家電EC市場レポート|売上+8.9%、単価+8.4%が牽引
家電をECで販売するメーカーやショップの方に向けて、主要ECモールにおける2026年7〜9月の家電市場の動きをまとめました。この3ヶ月間の推定売上は約739億円で前年同期比+8.9%となり、推定販売数は約660万個(+0.5%)とほぼ横ばいのまま、平均単価が約11,194円(+8.4%)に上がったことが売上の伸びを支えました。本レポートでは、カテゴリ別の売上構成比と伸び率、価格帯別の売れ筋、次の四半期に向けた打ち手を、Nint ECommerce調べ(推計値)のデータで解説します。(2026年10月更新)
本レポートのサマリー
- 市場規模: 約739億円(2026年7〜9月の3ヶ月間・前年同期比+8.9%)
- 販売数量: 約660万個(前年同期比+0.5%)
- 平均単価: 約11,194円(前年同期比+8.4%)
- 主要カテゴリ: キッチン家電(25.7%)/季節・空調家電(24.7%)/美容・健康家電(19.9%)/生活家電(16.6%)/住宅設備家電(5.4%)
- キートレンド: 数量横ばい・単価上昇/キッチン家電は数量で伸長/22,000円以上の高価格帯が売上の57.4%

家電のEC市場規模(2026年7〜9月)
2026年7〜9月の3ヶ月間における家電の市場規模は、主要ECモールで約739億円(Nint ECommerce推計)、前年同期比+8.9%でした。販売数はほぼ前年並みで、平均単価の上昇が売上の伸びの大部分を占めています。
| 指標 | 2026年7〜9月 | 前年同期(2025年7〜9月) | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 推定売上 | 約739億円 | 約679億円 | +8.9% |
| 推定販売数 | 約660万個 | 約657万個 | +0.5% |
| 平均単価 | 約11,194円 | 約10,323円 | +8.4% |
買われる個数は前年並みで、1点あたりの支払額が増えたことで市場が拡大した形です。7〜9月は冷却・空調家電の需要期にあたりますが、キッチン家電や住宅設備家電でも売上が二桁伸びている点が今期の特徴です。
なお、家電市場全体の規模やEC化率の推移は、同じ2026年7〜9月のデータで整理した家電の市場規模とEC化率のまとめ記事で解説しています。本レポートはカテゴリと価格帯の内訳を掘り下げます。
家電市場のカテゴリ別売上構成比と伸び率
カテゴリ別では、キッチン家電(構成比25.7%)と季節・空調家電(24.7%)がほぼ並んで上位を占め、2つで売上の約半分を構成しています。上位5カテゴリはいずれも前年同期比プラスでしたが、伸び方の中身はカテゴリごとに異なります。
| 順位 | カテゴリ | 構成比(前年差) | 推定売上 前年同期比 | 販売数 前年同期比 | 平均単価(前年同期比) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | キッチン家電 | 25.7%(+0.9pt) | +13.0% | +15.3% | 約13,281円(▲2.1%) |
| 2 | 季節・空調家電 | 24.7%(+1.2pt) | +14.4% | ▲5.8% | 約12,963円(+21.5%) |
| 3 | 美容・健康家電 | 19.9%(▲0.8pt) | +4.8% | +1.8% | 約10,547円(+2.9%) |
| 4 | 生活家電 | 16.6%(▲0.4pt) | +6.6% | +7.8% | 約14,283円(▲1.1%) |
| 5 | 住宅設備家電 | 5.4%(+0.4pt) | +16.9% | +6.3% | 約19,615円(+9.9%) |
キッチン家電は販売数が+15.3%と大きく伸び、平均単価は▲2.1%とやや下がりました。数量の拡大で売上を伸ばしたカテゴリで、価格帯別の売れ筋にもノンフライヤーや自動調理ポットが複数入っています。
季節・空調家電は反対に、販売数が▲5.8%と減るなかで平均単価が+21.5%上がり、売上は+14.4%でした。夏の需要期に、より価格の高い商品の比重が高まったことが主な要因と考えられます。構成比は+1.2ptで、上位5カテゴリの中で最も大きく伸びています。なお、エアコンは季節・空調家電とは別カテゴリ(上位5カテゴリ外)として集計しており、2026年7〜9月の推定売上は約12億円(前年同期比+8.3%)でした。
住宅設備家電は構成比5.4%と小さいものの、売上の伸び率は+16.9%で上位5カテゴリ中トップです。平均単価は約19,615円(+9.9%)で、単価・数量の両方が伸びています。美容・健康家電(+4.8%)と生活家電(+6.6%)は市場全体の伸びを下回り、6位以下のアクセサリー・部品は約24億円(▲18.1%)と縮小しました。
品揃えや販促予算の配分を見直すなら、数量が伸びているキッチン家電と、単価・数量がそろって伸びている住宅設備家電が優先候補です。
家電市場の価格帯別販売構成と売れ筋の傾向
価格帯別に見ると、家電の売上の57.4%は22,000円以上の高価格帯が占めています。価格帯の境界は、全体の平均単価(約11,194円)のおよそ半分と2倍に設定しました。
| 価格帯 | 価格の範囲 | 売上構成比 | 推定売上(3ヶ月間) |
|---|---|---|---|
| 低価格帯 | 6,000円未満 | 14.3% | 約106億円 |
| 中価格帯 | 6,000円〜22,000円未満 | 28.3% | 約209億円 |
| 高価格帯 | 22,000円以上 | 57.4% | 約424億円 |
低価格帯(6,000円未満):構成比14.3%
売上上位10商品のうち5商品が、ハンディファンや首掛け扇風機などの携帯型の扇風機で、うち3商品は冷却プレート付きでした。残りはSALONIAのヘアアイロンとドライヤー、ブリタのポット型浄水器と交換カートリッジ、ソーダストリームの交換用ガスシリンダーで、消耗品も上位に入っています。
中価格帯(6,000円〜22,000円未満):構成比28.3%
