格闘技・武術用品市場レポート|剣道4割・単価+20%
本記事は、格闘技・武術用品をECで販売する事業者・メーカーの方に向けた市場レポートです。主要ECモールにおける2026年2〜4月の格闘技・武術用品カテゴリの推定売上は約8.29億円(前年同期比▲1.2%)、推定販売数は約18.7万個(同▲17.9%)、平均単価は約4,438円(同+20.4%)でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。販売数が大きく減るなかで売上はほぼ横ばいを保っており、単価の大幅な上昇がそれを支える構図です。剣道とボクシングを中心とした武道・格闘技の道具市場が、いま「良い道具を長く使う」方向へ変わりつつある動きを、サブカテゴリ別・価格帯別に読み解きます。
目次
本レポートのサマリー
- 市場規模: 約8.29億円(前年同期比 ▲1.2%)
- 販売数量: 約18.7万個(前年同期比 ▲17.9%)
- 平均単価: 約4,438円(前年同期比 +20.4%)
- 主要サブカテゴリ: 剣道(43.1%)/ボクシング(28.8%)/柔道(6.1%)
- キートレンド: 剣道+ボクシングで市場の約7割/数量▲18%でも単価+20%の「本格道具への集中」
格闘技・武術用品のEC市場規模と推移
2026年2〜4月の格闘技・武術用品のEC市場規模は約8.29億円、前年同期比▲1.2%でした。販売数が▲17.9%と大きく減少する一方、平均単価は+20.4%と二桁で上昇しており、市場は「数量減・単価増」がはっきり表れたフェーズにあります。武道人口そのものは微減傾向にあるものの、安価な道具をそろえる段階から、剣道の本格防具一式や高品質な道着といった「長く使える良い道具」へ支出が向かう動きが、単価上昇の背景にあると見られます。スポーツ・アウトドア全体の動向はスポーツ・アウトドアのEC市場規模レポートで扱っており、本記事はその中の格闘技・武術用品カテゴリを深掘りします。
| 指標 | 2026年2〜4月 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 推定売上 | 約8.29億円 | 約8.39億円 | ▲1.2% |
| 推定販売数 | 約18.7万個 | 約22.8万個 | ▲17.9% |
| 平均単価 | 約4,438円 | 約3,686円 | +20.4% |
数量が約2割減となるなか売上の落ち込みが約1%にとどまっているのは、単価の大幅な上昇が下支えしているためです。グローブやサポーターといった消耗品の買い足しが鈍る一方で、剣道の防具一式や本格的な道着・道具への置き換えが進んでいる構図と見られます。台数を追うよりも一点あたりの価値を高める品揃えが、売上を守る鍵になります。
サブカテゴリ別の構成と勝ち負け
格闘技・武術用品カテゴリは、剣道が市場全体の約4割(43.1%)を占める最大の柱で、これにボクシング(28.8%)が続きます。この二つで市場の約7割を構成しており、武道系の剣道と打撃系のボクシングが市場を二分する構造です。一方で柔道は+3.8%とプラスに転じ、その他のカテゴリも+24.1%と伸びるなど、定番種目の周辺で新しい動きも見られます。
| サブカテゴリ | 構成比 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 剣道 | 43.1% | ▲3.3% |
| ボクシング | 28.8% | ▲3.6% |
| その他 | 7.3% | +24.1% |
| 柔道 | 6.1% | +3.8% |
| 空手 | 5.0% | ▲0.6% |
| 弓道 | 4.5% | ▲5.6% |
| 総合格闘技 | 4.3% | ▲1.2% |
最大の剣道(▲3.3%)と第2のボクシング(▲3.6%)はともに前年から数字を落としていますが、市場全体の単価が+20%上昇していることをふまえると、これは数量の減少が効いた結果であり、一点あたりの価値はむしろ高まっています。柔道は+3.8%とプラスで、その他カテゴリの+24.1%も合わせると、定番種目の周辺で新規の道具需要が広がっている様子がうかがえます。事業者は、消耗品の単価競争から距離を置き、剣道の防具一式や柔道・空手の道着といった「本格的に取り組む人向けの道具」の品揃えに重心を移す判断が有効です。
価格帯別の販売構成と購買行動
格闘技・武術用品は、価格帯ごとに購買の「目的」がはっきり分かれるカテゴリです。平均単価(約4,438円)を基準に低・中・高の3価格帯で売上構成比を見ると、高価格帯が約5割、中価格帯が約4割を占め、本格的な道具づくりへの支出が市場の中心になっています。
| 価格帯 | 売上構成比 |
|---|---|
| 低価格帯 | 11.1% |
| 中価格帯 | 36.9% |
| 高価格帯 | 52.0% |
低価格帯: グローブ・サポーター・消耗品
低価格帯では、ボクシンググローブやサポーター、テーピングやインナーといった消耗品が中心です。日々の練習で傷んだものの買い替えや、入門者が最初にそろえる小物として購入されるゾーンで、1点あたりの単価は低く、まとめ買いや送料無料ラインを満たすための併せ買いが多く見られます。市場全体の構成比は11.1%と最も小さく、この層の需要鈍化が数量減を主導しています。
中価格帯: 道着・防具パーツ・トレーニング用品
売上構成比が約4割の中価格帯(36.9%)では、柔道着や空手着などの道着、剣道防具の単品パーツ、ミットやサンドバッグといったトレーニング用品が売れ筋です。本格的に競技へ取り組む人が、自分の体格やレベルに合わせて買いそろえる主戦場で、機能性と耐久性の両立が選ばれる条件になっています。
高価格帯: 剣道の本格防具一式・高級道具
