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ECサイト分析の6つの手順|売上アップに必要な17の指標(KPI)

#EC #データ分析 #KPI

自社でECサイトを運営している場合、定期的に見直し、改善する必要があります。見直すにはKPI(指標)を算出して分析に用いると良いでしょう。アクセス状況や離脱率など、KPIの種類は多いです。ECサイトを分析する背景や達成したい目的を明確にしたうえで、適切なKPIを算出しましょう。

背景や目的が曖昧なままでは、主旨とは異なるデータ分析や、誤った改善策を出す可能性があります。

ECサイトに分析が必要な理由

ECサイトの売上向上に分析は欠かせません。なぜならECサイトを分析すれば、現状を把握できるからです。

ECサイトの「現状」とは、サイトを使用したユーザー数、人気商品、サイト内におけるユーザーの行動などが挙げられます。実店舗のビジネスよりも情報を収集・分析しやすいのがeコマースやECサイトの強みでもあります。

またECサイトを分析すれば、ランディングページやサイトの課題点が発見でき解決策が立てられます。課題点の発見と課題解決を繰り返せば、質の高いサイトが構築できるでしょう。

ECサイト分析に必要な17の指標(KPI)と算出方法

ECサイトは、売上高やCVR(コンバージョン率)など17つの指標(KPI)を算出して分析できます。ほとんどの指標は計算式に当てはめて算出できますが、アクセス分析ツールを用いなければできない指標(KPI)もあります。

ECサイトを分析するなら、分析する目的にあった指標(KPI)を算出し、解析・分析する方法がおすすめです。それぞれの指標(KPI)の出し方は以下の通りです。

ECサイト分析に必要な主な指標(KPI)

※算出方法が「―」となっている指標は計算式で求められないものです。

指標概要算出方法
売上高商品やサービスを販売、提供することで得られる売上の総額アクセス数 × コンバージョン率 × 客単価
利益率売上高に対する利益の割合を示す指標(利益 ÷ 売上)× 100
セッション数ECサイトに訪れたユーザーの訪問者数
アクセス数ECサイトを閲覧したユーザーの人数
流入チャネルECサイトに訪れたユーザーの流入経路
ユーザー属性ユーザーのプロフィールや特徴
客単価ユーザーがECサイトにおいて購入する金額の平均売上 ÷ 客数
回遊率ユーザーによる1回の訪問ごとのPV数PV数 ÷ ECサイトへの訪問数
直帰率ECサイトへ訪れてから1ページしか閲覧しなかったセッション数直帰数 ÷ セッション数
× 100
離脱率対象のページを閲覧して離脱したユーザーの割合離脱数 ÷ PV数 × 100
カゴ落ち率ユーザーがECサイトで製品をカゴに入れた後、購入せずサイトから離脱した割合カゴ落ちしたユーザー数 ÷ カートに商品を入れたユーザー数 × 100
LTV(顧客生涯価値)一人の顧客が一定期間内にもたらしてくれる利益の大きさ平均購入単価 × 粗利率 × 平均購入頻度 × 平均継続期間
CVR(コンバージョン率)ECサイトを訪れたユーザーのうち、製品の購入または成約に至ったユーザー数の割合製品の購入者数 ÷ アクセス数 × 100
CTR(クリック率)対象の広告をユーザーがクリックした割合クリック数 ÷ 広告の表示回数 × 100
CPC(クリック単価)クリックされるごとに発生する広告費広告費 ÷ 広告のクリック数
CPA(顧客獲得単価)製品が1つ売れるまでにかかった広告費用広告費 ÷ 製品を購入した人数
ROAS(費用対効果)かかった広告費に対する費用対効果(売上 ÷ 広告費) × 100

売上高

売上高とは、商品やサービスの提供によって得た利益のことです。売上高から売上原価を引くと、売上総利益(粗利益)が求められます。

・売上高の算出方法
 アクセス数 × コンバージョン率 × 顧客単価

アクセス数10万人、コンバージョン率3%、顧客単価5,000円の場合
10万人 × 3% × 5,000円 = 1,500万円 → 売上高

利益率

売上に対する利益の割合を表します。

・利益率の算出方法
 (利益 ÷ 売上)× 100

利益が100万円、売上が500万円の場合
( 100万円 ÷ 500万円 )× 100 = 20% → 利益率

セッション数

ユーザーが、ECサイトに訪れてサイトから離脱するまでの回数です。ユーザーがECサイトに訪れて離脱し、さらに2時間後にまたECサイトに訪れて離脱した場合は、セッション2となります。

