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まもなくブラックフライデー!2022年の主要ECモールのセールを振り返り、2023年の動向を予測する!

こんにちは、Nintデータアナリストの山本です。

本格的な秋を迎え、季節はまもなく冬。本年も残すところあと2カ月をきりました!
12月は「ハレの日」として、1年で1番市場規模の大きい「クリスマス」や、「冬のボーナス」「年末大掃除」「帰省」「大晦日」など多くのイベントが控えていますね!

一方で、11月はそこまでイベントがないな、、、と思っているアナタ! 11月にもこれから注目されていくイベント「ブラックフライデー」があるのを忘れていませんか? 
今回は2022年にそんなブラックフライデーセールを実施した、主要2大ECモール(モールA・モールB)について調査しました。年々認知度が上昇していくブラックフライデーにおいて、EC市場での主要モールであるモールA・モールBはどのようなジャンルが好調となり、どのような商品が売れたのか、モール毎で売れたジャンル傾向は同じだったのか、多くの「キニナル」が詰まったブラックフライデーセールを読み解いていきましょう!

本記事のポイント3点
1. 11月のイベントであったボジョレーがブラックフライデーに置き換わり?!人気度推移ではブラックフライデーに軍配
2. セールのピーク日はモールにより異なる傾向に! モールの特徴を踏まえた対応が必要
3. セール実施週だけでなく、翌週も売上が増加傾向に!?セール後にもチャンスアリ!?

年々存在感が増す、「ブラックフライデー」

そもそも日本にブラックフライデーが浸透し始めたのはいつ頃からなのでしょうか?ブラックフライデーの起源を確認します。

ブラックフライデーとはアメリカ合衆国で感謝祭(11月の第4木曜日)の「翌日」に行われる大規模なセールイベントの事を指します。11月の終わりに近づくと、クリスマス商戦が始まり、赤字の商店でも感謝祭翌日の日(金曜日)からは「黒字になる」「買い物客が多く殺到し混雑する様」というイメージから「ブラック」と「金曜日」のフライデーが合わさり、ブラックフライデーという言葉になったと言われています。アメリカでは1970年代に全米中に広まったとされています。

日本では、2016年に、大手スーパーがブラックフライデーセールを始めたことで、その後多くの企業がブラックフライデーセールを開催するきっかけとなっているようです。

GoogleTrendsの人気度推移からみても、2016年以降上昇傾向が続いております。このことは、大手スーパーが実施したブラックフライデーセールが少しずつ認知されていったことで、他社が追随。結果として11月には「ブラックフライデー」の検索数が増加していることを示唆しています。このように、近年ではブラックフライデーと言えばいつなのかは分からなくても、「店頭での展開」や、「事前告知」により、「聞いたことある」程度には認識されてきているのではないかと思われます。

図1:GoogleTrends 「ブラックフライデー」検索人気度推移

一方で、以前より知られている11月のイベントと言えばボジョレー解禁があります。こちらを先ほどの「ブラックフライデー」と同期間で設定し、GoogleTrendsで確認すると、ブラックフライデーと全く逆の動きを示していることが分かります。

図2:GoogleTrends 「ボジョレー」検索人気度推移

このことは、ボジョレーはブラックフライデーに比べ、「間口※」が狭いことが影響しているのかもしれません。ひょっとすると、「ワイン」がより日常化したことにより、ボジョレーの「ハレの日」としての需要が落ち着いてきているのかもしれません。いずれにせよ、現在11月の注目(人気)ワードはブラックフライデーの方が高い傾向にあるようです。

※間口:商品購入する消費者の数の多さ。この場合は「ワイン」(お酒)を飲む方

ブラックフライデー期間での、モールA・Bのセール時伸長ジャンル・売上上位ジャンル

ここからは、本格的にモールA・モールBの昨年度のブラックフライデーの実績について振り返っていきます。

まずはセール期間での伸長率が前週の同曜日・期間と比較して伸びたジャンルと、セール期間で売上が高いジャンルをまとめました。
データ抽出の定義は以下としております。

【定義】

・売上算出方法
→セール該当曜日単位で集計・合算
同様に、前週の同曜日・翌週の同曜日を「前週」「翌週」として定義

・伸長率
→セール該当曜日の売上合計 / セール該当前週曜日の売上合計で試算。
※但し、売上規模が小さ過ぎる場合、誤差として大きく影響するため、セール期間中に最低でも一定の売上規模があるものを抽出対象としました。

