送料無料ラインを満たすための併せ買いが多く見られます。市場全体の構成比は10.3%と最も小さく、無線LAN子機が▲8.7%と鈍化していることもあり、この層は数量の伸びをけん引する役割からは外れつつあります。
中価格帯: 主力無線LANルーター・スイッチングハブ
売上構成比が最も大きい中価格帯(49.2%)では、主力の無線LANルーターや、複数機器をつなぐスイッチングハブが売れ筋です。「自宅やオフィスの通信環境を一段引き上げる」中核の道具が集まる主戦場で、対応規格・通信速度・カバー範囲のバランスが選ばれる条件になっています。無線LANルーターの+12.0%とスイッチングハブの+10.7%が、この中価格帯の厚みを形づくっています。
高価格帯: Wi-Fi 6E/7対応・メッシュ・高速ハイエンドルーター
高価格帯(40.4%)は、Wi-Fi 6E/7に対応した高速ハイエンドルーターや、家中をカバーするメッシュWi-Fiシステムが中心です。在宅勤務や動画配信、多数のIoT機器の同時接続といった用途の高度化が重なり、単価は高く安定した需要が見込めるゾーンです。平均単価が+11.3%と上昇しているのは、この高価格帯の高機能機への置き換え需要が市場全体を押し上げているためと見られます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
ネットワーク機器の事業者が来期取るべき3つの打ち手
ここまでの市場データをふまえ、ネットワーク機器をECで扱う事業者が来期に向けて取るべき打ち手を3つに整理します。
打ち手1: 主力の無線LANルーターは新規格対応機を厚くする
市場の約7割を占める無線LANルーターは+12.0%と伸びており、なかでもWi-Fi 6/6E/7対応の高機能機が単価上昇を牽引しています。在宅勤務やIoT機器の増加、高速回線の普及を背景に、新規格対応機やメッシュWi-Fiの品揃えと、対応規格・通信速度・カバー範囲をわかりやすく伝える商品ページづくりに資源を集中させる判断が有効です。旧世代機の単価競争から距離を置くことが、売上を伸ばす起点になります。
打ち手2: 有線回帰の安定志向ニーズを取りこぼさない
スイッチングハブが+10.7%、有線LANルーターが+41.0%、有線LANが+21.9%と、有線まわりの機器が堅調に伸びています。通信の安定性や遅延の少なさを重視して有線接続に回帰する需要が背景にあると見られます。無線LANルーターと一緒に使うスイッチングハブやLANケーブルをセットで提案し、「無線も有線も整える」品揃えで客単価を高める設計が有効です。主力一辺倒にせず、伸びる有線まわりを取りこぼさないことが売上を守ります。
打ち手3: 高価格帯は競合の品揃え・価格を見て磨く
市場の約4割を占める高価格帯のWi-Fi 6E/7対応・メッシュ・高速ハイエンドルーターは、品揃えと価格設定が競争力を左右します。Nint ECommerceでは、主要ECモールの競合ショップがどのブランド・どの価格帯で高機能ルーターやメッシュWi-Fiを展開しているかを把握でき、自社の品揃えと価格を磨く材料になります。
よくある質問(Q&A)
ネットワーク機器のEC市場規模はどのくらいですか?
主要ECモールにおける2026年2〜4月の推定売上は約12.03億円で、前年同期比+9.6%でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。販売数は▲1.6%とほぼ横ばい、平均単価は+11.3%です。販売台数が増えなくても単価上昇によって売上が伸びている点が、この市場の特徴です。
主要ECモールで売れ筋のネットワーク機器は何ですか?
無線LANルーターが市場全体の約7割(70.5%)を占めて最も大きく、スイッチングハブ(7.6%)、有線LANルーター(3.5%)が続きます。無線LANルーターは+12.0%、スイッチングハブは+10.7%、有線LANルーターは+41.0%と、主力・有線まわりともに伸びている点が特徴です。
ネットワーク機器でモノが売れる価格帯はどこですか?
売上構成比が最も大きいのは中価格帯(49.2%)で、主力の無線LANルーターやスイッチングハブが中心です。高価格帯(40.4%)はWi-Fi 6E/7対応・メッシュ・高速ハイエンドルーターが支え、平均単価の上昇を下支えしています。
なぜ販売数が横ばいなのに単価は上がっているのですか?
在宅勤務の定着やIoT機器の増加、高速回線の普及を背景に、旧世代機の買い替えではなくWi-Fi 6/6E/7対応の高機能ルーターへの置き換えが進んでいるためと見られます(Nint ECommerce調べ・推計値)。数量▲1.6%・単価+11.3%という、高機能機への置き換えが市場を牽引する付加価値化の動きが、この市場の特徴です。
まとめと、より深く分析するためのヒント
- 2026年2〜4月のネットワーク機器EC市場は約12.03億円(前年同期比+9.6%)。数量▲1.6%を単価+11.3%が押し上げ。
- 無線LANルーターが市場の約7割を占め+12.0%。Wi-Fi 6/6E/7への買い替えと在宅勤務・IoT機器の増加が後押し。
- 価格帯で目的が分化。中価格帯の主力ルーター・スイッチングハブが主戦場、高価格帯の高機能機が単価を下支え。有線まわりも有線LANルーター+41%と堅調。
こうしたサブカテゴリ別・価格帯別の動向は、自社が扱う商品ジャンルやブランド単位ではどう見えるでしょうか。Nint ECommerceでは、主要ECモールのネットワーク機器カテゴリを、サブカテゴリ・ブランド・商品単位で深堀りし、競合ショップの売れ筋や価格帯、トレンドの先読みに活用できます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
関連サービス・資料
執筆者の視点
データを眺めて印象的だったのは、販売台数がほぼ横ばいのまま売上がしっかり伸びていた点です。市場の約7割を無線LANルーターが占め、Wi-Fi 6/6E/7という新しい規格への買い替えが単価を一段押し上げているのが数字から見えてきました。在宅勤務やIoT機器の増加で、ネットワークは「つながればよい」ものから「速く・安定して・家中をカバーする」ものへと役割が変わっています。同時に、有線LANルーターやスイッチングハブが堅調に伸びているのも興味深く、無線一辺倒ではなく安定性を求めて有線に戻す動きが共存しているのだと感じます。台数より一台あたりの価値をどう設計し、どう伝えるかが売上を分ける市場だと、改めて数字から見えてきました。
対象期間: 2026年2月〜2026年4月/データソース: Nint ECommerce(推計値)/対象カテゴリ: ネットワーク機器
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
note:https://note.com/nint_ecommerce
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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