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空気清浄機市場の現状は?世界と国内の動向やECで売れやすい時期について解説



新型コロナウイルス感染症の世界的大流行で売り上げが爆発的に伸びた家電の一つが空気清浄機です。家電を扱っている事業者やEC担当者の中には、これから空気清浄機のマーケットに参入を検討している方もおられるかもしれません。ただ、これまで同じように売上を維持できるのか不安もあるはずです。

ここでは、空気清浄機市場の国内外の動向を俯瞰し、今後の見通しを分析します。また、空気清浄機を含めた生活家電のEC化率についても説明します。



【目次】
▼空気清浄機市場の動向
└世界市場の動向
└国内市場の動向
▼空気清浄機を含む生活家電のEC化率
└生活家電のEC化率
└家電とECは相性が良い
▼空気清浄機の購買需要が高まるのはいつ?
▼空気清浄機の市場動向を踏まえて、販売戦略を策定

空気清浄機市場の動向

最初に空気清浄機市場の動向について解説します。

世界市場の動向

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済によると、世界市場における空気清浄機の出荷台数は2020年2,868万台で、前年比110.6%でした。2020年は世界的な新型コロナウイルス感染症流行により、空気質への意識が高まったことから需要が増加し、市場は大幅に拡大したものとみられます。

新型コロナウイルス感染症が徐々に収束する中、今後の動向が気になるところです。富士経済によると、今後は一部の国・地域で反動減が予想されるものの、普及率の低い東南アジアや欧州などでも需要が増加していくとみられ、市場は微増すると予想されるとのことです。そのため、2025年には、空気清浄機の出荷台数は3,015万台まで成長するといわれています。

なお、reportoceanによると、2021年の空気清浄機の世界市場規模は219億米ドルでした。同機関によると、2022年から2030年の予測期間中に7.9%の複合年間成長率(CAGR)を記録し、2030年には417億米ドルまで成長されると予測されています。

こうした空気清浄機の世界市場が今後も拡大することが予測される根拠として、中国やインドでは人口が急速に増加していること、新型コロナウイルス感染症感染症の拡大によって一般市民の空気質への意識が高まっていることが挙げられます。そのため、地域別ではアジア太平洋地域の空気清浄機市場が多くの市場シェアを占めると言われています。

さらに多くの国の政府が大気汚染の規制に力をいれていることも関係しているようです。政府主導で大気汚染防止キャンペーンなどが実施されるたびに、空気清浄機の販売業者には販路拡大のチャンスが訪れるといえます。

国内市場の動向

国内市場における空気清浄機の2020年の出荷台数は、358万6,000台でした。これは前年比176%で、過去最高の記録でした。世界的な動向と同様、2020年は世界的な新型コロナウイルス感染症流行により、空気質への意識が高まったことから需要が増加し、市場は大幅に拡大したと考えられます。

2021年度も以前健康志向は継続していた一方、徐々に新型コロナ感染症による需要増加も落ち着きを取り戻しつつあると考えられるため、2022年241万台で推移しました。

空気清浄機を含む生活家電のEC化率

コロナ禍で外出自粛が続いたこともあり、全体的にEC化が進みました。ここでは、特に空気清浄機を含む生活家電のEC化率について解説します。

生活家電のEC化率

経済産業省の統計によると、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」の2021年度のBtoC-EC市場規模は2兆4,584億円でした。2019年の1兆8,239億円、2020年の2兆3,489億円からさらに増大しました。

また、「生活家電、AV 機器、PC・周辺機器等」の2020年時点でのEC化率は37.45%であり、これも2019年の32.75%、2020年の37.45%に比べて、さらに上昇しています。市場規模全体が大きくなっているにも関わらず、EC化率もそれに伴い上昇している点は注目に値するといえるでしょう。これは、物販系分野の中では、「書籍、映像・音楽ソフト」の46.20%に次ぐEC化率の高さです。

家電とECは相性が良い

空気清浄機を含む家電のEC化率が進んでいる理由はどこにあるのでしょうか?ここでは、以下の2点の理由を挙げます。


・持ち帰りの手間が省ける 家電のEC化が進んでいる理由の1つは、持ち帰りの手間が省けることです。

ECサイトを利用しなければ、大型家電量販店で買い物をすることになると思います。その場合、まず足を運ぶ手間がかかりますし、さらに大型家電であれば持ち帰るのが大変です。購入した商品が冷蔵庫や洗濯機などであれば、自家用車ではまず持ち帰ることができないため、店舗に配送を依頼することになるでしょう。その場合、配送料が別途かかることもあり、安く購入できたように思えたとしても、結局はECサイトで購入した方が良かったということにもなりかねません。

実際、最近ではECサイトで注文しても翌日には配送されることがほとんどで、場合によっては当日配送のサービスを実施しているサイトもあります。つまり、注文して商品が手元に届くまでの時間があまりかからないのです。


・量産品なので、どこのお店で買っても品質に違いが出ない 家電のEC化が進んでいる別の理由は、量産品であり、どこのお店で買っても品質に差がでないということです。

食料品や衣料品と異なり、家電の機能や品質はネット上で比較することが可能です。家電の性能を解説してくれる動画や比較サイトも多くあります。また、大手家電量販店でも消費者のショールーミングを推奨する動きがあります。ショールーミングとは、消費者が実店舗に足を運び、製品を比較したのち、購入はオンラインで済ませることをいいます。


このように、消費者が商品比較をするさまざまな方法があることも、EC化率を向上させる要因になっていることが考えられます。

空気清浄機の購買需要が高まるのはいつ?

EC担当者の方が気になるのは、今後の空気清浄機の購買需要の動向でしょう。ここでは、データを元に分析します。
2020年以降、3大モールの空気清浄機ジャンルの売上は減少傾向です。ただし、モール別に見ると、楽天のみ上昇傾向となっております。
販売数量は2021年が最も多くなっており、売上とは異なる推移をしております。平均単価は売上と同じく減少傾向となっており、直近3年間の売上の減少は単価の減少に起因するものと思われます。
今後については、平均単価は推計値を元にした当社のAI分析を踏まえると横ばいとの結果になり、売上も同じく横ばいとの結果となっております。

空気清浄機の市場動向を踏まえて、販売戦略を策定

新型コロナウイルス感染症拡大で爆発的に拡大した空気清浄機の市場ですが、清潔・健康を重視する傾向は今後も維持されることでしょう。今後も国内外の空気清浄機の出荷は堅調であることが予想されます。こうした市場動向を踏まえて、EC担当者の方は自社の販売戦略を策定しましょう。


作成者
趙 恵善(Cho Hyesun, ERP Div.マーケティングUnit)
編集者
Nint Blog 編集長 加藤 洋平(Kato Yohei, ERP Div.カスタマーサクセスUnit)


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