上位10商品のうち5商品がキッチン家電で、COSORIのノンフライヤーが容量違い・別SKUを含めて3商品、レコルトの自動調理ポットとコードレスフードプロセッサーが入っています。キッチン家電の販売数の伸びと一致する顔ぶれです。ほかに、衣類乾燥除湿機(アイリスオーヤマ)、冷風機、LED照明付き扇風機の季節家電3商品、ブリタの交換カートリッジ、MYTREXのヘッドマッサージ機が入りました。
高価格帯(22,000円以上):構成比57.4%
上位10商品のうち5商品が美容家電です。1位は新発売の美容家電で、ケノンの家庭用光脱毛器、パナソニックとリファのドライヤー、ブラウンの光美容器が続きます。残りは、工事費込み・施工込みのルームエアコンが2商品、エコバックスのロボット掃除機が2商品、Airdogの空気清浄機でした。
低価格帯の上位は夏向けの数量商品、高価格帯の上位は美容家電と設置込みの大型家電と、価格帯ごとに売れる商品の性格がはっきり分かれています。
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家電事業者が次の四半期に取るべき3つの打ち手
今期のデータから、次の四半期に向けた打ち手を3つに整理します。
1. 季節家電は「数量商品」と「高単価商品」を分けて計画する
季節・空調家電は販売数が▲5.8%減った一方、平均単価が+21.5%上がり、売上は+14.4%伸びました。低価格帯では携帯型の扇風機が上位10商品の半数を占めており、同じカテゴリの中でも、数で稼ぐ商品と単価で稼ぐ商品がはっきり分かれています。需要期の前に、低価格帯の数量商品は在庫の厚みとセット販売を、高単価商品は機能比較やレビューの充実を、別の計画として準備することが有効です。
2. キッチン家電は中価格帯の容量展開と消耗品の導線を整える
キッチン家電は販売数+15.3%と数量で伸びており、中価格帯の上位10商品のうち5商品を占めました。ノンフライヤーのように容量違いのSKUが複数上位に入る商品群では、容量展開を広げ、商品ページで違いをわかりやすく示すことが有効です。浄水器の交換カートリッジなど消耗品も上位に入っており、本体購入後の消耗品購入までを1つの導線として設計する価値があります。
3. 高価格帯は「設置込み」と「比較のしやすさ」で購入の不安を減らす
売上の57.4%を占める高価格帯では、工事費込み・施工込みのルームエアコンが上位10商品に2商品入りました。設置の手間や追加費用を価格表示の段階で明らかにする売り方が上位に入っています。高額な美容家電やロボット掃除機も、アフターサービスの内容や機種ごとの違いを比較しやすく見せることが重要です。自社カテゴリでどの価格帯が伸びているか、競合ブランドがどの価格帯で売上を伸ばしているかは、Nint ECommerceでカテゴリ・ブランド単位の推計売上を確認すると、品揃えの判断材料になります。
よくある質問
Q. 2026年7〜9月の家電のEC市場規模はどのくらいですか?
A. 主要ECモールにおける2026年7〜9月の3ヶ月間の推定売上は約739億円で、前年同期比+8.9%でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。
Q. 家電のEC売上が伸びた要因は何ですか?
A. 推定販売数は前年同期比+0.5%とほぼ横ばいで、平均単価が約11,194円(+8.4%)に上がったことが売上の伸びを支えました(Nint ECommerce調べ・推計値)。
Q. 家電で売上の伸び率が高いカテゴリはどこですか?
A. 構成比上位5カテゴリでは、住宅設備家電が+16.9%、季節・空調家電が+14.4%、キッチン家電が+13.0%でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。
Q. 主要ECモールの家電は、どの価格帯の売上が大きいですか?
A. 22,000円以上の高価格帯が売上の57.4%を占めます。中価格帯は28.3%、6,000円未満の低価格帯は14.3%です(Nint ECommerce調べ・推計値)。
まとめと、家電市場をより深く分析するためのヒント
2026年7〜9月の家電市場は、販売数がほぼ横ばいのまま平均単価の上昇で売上が伸びた四半期でした。要点は次の3つです。
- 市場規模は約739億円(3ヶ月間・前年同期比+8.9%)。販売数+0.5%、平均単価+8.4%
- キッチン家電は数量(+15.3%)で、季節・空調家電は単価(+21.5%)で伸び、住宅設備家電は売上+16.9%
- 22,000円以上の高価格帯が売上の57.4%を占め、上位は美容家電と設置込みの大型家電
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家電市場ではカテゴリごとに「数量で伸びるのか、単価で伸びるのか」が異なります。自社のカテゴリ・価格帯で同じ動きが起きているかは、継続して推移を追うことで確かめられます。Nint ECommerceでは、主要ECモールの推計売上をもとに、カテゴリ・ブランド・商品単位で競合の売上や価格帯を比較できます。

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執筆者の視点
目を引いたのは、市場全体では「数量横ばい・単価上昇」とまとめられる一方、カテゴリを分けると伸び方がまったく違う点です。キッチン家電は数量が伸びて単価がわずかに下がり、季節・空調家電は数量が減って単価が2割以上上がっています。全体の平均単価だけで判断すると、数量で伸びているカテゴリの機会を見落とします。自社カテゴリも売上・数量・単価に分けて確認することをおすすめします。
調査概要
- 対象期間:2026年7月1日〜2026年9月30日(前年同期:2025年7月1日〜2025年9月30日)
- データソース:Nint ECommerce(推計値)
- 対象カテゴリ:家電
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
note:https://note.com/nint_ecommerce
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は100以上となり、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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