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<Nintが推計>2023年、3大ECモールで一番売れた商品は? 売上総合No.1商品が決定!

~ショップ単位でのNo.1販売商品をチェック!2023年のトレンドを考える!~

こんにちは、Nintデータアナリストの山本です。

今年も残すところ僅かとなりました!
あと〇〇日で仕事納めか・・などと思いながら忙しい日々を過ごしている方も多いのではないでしょうか。
また、この時期になると一年を振り返る機会も多くなり、2023年はどんな年だったのかと聞かれたり、聞く機会も増えるのではないでしょうか。
筆者もEC市場に関わり、情報を発信させていただいている身として、社内・社外の方から、「(EC市場では)どんな商品が売れたのか」「(EC市場の)どのようなジャンルが好調だったのか」と聞かれる機会が増えてきております。

そこで今回は、EC市場の市場動向を見る上で外せない国内の3大ECモール(楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング)において、2023年(1月~11月)の期間に「何が」一番売れたのか。Nint ECommerceを用いて3大ECモールをまとめて集計し、売上TOP10商品をランキング形式でまとめます。(※Nint推計データによる)  
国内の約7割の売上を占める、3大ECモールの売れ筋商品を見ていくことで、2023年の国内EC市場における「トレンド」を見ていきたいと思います。
本企画、筆者が3大ECモールの売上推計データを提供する、株式会社Nintに入ってから是非実現したい内容でしたので、いつもの記事以上に熱が入っております!!
※売れ筋商品はショップのSKU単位で集計しております。

では早速確認していきたいと思います!

本記事のポイント3点
1. 2023年の売上TOP10商品から見える「シューズ」需要!
2. 2022年の売上TOP10商品から見える「自宅」需要!
3. 2022年・2023年から見える共通点は「ゲーム機」! 相違点は「内需」「外需」!

2023年のTOP10ランキング

本調査の調査方法に関して以下の定義で調査をしました。

【調査定義】

期間:2023年1月~2023年11月末
ジャンル:3大ECモールの全ジャンル対象
集計方法:モール毎に、各月の第一階層における、売上上位300品を集計。集計後、各モールの 集計結果を合算し、一つにまとめたうえで「降順」でソート。ランキング集計とした。
備考:ランキングは、ショップで販売される1SKU単位での集計です。(商品単品単位ではありません)同一商品でも、別ショップで売上上位となった場合、今回のランキングに登場します。※その際同一商品に関してはアルファベットが同じになります。

2023年最も売れた商品は、家庭用ゲーム機!

この調査により、2023年1月~11月の期間においてショップSKU単位で最も売れた商品が判明しました。結果は以下の通りです。

図1:2023年1月~11月 3大ECモールショップSKU単位売上ランキングTOP10

本年の1位は家庭用ゲーム機本体Aという結果になりました。家庭用ゲーム機Aは1位、3位にランクインしており、昨今言われるゲーム離れとは異なる結果が現れております。好調な要因としては、昨年度までは半導体不足等の原因により、ゲーム機本体においても2022年では「需要」が「供給」を上回っていたことが考えられます。
2023年になり半導体不足解消の目途がたち、供給量が増加したことで購買が進み今回の結果となったことが考えられます。実際に週刊ファミ通調べによる、家庭用ゲーム機(ニンテンドー3DS、 Nintendo Switch 、プレイステーション4、プレイステーション5、Xbox Series X/S)の販売台数は、2023年12月9日の集計段階で昨年度の販売台数の101%と2023年の12月中下旬の販売を待たずに、すでに前年の販売台数を超えております。

家庭用ゲーム機が売れた背景

需要増加のその他の要因として、ゲーム機に対応する「ソフト」が充実してきていることも挙げられます。日本におけるゲーム市場は、「ファミ通ゲーム白書」によると、2022年で2兆316億円となっており、2020年以降2兆円を超える市場規模となっております。内訳は、「オンラインプラットフォーム」が市場の約8割を占め、家庭用ゲーム機と家庭用ソフト(パッケージ版)が残りの約2割です。近年、家庭用ゲーム機とパッケージ版のソフトの売上は横ばい傾向ですが、「ダウンロード版」の需要が増えていることで、家庭用ゲーム機市場も増加傾向となっています。また、今回の集計が「売上」で集計していることも影響している可能性があります。家庭用ゲーム機は単価が数万円と高い商品となるため、1個あたりの販売による売上への影響が大きい商品です。これらの要因が重なることで、家庭用ゲーム機が上位にランクインしていると考えられます。

複数ランキングに食い込んだ注目商品はスニーカー

注目は2・6・7位にランクインしたスニーカー(同一メーカーA社)ではないでしょうか。靴は服と同様に、試着をした上での購入の傾向が強い商品です。2023年はコロナ禍も終息を迎え、外出に関しての規制がほぼ皆無の年でした。そのような行動制限・外出制限がない環境下であれば、靴や服に関しては、オフライン市場で購入される傾向が高くなると予想される中で、EC市場の2023年売上TOP10商品ランキングで、スニーカーが3品もランクインしております。

