マウス・キーボード市場レポート|単価+7.3%
本記事は、マウス・キーボード・ペンタブレットなどの入力機器をECで販売する事業者・メーカーの方に向けた市場レポートです。主要ECモールにおける2026年4〜6月の入力機器カテゴリの推定売上は約14.2億円(前年同期比+12.7%)、推定販売数は約26.0万点(同+4.9%)、平均単価は約5,466円(同+7.3%)でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。販売数の伸びを上回るペースで単価が上昇しており、ゲーミング・クリエイター向けの高単価品が市場を牽引する構図を、サブカテゴリ別・価格帯別に読み解きます。年末商戦に向けた買い替え・ギフト需要が本格化する前の、市場の地力を確認できる内容です。
目次
本レポートのサマリー
- 市場規模: 約14.2億円(前年同期比 +12.7%)
- 販売数量: 約26.0万点(前年同期比 +4.9%)
- 平均単価: 約5,466円(前年同期比 +7.3%)
- 主要サブカテゴリ: マウス(31.8%)/キーボード(26.4%)/ペンタブレット(17.0%)
- キートレンド: 数量の伸び(+4.9%)を上回る単価上昇(+7.3%)/高価格帯が売上の約4割/ゲーミング・クリエイター需要が単価を押し上げ
マウス・キーボード・入力機器のEC市場規模と推移
2026年4〜6月のマウス・キーボード・入力機器のEC市場規模は約14.2億円、前年同期比+12.7%でした。販売数が+4.9%と着実に増える一方、平均単価は+7.3%とそれを上回って上昇しており、市場は「数量増・単価増」の好循環フェーズにあります。安価な汎用モデルの数量に頼るのではなく、ゲーミングやクリエイティブ用途の高機能モデルへ支出が向かうことで、売上が二桁で拡大しました。周辺機器全体の動向はパソコン・周辺機器のEC市場規模レポートで扱っており、本記事はその中の入力機器カテゴリを深掘りします。あわせて、マウスパッドやケーブル類まで含めた周辺小物の動きはPCアクセサリー市場レポートで確認できます。
| 指標 | 2026年4〜6月 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 推定売上 | 約14.2億円 | 約12.6億円 | +12.7% |
| 推定販売数 | 約26.0万点 | 約24.8万点 | +4.9% |
| 平均単価 | 約5,466円 | 約5,096円 | +7.3% |
売上の伸び(+12.7%)が販売数の伸び(+4.9%)を大きく上回っているのは、単価上昇が売上拡大を主導しているためです。数百円〜千円台の入門モデルの数量が横ばいに近づく一方、ワイヤレスの静音マウスや高性能ゲーミングキーボード、ペンタブレットといった「長く使う良い道具」への置き換えが進んでいる構図です。数量を追うよりも、一点あたりの価値を高める品揃えが売上拡大の鍵になっています。
サブカテゴリ別の構成と勝ち負け
入力機器カテゴリは、マウスが市場全体の約3.2割(31.8%)を占める最大の柱で、キーボード(26.4%)、ペンタブレット(17.0%)が続きます。定番のマウス・キーボードで市場の約6割を形成しつつ、クリエイター向けのペンタブレットが約2割弱を占め、ゲーミング系(ゲームパッド・ゲーミングマウス)が高単価の伸びしろを担う構図です。
| サブカテゴリ | 構成比 |
|---|---|
| マウス | 31.8% |
| キーボード | 26.4% |
| ペンタブレット | 17.0% |
| ゲームパッド | 7.8% |
| ゲーミングマウス | 6.1% |
| その他 | 4.8% |
マウスとキーボードという定番2カテゴリで市場の約6割を占める安定構造がある一方、成長を牽引するのはペンタブレット(17.0%)とゲーミング系です。動画・イラスト制作の裾野拡大でペンタブレット需要が広がり、ゲームパッド(7.8%)・ゲーミングマウス(6.1%)は高単価モデルが単価全体を押し上げています。事業者は、数量が見込める定番カテゴリで集客の間口を確保しつつ、利益率の高いゲーミング・クリエイター向けモデルの品揃えを厚くする二層戦略が有効です。
価格帯別の販売構成と購買行動
入力機器は、価格帯ごとに購買の「目的」がはっきり分かれるカテゴリです。平均単価(約5,466円)を基準に低・中・高の3価格帯で売上構成比を見ると、中価格帯が約4割強、高価格帯が約4割を占め、こだわりの一台づくりへの支出が市場の中心になっています。単価が+7.3%と上昇しているのは、この高価格帯の存在感が大きいためです。
| 価格帯 | 売上構成比 |
|---|---|
| 低価格帯(単価0.5倍未満) | 12.0% |
| 中価格帯(単価0.5〜2倍) | 44.4% |
| 高価格帯(単価2倍以上) | 43.7% |
低価格帯: 入門マウス・シンプルキーボード
低価格帯では、有線の入門マウスやシンプルなUSBキーボード、消耗品的に買い替えられる小物が中心です。壊れたら買い替える、複数台をまとめて用意するといった実需のゾーンで、1点あたりの単価は低く、送料無料ラインを満たすための併せ買いも多く見られます。市場全体の構成比は12.0%と最も小さく、数量は稼げても売上への貢献は限定的です。
中価格帯: ワイヤレスマウス・静音キーボード
売上構成比が最も大きい中価格帯(44.4%)では、ワイヤレスの静音マウスや薄型キーボード、エントリー向けのペンタブレットが売れ筋です。在宅ワークや学習用途で「毎日使うから少し良いものを」という選び方が定着し、機能性とデザインの両立が選ばれる条件になっています。定番カテゴリの買い替え需要が、この中価格帯の厚みを形づくっています。
高価格帯: ゲーミング機器・高性能ペンタブレット
