【2026年1〜2月】東南アジア スキンケアEC市場レポート|6カ国の販売動向を解説

東南アジア主要6カ国のECプラットフォームにおけるスキンケア市場は、2026年1〜2月期にタイ・マレーシア・フィリピンを中心として大幅な拡大が続いており、前年同期比で市場全体が約24%成長しました。とりわけ発見型(ライブコマース型)が急速にシェアを伸ばし、プラットフォーム間の競合構造が一層鮮明になっています。本レポートでは、Nint 東南アジアECデータソリューションが収集した販売データをもとに、スキンケアカテゴリーの市場規模・プラットフォームシェア・サブカテゴリー動向・上位ブランド構造を多角的に分析します。
目次
スキンケアのEC市場規模
東南アジア主要6カ国(インドネシア、タイ、フィリピン、マレーシア、シンガポール、ベトナム)における、主要3ECプラットフォームの合計販売金額は、2026年1月〜2月期において約1,669.1億円(前年同期比:+24.0%)と、力強い成長を記録しました。
国別の販売状況は以下の通りです。
- インドネシア:約487.9億円(前年比:+16.0%)
- タイ:約425.5億円(前年比:+51.6%)
- ベトナム:約362.3億円(前年比:▲4.2%)
- フィリピン:約176.0億円(前年比:+49.7%)
- マレーシア:約174.9億円(前年比:+52.1%)
- シンガポール:約42.5億円(前年比:+24.1%)
タイ、マレーシア、フィリピンの3カ国が前年比で約50%増という圧倒的な伸びを見せており、市場の牽引役となっています。

スキンケアEC市場のプラットフォーム別規模
東南アジア全体におけるECプラットフォーム別のシェアと成長率は、以下の通りです。
- 検索型(棚型)プラットフォームA:約699.3億円(シェア:41.9%、前年比:+12.5%)
- 検索型(棚型)プラットフォームB:約72.3億円(シェア:4.3%、前年比:▲14.8%)
- 発見型(ライブコマース型)プラットフォームC:約897.4億円(シェア:53.8%、前年比:+40.3%)
発見型(ライブコマース型)プラットフォームCが最大のシェアを獲得し、成長率でも他を圧倒しています。一方、検索型(棚型)プラットフォームBは販売金額・シェアともに縮小傾向にあり、検索型(棚型)プラットフォームAは絶対額は堅調に拡大しているものの、シェアは前年の46.2%から4.3pt低下で、市場構造の変化が見て取れます。

スキンケアEC市場のプラットフォーム×国別規模
主要3ECプラットフォームにおけるターゲット3カ国の規模とシェアは、以下の通りです。
検索型(棚型)プラットフォームA
- タイ:約162.3億円(プラットフォーム別シェア:38.1%、前年比:+40.1%)
- フィリピン:約58.6億円(プラットフォーム別シェア:33.3%、前年比:+47.4%)
- マレーシア:約57.8億円(プラットフォーム別シェア:33.1%、前年比:+59.5%)
検索型(棚型)プラットフォームB
- タイ:約31.3億円(プラットフォーム別シェア:7.4%、前年比:▲0.6%)
- フィリピン:約11.7億円(プラットフォーム別シェア:6.6%、前年比:▲31.8%)
- マレーシア:約11.1億円(プラットフォーム別シェア:6.3%、前年比:+7.7%)
すべての対象国において発見型(ライブコマース型)プラットフォームCが販売シェア1位となり、特にタイとフィリピンでの成長率が顕著です。
発見型(ライブコマース型)プラットフォームC
- タイ:約263.2億円(プラットフォーム別シェア:54.5%、前年比:+74.1%)
- フィリピン:約105.7億円(プラットフォーム別シェア:60.1%、前年比:+74.3%)
- マレーシア:約106.0億円(プラットフォーム別シェア:60.6%、前年比:+54.9%)

