ウイスキー市場レポート|単価+7.2%
本記事は、ウイスキーをECで販売する事業者・メーカーの方に向けた市場レポートです。主要ECモールにおける2026年2〜4月のウイスキーの推定売上は約25.4億円(前年同期比▲5.0%)、推定販売数は約27万個(同▲11.4%)、平均単価は約9,455円(同+7.2%)でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。販売数が二桁減少する一方で平均単価は大きく上昇しており、プレミアム化が進む市場の構造を、タイプ別・価格帯別に読み解きます。
目次
本レポートのサマリー
- 市場規模: 約25.4億円(前年同期比 ▲5.0%)
- 販売数量: 約27万個(前年同期比 ▲11.4%)
- 平均単価: 約9,455円(前年同期比 +7.2%)
- 主要タイプ: ジャパニーズ(51.8%)/スコッチ(27.6%)/アメリカン(8.0%)
- キートレンド: ジャパニーズの品薄・プレミアム化/数量減を単価上昇が抑制/デイリーは大容量へ二極化
ウイスキーのEC市場規模と推移
2026年2〜4月のウイスキーのEC市場規模は約25.4億円、前年同期比▲5.0%でした。販売数は▲11.4%と二桁の減少となった一方、平均単価は+7.2%と大きく上昇しています。数量の落ち込みを単価上昇が補い、売上の減少を一定に抑えた形で、市場は「少数・高単価」へのプレミアム化フェーズに入っています。ビール・洋酒を含むより広い酒類カテゴリの動向はビール・洋酒のEC市場規模レポートで扱っており、本記事はその中のウイスキーを深掘りします。
| 指標 | 2026年2〜4月 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 推定売上 | 約25.4億円 | 約26.7億円 | ▲5.0% |
| 推定販売数 | 約26.9万個 | 約30.3万個 | ▲11.4% |
| 平均単価 | 約9,455円 | 約8,816円 | +7.2% |
単価上昇の背景には、ジャパニーズウイスキーの品薄・希少化があります。人気銘柄が入手しにくくなり価格が上がる一方、日常的に飲む層は大容量・低単価の商品へ移っており、買われる価格帯が上下に分かれる二極化が進んでいます。
タイプ別の構成と勝ち負け
ウイスキーは、ジャパニーズが構成比51.8%と市場の過半を占めています。スコッチ(27.6%)が続き、上位2タイプで市場の約8割を構成します。
| タイプ | 構成比 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| ジャパニーズ・ウイスキー | 51.8% | ▲2.9% |
| スコッチ・ウイスキー | 27.6% | ▲8.7% |
| アメリカン・ウイスキー | 8.0% | ▲5.2% |
| 飲み比べセット | 5.4% | ▲6.2% |
| アイリッシュ・ウイスキー | 1.0% | ▲27.8% |
各タイプとも前年から販売を落としていますが、減少幅には差があります。ジャパニーズ(▲2.9%)が相対的に底堅い一方、スコッチ(▲8.7%)やアイリッシュ(▲27.8%)の落ち込みが大きく、ジャパニーズの相対的なシェアはむしろ高まっています。国産プレミアム銘柄への需要集中と、輸入ウイスキーの伸び悩みが、この差に表れています。事業者は、希少性の高いジャパニーズと、コスパ重視のデイリー需要の両面で品揃えを設計する判断が求められます。
価格帯別の販売構成と購買行動
ウイスキーは、平均単価(約9,455円)を基準に低・中・高の3価格帯で売上構成比を見ると、中価格帯が約5割を占めつつ、高価格帯も3割超と厚いのが特徴です。プレミアム銘柄と業務用大容量が、ともに高価格帯を押し上げています。
| 価格帯 | 売上構成比 |
|---|---|
| 低価格帯(〜約4,700円) | 11.1% |
| 中価格帯(約4,700〜18,900円) | 54.7% |
| 高価格帯(約18,900円〜) | 34.2% |
低価格帯(〜約4,700円): デイリー大容量と入門銘柄
低価格帯は、大容量ペットボトルのデイリーウイスキーや、入門向けのシングルモルト単品が中心です。ハイボールなどで日常的に楽しむ層が、容量あたりの価格を重視して選ぶゾーンです。
中価格帯(約4,700〜18,900円): 大容量ケースと定番銘柄
最量販の中価格帯では、大容量ペットのケース買い(まとめ買い)や、定番のジャパニーズ・スコッチ銘柄が売れ筋です。家飲み需要を背景に、コストパフォーマンスと銘柄の安心感を両立する商品が支持されています。
