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「チェアリング」ブーム到来 市場規模はコロナ前比で1・5倍に拡大 「ブランド志向」「高機能」が売れる

気軽にアウトドアを楽しめる「チェアリング」がブームになっています。
ECモールでは、「アウトドア」ジャンルの「チェア」商品の市場規模が、コロナ前と比較して約 1・5倍になっています。コロナ以前から人気が高まっていましたが、コロナ禍以降、「ソロキャンプ」の需要の拡大も後押しし、さらに市場が拡大しているようです。

アウトドアブランド「DOD」のチェア「スゴイッス」などが、アマゾンで大ヒット商品になっているそうです。「Coleman」などのブランド品が良く売れる一方で、「高さ調節が可能」なとどいった、 高機能 な商品が売れるといった傾向もあるようです。

【目次】
▼チェアリングとは
▼「背もたれ」「肘付き」がポイント
▼市場規模はコロナ前比で52・1%増に
▼「高機能」「ブランド」「カラーリング」が売れる要因
▼1年で1万個以上売れた「スゴイッス」
▼素材・在庫の豊富さがメリットに
▼まとめ

チェアリングとは

チェアリングとは、キャンピングチェアを片手に、少人数でコーヒーやお酒を楽しむプチピクニックのことを指します。イスと飲み物だけを持って出かけるものから、お酒とおつまみを広げてキャンプのように楽しむものまで、幅広く「チェアリング」と呼ぶようです。

日本チェアリング協会によると、2016年にムック本「酒場人 VOL2」で、ライターのパリッコさんとスズキナオさんが「チェアリング」を提唱したのが始まりだといいます。
日本チェアリング協会によると、2019年ごろから、SNSのハッシュタグに「チェアリング」を付けて投稿している人が増えており、ブームとなっているそうです。

「背もたれ」「肘付き」がポイント

チェアリング

「チェアリング」の醍醐味は、自分の選んだ場所で、コーヒーやビールを飲んだり、音楽や読書を楽しんだり、自分の好きな時間を過ごすことです。逆に、「何もしなくてもいい」のです。そんな大人の時間の使い方を楽しむことだそうです。
ゆっくり時間を過ごすためのイス選びのポイントは、「背もたれ」「肘付タイプ」「強度」「重量」ではないでしょうか。

■チェアリングの始め方と道具選びのポイント
チェアリングを始めるには、基本的にはイスさえ準備できればOK。始め方と道具選びについて、指南いただいた。

●アウトドアチェア
背もたれがあって、重量が2kg以内の折り畳みできるアウトドアチェアがおすすめ。ホームセンターなどで1,000〜2,000円台で購入が可能。肘付きタイプと、座面と背もたれが一体になったソファタイプがある。重量は、肘掛けタイプで2キロ程度、ソファタイプで1キロ程度。専用ポーチがついているとなお良し。オートキャンプ用のイスは重たいので、おすすめできない。

チェアリングは1人でも始められるが、抵抗があれば友人やパートナーを誘ってみよう。
ともかく、やってみるのが一番。イスに身を預けて自由に時間を過ごせる感覚を知ると、新しい自分の世界が始まるだろう。

※引用:男の隠れ家デジタル
「キャンプより手軽な気ままなアウトドア 「チェアリング」の始め方」 2021.10.20

市場規模はコロナ前比で52・1%増に

ECモール「アウトドア」チェアジャンルの市場規模推移

上の図は、2018年からの ECモールの「アウトドアチェア」の市場規模を NintEcommerceで調べ、グラフ化したものです。

「アウトドアチェア」の市場規模は、2019年まで微増傾向で推移したところ、2020年以降、市場規模が52・1%拡大しました。
「アウトドアチェア」をECモールで販売する事業者にヒアリングしたところ、「3年ほど前から売れるようになってきていた」「コロナ前から売れていたが、コロナ以降、 “ソロキャンプ”ブームの影響でさらに売れている」といった声が聞こえてきました。

2021年は1月~9月までの「アウトドアチェア」チェアジャンルの市場規模は、すでにコロナ前を大きく超えており、2020年の市場規模にもあと一歩といったところです。
「チェアリング」市場は今後も拡大することが予想されます。

「高機能」「ブランド」「カラーリング」が売れる要因

ECで売れるアウトドアチェアはどんな特徴があるのでしょうか。
ECモールでアウトドア用品を販売するEC店舗にヒアリングしたところ、「高機能」「ブランド志向」という共通点が見えてきました。

ECモールの売れ筋上位にランクインしている「アウトドアチェア」を見ると、「Coleman(コールマン)インフィニティチェア」や「Helinox(ヘリノックス)チェアワン」といった、海外の有名アウトドアブランドの商品がランクインしています。
スポーツ用品やアウトドア用品を扱うヒマラヤによると、「コールマン」「ヘリノックス」のアウトドアチェアは定番化しており、広告を打ったり値引きしたりしなくても売れていく商品だといいます。売り方の工夫よりも、「在庫の確保」が重要となり、品切れ・欠品をいかになくすのかがカギだとしています。

ちなみに、「コールマン インフィニティチェア」は、価格は9000円台。「コールマン」のチェアの中で最も人気が高く、リクライニング機能がある点が人気の秘訣のようです。
「ヘリノックス チェアワン」は、価格が1万4000~6000円と高めですが、カラーバリエーションが12種類あることが、人気の一つでもあるようです。

1年で1万個以上売れた「スゴイッス」

国内アウトドアブランドの「DOD(ディーオーディー)」が展開する「スゴイッス」も、アウトドアチェアのヒット商品となっているようです。「スゴイッス」は2020年11月に発売以降、Amazonの「アウトドアチェア」ジャンルで売上1位をキープしています。
1年で1万個以上が売れたと見られます。
「スゴイッス」の人気の秘訣は、高さを変えられる点にあるといいます。高さを変えられることで、ローテーブルにもダイニングテーブルにも使用できるとしています。価格が1万円に届かないところも、購入の決め手になっているようです。

素材・在庫の豊富さがメリットに

アウトドアブランド「BUNDOK(バンドック)」のラウンジチェアも、ECモールで売れ筋商品にランクインしている人気商品です。メーカーのカワセは、複数のアウトドア系のEC店舗にも商品を卸しているそうですが、売れ筋上位にランクインしたのは、グループ会社のテナックスが運営する直営店舗の商品でした。

BUNDOK

メーカー直販であるため、「写真などの素材が豊富にある」「在庫が豊富にある」といった点が売れる要因になっているそうです。さらに、「2脚セット」にして販売することで、「家族で使いたい」というニーズに対応できているとのことです。
テナックスによると、「アウトドア需要が高まる “春先”や “連休前”、“ECモールの大型セールイベント”の前などに広告出稿して、ECモールの売れ筋ランキングに掲載されるように工夫した結果、継続して売り上げが立つようになった」と話しています。「バンドック」のアウトドアチェアは、年間約1000台が売れているそうです。

まとめ

「チェアリング」ブームの到来と、コロナ禍のアウトドア需要の増加によって、「アウトドアチェア」のニーズが高まっています。ECモールでアウトドアチェアを販売するEC店舗は、大手ブランドの製品を扱う場合と、プライベートブランドの製品を扱う場合で、戦略が異なってくるようです。

大手ブランドの製品を扱う場合は、売り方よりも在庫の確保が重要になりそうです。プライベートブランドを扱う場合は、「機能性」と「価格」を意識した商品設計を行いつつ、需要が高まる時期に適切な露出を図る必要があるようです。

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