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【2026年最新】花粉シーズンのマスク市場を3大ECモールのデータで徹底分析|売れ筋・価格帯・メーカー動向

2026年春の花粉飛散量は、全国平均で前年比約2割増と予測されています(ウェザーニュース、2026年1月発表)。
花粉対策の定番アイテムといえばマスク。
コロナ禍で爆発的に伸びたECマスク市場は、5類移行から約3年が経ったいま、どのような姿になっているのでしょうか。

本記事では、主要ECモール3社(以下「3大ECモール」)のマスク市場を、2023年〜2025年の3年間のデータで検証します。

ECマスク市場はコロナ前比3分の1に縮小──それでも下げ止まりの兆候あり

【図1】3大ECモール マスク市場 年度別推移

2023年を基準(=100)とした3年間の推移を見ると、売上指数は2024年に37.2、2025年に33.2と、わずか2年で市場規模が約3分の1にまで縮小しました。

ただし、この数字をそのまま「市場が終わった」と読むのは、市場把握の観点で言ってしまうとNGです。
2023年は前半にコロナ特需が色濃く残っており、年間売上の76%が1〜6月に集中していました(2024年・2025年はいずれも該当時期は55%前後で推移しています)。
このことは、2023年の売上にはコロナの影響を受けた数値が多く含まれており、ベンチマークとして次年度以降と純粋に比較するには、注意が必要なことを示唆しています。

数量で見ても2024年に50.4、2025年に41.6と下がっていますが、下落幅は縮小傾向にあります。
売上の下落率(-63%→-11%)が数量の下落率(-50%→-17%)より大きいのは、2023年の平均単価1,115円が「コロナ特需+セール構造」で膨らんでいたためです。
単価が正常水準に落ち着いたことで、売上の見かけ上の落ち込みがさらに大きくなっています。

注目すべきは平均単価の動きです。
2024年の824円から2025年は889円へと+7.9%回復しました。ただし、これは「マスク1枚の値段が上がった」わけではありません。
売れ筋TOP100の1枚あたり単価(中央値)は2024年=22.4円、2025年=22.0円とほぼ横ばいです。注文単価が上がって見えるのは、1注文あたりの入り数が増えたから。つまり、消費者の購買行動が「セール時に少量パックを安く買う」から「大容量パックを定価で買う」に変わったことで、1回の注文額が上がったと考察されます。

月次データで読む「コロナ特需からポストコロナ」への転換点【2023〜2025年】

【図2】3大ECモール マスク市場 月次売上推移(2023年〜2025年)

月次の売上推移を見ると、マスク市場の「季節構造」が大きく変わったことが分かります。
2023年は花粉期(1〜4月)が約59%と突出していたのに対し、2024年・2025年は40〜42%に落ち着いています。
代わりに秋冬(9〜12月)が14%→32〜33%へと大幅に伸びており、冬場の風邪・インフルエンザ需要がマスク市場を下支えする構造が定着していることが分かります。

実際、冬場(11月〜翌1月)の月平均売上は2024年・2025年と2年連続でほぼ横ばいで推移しています。
このことから、マスク市場の冬場の需要はすでに安定化したと言えそうです。
一方、夏場(7〜9月)はまだ前年割れが続いており、夏場の下げ止まりが全体の安定化のカギを握っています。

ECマスク市場のメーカー動向:EC特化ブランドが苦戦、日用品大手が台頭

今回は、売上と数量の両方を確認します。その理由は、単価の違いによって「金額のシェア」と「個数のシェア」にズレが出るためです。特にマスク市場はメーカーごとの価格帯差が大きく、片方だけでは実態を見誤る可能性があります。

【図3】3大ECモール マスク市場 メーカー別売上構成比

【図4】3大ECモール マスク市場 メーカー別数量構成比

売上推移(図3)で最も目立つ変化は、EC特化メーカーAの急縮小です。売上シェアは29.7%(2023年)→15.4%(2025年)とほぼ半減しました。

数量(図4)でも31.7%→20.0%と大幅に下がっています。 代わりに伸びたのが、国内大手メーカーB(売上5.6%→11.7%)と国内メーカーE(同0.8%→5.0%)です。

この2社はいずれも大容量のプリーツマスクを主力とし、特定の大手ECモールの定期便や限定モデルとの親和性が高い「定番日常品」としてのポジションを確立しています。
ここで重要なのは、EC特化メーカーAが苦戦しているからといって、「メーカーAは市場を一気に席巻し、すぐに撤退する中国系ブランドだ」と読み違えないことです。
EC特化メーカーAは日本企業であり、コロナ禍時にモールセールの積極的な活用とバイカラー立体マスクという「コロナ特需型のビジネスモデル」で急成長しました。

特需が終わればそのモデルが縮小する流れは自然なことです。

この流れは、一種のビジネスモデルの入れ替わりが起きたと解釈するのが妥当です。すなわち「セール依存×少量パック×トレンド訴求」から「定番品×大容量×定価販売」への構造転換です。