高価格帯(52.0%)は、剣道の本格防具一式や高品質な道着、上位グレードの道具が中心です。長く使うことを前提に、品質や手仕事の丁寧さを重視して選ばれるゾーンで、単価は高く安定した需要が見込めます。平均単価が+20.4%と大きく上昇しているのは、この高単価の「本格道具」需要が市場全体を下支えしているためと見られます(Nint ECommerce調べ・推計値)。市場の半分以上をこの価格帯が占める点が、当カテゴリの特徴です。
格闘技・武術用品の事業者が来期取るべき3つの打ち手
ここまでの市場データをふまえ、格闘技・武術用品をECで扱う事業者が来期に向けて取るべき打ち手を3つに整理します。
打ち手1: 高単価の本格防具・道具に品揃えの重心を移す
数量が▲18%と減るなかでも単価が+20%上昇し、高価格帯が市場の52%を占めています。これは「良い道具を長く使う」志向の表れで、剣道の本格防具一式や高品質な道着・道具への支出が市場の中心になっていることを示します。汎用的な消耗品の単価競争から距離を置き、本格的に競技へ取り組む人向けの品揃えと、その選び方・手入れの仕方を伝える商品ページづくりに資源を集中させる判断が有効です。
打ち手2: 中価格帯の道着・防具パーツをセットで価値化する
売上の約4割を占める中価格帯では、道着や防具パーツ、トレーニング用品が売れ筋です。剣道の防具パーツ一式や、柔道着+帯+サポーターのように、関連する道具を組み合わせて単価と満足度を高める設計が有効です。種目ごとに「初めの一式」「買い替えの一式」を提案できると購入の迷いを減らせ、セット化による客単価の引き上げが数量減の局面でも売上を守ります。
打ち手3: 高価格帯は競合の品揃え・価格を見て磨く
市場の半分以上を占める高価格帯の本格防具・高級道具は、品揃えと価格設定が競争力を左右します。Nint ECommerceでは、主要ECモールの競合ショップがどのグレード・どの価格帯で剣道防具や道着を展開しているかを把握でき、自社の品揃えと価格を磨く材料になります。
よくある質問(Q&A)
格闘技・武術用品のEC市場規模はどのくらいですか?
主要ECモールにおける2026年2〜4月の推定売上は約8.29億円で、前年同期比▲1.2%でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。販売数は▲17.9%、平均単価は+20.4%です。本市場は剣道・ボクシング・柔道・空手・弓道などの格闘技・武術に使う道具を対象としています。
主要ECモールで売れ筋の格闘技・武術用品は何ですか?
剣道が市場全体の約4割(43.1%)を占めて最も大きく、ボクシング(28.8%)、柔道(6.1%)が続きます。剣道とボクシングの二つで市場の約7割を構成しており、武道系と打撃系が市場を二分しています。柔道は+3.8%とプラスに転じている点も特徴です。
格闘技・武術用品でモノが売れる価格帯はどこですか?
売上構成比が最も大きいのは高価格帯(52.0%)で、剣道の本格防具一式や高品質な道着・道具が中心です。次いで中価格帯(36.9%)が道着・防具パーツ・トレーニング用品を支えています。本格的な道具への支出が市場の半分以上を占めるのがこのカテゴリの特徴です。
なぜ数量が減っているのに単価は上がっているのですか?
武道人口が微減するなかで安価な消耗品の買い足しが鈍る一方、剣道の本格防具一式や高品質な道着といった「良い道具を長く使う」志向への置き換えが進んでいるためと見られます(Nint ECommerce調べ・推計値)。数量▲18%・単価+20%という、本格道具へ集中する付加価値化の動きが市場の特徴です。
まとめと、より深く分析するためのヒント
- 2026年2〜4月の格闘技・武術用品EC市場は約8.29億円(前年同期比▲1.2%)。数量▲18%を単価+20%が下支え。
- 剣道(43%)+ボクシング(29%)で市場の約7割。柔道は+3.8%とプラスに転じる。
- 価格帯で目的が分化。高価格帯の本格防具・道具が市場の52%、中価格帯の道着・防具パーツが主戦場。
こうしたサブカテゴリ別・価格帯別の動向は、自社が扱う種目やブランド単位ではどう見えるでしょうか。Nint ECommerceでは、主要ECモールの格闘技・武術用品カテゴリを、サブカテゴリ・ブランド・商品単位で深堀りし、競合ショップの売れ筋や価格帯、トレンドの先読みに活用できます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
関連サービス・資料
執筆者の視点
データを眺めて印象的だったのは、販売数が約2割も減っているのに売上はほぼ横ばいを保ち、平均単価が二桁で上がっていた点です。剣道とボクシングという、いわば武道と打撃の二大種目が市場の7割を占めるなかで、人々の関心が「数をそろえる」段階から「一つの良い道具を長く使う」段階へと移っているのだと感じます。とくに剣道の本格防具一式に代表される高価格帯が市場の半分以上を占めている事実は、競技への向き合い方そのものの厚みを映しているように見えます。台数は減っても単価が上がるこのカテゴリは、価格より「道具の質と背景」をどう伝えるかが売上を分ける市場だと、改めて数字から見えてきました。
対象期間: 2026年2月〜2026年4月/データソース: Nint ECommerce(推計値)/対象カテゴリ: 格闘技・武術用品
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
note:https://note.com/nint_ecommerce
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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