高価格帯(43.7%)は、高性能ゲーミングマウス・メカニカルキーボード、液晶ペンタブレットなどが中心です。性能や打鍵感、描画精度にこだわるゲーマー・クリエイター層が主な買い手で、単価は高く安定した需要が見込めるゾーンです。平均単価が+7.3%と上昇しているのは、この高単価の「こだわり機器」需要が市場全体を押し上げているためと見られます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
入力機器の事業者が来期取るべき3つの打ち手
ここまでの市場データをふまえ、マウス・キーボード・入力機器をECで扱う事業者が来期に向けて取るべき打ち手を3つに整理します。
打ち手1: 高価格帯のゲーミング・クリエイター機器を厚くする
売上の約4割を占める高価格帯(43.7%)が、単価+7.3%という市場全体の成長を押し上げています。定番の入門モデルで数量を確保しつつ、高性能ゲーミングマウス・メカニカルキーボード・液晶ペンタブレットといった高単価モデルの品揃えを厚くする判断が有効です。性能や打鍵感の違いを伝える商品ページづくりに資源を集中させることが、客単価と利益率を同時に高める起点になります。
打ち手2: 中価格帯の「毎日使う道具」をセットで価値化する
売上の4割強を占める中価格帯では、ワイヤレスマウスや静音キーボードといった「毎日使う道具」が売れ筋です。マウス+キーボードのセットや、マウスパッド・リストレストを組み合わせた作業環境セットのように、関連機器をまとめて単価と満足度を高める設計が有効です。在宅ワーク・学習需要の定着を背景に、セット化による客単価の引き上げが売上を伸ばします。
打ち手3: 年末商戦は競合の品揃え・価格を見て磨く
これから本格化する年末商戦のギフト・買い替え需要では、品揃えと価格設定が競争力を左右します。Nint ECommerceでは、主要ECモールの競合ショップがどのブランド・どの価格帯でゲーミング機器やペンタブレットを展開しているかを把握でき、自社の品揃えと価格を磨く材料になります。
よくある質問(Q&A)
マウス・キーボード・入力機器のEC市場規模はどのくらいですか?
主要ECモールにおける2026年4〜6月の推定売上は約14.2億円で、前年同期比+12.7%でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。販売数は+4.9%、平均単価は+7.3%です。数量の伸びを上回るペースで単価が上昇し、売上が二桁で拡大している点が特徴です。
主要ECモールで売れ筋の入力機器は何ですか?
マウスが市場全体の約3.2割(31.8%)を占めて最も大きく、キーボード(26.4%)、ペンタブレット(17.0%)が続きます。ゲームパッド(7.8%)・ゲーミングマウス(6.1%)といった高単価のゲーミング系が、単価上昇を牽引しています。
入力機器でモノが売れる価格帯はどこですか?
売上構成比が最も大きいのは中価格帯(44.4%)で、ワイヤレスマウスや静音キーボードなど「毎日使う道具」が中心です。高価格帯(43.7%)はゲーミング機器・高性能ペンタブレットが支え、平均単価の上昇を押し上げています。
なぜ販売数より単価の伸びが大きいのですか?
安価な入門モデルの数量が横ばいに近づく一方、ゲーミング機器・高性能ペンタブレットといった「長く使う良い道具」への置き換えが進んでいるためと見られます(Nint ECommerce調べ・推計値)。数量+4.9%・単価+7.3%という、付加価値化による市場拡大が入力機器市場の特徴です。
まとめと、より深く分析するためのヒント
- 2026年4〜6月の入力機器EC市場は約14.2億円(前年同期比+12.7%)。数量+4.9%を単価+7.3%が上回り、売上が二桁拡大。
- マウス(31.8%)・キーボード(26.4%)の定番で市場の約6割。成長はペンタブレット(17.0%)とゲーミング系が牽引。
- 価格帯で目的が分化。中価格帯の「毎日使う道具」が主戦場、高価格帯のゲーミング機器・高性能ペンタブレットが単価を押し上げ。
こうしたサブカテゴリ別・価格帯別の動向は、自社が扱う商品ジャンルやブランド単位ではどう見えるでしょうか。Nint ECommerceでは、主要ECモールの入力機器カテゴリを、サブカテゴリ・ブランド・商品単位で深堀りし、競合ショップの売れ筋や価格帯、トレンドの先読みに活用できます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
関連サービス・資料
執筆者の視点
データを眺めて印象的だったのは、定番のマウス・キーボードが市場の土台を支えつつ、実際に売上を伸ばしているのはゲーミングやクリエイター向けの高単価機器だという点です。入力機器は「動けばいい」道具から、性能や打鍵感、描き心地といった体験の質で選ばれる道具へと変わりつつあると感じます。数量が増えても、それ以上に単価が伸びるこのカテゴリは、価格の安さより「使い心地をどう伝えるか」が売上を分ける市場だと、改めて数字から見えてきました。年末商戦を前に、高価格帯の見せ方を磨いておく価値は大きいはずです。
対象期間: 2026年4月〜2026年6月/データソース: Nint ECommerce(推計値)/対象カテゴリ: マウス・キーボード・入力機器
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
note:https://note.com/nint_ecommerce
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は100以上となり、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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