売れ筋マスクTOP10の変化──2023〜2025年で入れ替わった商品とその理由

【図5】3大ECモール マスク市場 売れ筋TOP10推移(2023年〜2025年)

売れ筋TOP10の変遷を見ると、3年間で商品の顔ぶれが大きく入れ替わっていることが分かります。
2023年は「少量パック×立体×バイカラー×セール価格」の商品が上位を席巻していましたが、2025年にはその多くが姿を消し、代わりに「大容量パック×プリーツ×定価販売」の商品がランクインしています。

消費者の行動もこの変化を裏付けています。かつての「セールのたびに7枚入り・30枚入りを安く買い足す」スタイルから、「定価で60枚・120枚の大容量定番品を定価で買う」スタイルへの転換です。セール依存型の購買から、日用品としてのまとめ買いへ。マスクの買い方そのものが変わっています。

マスクの形状・価格帯トレンド:「おしゃれ立体」から「大容量プリーツ」への構造変化

【図6】3大ECモール マスク市場 形状別売上構成比推移(TOP100)

TOP100商品の形状別売上シェアを見ると、立体マスクは79.8%(2023年)から53.1%(2025年)へと落ち着きを見せる一方で、プリーツマスクは11.6%から29.1%と着実にシェアを伸ばしています。

立体マスクのシェア低下は、決して不人気になったわけではなく、コロナ期にEC特化ブランドが牽引した「バイカラー立体」の爆発的な需要が、平時の水準へと戻った結果だと考察されます。
言い換えるなら、「特需時に最も支持されたのが立体マスクだった」という圧倒的な実績の裏返しとも言えます。
一方で、近年構成比を上昇させているプリーツマスクの伸長を支えているのは、国内大手メーカーBの120枚入りや国内メーカーEの60枚入りなど、日用品メーカーの大容量プリーツマスクです。
特需が落ち着いたとはいえ、立体マスクは2025年時点でも売上構成比53%と過半数を維持しており、依然として市場の中心であることには変わりません。

「おしゃれ立体マスク」の確固たる需要がゼロになったわけではなく、この立体型をいかに「日常品」として再定義し、定着させていけるかが、次の成長セグメントを占うポイントになりそうです。

【図7】3大ECモール マスク市場 TOP100 価格帯別件数推移

価格帯別の件数を見ると、構造変化がさらに鮮明になります。2023年は2,001円以上が36件で最多でした。これはセール時に商品が「高めの表示価格(2,980円など)+クーポン割引」という構造で販売していた戦略の結果です。
2024年以降は501〜1,000円帯が最大のボリュームゾーンに移行しました。

今後の注目の価格帯は1,001〜1,500円。
6件→12件→24件と3年で4倍に急増しています。

この価格帯には、国内大手メーカーBの120枚入り(約1,000〜1,100円)や国内メーカーEの60枚入り(約900〜1,000円)が集中しています。
大容量パックの台頭が、そのまま価格帯の分布に反映された形です。

まとめ:2026年のマスク市場予測と今後の注目ポイント

ここまでのデータから見えてきたポイントを整理します。

  • 市場規模の推移
    3大ECモールのマスク市場は、コロナ特需(2023年前半)の終了を経て、2025年時点で約3分の1にまで縮小。
  • 底打ちの兆し
    ただし下落幅は大きく鈍化しており、冬場(11〜翌1月)の月平均売上は2年連続で横ばい。底打ちが近く、平常化へと向かう流れにある。
  • メーカーの交代
    「EC特化ブランドの特需型モデル」から「日用品メーカーの定番品」への入れ替わりが進行中。
  • トレンドの転換
    商品構成は「少量パック×立体×セール」から「大容量パック×プリーツ×定価」へと転換した。
  • 価格の安定
    1枚あたりの単価は約22円で安定。マスクは完全に「日用品」としての価格水準に到達した。

2026年の展望としては、夏場の下げ止まりが確認されれば、市場はいよいよ平常需要のベースラインに到達するものと推察されます。
加えて、2026年春の花粉飛散量が前年比約2割増と予測されている点は追い風です。
花粉シーズン(1〜3月)はマスク市場の年間売上の約4割を占める最大の稼ぎ時であり、この期間の動向が年間の方向性を大きく左右します。
夏場の動向が、今後の市場が平常化したと言えるかどうかの、一つの重要なポイントになりそうです。

Nint ECommerceで詳細なマスク市場データを確認する方法

本記事ではメーカー名・商品名をマスキングしていますが、Nint ECommerceでは実名での確認が可能です。
記事中の指数表記の元となる推計売上データも、Nint ECommerceでご覧いただけます。
月次・週次の売上推移や商品別ランキングなど、さらに詳しいデータ分析にご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト

note:https://note.com/nint_ecommerce

株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。

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