※算出できる計算式がないため、分析ツールの活用が必要です。

アクセス数

ECサイトにアクセスした人数です。セッション数とほぼ同じ意味で用いられることが多く、訪問数やユニークユーザー数とも呼ばれます。

※算出できる計算式がないため、分析ツールの活用が必要です。

流入チャネル

ユーザーが、どのような経路をたどってECサイトへ訪問したかを表しています。流入チャネルを分析すれば、流入元やECサイトの広告を設置すべき場所がわかる他、集客するための仕組みを流入経路ごとに施せます。

※流入チャネルを出すには、分析ツールの活用が必要です。

ユーザー属性

ECサイトへ訪れるユーザーの特徴やプロフィールのことです。ユーザー属性には性別・年齢・居住地・使用デバイス・検索キーワードなどがあります。

※ユーザー属性を出して分析するには、分析ツールの活用が必要です。

顧客単価

ユーザーがECサイトへ訪問し、1回で購入する金額の平均を表しています。

・顧客単価の算出方法
 売上 ÷ 客数

1か月の売上が500万円、1か月に商品を購入した客数が100人の場合
500万円 ÷ 100人 = 5万円 → 顧客単価

回遊率

PV数 ÷ ECサイトへの訪問数

ユーザーが、ECサイトへ1回訪問するたびにどれだけのWebページを見ているかを表しています。回遊率が高いほど、多くのユーザーがECサイトでたくさんの商品ページを閲覧しているということです。

・回遊率の算出方法
 PV数 ÷ ECサイトへの訪問数

1か月のPV数が10万、ECサイトへの訪問数が5万人の場合
10万 ÷ 5万人 = 2 → 回遊率

直帰率

ECサイトを訪れたユーザーのうち、初めの1ページだけを見てサイトから離脱してしまったセッションの割合です。

・直帰率の算出方法
 対象のページの直帰数 ÷ 対象ページから始まったセッション数 × 100

とあるページの1週間における直帰数が500、そのページから始まったセッション数が2,500の場合
500 ÷ 2,500 × 100 = 20% → 直帰率

離脱率

ECサイトにおける対象のページを見て、離脱したユーザーの割合を表しています。離脱率が高いWebページほど、コンテンツを充実させて改善する必要があります。

・離脱率の算出方法
 対象のページの離脱数 ÷ 対象のページのPV数 × 100

とあるページの1週間における離脱数が1,000、PV数が5,000の場合
1,000 ÷ 5,000 = 20% → 離脱率

カゴ落ち率

ECサイトでカゴに商品を入れたにも関わらず、購入せずにサイトから離脱したユーザーの割合です。カゴ落ちが起こる原因は、送料が想像以上に高かった、入力項目が多いなどが挙げられます。

・カゴ落ち率の算出方法
 カゴ落ちしたユーザー数 ÷ カートに商品を入れたユーザー数 × 100

1日のうちにカゴ落ちしたユーザー数が500人、カートに商品を入れたユーザー数が1,000人いた場合
500人 ÷ 1,000人 × 100 = 50% → カゴ落ち率

LTV

ライフタイムバリューの略で、顧客生涯価値という意味です。一定期間において、一人の顧客が企業に対してもたらす利益の大きさを表します。

・LTVの算出方法
 平均購入単価 × 粗利率 × 平均購入頻度 × 平均継続期間

粗利率30%で、とある顧客が2年間欠かさず、毎月5,000円の買い物をしてくれた場合
5,000円 × 30% × 12(回/年) × 2(年) = 3万6,000円 → LTV

CVR

コンバージョンレートといい、ECサイトへ訪れたユーザーのうち、製品の購入または成約に至ったユーザー(コンバージョン数)の割合です。

・CVRの算出方法
 製品を購入したユーザー数 ÷ ECサイトへのアクセス数 × 100

1週間のうち製品を購入したユーザー数が1,500人、ECサイトへのアクセス数が6,000人の場合
1,500人 ÷ 6,000人 × 100 = 25% → CVR

