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国内3大ECモールの傘市場規模は、昨年比130%へ拡大中!



真夏のような暑い日差しが続く本年5月、全国各地で真夏日が記録され、東京都心でも17日に真夏日が観測されたのは記憶に新しいのではないでしょうか。真夏日とは、最高気温が30℃を越える日の事で、東京都心で5月中旬までに真夏日を迎えるのは実に2004年以来19年ぶり、2日連続の真夏日は観測史上初とのことです。また、一部地区では、真夏日を越える最高気温が35度以上の猛暑日になるなど、本格的な夏が確実に迫っております。気象庁が2023年2月21日に発表した、夏の天候の見通しでは、今年の夏(6月~8月)は沖縄を除く地域では、「平年並みか高い」見込みとなっており、今年の夏は暑さ対策および陽射し対策が例年以上に重要になりそうです。陽射し対策として浮かぶものとして、どのような物を浮かべるでしょうか?今回は夏季に最需要を迎える「傘」に関して、昨年度と一昨年度の動きと、直近の動向をまとめました。


※今回「傘」ジャンルとした背景は、雨晴兼用の製品も多いため、「傘」としてまとめました。



【目次】
1. 傘市場の現状と今後の展望
2. 傘市場の平均単価
3. 傘市場のメーカー比較
4. Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングで販売されている傘の種類や特徴
5. まとめ




1. 傘市場の現状と今後の展望

EC3大モールにおける、傘市場の需要はいつ高まるのでしょうか?下記にNintECommerceを使った売上推移を記載しました。昨年度2022年においては、「日傘」は5月から6月にかけて上昇し、7月にピークを迎えております。一方で、雨傘に関しては、6月がピークであることがわかります。
※この他にも、晴雨兼用傘などもありますが、今回は割愛致します。興味がありましたらぜひお問い合わせください。

市場が上昇し始める5月からピークの7月までのAmazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングの3モールの売上について確認しました。

2023年5月時点のNint推計データによると、2022年5月〜7月の傘ジャンルは前年同時期(2021年度の5月〜7月)と比較し、130%へと急速に拡大しています。これは一昨年よりも昨年度の方が、人の動きが増えたことや、近年の中では昨年度は梅雨明けが早く、本格的な夏が早く来た事による影響ではないかと考えられます。

2023年はより人の移動が活発化し、気温も例年並みかそれ以上とのことなので、今年も昨年同様に7月にかけてヤマが出来ていくのではないかと考えております。また、2023年度の市場規模は、当社のAI分析を踏まえると、高止まりとの予想結果も出ております。今後EC市場での需要がピークを迎えるにあたり、目が離せないジャンルとなっております。

各モールを観察するとAmazonの売上は縮小しております。その要因はサブジャンルである「長傘」の売上が、前年94.2%と苦戦したこととが大きな要因となっております。一方で、「折りたたみ傘」は前年比で1.3倍と大きく伸長しており、市場として長傘需要の低下が窺える結果となっております。

楽天市場の売上は急速に拡大しております。その要因はサブジャンルの「日傘」と「晴雨兼用傘」が前年比の140%以上に伸長したことが要因です。 中でも「日傘」の成長率は非常に高く、このことからも日傘需要と天候・気温は密接に影響していると考えられます。一方で「雨傘」は前年を下回る結果となっております。こちらに関しても、昨年度の天候・気温が影響している可能性が考えられます。

Yahoo!ショッピングの売上は急速に拡大しております。その要因は楽天市場同様、「日傘」と「晴雨兼用傘」が好調に推移した結果です。楽天市場・Yahoo!ショッピングの共通の点として「晴雨兼用傘」の好調により、「雨傘」が苦戦したという点です。これは、機能性として雨天時もカバーできる商品の需要が、雨に特化した商品の需要より高い可能性を示唆している可能性があります。一方で、売上には品揃え数も影響を与えるため、ジャンルの売上だけではなく、そのアイテム数などをより深く確認し、判断する必要があります。

図:Nintの考える売上方程式


2. 傘市場の平均単価

平均単価は3,354円と前年同時期比で122%へと低単価商品の売上が減少したため大幅に上昇しております。

特に楽天市場、日傘ジャンルにおいて、メーカーのA社が傘ジャンル全体の単価上昇599円の内、106円の単価上昇に貢献しております。また、日傘ジャンルはその単価が4,400円と高く、その売上構成比が増えたことにより、全体の価格上昇に貢献しています。その背景には1万円を超える、折りたたみタイプの日傘の販売数が上昇、売上構成比を上昇させており、結果として単価上昇へと繋がっております。今後の平均単価は、AI分析を踏まえると、横ばいとの結果となりました。

