衛生用品市場レポート|単価+11%
本記事は、マスクや救急用品、生理用品などの衛生用品をECで販売する事業者・メーカーの方に向けた市場レポートです。主要ECモールにおける2026年2〜4月の衛生日用品・衛生医療品カテゴリの推定売上は約32.4億円(前年同期比▲9.2%)、推定販売数は約292万個(同▲18.2%)、平均単価は約1,110円(同+11.0%)でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。なお本記事が扱うのは医療・一般向けの衛生用品(マスク・救急・生理用品・爪切り等)であり、おしりふきなどのベビー衛生用品は別カテゴリとして扱います。マスク需要の正常化が進む中での需要構造を、カテゴリ別・価格帯別に読み解きます。
目次
本レポートのサマリー
- 市場規模: 約32.4億円(前年同期比 ▲9.2%)
- 販売数量: 約292万個(前年同期比 ▲18.2%)
- 平均単価: 約1,110円(前年同期比 +11.0%)
- 主要サブカテゴリ: 衛生マスク・フェイスシールド(52.7%)/生理用品(17.2%)/その他衛生用品(13.8%)
- キートレンド: マスク需要の正常化で数量減/生理用品・絆創膏など定番衛生が下支え/単価は高機能化で上昇
衛生用品のEC市場規模と推移
2026年2〜4月の衛生日用品・衛生医療品のEC市場規模は約32.4億円、前年同期比▲9.2%でした。販売数が▲18.2%と大きく減少する一方、平均単価は+11.0%と上昇しており、市場は「数量減・単価増」のフェーズにあります。コロナ禍で膨らんだマスク需要が正常化し、購入個数は落ち着く一方、残った需要は高機能・付加価値品に向かう構図です。ヘルスケア全体の動向はヘルスケアのEC市場規模レポートで扱っており、本記事はその中の衛生用品カテゴリを深掘りします。
| 指標 | 2026年2〜4月 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 推定売上 | 約32.4億円 | 約35.7億円 | ▲9.2% |
| 推定販売数 | 約292.0万個 | 約357.0万個 | ▲18.2% |
| 平均単価 | 約1,110円 | 約1,000円 | +11.0% |
2〜4月は花粉シーズンと年度替わりが重なり、マスクや救急用品の需要が動く時期です。数量が大きく減ったのは、マスクの常用が一巡し買い置き需要が縮小したためと見られます。一方で単価が二桁上昇しているのは、立体・高機能マスクや国産・素材訴求品といった付加価値品が選ばれる傾向を反映したものと考えられます。
サブカテゴリ別の構成と勝ち負け
衛生用品カテゴリは、衛生マスク・フェイスシールドが市場全体の過半(52.7%)を占める柱となっています。上位5サブカテゴリで市場の約9割を構成し、需要はマスクと生理用品の二極に集中しています。
| サブカテゴリ | 構成比 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 衛生マスク・フェイスシールド | 52.7% | ▲21.1% |
| 生理用品 | 17.2% | +13.6% |
| その他衛生用品 | 13.8% | +6.7% |
| 爪切り | 3.1% | +9.8% |
| 絆創膏 | 2.8% | +35.3% |
市場の半分超を占めるマスクが▲21.1%と大きく数量を落とし、これが市場全体の縮小を主導しています。一方で、生理用品(+13.6%)、爪切り(+9.8%)、絆創膏(+35.3%)といった景気や流行に左右されにくい定番衛生用品はそろって伸びており、市場を下支えしています。マスク偏重から、日常の衛生消耗品へと需要の重心が分散している局面です。事業者は、マスク単品の数量回復を待つより、定番衛生品の品揃えとまとめ買い導線の強化に資源を振り向ける判断が有効です。
価格帯別の販売構成と購買行動
衛生用品は、価格帯ごとに購入の「目的」がはっきり分かれるカテゴリです。平均単価(約1,110円)を基準に低・中・高の3価格帯で売上構成比を見ると、中価格帯と高価格帯がそれぞれ4割前後を占め、消耗品のまとめ買いと高機能品が併存する構造になっています。
| 価格帯 | 売上構成比 |
|---|---|
| 低価格帯(〜約560円) | 14.9% |
| 中価格帯(約560〜1,650円) | 44.6% |
| 高価格帯(約1,650円〜) | 40.5% |
低価格帯(〜約560円): マスク・絆創膏・爪切りの消耗品
低価格帯では、使い捨てマスクの少量パックや絆創膏、爪切りといった日常消耗品が中心です。単価は低いものの、買い忘れたときの追加購入や試し買いの入口として一定の数量を担うゾーンです。送料無料ラインに届かせるための「ついで買い」需要も取り込みやすい価格帯です。
中価格帯(約560〜1,650円): 生理用品まとめ買い・救急用品
最も売上構成比が高い中価格帯では、生理用品のまとめ買いパックや、家庭用の救急セットが売れ筋です。定期的に消費する衛生品を箱買い・複数個セットで購入し、1回あたりの単価を抑えつつストックする行動が中心です。市場を下支えする定番衛生品の主戦場となる価格帯です。
