【2026年2〜4月】建材・設備EC市場レポート|単価2.3倍
木材・建築資材・設備のEC市場とは、木材や建材、トイレ・キッチンなどの住宅設備をオンラインで売買する市場を指します。主要ECモール(楽天・Amazon・Yahoo!ショッピング 等)の同ジャンルでは、2026年2〜4月の3ヶ月間で推計流通総額が約96.4億円(前年同期比+約20%)に達した一方、推計販売点数は約228万点(▲約49%)まで減り、推計平均単価は約4,200円(約2.3倍)へと上昇しました。本レポートでは、この「市場は伸びたのに点数は半減」という建材ECならではの構造を、Nint ECommerceの売上推計データ(Nint ECommerce調べ・推計値)をもとに解説します。
目次
本レポートのサマリー
- 市場規模: 推計GMV約96.4億円(前年同期比 +約20%)
- 販売数量: 推計約228万点(前年同期比 ▲約49%)
- 平均単価: 推計約4,200円(前年同期比 約2.3倍)
- 主要サブカテゴリ: トイレ用設備 / キッチン用設備 / 浴室用設備(水回り住宅設備が上位を占有)
- キートレンド: 高単価品のまとめ調達へのシフト/水回り設備の牽引/電設・配管などプロ向け工事用資材の急伸
木材・建築資材・設備のEC市場規模(2026年2〜4月)
2026年2〜4月の3ヶ月間における木材・建築資材・設備ジャンルの推計流通総額(GMV)は約96.4億円、前年同期比+約20%でした。下表のとおり、販売点数が▲約49%まで減りながら市場全体は2割伸びるという、一見矛盾する動きが今期の最大の特徴です。なお消費者向けDIY領域の動きは花・ガーデン・DIYのEC市場規模レポートもあわせてご覧ください。
| 指標 | 2026年2〜4月(3ヶ月) | 前年同期(2025年2〜4月) | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 推計流通総額(GMV) | 約96.4億円 | 約80.1億円 | +約20% |
| 推計販売点数 | 約228万点 | 約446万点 | ▲約49% |
| 推計平均単価 | 約4,200円 | 約1,800円 | 約2.3倍 |
点数は減ったのに市場は伸びた――建材ECの単価上昇という構造
建材業界はEC化率が低い領域として語られがちですが、Nint ECommerceの売上推計で中身を見ると、伸びているのは「点数」ではなく「単価」です。販売点数が約49%減る一方でGMVが約20%伸びたのは、1点あたりの単価が上がったためで、推計平均単価は約1,800円から約4,200円へと上昇しました。安価な消耗品やDIY小物の「ついで買い」が縮小し、トイレやキッチンといった高単価の住宅設備をまとめて調達する購買へと、買い手の行動が移りつつあります。
つまり建材ECの主戦場は「DIYの小物」から「高単価の住宅設備・まとめ調達」へと移行しており、点数の減少はむしろ単価上昇の裏返しと整理できます。事業者にとっては、品揃えや在庫の重心を低単価の小物から高単価の設備カテゴリへ移す判断材料になります。
売れているのは「木材」より「水回り住宅設備」
直近3ヶ月の推計GMVをサブカテゴリ別に見ると、市場を牽引するのは木材そのものではなく、トイレ・キッチン・浴室・洗面といった水回りの住宅設備です。これら水回り4カテゴリだけでジャンルの過半を占め、リフォーム・住設更新の需要がオンライン調達に流れ込んでいる実像が浮かびます。
| 順位 | サブカテゴリ | 推計GMV(3ヶ月) | 前年同期比(概算) |
|---|---|---|---|
| 1 | トイレ用設備 | 約17.5億円 | +約33% |
| 2 | キッチン用設備 | 約15.1億円 | +約9% |
| 3 | 浴室用設備 | 約11.6億円 | +約20% |
| 4 | 洗面用設備 | 約8.6億円 | +約27% |
| 5 | 電設資材 | 約8.4億円 | +約44% |
同じ水回り設備でも伸び率は分かれます。トイレ用設備が+約33%、洗面用設備が+約27%と伸びる一方、キッチン用設備は+約9%と緩やかです。交換頻度や単価、リフォーム時の優先順位で伸び方が異なるため、自社が扱う設備カテゴリの位置づけを見極めることが品揃えと販促配分の判断軸になります。
プロが使う「工事用資材」が最も伸びている(電設・配管)
伸び率で最も鋭いのは消費者向けのDIY用品ではなく、職人や工務店が使う工事用資材です。電設資材は+約44%、配管資材は+約59%と、ジャンル平均(+約20%)を大きく上回ります。施工・工事の現場で使う資材であり、電気工事・配管工事に関わる職人や内装業者がオンライン調達を進めていることをうかがわせます。
価格帯別の販売構成について
「誰が何を買っているか」は価格帯別のGMV構成にも表れます。直近3ヶ月の推計GMVを価格帯別に分けると、1万円以上が約7割、うち5万円以上だけで約3割を占めました。建材ECが低単価のDIY小物ではなく、本体価格の大きい住宅設備やまとめ調達を中心とする市場であることが、価格帯の分布からも裏付けられます。
| 価格帯 | 推計GMVシェア |
|---|---|
| 〜2,000円 | 約8% |
| 2,000〜10,000円 | 約21% |
| 10,000〜50,000円 | 約43% |
| 50,000円〜 | 約29% |
価格帯別の販売戦略について
