【2025年8〜10月】ヘアケア・スタイリング市場|単価上昇が支える
2025年8月から10月におけるヘアケア・スタイリング市場は、販売数量が減少傾向にあるものの、平均単価の上昇により売上規模の縮小は限定的となっています。特にシャンプー・トリートメントのセット商品やスタイリング剤の需要拡大が目立ち、消費者が「より良いものを」「まとめて」購入する傾向や、外出機会の増加に伴うスタイリング需要の回復がうかがえます。
本レポートでは、大手ECサイトにおけるNint ECommerceのデータをもとに、最新の市場動向を解説します。

目次
ヘアケア・スタイリングの市場規模
2025年8月〜10月の期間におけるヘアケア・スタイリング市場の市場規模は以下の通りです。前年の特需的な動きからの反動や物価高の影響を受け、数量ベースでは調整局面ですが、高付加価値商品へのシフトが進んでいます。
- 3ヵ月合計販売金額(GMV)約150億円(前年同期比 ▲4.9%)
- 販売数量 約497万個(前年同期比 ▲13.5%)
- 平均販売価格(ASP)約3,014円(前年同期比 +9.9%)
全体として、販売数量は二桁の減少となりましたが、平均単価が約10%上昇したことで、売上金額の減少幅は5%未満に留まりました。低単価な単品購入から、高単価なセット商品やプレミアムラインへの移行が進んでおり、市場全体が「量」から「質」へと転換している様子が見て取れます。
ヘアケア・スタイリング市場のカテゴリ別売上構成比とトレンド
本章ではカテゴリ別の売上構成を比較し、トレンドを読み解きます。
カテゴリ別売上構成比(上位カテゴリ)
市場全体ではシャンプーやトリートメントの単品販売が苦戦する一方、セット商品やスタイリング剤が成長を見せています。
- シャンプー
構成比 18.0%(前年同期比 ▲26.5%)| 平均販売価格 約3,256円
- シャンプー・トリートメントセット
構成比 15.5%(前年同期比 +6.9%)| 平均販売価格 約4,609円
- スタイリング剤
構成比 12.0%(前年同期比 +15.1%)| 平均販売価格 約2,056円
- アウトバストリートメント
構成比 11.2%(前年同期比 +4.3%)| 平均販売価格 約3,332円
- トリートメント
構成比 9.6%(前年同期比 ▲18.0%)| 平均販売価格 約3,246円
製品開発のトレンド
主力であるシャンプーやトリートメントの単品需要が落ち着きを見せる中、ライン使いによる効果やお得感を訴求した「シャンプー・トリートメントセット」が好調に推移しています。また、外出機会の増加を背景に「スタイリング剤」が二桁成長を遂げており、バームやオイルなどトレンドのヘアスタイルに対応した製品や、自宅での上質なケアを求める層に向けた高機能なアウトバストリートメントへの関心が高まっています。
ヘアケア・スタイリング市場の価格帯別販売構成と販売戦略
ここでは市場全体を価格帯別データに分けて整理し、販売戦略を考察します。
価格帯別の販売構成について
低価格帯(〜約2,200円)構成比:約19%
ドラッグストア等でも購入可能な普及価格帯のアイテムや、単品のスタイリング剤が中心です。構成比は2割未満に留まります。
中価格帯(約2,200円〜約5,500円)構成比:約41%
市場のボリュームゾーンです。プレミアムラインのシャンプー&トリートメントや、高品質なアウトバス商品が含まれ、日常使いの中で質を求める層に支持されています。
高価格帯(約5,500円〜)構成比:約40%
サロン専売品や高機能なセット商品、ギフト需要を含むラグジュアリー層です。構成比が高く、市場の売上を牽引する重要なセグメントです。
価格帯別の販売戦略について
低価格帯
リフィル(詰め替え)のまとめ買いや、スタイリング剤とケア用品の合わせ買いを促進し、客単価を引き上げるバンドル販売が有効です。
中価格帯
ボリュームゾーンであるこの層では、成分や仕上がりへのこだわりを訴求しつつ、セット販売による「お得感」と「ライン使いのメリット」を強調することで、単品購入層からのアップセルを狙う戦略が求められます。
高価格帯
ギフト需要や自分へのご褒美需要を取り込むため、パッケージデザインやブランドストーリーを重視した訴求が重要です。また、季節限定の香りやコフレなど、限定感を打ち出すことで購買意欲を刺激する施策が効果的です。
(参考)ジャンル別価格分布
Nint ECommerceを使った価格帯別売上規模推移
市場の見える化を実現するツール「Nint ECommerce」でTOP5メーカーの価格別売上構成比を見ると以下のように確認できます。
※ご契約プランによって確認可能
横軸:価格帯で分けており、太さが構成比
縦軸:該当価格帯におけるメーカーシェア率
出典:Nint ECommerce
展望予測とヘアケア・スタイリング市場を読み解くヒント
本章では展望と市場を読み解くヒントをご紹介します。
今後の展望
短期的には、冬の乾燥シーズン本格化に伴い、保湿効果の高いアウトバストリートメントや、ダメージケアに特化した高機能シャンプーの需要がさらに高まると予測されます。また、年末商戦に向けた高単価なギフトセットや、年明けの福袋商戦など、セット商品の動きが活発化するでしょう。中期的には、頭皮ケアやエイジングケアなど、特定の悩みに特化したパーソナライズされた商品群が成長の鍵を握ると考えられます。
市場を読み解くヒントは「Nint ECommerce」!
詳細なヘアケア・スタイリング市場の分析や、競合各社の動向把握には、ECデータ分析ツール「Nint ECommerce」が役立ちます。楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングの3大モールのデータを活用し、自社のポジショニング確認や次なる一手にご活用ください。

また、NintではAIを活用して市場トレンドをいち早くキャッチできる「AIインサイトレポート」も提供しており、変化の速いEC市場において、迅速かつ精度の高い意思決定をサポートします。

調査概要
- 対象期間:2025年8月1日〜2025年10月31日
- データソース:Nint ECommerce
- 対象カテゴリ:ヘアケア・スタイリング
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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【出典:「【2025年8〜10月】ヘアケア・スタイリング市場|単価上昇が支える」(2025年12月4日公開)】
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