【2025年8〜10月】ペット用品市場|規模の推移や今後の戦略
本記事は、今後の商品構成や価格戦略にお悩みの方に向けたマーケットレポートです。主要な犬・猫用品の動向だけでなく、住環境の変化で注目される小動物・アクアリウムなどの成長カテゴリや、単価上昇に伴う価格帯のシフトを把握することで、新たな収益源の発掘にお役立ていただけます。
本レポートでは、大手ECサイトにおけるNint ECommerceのデータをもとに、最新の市場動向を解説します。

目次
ペット用品の市場規模
2025年8月〜10月の期間におけるペット用品市場(ペット・ペットグッズ)の市場規模は以下の通りです。前年の高い需要水準からの反動に加え、販売数量の大幅な減少が市場全体の縮小に影響していますが、単価の上昇が下支えする構造となっています。
- 3ヵ月合計販売金額(GMV)約304億円(前年同期比 ▲20.4%)
- 販売数量 約1,089万個(前年同期比 ▲41.1%)
- 平均販売価格(ASP)約2,787円(前年同期比 +35.1%)
平均単価は3割以上の上昇を記録しました。これは、原材料費高騰による価格改定の影響に加え、より高品質なフードやケア用品を選択する「プレミアム化」の動きが継続していることを示唆しています。
ペット用品市場のカテゴリ別売上構成比とトレンド
本章ではカテゴリ別の売上構成を比較し、トレンドを読み解きます。
カテゴリ別売上構成比(上位カテゴリ)
市場の約8割を占める犬・猫用品が調整局面にある一方で、小動物やアクアリウム関連は前年を上回る推移を見せており、カテゴリによって明暗が分かれる結果となりました。
- 犬用品
構成比 47.4%(前年同期比 ▲17.6%)| 平均販売価格(ASP) 約3,220円
- 猫用品
構成比 31.9%(前年同期比 ▲32.7%)| 平均販売価格(ASP) 約3,064円
- ペット用お手入れ用品
構成比 5.5%(前年同期比 ▲2.2%)| 平均販売価格(ASP) 約2,219円
- 熱帯魚・アクアリウム
構成比 5.0%(前年同期比 +0.8%)| 平均販売価格(ASP) 約2,473円
- 小動物用品
構成比 3.3%(前年同期比 +1.1%)| 平均販売価格(ASP) 約1,275円
製品開発のトレンド
最大シェアを持つ犬用品・猫用品では、必需品であるフードやトイレ用品の買い替えサイクルに変化が見られ、まとめ買いや大容量パックから、必要な分だけを都度購入する動きへの変化が推察されます。一方で、熱帯魚・アクアリウムや小動物用品などのカテゴリでは、室内での飼育環境を充実させるためのアイテムや、メンテナンス用品への需要が堅調であり、コアなファン層による底堅い消費が市場を支えています。
ペット用品市場の価格帯別販売構成と販売戦略
ここでは市場全体を価格帯別データに分けて整理し、販売戦略を考察します。
価格帯別の販売構成について
価格帯別では、中価格帯が市場の最大ボリュームゾーンを形成しています。低価格帯の消耗品需要も根強いものの、売上金額ベースでは中〜高価格帯の貢献度が高まっています。
低価格帯(〜約3,400円)売上構成比:約28%
日常的なおやつや小物は依然として購入頻度が高いものの、単価上昇の影響でシェアは限定的です。
中価格帯(約3,400円〜約8,500円)売上構成比:約40%
プレミアムフードのまとめ買いや、定期的なケア用品の購入が中心となるボリュームゾーンです。
高価格帯(約8,500円〜)売上構成比:約33%
高機能な自動給餌器や、療法食、デザイン性の高い家具調アイテムなどが含まれ、客単価の引き上げに寄与しています。
価格帯別の販売戦略について
低価格帯
トライアルしやすいサイズ展開や、ついで買いを誘発する関連商品のレコメンド強化により、購入頻度を高めるアプローチが有効です。
中価格帯
コストパフォーマンスと品質のバランスを重視する層に対し、定期購入のメリット訴求や、セット販売によるお得感の醸成がシェア獲得の鍵となります。
高価格帯
健康維持や飼育の利便性向上といった具体的なメリットを訴求し、価格に見合う価値を伝えることで、愛犬・愛猫への投資を惜しまないオーナー層の獲得が期待できます。
(参考)ジャンル別価格分布
Nint ECommerceを使った価格帯別売上規模推移
市場の見える化を実現するツール「Nint ECommerce」でTOP5メーカーの価格別売上構成比を見ると以下のように確認できます。
※ご契約プランによって確認可能
横軸:価格帯で分けており、太さが構成比
縦軸:該当価格帯におけるメーカーシェア率
出典:Nint ECommerce
展望予測とペット用品市場を読み解くヒント
本章では展望と市場を読み解くヒントをご紹介します。
今後の展望
短期的には、気温の低下に伴い、ペット用のヒーターやベッド、冬物ウェアなどの季節商材の需要が本格化すると予測されます。また、年末年始に向けた「おせち」やギフト需要も見込まれます。中長期的には、ペットの長寿命化に伴うヘルスケア需要や、介護用品のニーズがさらに高まることが予想され、機能性と快適性を両立した高付加価値商品の開発が重要になるでしょう。
ペット用品市場を読み解くヒントは「Nint ECommerce」!
変化の激しいペット用品市場において、競合他社の動向や、伸びているニッチカテゴリを早期に発見するには、詳細なデータ分析が不可欠です。「Nint ECommerce」では、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングの3大モールのデータを活用し、自社商品のポジショニングや市場トレンドを可視化できます。

また、NintではAIを活用して市場トレンドをいち早くキャッチできる「AIインサイトレポート」も提供しており、膨大なデータから注力すべきカテゴリや価格帯のヒントを自動で抽出し、意思決定をサポートします。

調査概要
- 対象期間:2025年8月1日〜2025年10月31日
- データソース:Nint ECommerce
- 対象カテゴリ:ペット用品
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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【出典:「【2025年8〜10月】ペット用品市場|規模の推移や今後の戦略」(2025年12月4日公開)】
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