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携帯扇風機、売るなら首掛け派?手持ち派?まずは市場を徹底比較!

#ECデータ

今年の夏は梅雨明けが例年より記録的に後ろ倒しとなり、残暑が長くなるとの予想が出る中、今回は毎年夏季に一定規模の売上を持つ季節商材「携帯扇風機」について、Nintのデータを見ながら分析をしてみたいと思います。

【データ抽出方法】
調査方法:Nint ECommerce
対象モール:楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazon
対象商品:携帯扇風機(各モールの売上上位100商品、合計300商品)
データ期間:2020年7月29日抽出の直近30日

【目次】
▼携帯扇風機は大きく4タイプ
▼携帯扇風機のタイプ別平均価格
▼携帯扇風機のタイプ別商品シェア
▼携帯扇風機のタイプ別市場規模
▼携帯扇風機のタイプ別平均売上と平均販売数
▼各モールの携帯扇風機のタイプ別売上シェア
▼アリババのタイプ別相場
▼まとめ

携帯扇風機は大きく4タイプ

携帯型のミニ扇風機には大きく4つのタイプに分けることができます。

◆首掛けU字/O字タイプ

首に掛けたまま利用でき、U字の両端にある扇風機(回転羽)がアゴから顔に風送するものが主流で、首に当たる部分に冷却シート付属のものや回転羽ではない空気口から風が吹くタイプもあります。ファッション性が高く、外見はヘッドフォンに似ています。

◆手持ち/取っ手タイプ

扇風機(回転羽)に棒状の持ち手がついている対タイプです。棒を折り曲げてデスクに置けたり、三脚風、吊り下げなどができるタイプもあります。利用しないときは鞄などに入れて持ち運ぶことが出来、人気のあるタイプです。

◆首ひもタイプ

扇風機の両端に付いたひもを首にかけて持ち歩けます。ボディを折り曲げてデスク据え置き型にしたり、顔に風があたるように、本体上部の空気口から送風するタイプもあります。

◆腰掛け/クリップタイプ

ベルトやリュックの肩ひもに掛けて利用でき、本体上部の空気口から送風するタイプが主流です。ファッション性よりは機能性が高いタイプです。

携帯扇風機のタイプ別平均価格

昨年から人気が高まっている首掛けU字/O字タイプのミニ扇風機は、今年から更にファッション性や機能性を高めており、平均価格が3,329円と最も高くなっています。

手持ち/取っ手タイプのミニ扇風機は数年前から販売されており、定番品となっているためか、差別化が難しく、平均価格は2,240円と4タイプの中では2番目に低くなっています。

首ひもタイプのミニ扇風機は特に今年から販売が増えていますが、首掛けU字/O字タイプほどインパクトが高くない、あるいは商品原価自体が低いためか、平均価格が2,141円と4タイプ中で最も低くなっています。

腰掛け/クリップタイプのミニ扇風機は、実用的で、高性能電池という点で訴求しやすいためか、平均価格は2,923円と4タイプ中で2番目に高くなっています。

携帯扇風機の商品シェア

携帯扇風機で人気の300商品のうち最も商品シェアが高いのは、首掛けU字/O字タイプで58%でした。次に人気の商品は手持ち/取っ手タイプで21.0%となっていました。首ひもタイプと腰掛け/クリップタイプはそれぞれ11.0%、10.0%となっていました。

携帯扇風機のタイプ別市場規模

携帯扇風機の4タイプの市場は、首掛けU字/O字タイプの直近30日売上(データ抽出日:7月29日)は3.3億円、手持ち/取っ手タイプは1.5億円、首ひもタイプは4,885万円、腰掛けクリップタイプは4,588万円となっていました。

昨年から人気を集めている首掛けU字/O字タイプが今年も市場を大きく伸ばしており、数年前からある手持ち/取っ手タイプも一定規模の市場を獲得していることがわかります。

