ネットショップの仕入れ方法｜仕入れの流れや必要な手続き、ポイント

インターネットの普及にともない、誰でも簡単に商品が販売できるツールが数多く提供されており、ネットショップを開設する人が増えています。
店舗を構えての運営とは異なり、初期費用やショップ運営に必要な資金が少額で済むうえ、副業として始められる手軽さが魅力です。

しかしネットショップ開設を検討する際、コンセプト決めや仕入れ商品、仕入れ方法の選定における注意点を知らなければ、売り上げにつながらない可能性があります。
特に商品の仕入れは経営において非常に重要なポイントであるため、ネットショップにおける商品の仕入れ方法や必要な許可についてチェックしましょう。

ネットショップ仕入れの基本の流れ

初めてネットショップを開業する際、商品の仕入れ方法がわからない人もいるでしょう。まず、商品の仕入れ先を選定するまでの基本的な流れから把握します。

Step1.自社のネットショップのコンセプトを整理する

仕入れを行う前に、自社のネットショップのコンセプトや強みを確立させましょう。具体的には、他店では取り扱っていない「ニッチな商品を取り扱う」、「高価だが質の良いものだけを販売する」など、顧客が自社のネットショップを利用してくれる理由を明確にします。

Step2.市場や競合を確認して販売する商品を決める

コンセプトを定めた後、販売する商品や商材を決めることが一般的です。
すでに売りたい商品がある場合は、自分と同じジャンルを扱う競合や市場を調査し、売りやすさや利益の出しやすさを確認します。競合や市場の分析から、利益が出やすいという基準で売る商品を決めてもいいでしょう。

Step3.仕入れ先や仕入れ方法を決める

商品が決まったら、できるだけ安くかつ長く取引できる仕入れ先を探しましょう。
コストと手間を抑えやすいショップとしては、ネットでのみ発注ができる「ネットショップ限定の仕入れサイト」などが挙げられます。また毎年行われる国内最大級の見本市や展示会へ出向き、商品を吟味し仕入れ先を決める方法もあります。

ネットショップの仕入れ方法9選

ネットショップ運営の成功のカギを握るのは商品の仕入れです。インターネットの普及により商品の販売方法や取引が多様化しているため、自社にあった仕入れ方法を見つけましょう。

インターネットの仕入れサービスを利用する

会員登録をすれば、インターネットで商品が仕入れられるサービスがあります。取り扱う商品のジャンルにより品揃えが特化しているサイトがあるため、よく吟味することが大切です。

仕入れ専門のサイトなため、定価ではなく卸価格で仕入れられます。ただしサイトによっては個人事業主または一般消費者では登録できないサイトもあるため注意が必要です。

サイトの例：

スーパーデリバリー	3,000社以上の企業が出展している大手の仕入れ専用サイトです。アパレル・生活雑貨・食料品まで幅広く扱っており、送料無料キャンペーンも随時行っています。また1点から仕入れられる商品もあるため、はじめてECサイトを立ち上げる人や小規模なECサイトの運営者にもおすすめです。
ネッシー	女性向けのアパレルグッズや雑貨などを多く取り揃えており、アウトレットやワケあり商品もあるため安く仕入れられます。クーポンがもらえるキャンペーンを随時行っているため、他サイトと商品を比較して、安ければ利用するという使い方もできます。
Cmall	中国の大手通販サイト「タオバオ」から商品を注文し、仕入れられるサイトです。多くの商品が非常に低価格で購入できるため、商品を大量に仕入れたい場合などに便利です。商品にトラブルがあっても、サポートセンターが日本語で早急に対応してくれるため安心です。

一般の卸問屋・問屋街を利用する

インターネットではなく、実際に店舗を構えて運営している卸問屋・問屋街から仕入れます。仕入れの担当者と直接会話をしたり、実際に商品を見たりできるメリットがあります。複数点以上でなければ商品が卸せないなど独自のルールが設けられている場合があるため、名刺を準備して商談に臨みましょう。

見本市や展示会などのイベントに出向く

東京ビッグサイトなどで、大手メーカーが集まって行われるさまざまな見本市や展示会が随時開催されています。そこへ出向き、仕入れ先を決める方法もあります。以下のような大規模なイベントへの参加がおすすめです。

有名な大型イベントの例：

東京インターナショナルギフトショー	日本最大級のパーソナルギフト・生活雑貨の国際見本市です。東京ビッグサイトで開催されることが多く、毎年3,000社以上もの企業が商品を出展します。国内雑貨や輸入商品など、ジャンルは多岐にわたります。
日本ホビーショー	手作りの商品や道具に特化した、大型の見本市です。毎年法人・個人あわせて200社以上が出店し、実際にハンドメイドを体験したり商品を購入したりできます。
イーコマースフェア　東京	ECサイト開業予定者を対象とした、運営をより便利にするためのツールや商品の紹介、セミナーが行われるイベントです。100社以上の企業が出展し、多くの商談成立やパートナー契約の締結が行われています。

