家電市場規模とEC化率の動向【2026年版】主要ECモールで伸びるカテゴリ
経済産業省の「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」によると、2024年の「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」のBtoC-EC市場規模は2兆7,443億円(前年比2.26%増)、EC化率は43.03%です。物販系分野のなかでもEC化率が高い分野です。また、主要ECモールの家電ジャンルの推計売上は、2026年7〜9月の3ヶ月間で前年同期比8.9%増でした(Nint ECommerce推計)。(2026年10月更新)
- 家電の国内市場規模(店舗含む):約6兆3,800億円(2024年・EC市場規模÷EC化率で逆算)
- 家電のEC市場規模:2兆7,443億円(2024年・前年比2.26%増)
- 家電のEC化率:43.03%(物販系分野全体は9.78%)
- 主要ECモールの家電ジャンル:2026年7〜9月の推計売上は前年同期比8.9%増(Nint ECommerce推計)
- 伸び方の違い:キッチン家電は販売数量の増加、季節・空調家電は平均単価の上昇が目立つ
ここでは、家電メーカーや家電を扱うEC事業者の方を対象に、家電市場の規模とEC化率、EC化率が高い要因、主要ECモールで伸びている家電カテゴリを解説します。
家電市場の規模とEC化率
最初に、家電のEC市場規模とEC化率について解説します。
日本国内における家電のEC市場規模
経済産業省の調査では、家電は「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」という分類で集計されています。この分類のBtoC-EC市場規模は、2024年に2兆7,443億円(前年比2.26%増)でした。2019年の1兆8,239億円から5年で約1.5倍に拡大し、特に2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で大きく伸びました。
| 年 | EC市場規模 | EC化率 |
|---|---|---|
| 2019年 | 1兆8,239億円 | 32.75% |
| 2020年 | 2兆3,489億円 | 37.45% |
| 2021年 | 2兆4,584億円 | 38.13% |
| 2022年 | 2兆5,528億円 | 42.01% |
| 2023年 | 2兆6,838億円 | 42.88% |
| 2024年 | 2兆7,443億円 | 43.03% |
では、いわゆる生活家電にはどんなものが含まれるのでしょうか。経済産業省によると、生活家電には「調理家電」「家事家電」「季節家電」「理美容家電」の4つが含まれるとのことです。
それぞれに含まれる家電は以下の通りです。
・調理家電
冷蔵庫・冷凍庫、電子レンジ・オーブンレンジ、電気ポット・電気ケトル、IHクッキングヒーター・IHコンロ、炊飯器、コーヒーメーカーなど。
・家事家電
掃除機、ミシン、洗濯機など。調理家電や家事家電は炊事や洗濯など暮らしに関わる家電であり、「白色家電」と呼ばれることもあります。それに対して、映像音響機器は「黒物家電」と呼ばれます。
・季節家電
使用が季節性のあるもので、エアコンや空気清浄機、布団乾燥機、扇風機、ホットカーペットなど。
・理美容家電
理容や美容に関わる家電を含み、メンズシェーバー、眉・フェイスシェーバー、ヘアドライヤー、電動歯ブラシ、ヘアアイロン、美顔器・スチーマーなど。
コロナ禍の消費は、いわゆる「巣ごもり需要」が特徴です。「巣ごもり需要」とは、外出を控える行動様式のなかで、人々が家の中で快適に過ごすことを重視した消費傾向のことです。そして、生活家電はさまざまな製品の中でも「巣ごもり需要」によって売上を大きく伸ばした分野といえるでしょう。
また、多くの企業でテレワークが導入されたため、パソコンやWebカメラ、ヘッドホンやヘッドセットの売上も伸びました。
巣ごもり需要によって、売上を伸ばした生活家電の中に空気清浄機があります。空気清浄機は上記分類によると、「季節家電」に含まれます。しかし、コロナ禍においては、季節に関係なく売上が大きく伸びたことから、少しでもコロナウイルスの家庭内感染を防ぎたいという消費者の切実な願いが伺えます。
家電のEC化率はどのくらい?