・ジャンル名
→可能な限り公開していますが、一部粒度の調整を行い、表記しております。

結果は以下の通りとなりました。

図3:ブラックフライデーセール期間/ブラックフライデーセール期間前週売上伸長TOP5ジャンル
図4:ブラックフライデーセール期間 売上上位TOP5ジャンル

特徴として、以下の点が挙げられます。

〇売上伸長ジャンルと、売上TOPジャンルは異なるものがランクインしている。

モールA、モールBともに、売上伸長ジャンルと売上上位ジャンルでは異なる傾向を示しています。伸長ジャンルでは、モールAでは日用雑貨品を中心にちょっと贅沢な製品がランクインする一方、モールBではガジェットやPC周辺機器が目立ちます。

共通の特徴としては、おもちゃ(ブロック系)の伸長が双方とも良い点です。ブロック系のおもちゃは、12月が需要のピークとなりますが、クリスマスギフトの事前購入としてどうせ買うならブラックフライデーセールで実施される、ポイントや割引などを活用し、お得に購入する方が多いのかもしれません。実際に2022年11月に商品の売上構成比を上昇させた製品は、1万~数万円の製品が多い傾向が見られます。

〇売上上位ジャンルから、各モールで売れるジャンルに共通・違いがみられる。

モールAの売れ筋は家電を中心としたジャンルですが、モールBの売れ筋は家電以外にも工具や、AV機器などがランクインしています。セール開始日は、モールAの方が若干早かったため、ひょっとすると家電ジャンルのニーズを、モールAが刈り取った可能性も考えられます。

ブラックフライデーセール期間中の売上TOPジャンルの商品変遷をチェック!

モール間でのその他の違い・特徴は他にもあるのでしょうか。今回は、各モールの売上1位のジャンルにおける、セール期間の売上上位商品の変遷を見ていくことで、その特徴を見ていきたいと思います。

モールA(季節・空調家電)※赤字はセール期間中で一度のみランクイン商品

図5:ブラックフライデーセール期間 売上TOP5商品(モールA)

モールB(生活家電)※赤字はセール期間中で一度のみランクイン商品

図6:ブラックフライデーセール期間 売上TOP5商品(モールB)

モールA・モールBを比較すると、モールAの方が上位商品が集中している傾向が見られます。一方でモールBは1位は変動が少ないですが、2位以降では順位変動が多く起きていることが分かります。また、売れ筋商品としては、モールAではファンヒーター・空気清浄機・加湿器が中心となっており、モールBでは掃除機・ドライヤー・美顔器が中心となっておりました。この結果は期間中1位のジャンルにおける商品TOP5ですが、傾向としてはモールAでは同じ商品がセール期間中上位を占める傾向が、モールBでは2位以降で比較的順位が変動していることが分かります。これらの傾向が他のジャンルでも同様に起きるかを確認することで、よりモール毎の特徴を掴むきっかけになるかもしれません。

ブラックフライデーセール期間中の売上ピークは何日目?

セール期間の伸長ジャンル、売上上位ジャンル、商品を把握した後はセール期間の「何日目」がピークになるかを見ていきます。日別の売上を見ることで、消費者の反応や何日目にテコ入れをするべきなのか等をより深く見ていくことが可能になります。

図7:ブラックフライデーセール期間中の売上推移(モールA)
図8:ブラックフライデーセール期間中の売上推移(モールB)

売上推移の結果を見ると、モールAに関しては4日目(この日は5の付く日)の売上が群を抜いており、セール期間中の売上をけん引していることが分かります。
一方で、モールBに関しては、セール開始の翌日(2日目)で売上のピークが来ていることが分かります。
オフラインで1週間程度のセールでは、初日が認知・お披露目(消費者側としてはここで検討)、2日目より反応(購買)の行動が多く見られるため、モールBの動きに関してはオフラインの傾向と似ている印象があります。

モールAに関しては(5の付く日)での売上が高くなっています。五十日(ごとおび)は多くの企業で給料の支給などが行われることが多いことから、セール期間中、この日を待って商品を購入をした可能性が考えられます。また、最終日の駆け込み需要に関してはどちらのモールでも、影響を与えていない状況でした。

ブラックフライデーセール期間後の売上はどうなった?