3. 傘市場のメーカー比較

昨年売上シェア1位のメーカーA社の売上は92%へと縮小しております。その要因は売上シェア2位のB社がそのシェアを増加したことが考えられます。B社は、夏場に向け、2月・3月より販売不振商品を終売し、新製品の投入を行っております。結果として新製品が好調に立ち上がり、需要ピーク時の5月〜7月において大きな売上を生み出す結果となり、A社が前年割れをする結果になったと考えられます。

一番売上を拡大したのはC社で売上は213%へと急速に拡大しております。平均単価と販売数量がともに増加しております。特に販売数量は需要ピーク時の7月にかけて大きく上昇することに成功しており、7月単月での販売量を前年と比較すると、200%以上の販売量となっております。

4. Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングで販売されている傘の種類や特徴

2021年の該当時期、2022年度の該当時期、そして、2023年5月17日時点での3モールの売れ筋TOP30を確認、その商品名や特徴を5つまとめました。

◆2021年の特徴(★印は2022年、直近(5月17日時点)も同様の傾向)
1. 自動開閉機能★
 殆どの傘には、自動で開閉できる機能があります。これは、利便性を向上させ、利用者にとって扱いやすいという利点があります。

2. 晴雨兼用★
 多くの商品は、雨天時だけでなく、晴天時の日除けとしても使用できる晴雨兼用仕様です。UVカットや遮光機能を持つ製品も多く見受けられます。

3. 耐風性★
 強風に耐える能力を強調した商品が多く、10本骨、12本骨、24本骨などの製品が見受けられました。これらは、風によるダメージを防ぐことができます。

4. 軽量性・大きさ★
 製品は、軽量性と耐久性を兼ね備えた設計になっています。大きいサイズの傘も多く、一部の商品ではサイズが明確に強調されています。

5. 逆さ傘
 一部の商品には逆さまに開く機能があり、これは雨水を傘の内側に留め、雨水が広がるのを防ぐという利点があります。

◆2022年の特徴(2021年との違いのみ記載)
1. 撥水・超撥水加工の訴求強化
撥水加工や超撥水加工が施された商品が多く見受けられます。これにより、傘がすぐに乾くので濡れたままの傘を持ち歩く必要がなくなります。

2. 男女兼用を謳った商品の増加
多くの商品が男女兼用となっており、性別に関わらず使える汎用性の高さをアピールしています。

◆直近(5月17日時点)の特徴
1.製品のバリエーションについて記載
 売れ筋商品は、製品の色や、バリエーションなど、機能性よりも見た目に関して触れている 製品が目立ちました。

2.遮光などの直接的な言葉が少ない
現段会では、1.のように、色や、バリエーションについての記載が多く、直接「日射」を連想させるようなワードはあまり使用されておりませんでした。
2021年と、2022年の比較から見ると、売れ筋商品の特徴や、謳い文句に大きな変化は見られませんでした。直近の売れ筋商品と、2022年の5月~7月の売れ筋商品との比較では、2022年では「撥水・軽量」などの機能に関してより詳細に謳っている点、UV・遮光というワードが多く使われる点などが特徴のようです。

夏場に向けて、①:機能性をより強調する ②:UV・遮光などのワードを多く盛り込む点を意識し、商品機能として謳うことがポイントになる可能性があります。

5. まとめ

傘市場は夏場に向けてこれから一気にピークを迎えていきます。主力ジャンルは「日傘」「雨晴兼用」であり、折りたたみタイプが主力と言えます。ピークに近づけば近づくほど、「日光」「製品自体の機能性」を謳った方が消費者ニーズに合うようで、2021年・2022年と大きくそのワードのトレンドは変化してません。王道の商品群が例年通りそのまま売上をあげていくのか、それとも全く新しいコンセプトの製品が登場し、市場に新たなイノベーションを起こすようなことが起きるのか、今後の動向が気になります。






作成者
山本 真大(Yamamoto Masahiro, Marketing Div.マーケティングUnit)
編集者
Nint Blog 編集長 加藤 洋平(Kato Yohei, ERP Div.カスタマーサクセスUnit)


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