キッチン整理用品市場レポート|水切りラック34%
本記事は、水切りラックや整理ボックスなどキッチンまわりの収納・整理用品をECで販売する事業者・メーカーの方に向けた市場レポートです。主要ECモールにおける2026年5〜7月のキッチン整理用品市場の推定売上は約18.90億円(前年同期比+8.5%)、推定販売数は約54.8万点(同▲0.9%)、平均単価は約3,448円(同+9.5%)でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。売れた点数はほぼ前年並みで、伸びの中身は数量ではなく単価です。その構造をサブカテゴリ別・価格帯別に読み解きます。
本レポートのサマリー
- 市場規模: 約18.90億円(前年同期比 +8.5%)
- 販売数量: 約54.8万点(前年同期比 ▲0.9%)
- 平均単価: 約3,448円(前年同期比 +9.5%)
- 主要サブカテゴリ: 水切りラック(34.2%)/整理ボックス(20.5%)/調理小道具立て(7.4%)
- キートレンド: 数量横ばい・単価+9.5%が伸びのすべて/売上の67.6%が中価格帯に集中

キッチン整理用品のEC市場規模と推移
2026年5〜7月のキッチン整理用品のEC市場規模は約18.90億円、前年同期比+8.5%でした。一方で販売数は約54.8万点・▲0.9%と前年をわずかに下回っています。売れた点数が増えていないのに売上が伸びたのは、平均単価が約3,448円へ+9.5%上昇したためです。キッチンまわりの需要全体の動きはキッチン水まわり用品のEC市場規模レポートで扱っており、本記事はそのなかで大きな柱となる整理・収納用品を、サブカテゴリ単位まで掘り下げます。
| 指標 | 2026年5〜7月 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 推定売上 | 約18.90億円 | 約17.42億円 | +8.5% |
| 推定販売数 | 約54.8万点 | 約55.3万点 | ▲0.9% |
| 平均単価 | 約3,448円 | 約3,149円 | +9.5% |
これは点数を増やして伸ばした市場ではなく、1点あたりに払われる金額が上がって伸びた市場です。買い替え頻度の高い日用品ではないぶん、「長く使えるもの・サイズが合うもの」を選ぶ購買が単価を押し上げています。先に見るべきは販売点数より、扱う商品の価格レンジと、その価格を納得させる情報の出し方です。
サブカテゴリ別の構成と勝ち負け
キッチン整理用品の中心は水切りラックで、構成比34.2%・前年同期比+12.4%と市場全体の+8.5%を上回って伸びています。平均単価も4,949円とカテゴリ平均(約3,448円)の1.4倍で、金額面の柱がここに集中しているのが特徴です。次いで整理ボックスが20.5%・+8.0%と堅調、調理小道具立ては7.4%・▲1.2%で横ばい圏にとどまりました。
| サブカテゴリ | 構成比 | 前年同期比 | 平均単価 |
|---|---|---|---|
| 水切りラック | 34.2% | +12.4% | 4,949円 |
| その他 | 20.6% | +0.9% | 2,955円 |
| 整理ボックス | 20.5% | +8.0% | 3,614円 |
| 調理小道具立て | 7.4% | ▲1.2% | 3,044円 |
| ヒートシーラー | 4.3% | +130.3% | 5,660円 |
伸び率だけを見ればヒートシーラーの+130.3%が最大ですが、構成比は4.3%と小さく、市場全体の説明にはなりません。金額を動かしているのはあくまで水切りラックと整理ボックスの2つで、合計すると市場の54.7%を占めます。どちらも置き場所の寸法が決まっている商材で、サイズ表記や設置イメージの精度が決め手になりやすい領域です。収納什器としての選ばれ方はリビング・収納家具のEC市場規模レポートと共通点が多く、調理器具側の動きは鍋・フライパンのEC市場規模レポートで扱っています。
価格帯別の販売構成と購買行動
平均単価(約3,448円)を基準に低・中・高の3価格帯で売上構成比を見ると、中価格帯が67.6%と大半を占め、高価格帯25.4%、低価格帯7.1%と続きます。販売数量で見ると低価格帯が25.4%、高価格帯が9.3%で、金額と数量の主役が極端に入れ替わることはありません。中価格帯にボリュームと金額の両方が集まっている、比較的わかりやすい構造です。
| 価格帯 | 売上構成比 |
|---|---|
| 低価格帯 | 7.1% |
| 中価格帯 | 67.6% |
| 高価格帯 | 25.4% |
低価格帯: 単機能の小物・買い足し用の整理グッズ
低価格帯は、引き出し内を仕切る小型のボックスやスタンドなど、単機能の小物が中心です。数量シェアでは25.4%を占めますが、売上構成比は7.1%にとどまります。すでに使っている収納に1点足す買い方が多く、単品では利益を取りにくいゾーンです。まとめ買いやセット販売で1回あたりの購入点数を上げる設計が向いており、リピート顧客の入り口としての役割が大きい帯といえます。
中価格帯: 市場の本体となる標準サイズの収納
売上の67.6%を占める中価格帯が、この市場の本体です。整理ボックス(平均単価3,614円)や標準サイズの水切りラックなど、シンクまわり・引き出し・吊戸棚といった決まった場所に収める商品が並びます。サイズと素材を比較して決める買い方が定着しており、寸法表記の精度、設置後の写真、耐荷重の記載といった情報量がそのまま比較優位になります。
高価格帯: ステンレス・伸縮式などの大型ラック
高価格帯は売上の25.4%を占める一方、数量では9.3%です。水切りラックの平均単価4,949円やヒートシーラーの5,660円が示すとおり、ステンレス素材や伸縮式、2段式といった大型・多機能の商品がこの帯にあたります(Nint ECommerce調べ・推計値)。長く使う前提で選ばれるため、価格よりも素材の耐久性や手入れのしやすさが判断材料になります。市場の単価上昇(+9.5%)を実際に押し上げているのはこの層への移行です。