リサイクルショップから仕入れる

フリマアプリや品揃えが豊富なリサイクルショップから商品を購入し、きれいに磨いたり修理したりして状態を整えてから販売します。ただし、リサイクルショップから購入したものを法人または業者として販売する場合は「古物商許可」が必要です。
また未使用品や未開封品を販売する際にも古物商許可が必要で、警察署へ届け出ることで取得できます。

メーカーから直接仕入れを行う

扱いたい商品が定まっていれば、メーカーやハンドメイドの作家に問い合わせて直接仕入れられます。電話かメールで問い合わせる方法が一般的です。また、見本市やイベントに出向いて直接担当者と会話すれば、スムーズに交渉できるでしょう。

海外のマーケットから直接仕入れる

商品が届くまでに日数がかかりますが、大手の海外サイトから直接購入すれば、日本で未発売の製品やブランドが安く仕入れられます。他店ではあまり見かけない商品が扱えるメリットがありますが、日本語対応になっていないサイトがほとんどです。注文の代行業者を利用すると手数料がかかるため、Google翻訳など和訳ができるツールを利用しながら商品を仕入れましょう。
例えば大手の海外通販サイトには以下のようなものがあります。

Alibaba	利用者が8億4,000万人以上もいる中国の大手通販サイトです。ニュースでもたびたび目にするくらい世界的に有名で、日本語対応のサイトもあります。工場が商品を直接卸して販売しているため、低価格で購入できます。
GMarket	韓国の大手通販サイトで、女性に人気の韓国コスメやアイテムが安く仕入れられます。海外商品の購入は送料が割高というデメリットがありますが、韓国は日本と距離が近いため、送料を抑えて仕入れられるでしょう。
ebay	190か国に展開されている、アメリカの大手通販サイトで日本語対応のサポートやサイトもあります。日本ではあまり見られない商品が仕入れられ、ebayにて個人で購入して販売し月収100万円稼いでいる人もいます。

ドロップシッピング（無在庫販売）を利用する

ドロップシッピングとは、商品の在庫を持たずに販売することです。ESサイトの運営者が広告を出し、顧客からの注文がメーカーや卸売業者へ直接届きます。注文を受けたメーカーや卸売業者が顧客へ商品を発送する仕組みです。ドロップシッピングなら過剰在庫リスクが減らせ、在庫管理も不要です。広告に掲載している販売価格から仕入れ値と送料などの経費を引いた金額が利益になります。

自社製品を開発・受注生産する

オリジナルブランドを立ち上げ、商品開発から生産・発送まですべて自社で行います。外部へ委託する手数料がかからないメリットがあり、受注生産すれば、余分な在庫を抱える心配が減らせます。他社の完成品や商品をオリジナル商品として販売するOEM（Original Equipment Manufacturer）を活用することもできます。

その他の仕入れ方法

オークションなどで珍しい商品を購入する方法があります。
また法人や組織で大規模な仕入れをする場合は、破産手続きをして倒産した会社や卸業者の過剰在庫を一括で仕入れる、または事業ごと買い取ることもできます。しかし多くの企業が専門の買い取り業者へ依頼するため、知り合いや伝手がなければ難しいでしょう。

ネットショップで必要となる仕入れに関連する手続きや許可

ネットショップの開業において注意したい点が、許可や手続きが必要な商品を売る場合です。無許可での販売が発覚すると、営業停止処分または罰金が科せられる場合があります。

食品の販売

個人または自社で食品を加工して販売する場合は、食品衛生責任者の資格や食品衛生法に基づく営業許可が必要です。例えば調理された食べ物、肉魚、乳製品などが当てはまりますが、農家から直送する場合や、加工品を仕入れてそのまま販売する場合は不要です。
ただし、仕入れた加工品を小分けにパッケージして販売する場合には許可が必要なのでご注意ください。

酒類の販売

酒類を取り扱う場合には、通信販売酒類小売業免許や一般酒類小売業免許が必要です。対象商品は、アルコール1％以上のもの（酒税法の対象のもの）およびみりん（14％程度）などの調味料です。店舗で酒類を扱う場合は一般酒類小売業免許が必要ですが、ネットショップの場合は通信販売酒類小売業免許の取得が必要です。許可を取得するには、8,000円～10,000円程度の費用を支払い、毎月行われる実務講習会への参加が必要です。
許可を取得するには、税務署に届けを提出し審査を受け、審査通過後に3万円の登録免許税を支払えば付与されます。

タバコの販売

たばこを販売するためには、店舗販売と同様に製造たばこの小売販売業の許可が必要です。必要書類をお近くの日本たばこ産業株式会社の支社へ送付し、受理後に1万5,000円の登録免許税を納付すれば手続きが完了します。
また対面での販売とは異なり、購入者が成人であるかの確認ができないため、財務省から以下の条件が追加されています。
”あらかじめ公的な証明書により購入希望者が20歳以上の者であることの確認を行った上で、当該購入希望者が当該証明書に記載された者と同一の者であることを確認して販売することを小売販売業の許可の条件とする”

引用：財務省https://www.mof.go.jp/policy/tab_salt/tobacco/internet_tetsuduki.pdf

運転免許証などの公的証明書をあらかじめ提示してもらい、購入するたびに生年月日や住所などの個人情報を申告してもらうなどの対処をしましょう。つまり、提示された免許証と購入者が同一人物であることがわかる処置が必要です。