高価格帯(約18,900円〜): プレミアムジャパニーズと業務用
高価格帯は、入手困難なプレミアムジャパニーズ(山崎・響など)と、業務用の大容量商品が中心です。希少銘柄は購入数量が制限されることも多く、コレクション・ギフト需要が価格を支えています。市場全体の平均単価が上昇しているのは、この高価格帯の存在感が高まっているためと見られます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
ウイスキーの事業者が来期取るべき3つの打ち手
ここまでの市場データをふまえ、ウイスキーをECで扱う事業者が来期に向けて取るべき打ち手を3つに整理します。
打ち手1: プレミアムジャパニーズの希少性を訴求する
高価格帯が売上の3割超を占め、その中心がプレミアムジャパニーズです。入手性や正規品であることの明示、化粧箱・ギフト対応など、希少銘柄ならではの安心感と特別感を訴求することで、高単価の購買につなげられます。数量が減る局面では、こうした高単価商品が売上を支えます。
打ち手2: デイリー需要は大容量・コスパで取り込む
日常的に飲む層は、大容量ペットなどコストパフォーマンスの高い商品に流れています。ケース販売や容量あたりの割安感を前面に出し、ハイボール需要を取り込むことで、数量面を下支えできます。プレミアム層とデイリー層の二極化を前提に、品揃えを上下に広げる設計が有効です。
打ち手3: 飲み比べ・ギフト需要を競合データで磨く
飲み比べセットやギフト需要は、銘柄の組み合わせや価格設定が競争力を左右します。Nint ECommerceでは、主要ECモールの競合ショップがどのタイプ・価格帯のウイスキーを揃えているかを把握でき、自社の品揃えとギフト企画を磨く材料になります。
よくある質問(Q&A)
ウイスキーのEC市場規模はどのくらいですか?
主要ECモールにおける2026年2〜4月の推定売上は約25.4億円で、前年同期比▲5.0%でした(Nint ECommerce調べ・推計値)。販売数は▲11.4%、平均単価は+7.2%です。
主要ECモールで売れ筋のウイスキーのタイプは何ですか?
ジャパニーズ・ウイスキーが構成比51.8%と市場の過半を占め、スコッチ(27.6%)、アメリカン(8.0%)が続きます。国産プレミアム銘柄への需要集中が続いています。
ウイスキーでモノが売れる価格帯はどこですか?
売上の約5割が中価格帯(約4,700〜18,900円)に集中しています。加えて、プレミアム銘柄と業務用大容量が中心の高価格帯も3割超を占め、単価を押し上げています。
ウイスキーの平均単価が上がっているのはなぜですか?
ジャパニーズウイスキーの品薄・希少化により、高価格帯の販売構成が高まっているためです。日常向けの低単価商品と、プレミアム銘柄への二極化が、平均単価の上昇に表れています。
まとめと、より深く分析するためのヒント
- 2026年2〜4月のウイスキーEC市場は約25.4億円(前年同期比▲5.0%)。数量は二桁減も単価上昇が下支え。
- ジャパニーズが構成比51.8%で過半。希少・プレミアム化が進み相対シェアが上昇。
- 売上は中価格帯に集中しつつ、プレミアム銘柄・業務用の高価格帯が3割超で単価をリード。
こうしたタイプ別・価格帯別の動向は、自社が扱う銘柄やブランド単位ではどう見えるでしょうか。Nint ECommerceでは、主要ECモールのウイスキーカテゴリを、タイプ・ブランド・商品単位で深堀りし、競合ショップの売れ筋や価格帯、トレンドの先読みに活用できます(Nint ECommerce調べ・推計値)。
関連サービス・資料
執筆者の視点
数字を見て印象的だったのは、販売数が二桁も減っているのに、市場規模の落ち込みは▲5%にとどまっている点です。それだけ「1本に支払う金額」が上がっている、つまりウイスキーが嗜好品としてのプレミアム性を強めているのだと感じます。お酒全体の市場の動きはECモールのお酒市場のレポートでも触れていますが、ウイスキーは中でも「安く日常で飲む」層と「特別な1本を選ぶ」層の二極化がくっきり表れたカテゴリだと、改めて数字から見えてきました。
対象期間: 2026年2月〜2026年4月/データソース: Nint ECommerce(推計値)/対象カテゴリ: ウイスキー
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
note:https://note.com/nint_ecommerce
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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