GMVの約7割が1万円以上に集中する以上、価格訴求一辺倒の戦略は有効とは限りません。高単価帯では、安さよりも型番・仕様の正確な情報、施工に必要な付属品の揃い、納期や配送条件、まとめ買いの利便性といった「安心して調達できる条件」が決め手になりやすい領域です。一方で〜2,000円の低価格帯も約8%あり、消耗品・小物のリピート需要の受け皿です。自社の主力商品がどの価格帯にあるかを把握し、帯ごとに訴求軸を切り替えることが勝ち筋を描く前提になります。
建材・住宅設備メーカー/卸がこの市場をどう攻めるか
ここまでのデータを、メーカーや卸・代理店の意思決定にどう落とし込むか。市場・競合の動きをモール実売の粒度で捉えると、年1回の業界レポートでは見えない直近の変化を当月〜前月の鮮度で把握できます。下表は、外部の業界レポートとモール実売データ起点の分析の違いを整理したものです。
| 観点 | 外部の業界レポート | モール実売データ起点の分析 |
|---|---|---|
| データの鮮度 | 数か月遅れの年次・四半期 | 当月〜前月粒度で更新 |
| 判断のよりどころ | 勘・経験則に依存しやすい | 月次の前年同月比で定量把握 |
| カテゴリ粒度 | 業界総額(兆円規模)中心 | サブカテゴリ・価格帯まで分解 |
具体的には、市場データは次の手順で実務に落とせます。まず、ジャンル規模と上位メーカーのシェア、「その他」が占める割合から新規参入の余地を定量化します(「その他」が大きいほど参入余地が残ると読めます)。次に、価格帯×メーカーの分布から自社が戦う価格帯を決めます。本ジャンルはGMVの約7割が1万円以上のため、高単価帯の設備で価値を訴求する方が流れに沿います。さらに、伸びているサブカテゴリ(トイレ用設備や電設・配管などの工事用資材)を起点に営業先・販路の優先順位を組み替え、月次の前年同月比で変化を追います。この把握から営業戦略の策定までを、Nint ECommerceはカテゴリ・価格帯・メーカー単位の売上推計で支援します。
よくある質問(FAQ)
Q1. 建材・住宅設備のEC市場規模はどのくらいですか?
A. 主要ECモールの同ジャンルでは、2026年2〜4月の3ヶ月で推計GMV約96.4億円(前年同期比+約20%)でした。販売点数は減る一方、平均単価が約2.3倍に上昇しています(Nint ECommerce調べ・推計値)。
Q2. EC化が進んでいるのはどのカテゴリですか?
A. 水回りの住宅設備(トイレ・キッチン・浴室・洗面)がGMVの過半を占めます。伸び率では電設資材(+約44%)・配管資材(+約59%)などプロ向けの工事用資材が最も鋭く伸びています(Nint ECommerce調べ・推計値)。
Q3. なぜ販売点数が減ったのに市場は伸びているのですか?
A. 低価格のDIY小物の単品購入が減り、高単価の住宅設備をまとめて調達する購買へと移ったためです。1点あたりの単価が上がり、点数が減ってもGMVは増加しました。GMVの約7割は1万円以上です(Nint ECommerce調べ・推計値)。
Q4. このデータの出典と対象期間を教えてください。
A. 主要ECモール(楽天・Amazon・Yahoo!ショッピング 等)の売上を独自アルゴリズムで推計したNint ECommerceの売上推計データです(Nint ECommerce調べ・推計値)。対象期間は2026年2〜4月、前年同期は2025年2〜4月で、数値はいずれも推計値です。
まとめと、より深く分析するためのヒント
木材・建築資材・設備のEC市場は、点数の減少と市場拡大が同時に進む「単価が上がるEC化」のフェーズにあります。要点は以下のとおりです。
- 推計GMVは約96.4億円(+約20%)だが販売点数は▲約49%、平均単価は約2.3倍と単価が市場を押し上げた。
- 牽引役は木材ではなく水回りの住宅設備(トイレ・キッチン・浴室・洗面)で、過半を占有。
- 伸び率では電設・配管などプロ向け工事用資材が最も鋭く、GMVの約7割が1万円以上の高単価帯。
市場の現在地は、カテゴリ・価格帯・メーカー単位まで分解して初めて打ち手につながります。Nint ECommerceでは、主要ECモールの売上推計をもとに自社カテゴリの規模と成長率、上位メーカーのシェアと参入余地、価格帯ごとの売れ筋を継続的に追えます。年1回の業界統計では捉えられない直近の変化を把握する起点としてご活用ください。
関連サービス・資料
執筆者の視点
数字を眺めて最初に引っかかったのは、点数が半分近くまで減っているのに市場は伸びている、という一点でした。建材は「EC化が遅れている」と語られがちですが、実際に動いているのは件数ではなく単価で、水回り設備や電設・配管といった「現場で使う高単価品」がオンライン調達に乗り始めています。安いものを数多く売る市場から、必要な設備をまとめて仕入れる市場へと、買い手の使い方が変わってきたというのが、データを通して受けた率直な感触です。
対象期間: 2026年2〜4月(3ヶ月)/データソース: Nint ECommerce(推計値)/対象カテゴリ: 木材・建築資材・設備
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
note:https://note.com/nint_ecommerce
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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