高価格帯(約1,650円〜): 高機能マスク・医療計測小物
高価格帯は、立体・高機能の衛生マスクの大容量箱や、体温計などの医療計測小物が中心です。素材や形状にこだわった高機能マスク、衛生面で信頼性が求められる計測機器など、単価は高くても品質で選ばれる商品が並びます。平均単価が上昇しているのは、この高機能・付加価値ゾーンが市場を下支えしているためと見られます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
衛生用品の事業者が来期取るべき3つの打ち手
ここまでの市場データをふまえ、衛生用品をECで扱う事業者が来期に向けて取るべき打ち手を3つに整理します。
打ち手1: マスク依存から定番衛生品へ品揃えを広げる
市場の半分超を占めるマスクは数量減が続いており、ここだけに依存すると売上が下振れしやすい構造です。生理用品・絆創膏・爪切りといった景気に左右されにくい定番衛生品は伸びており、これらの品揃えと在庫を厚くすることで、マスク減を補う売上の土台を築けます。
打ち手2: まとめ買い・定期購入で1回あたりの単価を上げる
消費頻度が高い衛生消耗品は、複数個セットや定期購入との相性が良いカテゴリです。中価格帯のまとめ買いパックを主力に据え、定期おトク便のような継続購入の導線を整えることで、1回あたりの客単価とリピート率を同時に高められます。数量が伸びにくい局面ほど、単価とリピートの設計が売上を左右します。
打ち手3: 高機能マスクは競合の価格・容量を見て磨く
単価上昇を支える高機能マスクは、容量設定と価格のバランスが競争力を左右します。Nint ECommerceでは、主要ECモールの競合ショップが高機能マスクをどの価格帯・どの容量で展開しているかを把握でき、自社の品揃えと価格を磨く材料になります。
よくある質問(Q&A)
衛生用品のEC市場規模はどのくらいですか?
主要ECモールにおける2026年2〜4月の推定売上は約32.4億円で、前年同期比▲9.2%でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。販売数は▲18.2%、平均単価は+11.0%です。マスク需要の正常化で数量が減る一方、単価は上昇しています。
主要ECモールで売れ筋の衛生用品は何ですか?
衛生マスク・フェイスシールドが市場の過半(52.7%)を占めて最も大きく、生理用品(17.2%)、その他衛生用品(13.8%)が続きます。マスクと生理用品が市場の二本柱です。
衛生用品でモノが売れる価格帯はどこですか?
売上構成比が最も高いのは中価格帯(約560〜1,650円)で、生理用品のまとめ買いや救急用品が中心です。高価格帯(約1,650円〜)も4割を占め、高機能マスクや医療計測小物が支えています。
ベビー用のおしりふきはこの市場に含まれますか?
本記事の衛生日用品・衛生医療品は、マスクや救急・生理用品など医療・一般向けの衛生用品を対象としており、おしりふきなどのベビー衛生用品は別カテゴリとして集計しています。ベビー向け衛生用品の動向は、別途その市場として整理しています。
まとめと、より深く分析するためのヒント
- 2026年2〜4月の衛生用品EC市場は約32.4億円(前年同期比▲9.2%)。マスク需要の正常化で数量が大きく減少。
- マスクが市場の半分超だが▲21%。生理用品(+14%)・絆創膏(+35%)など定番衛生が市場を下支え。
- 価格帯で目的が分化。中価格帯のまとめ買いが主戦場、高価格帯は高機能マスク・医療計測小物。単価は高機能化で上昇。
こうしたカテゴリ別・価格帯別の動向は、自社が扱う商品ジャンルやブランド単位ではどう見えるでしょうか。Nint ECommerceでは、主要ECモールの衛生用品カテゴリを、サブカテゴリ・ブランド・商品単位で深堀りし、競合ショップの売れ筋や価格帯、トレンドの先読みに活用できます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
関連サービス・資料
執筆者の視点
データを眺めて印象的だったのは、市場の半分超を占めるマスクが大きく数を減らしてもなお、生理用品や絆創膏といった「暮らしに欠かせない衛生品」が静かに伸びて市場を支えている点です。話題になりやすいのはマスクですが、ECの衛生用品ビジネスの土台を作っているのは、流行に左右されない定番の消耗品なのだと、改めて数字から見えてきました。マスク特需の反動という大きな波の裏で、日常の衛生品がどう買われているかを丁寧に見ることが、来期の品揃えを考えるうえで重要になりそうです。
対象期間: 2026年2月〜2026年4月/データソース: Nint ECommerce(推計値)/対象カテゴリ: 衛生日用品・衛生医療品
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
note:https://note.com/nint_ecommerce
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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