セール期間は絶好調だったけど、その後に売上がガクンと落ちた。ということは多くの企業様で経験していることかと思います。今回のブラックフライデーセール期間が終わった後のモールA・モールBの売上はどのように推移したのでしょうか。確認してみました。

図9:ブラックフライデーセール期間中の売上推移(モールA)
図10:ブラックフライデーセール期間中の売上推移(モールB)

売上は、モールA・モールB共に「セール期間週」が最も高く、次いで「セール翌週」が高い結果となりました。さらに、セール翌週とセール前週を比べると、どちらのモールも「110%」を超える結果となっており、ブラックフライデーセールが終わった後でも、売上は前々週を超える推移であることが分かりました。
これは、セール期間中に目が行きがちになりますが、セール後にも売上があがるチャンスを秘めている可能性を示唆しております。セール期間後も1週間ほどは、価格や販促に注視していくことが、翌週の売上確保に繋がっていきそうです。

まとめ ブラックフライデーセールに関して

「ブラックフライデー」ですが、日本での始まりは実は2016年とまだまだ日が浅いイベントでした。しかしこの6年で認知度は大きく伸びてきており、その認知度上昇へ貢献したのは多くの企業でのセール導入だったのではないかと思われます。EC市場においても、市場をけん引する複数のモールで展開されるなど、年々注目されるイベントとなっています。

展開したモールの特徴としては以下の特徴がみられます。

  • セール期間で前週から一気に需要が高まるジャンルと、セール時に売れるジャンルには違いがある。
  • モール毎で売れるジャンルに違いがある。
  • セール期間では家電・コスメ・衣類などが売れるジャンルであった。
  • セール期間の日々毎に売れ筋商品の変動が多い・少ないモールが存在。
  • セール期間の売上ピークはモール毎で違っている。
  • セール期間後も売上は前々週比で2桁成長。

当週だけではなく、翌週まで売上が伸びるため、販売店としては油断せず翌週までの価格や販促対策をしっかりと行うことが、メーカーとしては、需要が継続傾向となるため、急な発注による欠品などのチャンスロスを防ぐことが重要になりそうです。

2023年のブラックフライデーは、アフターコロナ時代の初のセールとなります。昨年度に比べ外出機会は増加が増加していること、本年は暖冬が予想されていることなどから、売れるジャンルは2022年とは異なるのではないかと予想されます。外出機会の増加に伴い、スキンケア用品、女性用衣類、靴などが両モールで売れるのではないかと思われます。また、外出機会の増加により本年はインフルエンザや風邪の増加が見られます。ひょっとすると再び風邪予防商品としてマスクが浮上する可能性も考えられるのではないでしょうか。どのようなジャンルが伸び、どのような商品が上位となるのか、その動向から目が離せません。

備考

今回調査にあたり抽出したジャンルは以下の通りです。

  • モールA・モールBの第二階層ジャンル全て。

調査対象:Nint推計データ

Nint推計データは、AIやクローリングなどの技術により⽇本国内の3⼤ECモールで販売される商品の売上⾦額・販売数量を⾼精度に推計したデータに、サイト内でのプロモーションデータ等を加えた、EC市場の総合的な分析を可能にするビッグデータです。

データ抽出期間
2022年11⽉15日〜2022年12⽉8日(※本稿における Nint 推計データは 2023年10⽉時点のものを使⽤)

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【出典:Nint BLOG「まもなくブラックフライデー!2022年の主要ECモールのセールを振り返り、2023年の動向を予測する!」(2023年11月14日公開)】

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■本記事について
作成:山本 真大(Masahiro Yamamoto) /デジタルマーケティングUnitアナリスト
編集:村上 咲(Saki Murakami)/ デジタルマーケティングUnitエディター
  :瀧坂 義尚(Yoshinao Takisaka)/デジタルマーケティングUnitユニットリーダー 兼ブログ監修

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