なぜここまでEC市場で靴が購入されたのか。いくつか要因を考えたいと思います。

一つ目は、靴専門店の減少です。2021年に発表された、経済センサス‐活動調査によると2021年の靴店舗数はチェーン店も含め5,083店舗であり、2016年と比較すると82%と縮小しています。店舗数は2016年から2021年の5年間で1,124店舗減っている状況です。
2021年の調査時における、靴店舗の内訳は、全国チェーン店舗が約6割で、3009店舗、中小規模の店舗が約4割で2074店舗です。2021年から2023年においてのデータはありませんが、オフライン市場における靴の需要に関しては、コロナ禍の影響を強く受けた(外出自粛などで使用機会の減少による影響など)と考えられます。
多くの企業がコロナ禍の影響により苦戦する中で、2023年においてオフラインの靴店舗数は横ばい、もしくは減少傾向が続いていると考えられます。実際に大手チェーン店のIR報告を確認すると、閉鎖店舗数が新規店舗数を上回るなど、収益改善を進める傾向もみられます。
2023年、国内ではアフターコロナの時代を迎えましたが、店舗数の減少による影響により、オフラインで靴を購入する機会が減少してしまったことが考えられます。

二つ目は、ECの定着が考えられます。経済産業省が発表した「電子商取引に関する市場調査」によると、2022年度の衣類・服飾雑貨等のEC化率は「21.56%」と2021年度から+0.41ポイントとなり、確実にEC化が進んでおります。該当ジャンルには、服飾雑貨を含むため一概に靴のEC化率とは判断できませんが、全体平均のEC化率が9.13%のなか、21.56%と高いジャンルであるため、 ジャンル内に含まれる靴も、全体平均より高いEC化率である可能性が考えられます。 購入すると自宅まで届く点や、品数が多く準備でき、サイズも店舗とは異なり(品切れ・入荷などはあるが)どのようなサイズでも注文・購入が可能である点が消費者のニーズと合致しているのかもしれません。また、靴はオフライン店舗で購入すると、(靴を)履き替える・履き替えないどちらでも、必ず荷物となります。しかも想像以上に重いです。しかし、ECで購入するとそれらの荷物を持ち運ばなくてもよい点があり、ECでの購入の利便さをより引き立たせております。サイズに関しても、服とは異なり大きくずれる心配も少ない点、イメージがつきやすい点などがECでの購入に踏み切るきっかけとなり、購買へと繋がっているのかもしれません。

三つ目は、アフターコロナによる外出機会の増加です。外出機会が増加することで、上記一つ目、二つ目の理由により、ECでの購入機会が増加、結果としてランキング上位にスニーカーが入る結果となっているのではないでしょうか。

四つ目は世間的なスニーカーブームの影響です。リセールバリューも高く、投資目的にも繋がるとして、世間では「スニーカーブーム」が起きていたことも今回スニーカーの販売を後押しした要因と考えられます。


裏付けするように、3大ECモールにおけるスニーカージャンルは2023年に急上昇しており、更にA社の売上構成比は上昇、3大ECモール市場において、その存在感を現わにしています。下記の図をご覧ください。3大ECモールのスニーカージャンル市場規模は、2022年まで毎年微増傾向で伸長しておりましたが、2023年になり、急上昇をしております。(※2023年は12月売上分を含まない)このことからも、2023年にEC市場で「スニーカーブーム」が起きたことは間違いなさそうです。また、今回A社ブランドの商品が3品ランクインしておりますが、メーカー売上構成比、メーカー売上推移を確認しても、「スニーカーブーム」の中でも特に「A社」のブランドが好まれて購入されたことが分かります。

図2:2019年~2023年  3大ECモールスニーカージャンル売上市場規模推移
図3:2019年~2023年  3大ECモールスニーカージャンルTOP5メーカー売上構成比推移
図4:2019年~2023年  3大ECモールスニーカージャンルTOP5メーカー売上推移

2023年の傾向は見えましたが、3大ECモールにおけるこの商品売上ランキングは2022年でも同様の傾向だったのでしょうか。おそらく異なるのではないでしょうか。
理由として、2023年はアフターコロナの1年目の年です。一方で、2022年のコロナ終息に向けた年となっており、消費者の商品マインドに違いが起きている可能性が高いためです。2022年の売上TOP10商品を確認し、2023年・2022年の違いを確認することで、消費者心理の変化を掴みます。

