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3月~4月は大きく伸長!ハンコ・印鑑のEC売上トレンドご紹介!!

#ECデータ

4月14日、竹本直一IT政策担当大臣が記者会見で「(ハンコ問題は)しょせんは民・民(民間)の話」と発言したことがSNSで話題となり、4月17日にGMOインターネットグループは各種手続きにおける印鑑利用を廃止しました。今後は「日本における電子契約の普及・発展をグループ全体で推進」していくと企業サイトで意気込みを表明しました。

このGMOインターネットグループの驚くべきスピーディな対応以外にも、「脱ハンコ」体制への意向を示している民間企業は増えています。今回はこうした企業の動きが楽天市場の今後のハンコ売上にどのような影響を与え得るか、2017年から現在までのNintのデータを見ながら考察してみたいと思います。

【データ抽出方法】
調査方法:Nint ECommerce
対象モール:楽天市場
対象ジャンル:印鑑・ハンコ
データ期間:2017年、2018年、2019年、および 2019年1月〜6月、2020年1月〜6月

【目次】
▼ハンコ市場は年々成長
▼3月、4月はコロナ自粛でWEB注文殺到か
▼電子契約サービスの市場は年間平均成長率40.2%(2017~2022年)の予測
▼ペーパーレス化が進む中でハンコメーカーも奮闘
▼まとめ

ハンコ市場は年々成長

まず楽天市場のハンコ市場の年間推移を見てみましょう。

楽天市場の「印鑑・ハンコ」ジャンルの売上推移を見てみると、2017年から2019年まで市場が大きく伸びていることがわかります。「ペーパーレス化」を目指す動きは20年以上も前の1997年からあるようですが、この直近3年のハンコ市場の売上推移を見る限りは脱ハンコの動きは大きく浸透していないことがわかります。

3月、4月はコロナ自粛でWEB注文殺到か

次に2019年と2020年の月次売上を比較してみましょう。

例年3月から4月にかけて、売上が伸びる「ハンコ・印鑑」のジャンルですが、2020年1月、2月の売上は、年間トレンドとは異なり昨年を下回っていました。しかし3月、4月は昨年を大きく上回り、特に3月売上は25%の伸びを見せました。

この3月、4月売上が特に大きく伸びた原因として考えられるのは、学生や新社会人がビジネス目的、また会社名の変更なので「ハンコ・印鑑」を購入する需要があるものの、新型コロナウイルス(COVID-19)による外出自粛の空気が強まっており、外に買いに行きづらいため、WEB注文が殺到した可能性があります。

そして今年5月の売上は、昨年5月とほぼ変化の無かった月となりました。

一方で冒頭に記載したGMOのスピーディーな動きも含め、電子契約サービス市場の
動きは活発です。

電子契約サービスの市場は年間平均成長率40.2%(2017~2022年)の予測

ITサービスの市場予測で権威のあるITR社は2019年時の市場予測として電子契約サービスが、2022年までに117億円まで伸長すると市場として予測しています。


出典:https://www.itr.co.jp/company/press/190618PR.html

電子決済を全面的に決定したGMOグループでは、「GMO電子印鑑Agree」を展開しています。弁護士ドットコム社では、「クラウドサイン」が2020年4月には、導入企業数が8万社を突破しています。その他、5月11日にはNECネッツエスアイ社では米ドキュサイン社の販売代理店として、電子署名サービス「合意・契約プラットフォーム DocuSign Agreement Cloud」の提供を開始しています。また、インフォマート社やAGS社、サイバーリンクス社、Adobe社、セコム社等、市場参入が著しく進んでいます。

ペーパーレス化が進む中でハンコメーカーも奮闘

逆境にいる印鑑業界の大手シヤチハタ社は、ペーパーレスが叫ばる時代の中でも、過去5年で売上が10%と好調です。2014年には、「おむつポン」のヒットに加え、2019年の「痴漢防止スタンプ」など、認証や承認での利用がメインだったニーズを日常生活の中でハンコが悩みを解決できるシーンは何か、また、ただ押印するのでなく、押印する楽しさやエンターテインメント性の視点を付加して商品開発している印象を受けます。

また、その他のメーカーでも「立体はんこ」タイポグラフィハンコ「TYPO」、また、TBSの人気番組「マツコの知らない世界」でも様々な工夫をされたハンコが紹介されていました。

まとめ

3月、4月で大きな伸びを見せた「ハンコ・印鑑」ジャンルですが、今後はペーパーレス化がさらに強まることにより、少し時間がかかるもののビジネス向けハンコ市場が縮小してく可能性は非常に高いと言えるでしょう。

とはいえ、日本の文化であるハンコは美術品としての価値や付加価値をつけた高単価商品、日常活用の隠れニーズを捉えたおむつ向けハンコのヒットなど、今まで書類がメインだったものが、書類以外での活用や「ハレの日」や「特別感」を演出するハンコなど、ハンコメーカーからも新たなニーズを生み出す努力が見受けられます。

ハンコは今後縮小の可能性が高い市場ではあるものの、日本人として、日本の文化として継承され、引き継がれていくことも期待したいと思います。

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