チーズ・乳製品市場レポート|単価+8.8%・乳製品が堅調
本記事は、チーズや乳製品をECで販売する事業者・メーカーの方に向けた市場レポートです。主要ECモールにおける2026年2〜4月のチーズ・乳製品カテゴリの推定売上は約8.56億円(前年同期比+4.5%)、推定販売数は約30.8万個(同▲4.0%)、平均単価は約2,780円(同+8.8%)でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。販売数が微減するなか単価上昇が市場を押し上げる構図で、まとめ買い・大容量・産地直送へと向かう乳製品ECの変化を、サブカテゴリ別・価格帯別に読み解きます。冷蔵を前提とするカテゴリならではの、クール便(冷蔵配送)と相性のよい買われ方にも触れます。
目次
本レポートのサマリー
- 市場規模: 約8.56億円(前年同期比 +4.5%)
- 販売数量: 約30.8万個(前年同期比 ▲4.0%)
- 平均単価: 約2,780円(前年同期比 +8.8%)
- 主要サブカテゴリ: チーズ(35.2%)/ヨーグルト(27.1%)/バター(18.3%)
- キートレンド: 最大のチーズが横ばいのなか、ヨーグルト+3.6%・バター+5.8%・牛乳+12.7%と周辺の乳製品が市場を押し上げ/数量微減を単価上昇が相殺する「付加価値化」
チーズ・乳製品のEC市場規模と推移
2026年2〜4月のチーズ・乳製品のEC市場規模は約8.56億円、前年同期比+4.5%でした。販売数は▲4.0%と微減した一方、平均単価は+8.8%と上昇しており、市場は「数量微減・単価増」のフェーズにあります。物価高による食品単価の上昇に加え、まとめ買いや業務用大容量・産地直送といった「一回あたりの購入額が大きい」買われ方が広がり、これが単価上昇の背景にあると見られます。食品EC全体の動向は食品のEC市場規模レポートで扱っており、本記事はその中のチーズ・乳製品カテゴリを深掘りします。
| 指標 | 2026年2〜4月 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 推定売上 | 約8.56億円 | 約8.19億円 | +4.5% |
| 推定販売数 | 約30.8万個 | 約32.1万個 | ▲4.0% |
| 平均単価 | 約2,780円 | 約2,554円 | +8.8% |
数量が微減するなか売上が増加に転じているのは、単価上昇が下支えしているためです。安価な単品の買い足しが鈍る一方、まとめ買いセットや業務用大容量、産地直送のこだわり品といった「一度に価値の高い買い物をする」行動が広がっています。数量より一回あたりの購入額を高める品揃えが、売上を伸ばす鍵になります。
サブカテゴリ別の構成と勝ち負け
チーズ・乳製品カテゴリは、チーズが市場全体の約3.5割(35.2%)を占める最大の柱です。ただしこの柱は前年から▲0.7%とほぼ横ばいにとどまっています。対照的に、第2の柱であるヨーグルト(27.1%)が+3.6%、バター(18.3%)が+5.8%、牛乳(6.8%)が+12.7%と伸び、周辺の乳製品が市場全体を押し上げる構図になっています。
| サブカテゴリ | 構成比 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| チーズ | 35.2% | ▲0.7% |
| ヨーグルト | 27.1% | +3.6% |
| バター | 18.3% | +5.8% |
| 牛乳 | 6.8% | +12.7% |
| コーヒー用ミルク | 4.0% | ▲11.4% |
| 生クリーム・ホイップクリーム | 3.7% | +14.4% |
チーズが横ばいにとどまる一方、ヨーグルト+3.6%、バター+5.8%、牛乳+12.7%、生クリーム・ホイップクリーム+14.4%と乳製品全般が伸びています。日常の食卓向け乳製品の底堅い需要に加え、国産バターの品薄解消や、発酵食品・乳たんぱくをとり入れたい食生活への関心が、周辺カテゴリの伸びを支えていると見られます。事業者は、チーズ単体の単価競争に依存せず、伸長カテゴリへ品揃えを広げる判断が有効です。
価格帯別の販売構成と購買行動
チーズ・乳製品は、価格帯ごとに購買の「目的」がはっきり分かれるカテゴリです。平均単価(約2,780円)を基準に低・中・高の3価格帯で売上構成比を見ると、中価格帯が約6割(62.2%)を占め、まとめ買いの主戦場になっています。高価格帯も約3割を占め、ギフトや業務用大容量への支出が市場を支えています。
| 価格帯 | 売上構成比 |
|---|---|
| 低価格帯 | 9.7% |
| 中価格帯 | 62.2% |
| 高価格帯 | 28.1% |
低価格帯: 単品チーズ・小容量ヨーグルト・マーガリン
低価格帯では、単品のチーズや小容量のヨーグルト、マーガリンといった日常使いの商品が中心です。買い足しや消耗品の補充として購入されるゾーンで、1点あたりの単価は低く、送料無料ラインを満たすための併せ買いが多く見られます。市場全体の構成比は9.7%と最も小さく、この層の購入鈍化が数量の微減を主導しています。
中価格帯: まとめ買いチーズ・バター・牛乳セット
売上構成比が最も大きい中価格帯(62.2%)では、まとめ買い向けのチーズやバター、ヨーグルト・牛乳のセット販売が売れ筋です。「冷蔵庫にストックして日常的に使う」需要を支える主戦場で、内容量と価格のバランス、そして送料込みの割安感が選ばれる条件になっています。乳製品全般の堅調な需要が、この中価格帯の厚みを形づくっています。
高価格帯: ギフト・業務用大容量・産地直送/高級チーズ詰め合わせ
高価格帯(28.1%)は、ギフト用の詰め合わせ、業務用の大容量、産地直送や高級チーズのセットが中心です。贈答や自分へのご褒美、飲食店・製菓向けの業務需要が重なり、単価は高く安定した需要が見込めるゾーンです。平均単価が+8.8%と上昇しているのは、この高単価のまとめ買い・こだわり品需要が市場全体を下支えしているためと見られます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