携帯扇風機のタイプ別平均売上と平均販売数

携帯扇風機の4タイプの1商品あたりの平均売上と平均販売数を見てみましょう。

前項で市場規模が最も大きかったのは首掛けU字/O字タイプでしたが、1商品あたりの平均売上は195万円、平均販売数は586個でした。市場規模が2番目に大きかった手持ち/取っ手タイプですが、1商品あたりの平均売上が251万円、販売数は1,121個となっており、手持ち/取っ手タイプのミニ扇風機の方が、参入時の売上と販売数への期待も持てることがわかります。

また、首ひもタイプと腰掛け/クリップタイプを比較して見ると、腰掛け/クリップタイプのほうが平均売上が高く販売数も少ない状態です。ジャンルの中でもニッチな商品として参入するとすれば腰掛け/クリップタイプの現行発売商品に対し、少し便利さや機能を加えた新商品で参入出来れば、利益が出る可能性は高いと考えられます。

各モールの携帯扇風機のタイプ別売上シェア

前項までは楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonの3モール合算値データを4タイプの商品軸で見てきましたが、ここではモール軸でタイプ別売上シェアをご紹介します。

楽天市場は前出のタイプ別市場規模とほぼ同じ比率で、最も市場が大きいのは首掛けU字/O字タイプで58%となっています。次に市場が大きいのが手持ち/取っ手タイプで27%、首ひもタイプ、腰掛けクリップタイプの市場はそれぞれ10%、4%となっていました。

Yahoo!ショッピングでは首掛けU字/O字タイプが特に市場が大きくなっており、シェアは80%となっていました。そのため他の3タイプについては全体的に売上期待は低いと考えらえます。

Amazonでは首掛けU字/O字タイプの市場は47%と最も大きく、次に手持ち/取っ手タイプの市場が38%となっていました。楽天市場やYahoo!ショッピングとの大きな相違点は、腰掛けクリップタイプの市場が16%と大きくなっており、男性ユーザーが多いと言われるAmazonらしい市場シェアとなっています。

タイプ別参考仕入相場

季節商材である扇風機をトライアルで販売したいとなった場合に仕入相場としての参考に役立つのが、中国の大手ECモールです。参考としてアリババの商品ページを4つのタイプ別相場を参考として見てみたいと思います。

◆首掛けU字/O字タイプ扇風機

まずは首掛けU字/O字タイプの相場ですが、これは電池の性能やカラーなどで価格は異なることもありますが、おおよそ13元(約200円)前後から仕入れられることがわかります。

◆手持ち/取っ手タイプ

次に手持ち/取っ手タイプは、こちらも機能・装飾・カラーなどで価格が異なるものもありますが、おおよそ10元(約150円)前後から仕入れることがわかります。

◆首ひもタイプ

次に首ひもタイプですが、前出のタイプ別の平均価格では最安となっていましたが、今年から扱われだした新商品のためか、仕入価格は手持ち/取っ手タイプより比較的高額な20元前後(約300円)となっています。

◆腰掛/クリップタイプ

腰掛け/クリップタイプはファッション性は低いものの、機能性や電池の利用可能時間など実用的需要が高いためか、4タイプの中では仕入価格が最も高くなっていました。

まとめ

携帯扇風機という商品ジャンルにおいても細かいタイプ別データやアリババの仕入参考価格を見ることで、今後どのマーケットに対してどの程度の予算を組むことが可能か、また常態化していた不良在庫をどの程度解消することができるかなど、データに基づいた仕入・販売戦略を綿密に立てることが可能になります。

今年の夏は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で外出時のマスク着用が定着し、夏用マスクやフェイスシールドなど例年にはない商品の需要が高まっています。こうした特需商材を販売できれば企業やショップは売上を大きく伸ばすことができますが、ニーズが突発的で過剰在庫を抱えるリスクも高くなります。

特需商品はもちろん魅力的市場ではありますが、今回ご紹介したような季節商材のデータを有効に活用し、上手に横展開しながらビジネスを拡大させたいですね。

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