2024年の「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」のEC化率は43.03%で、2023年の42.88%から上昇しました。2021年は38.13%だったため、3年で約5ポイント上がっています。EC市場規模とEC化率から逆算すると、店舗販売を含む市場全体は約6兆3,800億円(2兆7,443億円÷43.03%)の規模です。物販系分野全体のEC化率9.78%と比べても高く、家電製品とECの相性が良いことが分かります。
生活家電のEC化率が高い要因
ここでは、生活家電のEC化率が高い3つの要因について説明します。
同性能の家電を探す際にもネット上での比較検討ができる
生活家電のEC化率が高い1つ目の要因は、同性能の家電を探す際にネット上での比較検討ができるからです。
家電の中には、エアコンや冷蔵庫など高価格帯の商品も多いため、多くのユーザーがネット上でさまざまなサイトを活用することで少しでもお得な買い物をしようとします。そうしたニーズを満たすべく、ネット上にも比較記事や比較サイトが多くあります。中には、単なる比較記事だけでなく、家電の商品説明やレビューを行うYouTube動画も多く、商品の特徴や情報を把握しやすくなっています。
家電のEC化率の向上により困難を強いられているのが大手家電量販店です。大手家電量販店もEC参入をやむを得ない状況に立たされていますが、ECではどうしても安さを追求する価格競争に巻き込まれてしまい、利益率が下がってしまうジレンマがあります。そのため、一方でECに目配せしつつも、各量販店ともECではできない実店舗ならではの付加価値を付けることを目指しています。
また、大手家電量販店の中には、早い段階から消費者のショールーミングを推奨する動きが見られます。ショールーミングとは、消費者が実店舗に足を運び、商品の価格や性能、使い心地などを確認した上で、実際の購入はオンラインで済ませることをいいます。実店舗の電子棚札にECサイトの平均価格をリアルタイムで連動させるなどして、消費者が比較できるような工夫をしている店舗もあります。
大型家電などは持ち帰りの手間が省ける
生活家電のEC化率が高い2つ目の要因は、大型家電などは持ち帰りの手間が省けるからです。
大手家電量販店で買い物をする場合、まず近隣の店舗に足を運ぶ手間がかかりますし、さらに大型家電の場合、持ち帰るのが大変です。冷蔵庫や洗濯機はまず自家用車では持ち帰れないため、店舗に配送を依頼することになります。場合によっては配送料が別途かかることになり、せっかく安く家電を買えてもお得感が失われてしまいます。
この点、ECで買い物をすれば、表示価格に配送料が含まれていることがほとんどですし、ワンクリックでさまざまな手間をかけることなく、自宅まで配送してもらえるメリットがあります。
どこのお店で買っても品質に違いが出ない
生活家電のEC化率が高い3つ目の要因は、どこのお店で買っても品質に違いが出づらいからです。
食料品や衣料品と異なり、家電にとって重要なのは「どこのお店で買うか」よりも「どこのメーカーの製品を買うか」です。つまり、購入を考えている家電のメーカーや製品が高い評価を受けていれば、どこのお店で買っても品質は変化しないため、できるだけ安く購入しようという消費者心理が働きます。
主要ECモールで伸びている家電カテゴリ(2026年7〜9月)
ここでは、主要ECモールの家電ジャンルの推計売上をもとに、2026年7〜9月の3ヶ月間の動向を前年同期(2025年7〜9月)と比べます。
主要ECモールの家電ジャンルの推計売上は、2026年7〜9月の3ヶ月間で前年同期比8.9%増でした。販売数量は前年同期比0.5%増とほぼ横ばいで、平均単価が約1万323円から約1万1,194円へ8.4%上がったことが売上の伸びにつながっています。なお、このECモールの家電ジャンルにはテレビ・オーディオやパソコンを含まないため、経済産業省の「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」とは集計範囲が異なります。
| カテゴリ | 前年同期比(売上) | 構成比 | 前年同期比(販売数量) |
|---|---|---|---|
| キッチン家電 | +13.0% | 25.7% | +15.3% |
| 季節・空調家電 | +14.4% | 24.7% | ▲5.8% |
| 美容・健康家電 | +4.8% | 19.9% | +1.8% |
| 生活家電 | +6.6% | 16.6% | +7.8% |
| 住宅設備家電 | +16.9% | 5.4% | +6.3% |
カテゴリ別に見ると、伸び方に違いがあります。キッチン家電は販売数量が15.3%増えており、数量の伸びが売上を押し上げたとみられます。一方、季節・空調家電は販売数量が5.8%減ったものの、平均単価が約21%上がり、売上は14.4%増えました。同じ「売上増」でも、数量が伸びたのか単価が上がったのかで、品揃えや価格設定の打ち手は変わります。
家電ジャンル全体の価格帯や売れ筋商品は家電のEC市場規模レポート、カテゴリごとの詳しい動向は、キッチン家電のEC市場規模レポート、炊飯器市場レポート、美容家電市場レポート、空気清浄機市場の現状で解説しています。
家電の市場動向を踏まえて商品戦略を立てる
コロナ禍の空気清浄機のように、世の中の動向と消費者の心理は緊密に連動しています。2026年7〜9月のように、数量が伸びるカテゴリと単価が上がるカテゴリが分かれる局面もあります。カテゴリごとの売上・数量・単価の変化を継続してモニタリングし、売上が伸びそうな家電を選ぶことがECにおける成功につながるはずです。
出典:経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」(2025年8月公表)/Nint ECommerce推計(主要ECモール・2026年7〜9月)
家電業界のEC市場動向をまとめた資料(2023年版)を無料でダウンロードいただけます

家電カテゴリの最新の売上・販売数量の推移や、競合メーカー・ショップの推計売上はNint ECommerceで確認できます→
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
note:https://note.com/nint_ecommerce
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は100以上となり、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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