キッチン整理用品の事業者が来期取るべき3つの打ち手
ここまでの市場データをふまえ、キッチン整理用品をECで扱う事業者が来期に向けて取るべき打ち手を3つに整理します。
打ち手1: 数量ではなく単価で伸ばす前提に切り替える
売上+8.5%に対し販売数は▲0.9%、平均単価は+9.5%です。点数を積み増して伸ばす市場ではないという前提に立ち、値引きで回転を上げる施策から、単価を保ったまま選ばれる施策へ資源を移す判断が有効です。素材・耐荷重・サイズ適合といった価格の理由を商品ページで先に示すことが、比較検討での取りこぼしを減らします。
打ち手2: 水切りラックと整理ボックスに品揃えを寄せる
水切りラック(34.2%・+12.4%・平均4,949円)と整理ボックス(20.5%・+8.0%・平均3,614円)で市場の54.7%を占め、伸び率も市場平均を上回ります。調理小道具立て(7.4%・▲1.2%)に在庫と広告費を割くより、この2つでサイズ展開の抜けを埋めるほうが投資効率は高くなります。ヒートシーラー(4.3%・+130.3%)は構成比が小さいため、主力ではなく伸びの試し枠として少量から扱うのが現実的です。
打ち手3: 中価格帯の競合の品揃えと価格を定点で見る
売上の67.6%が集まる中価格帯は、そのまま競合が最も多い帯でもあります。どのサイズ・どの素材が、いくらで何点売れているのかを把握しないまま価格を決めると、選ばれない理由に気づけません。Nint ECommerceでは、主要ECモールの競合ショップがどのサブカテゴリ・どの価格帯で展開しているかを確認でき、自社の品揃えと価格設定を見直す材料になります。
よくある質問(Q&A)
キッチン整理用品のEC市場規模はどのくらいですか?
主要ECモールにおける2026年5〜7月の推定売上は約18.90億円で、前年同期比+8.5%でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。推定販売数は約54.8万点(▲0.9%)、平均単価は約3,448円(+9.5%)で、単価の上昇が売上を押し上げています。
キッチン整理用品で最も売れているサブカテゴリは何ですか?
水切りラックが構成比34.2%で最大です。前年同期比+12.4%と市場全体(+8.5%)を上回り、平均単価も4,949円とカテゴリ平均の1.4倍にあたります。次いで整理ボックスが20.5%・+8.0%で続きます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
キッチン整理用品で売れる価格帯はどこですか?
売上の67.6%が中価格帯に集中しています。高価格帯は25.4%、低価格帯は7.1%です。数量では低価格帯が25.4%、高価格帯が9.3%で、金額と数量の主役が大きく入れ替わる二極化には至っていません。
販売数が減っているのに売上が伸びているのはなぜですか?
平均単価が約3,149円から約3,448円へ+9.5%上昇したためです。販売数は▲0.9%とほぼ横ばいで、単価の高い水切りラックなどへ購入の重心が移ったことが売上+8.5%につながっています(Nint ECommerce調べ・推計値)。
まとめと、より深く分析するためのヒント
- 2026年5〜7月のキッチン整理用品EC市場は約18.90億円(前年同期比+8.5%)。販売数は▲0.9%で、単価+9.5%が伸びのすべて。
- 水切りラック(34.2%・+12.4%)と整理ボックス(20.5%・+8.0%)で市場の54.7%。高単価の水切りラックが金額の柱。
- 売上の67.6%が中価格帯に集中。低価格帯は数量25.4%に対し売上7.1%で、金額を取るなら中〜高価格帯の設計が要。
こうしたサブカテゴリ別・価格帯別の動向は、自社が扱うサイズ展開やブランド単位ではどう見えるでしょうか。Nint ECommerceでは、主要ECモール(楽天・Amazon・Yahoo!ショッピング 等)のキッチン整理用品カテゴリを、サブカテゴリ・ブランド・商品単位で深堀りし、競合ショップの売れ筋や価格帯、シーズン前の仕込みの判断に活用できます(Nint ECommerce調べ・推計値)。

関連サービス・資料
執筆者の視点
意外だったのは、売れた点数が前年をわずかに下回っているのに売上が伸びていた点です。キッチンの収納は「安く済ませる」買い物だと思い込んでいたのですが、実際に金額を動かしていたのは平均5,000円近い水切りラックでした。狭いシンクまわりに合う1台を選び直す買い方が定着しているのだと、数字から感じました。
対象期間: 2026年5月〜2026年7月/データソース: Nint ECommerce(推計値)/対象カテゴリ: キッチン整理用品
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
note:https://note.com/nint_ecommerce
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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