2022年のTOP10ランキング

それでは2022年も、2023年集計時と同様に2022年の1月~11月を対象に集計、ランキングを作成しましたので、早速確認していきたいと思います。

図5:2023年1月~11月 3大ECモールショップSKU単位売上ランキングTOP10

2022年のランキング1位は光脱毛器でした。2022年はコロナ禍による行動制限が緩和され、少しずつアフターコロナの時代へと向かう年でした。記憶に新しいのは、コロナ禍以来3年ぶりの行動制限のないゴールデンウィークではないでしょうか。一方で感染者数は大きく増加し、withコロナとしてどのように舵取りをしていくかを模索した年でした。
在宅ワークが続く一方、一部企業や学校ではオフラインでの出社や授業が始まりました。一方で感染者増から、「密」は避ける方針は大きくは変わらず、「密」になりやすいエステなどは人によっては、敬遠される状況でした。
光脱毛器のランクインはそうした「密」回避との一方で、「外出※人と会う」需要が起き始めていることに対して、自分で対応する「自宅ケア」需要が反映された結果ではないかと考えられます。
一方で、行動制限がなくなったことにより、「外出」への需要増加も見られます。
7位・10位にランクインした「コンタクトレンズ」は筆者同様、自宅では眼鏡を使用する一方、外出時はコンタクトレンズを使用するといった「外出※人と会う」需要の高まりによる影響により、ランクインを果たしたと考えられます。

2023年・2022年のランキングから見る、需要の変化

ここまで2023年、2022年のランキングから、各々の年を見てきましたが、両者を並べることで消費者心理の変化を掴んでいきたいと思います。

図6 2022年ランキング(左) 2023年ランキング(右)

2022年と2023年を比較すると、共通点、相違点がいくつか見られます。

共通点

  • 家庭用ゲーム機がランクイン
  • スマートフォンがランクイン
  • ワイヤレスイヤホンがランクイン

相違点

  • 2023年では、スニーカーなど外出時に使用する商品がランクイン
  • 2022年では、自宅で使用する自分メンテナンス商品がトップ

2022年は、アフターコロナに向けた準備期間。2023年は、アフターコロナ後の外出需要が現れた結果ではないかと考えられます。一方で、家庭用ゲーム機がどちらの年にもランクインしていることから、一定の内需の需要もありそうです。

注目点は、「数万円」する高単価な家庭用ゲーム機や光脱毛器がランキングトップになる点と、スニーカーのようなゲーム機などに比べると単価が1/3にも満たない商品が2023年にランキング2位、6位、7位となった点です。2022年のTOP10商品はいずれも平均単価が1万円を超える一方、2023年のTOP10商品は、10位に平均単価が1万円を切る商品がランクインしています。これは、「価格の2極化」が起きる可能性も示唆しています。しかし、一方で今回ランクインした商品すべてが、EC市場の全体の平均単価に比べれば約3倍以上高い状態です。価格に関しては今後どのように推移していくか、その動向を注視していく必要がありそうです。
今回は「売上」でまとめているため、平均単価の高さが販売数をカバーした結果、上位へランクインするという傾向が見えますが、売上TOP10商品の「販売数」でランキングを比較したら、2023年はスニーカーAが1位です。

2023年、3大ECモールで一番売れた商品まとめ

3大ECモールのランキング商品が2023年と2022年で、共通している点・異なる点がくっきりと見える結果になった今回の調査でした。
2023年は、供給が安定した「家庭用ゲーム機」がランキング1位商品となり、2位には高いEC化率を後押しとして、スニーカーがランクインしました。「内」と「外」の需要がはっきりと分かれた結果には、非常に興味深いものがあります。
2022年度は高まる外出需要へ向けての準備商品がランクインしたようです。2年目を迎える2024年は、2022年と2023年でランクインした商品の混合となるのか、それとも外出需要に特化し、服飾雑貨が上位を占めるのか、今から来年度のランキング結果が楽しみです。

今回は「売上」でのランキング記事ですが、次回記事では、「販売量」でのランキングを作成予定です! 両者の違いを確認することで、新しい発見があるかと思います!
次回の発信をお楽しみに!

備考

・今回調査にあたり抽出したジャンルは以下の通りです。

・Rakuten
全ジャンル第一階層

・Yahoo!ショッピング
全ジャンル第一階層

・Amazon
全ジャンル第一階層

調査対象:Nint推計データ

Nint推計データは、AIやクローリングなどの技術により⽇本国内の3⼤ECモールで販売される商品の売上⾦額・販売数量を⾼精度に推計したデータに、サイト内でのプロモーションデータ等を加えた、EC市場の総合的な分析を可能にするビッグデータです。

データ抽出期間
2022 年1⽉〜2023年11⽉(※本稿における Nint 推計データは 2023年10⽉時点のものを使⽤)

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【出典:「2023年、3大ECモールで一番売れた商品は? 売上総合No.1商品が決定!」(2023年12月15日公開)】

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■本記事について
作成:山本 真大(Masahiro Yamamoto) /デジタルマーケティングUnitアナリスト
編集:村上 咲(Saki Murakami)/ デジタルマーケティングUnitエディター
  :瀧坂 義尚(Yoshinao Takisaka)/デジタルマーケティングUnitユニットリーダー 兼ブログ監修

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