チーズ・乳製品は冷蔵での配送が前提となるため、クール便の送料が購入のハードルになりやすいカテゴリです。だからこそ、まとめ買いや業務用大容量、産地直送セットのように、送料込みでも割安感のある「一度にまとめて買う」設計が選ばれやすくなります。冷蔵配送という制約を逆手にとり、客単価を引き上げる商品設計がECならではの勝ち筋になります。
チーズ・乳製品の事業者が来期取るべき3つの打ち手
ここまでの市場データをふまえ、チーズ・乳製品をECで扱う事業者が来期に向けて取るべき打ち手を3つに整理します。
打ち手1: 伸びるヨーグルト・バター・牛乳に品揃えを広げる
最大カテゴリのチーズが横ばいのなか、ヨーグルト+3.6%・バター+5.8%・牛乳+12.7%と周辺の乳製品が明確に伸びています。チーズ単体の単価競争に資源を集中させるのではなく、伸長している乳製品へ品揃えを広げ、それぞれの使い方や保存のしやすさを伝える商品ページづくりに資源を振り向ける判断が有効です。カテゴリの裾野を広げることが、売上拡大の起点になります。
打ち手2: 中価格帯の「まとめ買い」をセットで価値化する
売上の6割を占める中価格帯では、チーズ・バター・ヨーグルト・牛乳のまとめ買いが売れ筋です。チーズ食べ比べセットや、バター+牛乳+生クリームの製菓向けセットのように、関連商品を組み合わせて客単価と満足度を高める設計が有効です。クール便の送料を踏まえても割安に感じられるセット化が、数量微減の局面でも売上を守ります。
打ち手3: 高価格帯は競合の品揃え・価格を見て磨く
市場の約3割を占める高価格帯のギフト・業務用大容量・産地直送/高級チーズは、品揃えと価格設定が競争力を左右します。Nint ECommerceでは、主要ECモールの競合ショップがどの産地・どの価格帯でギフトセットや業務用大容量を展開しているかを把握でき、自社の品揃えと価格を磨く材料になります。
よくある質問(Q&A)
チーズ・乳製品のEC市場規模はどのくらいですか?
主要ECモールにおける2026年2〜4月の推定売上は約8.56億円で、前年同期比+4.5%でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。販売数は▲4.0%、平均単価は+8.8%です。数量が微減するなか単価上昇が市場を押し上げる構図になっています。
主要ECモールで売れ筋のチーズ・乳製品は何ですか?
チーズが市場全体の約3.5割(35.2%)を占めて最も大きく、ヨーグルト(27.1%)、バター(18.3%)が続きます。ただしチーズが▲0.7%とほぼ横ばいなのに対し、ヨーグルト+3.6%・バター+5.8%・牛乳+12.7%と周辺の乳製品が伸びている点が特徴です(Nint ECommerce調べ・推計値)。
チーズ・乳製品でモノが売れる価格帯はどこですか?
売上構成比が最も大きいのは中価格帯(62.2%)で、まとめ買いのチーズ・バター・ヨーグルト・牛乳セットが中心です。高価格帯(28.1%)はギフト・業務用大容量・産地直送/高級チーズが支え、平均単価の上昇を下支えしています。
なぜ販売数が減っているのに単価は上がっているのですか?
物価高による食品単価の上昇に加え、安価な単品の買い足しが鈍る一方、まとめ買い・業務用大容量・産地直送セットといった「一度の購入で価値の高い買い物をする」行動が広がっているためと見られます(Nint ECommerce調べ・推計値)。数量▲4%・単価+8.8%という、付加価値化の動きが市場の特徴です。
まとめと、より深く分析するためのヒント
- 2026年2〜4月のチーズ・乳製品EC市場は約8.56億円(前年同期比+4.5%)。数量▲4%を単価+8.8%が上回り、売上は増加に転じた。
- 最大のチーズが横ばいのなか、ヨーグルト+3.6%・バター+5.8%・牛乳+12.7%と周辺の乳製品が市場を押し上げ。
- 価格帯で目的が分化。中価格帯のまとめ買いが主戦場、高価格帯のギフト・業務用大容量が単価を下支え。冷蔵配送前提のセット販売がECの勝ち筋。
こうしたサブカテゴリ別・価格帯別の動向は、自社が扱う商品ジャンルやブランド単位ではどう見えるでしょうか。Nint ECommerceでは、主要ECモールのチーズ・乳製品カテゴリを、サブカテゴリ・ブランド・商品単位で深堀りし、競合ショップの売れ筋や価格帯、トレンドの先読みに活用できます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
関連サービス・資料
執筆者の視点
データを眺めて印象的だったのは、市場最大のチーズが横ばいにとどまる一方で、ヨーグルト・バター・牛乳・生クリームといった周辺の乳製品が軒並み伸びていた点です。物価高のなかでも食卓に欠かせない日常品としての強さと、まとめ買いや産地直送で「良いものをまとめて買う」志向の両方が、数字に表れているように感じます。冷蔵配送という制約を抱えるカテゴリだからこそ、送料を含めても納得感のあるセット設計や大容量提案が、客単価と満足度の両方を引き上げる。数量は減っても単価が上がるこの市場は、何を「まとめて売るか」の設計力が売上を分けると、改めて数字から見えてきました。
対象期間: 2026年2月〜2026年4月/データソース: Nint ECommerce(推計値)/対象カテゴリ: チーズ・乳製品
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
note:https://note.com/nint_ecommerce
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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