化粧品の販売

ネットショップで化粧品を販売する際も許可が必要です。また化粧品には医薬部外品のカテゴリーに含まれる商品があり、それぞれ医薬品医療機器等法にて以下のように定められています。

「医薬部外品」とは、次にあげるものであって 人体に対する作用が緩和なもの

・吐きけ その他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
・あせも、ただれ等の防止
・脱毛の防止、育毛又は除毛

”「化粧品」は「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう」”

引用：e-gov法令検索
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000145

上記の定義に当てはまる商品を販売する際は、以下の許可が必要です。

化粧品製造業許可	化粧品を製造するために必要な許可証です。製造から保管まで行う際に必要ですが、輸入化粧品に日本語のラベルを貼り付けて販売する場合も、当許可が必要です。
化粧品製造販売業許可	店舗およびインターネット上で化粧品を販売する場合に必要な許可証です。自作のせっけんや化粧品を販売する場合や、輸入品に日本語のラベルを貼り付ける作業が発生する場合は、化粧品製造業許可も併せて必要です。

輸入品の販売

海外から商品を輸入する際は必ず関税の支払いが必要で、値段が高い商品ほど高い関税がかかります。雑貨などの商品は、税関へ申告し関税を支払えばそのまま販売できます。
しかし以下の商品を販売する場合は、それぞれ法令に沿った許可が別途必要です。

※確認すべき法律の一部を掲載

食料品（野菜・果物・穀物等）	食品衛生法・食品表示法・健康増進法・JAS法・植物防疫法
食料品（精肉・食肉加工品・魚介類）	食品衛生法・外国為替及び外国貿易法・輸入貿易管理令・食品表示法・健康増進法・JAS法・家畜伝染病予防法・水産資源保護法
動植物	ワシントン条約・狂犬病予防法・鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律・特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律

しかし上記以外にも、商品ごとに確認すべき法律が非常に細かく定められているため、どの法律に当てはまっているか1つ1つの商品を確認したほうがいいでしょう。

中古品の販売

中古品を販売する際は、古物商の許可が必要です。許可が必要な中古品の定義は以下があります。

・誰かが一度でも使用したもの
・未開封、未使用でも一度消費者の手に渡ったもの
・メンテナンスを受けたもの

上記に当てはまる物を販売する際は所轄の警察署へ出向き、渡される申請書と誓約書に必要事項を記載して提出すれば、手続きは完了です。

ネットショップの仕入れを成功させるためのポイント

ネットショップは売り手も買い手も気軽に利用できることから、参入者が増加し、ほぼレッドオーシャン化しています。そのなかで売り上げを得て成功するには、事前のリサーチが重要です。

市場調査を行い利益が出る仕入れ値を把握しておく

市場調査を行い、対象商品の相場をリサーチしておきましょう。競合が多いジャンルを取り扱うなら、価格競争にも打ち勝つ必要があります。そのため利益率や、利益が高い金額で仕入れられるか見極めます。
利益率の目安は、中小企業庁が発表している「中小企業実態基本調査」の同業種、同規模の数値で確認するのがおすすめです。

競合と差別化できる商品を仕入れる

売りたい商品のジャンルが定まっている場合は、類似商品を取り扱う競合ショップと差別化を図る必要があります。例えば、流行りの商品をどこよりも早く仕入れる、国内では発売されていない商品を海外から仕入れるなど、自社の強みを確立させます。特に輸入品の取り扱いは非常にハードルが高いため、実施しているネットショップは少数です。
このようにリスクが高く、取り組んでいる人が少ないことに注目するのも手でしょう。

過剰在庫を防ぐために販売数と在庫の管理をする

在庫を必要以上に抱えた状況が続くと、保管場所の費用や在庫管理の手間が発生します。特に食料品を扱う場合は賞味期限があるため、売れ残った商品は長期間保存できず処分する必要があります。

過剰在庫を防ぐには、仕入れる量と販売する量を可視化する方法が効果的です。正確に把握することが大切なので、手書きで管理するよりもパソコンやスマートフォンでダウンロードして使用できる在庫管理ツールの利用がおすすめです。また受注生産や受注発注、ドロップシッピング（無在庫販売）を利用すれば、過剰在庫が抑えられます。

ネットショップの仕入れは相場と市場のリサーチから

ネットショップを運営する際は、利益分が大きくなるようできるだけ安い価格で仕入れることが重要です。インターネットの普及から仕入れる方法は多様化しており、卸売業者から直接仕入れる方法から卸サイトを利用する方法まであります。さらにドロップシッピングを利用すれば、商品の生産から発送まで行う工場へ直接注文が行くため、過剰在庫問題が解決できます。

商品仕入れのコツは、適切な仕入れ価格を見極め、あらかじめ相場や市場をリサーチすることです。相場がわかれば適切な仕入金額が見極めやすく、市場がわかれば競合他社との差別化を図る際に役立ちます。

ネットショップにはまだ多くの可能性が含まれているため、どこにも真似できない独自性の高い運営を目指しましょう。