CTR

クリック率といい、表示した広告に対してどれだけのユーザーがクリックしてくれたかを表します。

・CTRの算出方法
 クリック数 ÷ 広告の表示回数 × 100

クリック数50回、広告の表示回数500回の場合
50回 ÷ 500回 × 100 = 10% → CTR

CPC

ディスプレイ広告などのクリック単価のことで、1回のクリックに対する広告費を表しています。

・CPCの算出方法
 広告費 ÷ その広告のクリック数

広告費が10万円の広告が100回クリックされた場合
10万円 ÷ 100回 = 1,000円 → CPC

CPA

顧客獲得単価のことで、顧客を一人獲得するためにかかったコストを表しています。

・CPAの算出方法
 広告費用 ÷ 製品を購入したユーザーの数

10万円の広告費用をかけた結果、5人の顧客を獲得できた場合
10万円 ÷ 5人 = 2万円 → CPA

ROAS

広告に対する費用対効果を表しています。かけた広告費用に対して、どれだけの利益が挙げられたかを算出します。

・ROASの算出方法
 (売上 ÷ 広告費) × 100

広告費用に100万円をかけて宣伝した結果、1,000万円の利益が得られた場合
(1,000万円 ÷ 100万円) × 100 = 1,000% → ROAS

ECサイト分析の6つのステップ

ECサイトの分析では、前章の17種類すべてのKPIを用いる必要はありません。必要なKPIのみ算出して分析します。KPIの選び方やKPIを用いた分析方法を把握しておきましょう。

Step1.分析の目的を明確化する

ECサイトの分析を行う前に、売上の向上やサイトのUI/UX改善など、分析を実施する背景や達成したい目的を明確にしましょう。目的によって算出すべきKPIが異なるためです。

Step2.指標(KPI)を設定する

分析する背景や目的を明確にしたら、使用するKPIを定めます。17種類すべてのKPIを用いる必要はなく、分析の背景や目的にあったKPIを算出します。例えばECサイトにおいて、コンテンツの改善が必要なページを特定したい場合は、直帰率と離脱率を算出する必要があるでしょう。

Step3.必要なデータを収集・解析をする

KPIを算出します。ECサイトの分析ツールを使用すれば、自動でKPIの数値が算出されるためデータの収集と分析にかかる手間が省けます。また分析ツールを使用しなければわからないKPIもあります。

Step4.解析データをもとに分析を行う

分析の目的とは関係のないデータを算出しないよう、あらかじめ目的と、得たいデータを明確化します。分析ツールを使用すれば、得たいデータを設定して自動で算出できます。

Step5.分析結果を元に改善・施策を立案する

分析結果から、ユーザーがECサイトおよび企業に求めているニーズの仮説を立てます。正解はないため、分析結果とユーザーの行動から予測しましょう。仮説を立て、ユーザーのニーズに応えるための課題や解決策を考えます。

Step6.施策を実施して効果検証を行う

仮説から導き出した解決策を実行し、引き続きデータを取り続けましょう。実行前後に変化が見られた場合、今後の適切な対策やキャンペーンを打ち出すための手がかりとなるでしょう。

解決策を出して実行、その影響を分析して再び改善するというPDCAサイクルが重要です。

参考URL

https://growth-marketing.jp/knowledge/way-to-analyze-ec/

https://kuroco.team/blog-ec-jirei/

https://ecnomikata.com/ecnews/34087/

ECサイト分析で役立つツール

ECサイトを運営するなら、分析ツールの使用がおすすめです。分析ツールでなければ算出できないKPIがあり、ECサイトの分析にかかる手間や時間が短縮できるメリットがあるためです。ツールの導入を決めたら、ツールの公式サイトを見て比較検討しましょう。

●CRMツール

CRM(顧客管理システム)ツールとは、ECサイトを利用した顧客情報や購入履歴などを管理できるツールです。顧客情報を抽出し、分析のためのデータ活用ができるため、顧客ニーズの把握や改善施策などに役立ちます。また部署内で顧客情報を共有できるため、ECサイトの担当者の変更もスムーズに行えます。

●アクセス解析ツール

サイト運営において、来訪者数やユーザーの属性、購入率など、行動を分析するためのツールです。有料または無料で使用できるソフトがあります。ECサイトの解析に役立つKPIを自動で算出でき、ソフトによってはレポートまで自動で作成できる機能もあります。

●ヒートマップツール

ECサイトやWebサイトにおいて、ユーザーの行動をわかりやすく色分けしてくれるツールです。具体的にはマウスの動きやクリックした場所、離脱した場所などを色付けして表示してくれます。例えば、あるWebページに青白いマークが密集している場所があった場合、その場所が最もユーザーの目を引きやすい場所ということです。ユーザーの行動が可視化できるため、専門知識がない人でも扱えます。

参考URL

https://www.nikkei.com/telecom/theme/51803

https://liskul.com/heatmap-tool-27153

KPIを制するものがECサイトの運営を制する

自社サイト(ECサイト)を分析するなら、KPIを算出する方法がおすすめです。

数字には具体性があり、ECサイトにおける改善箇所の把握や改善策を出しやすくしてくれます。またKPIを算出するなら、専用の分析ツールを導入するのがおすすめです。KPIの算出にかかる手間や時間、データ解析と分析も自動で行ってくれるため大変便利です。

KPIを含むデータを駆使して、改善策を出しては実行し確認するというPDCAサイクルを積極的に回すことが大切です。