また、商品分析の手法として「商品分析フレームワーク」が活用されることが一般的なため、ビジネスパーソンであれば覚えておいて損はありません。今回は商品分析に効果的なフレームワークの種類や、分析手順について解説します。
商品分析の基礎知識
自社の新商品やサービスを考案する場合、まずは過去の商品分析から着手することをおすすめします。なぜなら実際に商品やサービスを販売して得られるデータは、消費者のニーズや競合他社が販売している商品など、市場の動きを予測できるさまざまな要素を含んでいるからです。商品分析とは
商品分析とは、自社の商品やサービスの購買データを分析して、市場における立ち位置を把握することをいいます。また適切な商品分析は、売上拡大や商品の開発、改善に役立てられます。 商品分析というと、自社から売り出しているカタチとして残る商品を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。ただ、実際は目に見えないサービスも分析対象になります。さらに商品分析は、以下の理由からほぼすべての企業が重視すべき工程だといえます。- 自社の商品やサービスを客観的に見直すことができる
- 会社やプロダクトの将来的な予測に役立つ
- 収益性の高い製品やサービスを見分けられる
商品分析の活用例
- 商品企画
- 商品開発
- 経営・マーケティング
- 宣伝・販売
商品分析の7つの手法(フレームワーク)
商品分析は売上コストや顧客の購買行動といった複数の視点で行うことが一般的です。また商品分析から得たい情報によっても適切なデータ分析方法が異なります。初めに、主な商品分析のフレームワークを理解し、それぞれの方法や分析から得られる情報について確認しておきましょう。- ABC分析
パレートの法則とは、イタリアの経済・社会学者ヴィルフレド・パレートが提唱した「売上の8割は、全体の2割の商品によって生み出されている」という法則です。現状を素早く可視化でき、時系列で施策を効果測定できるメリットがあります。
- アソシエーション分析
その一例として有名なのが「紙おむつとビール」の事例です。あるアメリカの大手スーパーマーケットが、「紙おむつとビールを同時に購入する人の割合が高い」というデータをアメリカの大手スーパーマーケットが発表し話題になったのです。子供のおむつを買いに来た父親が、ついでに自分のビールも購入するという購買パターンがわかり、2つの商品を同じ棚に並べたところ、どちらも売上アップにつながりました。
このように、アソシエーション分析で顧客の購買パターンや同時に購入および利用されているサービスを把握すれば、販売戦略立案に役立てられます。
- バスケット分析
ただしアソシエーション分析は、顧客の属性から購買データや購買パターンなど広い範囲を対象に分析します。一方でバスケット分析は、ECサイトのカゴの中や店舗に設置しているPOSレジのデータからわかる、購買データを対象に分析することを指します。
- デシル分析
また分析対象は顧客だけではなく企業にも当てはまります。BtoBのサービスを展開しているなら、デシル分析で売上に貢献している企業を洗い出すことで、関係を強化すべき取引先企業や、優良顧客になりやすい企業の特徴の見極めに効果的です。
- 4P分析
Product(製品・サービス) | どんな商品やサービスを提供するのか |
Price(価格) | 提供する商品やサービスはいくらで提供するのか |
Place(販売場所・提供方法) | 商品やサービスをどこでどのように販売するのか |
Promotion(販促活動) | 商品やサービスをどのように販促するのか |
People(人) | 誰がサービスを提供するのか |
Process(提供プロセス) | どのようにサービスを提供するのか |
Physical Evidence(実績・証拠) | サービスが提供できる証拠や実績はあるのか |
- クラスター分析
クラスター分析には2種類の方法があり、グループとしてまとめ、さらに似ているグループをまとめて線でつなぎ、最終的には1つの大きなグループになるよう決定木の形にする階層クラスター分析です。
もう一つは、あらかじめ分けるグループ数を定めておき、できるだけその数のグループができるよう似た要素同士をグループ化する非階層クラスター分析です。決定木のように線ではつながず、階層的な構造はありません。
- トライアル・リピート分析
リピート率 = 商品やサービスを2回以上購入したユーザー数 ÷ 商品やサービスを1回以上購入したユーザー数 |
商品分析を実施する流れ
商品分析の手順や、ステップごとの注意点について知っておきましょう。なぜなら、商品分析のフレームワークを用いても、使用する目的や欲しいデータが明確でなければ、正しい情報が得られない可能性があるためです。Step1.目的を明確にして仮説を立てる
商品分析を行うときには、分析する目的を明確にします。目的を明確にすることで、適切な分析手法やフレームワークが選びやすくなります。またデータの収集前に、自分なりの仮説を立てることも重要です。仮説を立てれば、データ同士の因果関係が見えやすくなります。また仮説を立てて検証するという行為は、今後の自分のマネージメント力や判断力の向上に役立つでしょう。Step2.データを収集する
自社製品またはサービスのデータを収集します。このときに、明確にした分析目的や仮説をもとに、どのような情報が必要なのかを見極めます。Step3.収集したデータを分析する
収集したデータをフレームワークに当てはめて分析します。分析するときは、データの収集から分析、グラフやレポート作成まで自動で行ってくれるBIツールの使用がおすすめです。Step4.実際のデータから仮説を検証する
収集したデータや分析結果をもとに、あらかじめ立てた仮説が正しかったか検証します。このとき、仮説の正しさを立証することにこだわり、事実を捻じ曲げないよう注意が必要です。Step5.商品やサービスの開発や改善に役立てる
仮説の誤りも含め、収集したデータの要素やデータ分析から導き出された答えを商品やサービス開発に役立てます。商品分析はフレームワークを使う前に目的と仮説を明確に
商品分析は、市場における自社製品やサービスの立ち位置、客観的に見た評価を把握するために役立ちます。そして市場における外部環境や顧客ニーズは日々変化するため、商品分析はこまめに行った方がいいでしょう。またその際、必ず売上データ分析の目的や仮説を明確にします。するとデータや要因同士の因果関係が見えやすくなり、戦略立案や商品開発における判断力が養われます。
BIツールなどのソフトウェアを用いれば、計算やデータの打ち込みなどの手間が省けるため、商品分析の積極的な活用を検討している企業は導入をおすすめします。