プラットフォーム別・主要3カ国におけるTop 3サブカテゴリ
本セクションでは、3カ国(タイ・フィリピン・マレーシア)に絞り、各プラットフォームのサブカテゴリー別販売金額と前年同期比を示します。
検索型(棚型)プラットフォームA
タイ
- 美容液・エッセンス:約45.2億円(前年比:+39.6%)
- 保湿剤(クリーム等):約44.9億円(前年比:+42.3%)
- 日焼け止め(フェイス用):約22.5億円(前年比:+47.6%)
フィリピン
- 美容液・エッセンス:約11.6億円(前年比:+45.9%)
- 保湿剤(クリーム等):約10.6億円(前年比:+70.4%)
- 日焼け止め(フェイス用):約8.8億円(前年比:+37.0%)
マレーシア
- 美容液・エッセンス:約13.2億円(前年比:+64.3%)
- 保湿剤(クリーム等):約12.8億円(前年比:+69.1%)
- クレンザー・洗顔:約7.5億円(前年比:+72.9%)
3カ国に共通して、美容液・エッセンスと保湿剤(クリーム等)が上位を占め、いずれも前年比30〜70%超の成長を示した。日焼け止めカテゴリーもタイ・フィリピンで上位にランクインしており、スキンバリア意識の高まりとともに美容液・保湿剤・日焼け止めの三本柱が検索型(棚型)プラットフォームAのスキンケア市場を牽引している構造が読み取れます。マレーシアではクレンザー・洗顔も同水準の伸びを示しており、基礎スキンケアステップ全体の底上げが進んでいます。
検索型(棚型)プラットフォームB
タイ
- 美容液・エッセンス:約8.7億円(前年比:0.0%)
- 保湿剤(クリーム等):約8.6億円(前年比:▲6.5%)
- 日焼け止め(フェイス用):約4.4億円(前年比:+11.9%)
フィリピン
- 美容液・エッセンス:約2.6億円(前年比:▲34.5%)
- 保湿剤(クリーム等):約2.4億円(前年比:▲21.9%)
- 日焼け止め(フェイス用):約1.7億円(前年比:▲25.4%)
マレーシア
- 美容液・エッセンス:約2.7億円(前年比:+11.1%)
- 保湿剤(クリーム等):約2.3億円(前年比:+18.4%)
- クレンザー・洗顔:約1.2億円(前年比:+72.9%)
検索型(棚型)プラットフォームBでは、フィリピンで全上位カテゴリーが前年比マイナスとなり、同プラットフォームのシェア縮小とカテゴリー需要の他プラットフォームへの流出が示唆されます。タイは美容液と保湿剤が横ばい圏に留まる一方で日焼け止めのみ小幅成長と、カテゴリー間で動きが分かれました。マレーシアは3カ国の中では相対的に安定しており、特にクレンザー・洗顔が前年比+72.9%と高い伸びを示しています。
発見型(ライブコマース型)プラットフォームC
タイ
- 保湿剤(クリーム等):約53.9億円(前年比:+97.4%)
- 美容液・エッセンス:約52.6億円(前年比:+70.6%)
- スキンケアキット:約23.5億円(前年比:▲11.3%)
フィリピン
- スキンケアキット:約20.2億円(前年比:+25.5%)
- 日焼け止め(フェイス用):約19.7億円(前年比:+134.2%)
- 美容液・エッセンス:約15.7億円(前年比:+124.0%)
マレーシア
- スキンケアキット:約24.6億円(前年比:+1.3%)
- 保湿剤(クリーム等):約17.7億円(前年比:+66.7%)
- 美容液・エッセンス:約17.3億円(前年比:+96.6%)
発見型(ライブコマース型)プラットフォームCでは、美容液・エッセンスと保湿剤(クリーム等)が3カ国いずれでも上位に入り、前年比70〜130%超の急伸を示しました。フィリピンでは日焼け止めカテゴリーが前年比約2.3倍と最も高い伸び率を記録しており、ライブコマースを通じた機能訴求が需要喚起に寄与していると考えられます。一方、スキンケアキットはタイで前年比マイナス、マレーシアでほぼ横ばいに留まっており、セット販売から単品カテゴリーへの需要移行が2カ国共通の傾向として浮かび上がります。
主要3カ国におけるプラットフォームごとのTop3ブランド
本セクションでは、各プラットフォーム×3カ国の上位ブランドについて、販売金額・市場シェア・前年同期比を示します。(*前年比「-」は、前年同期に当該プラットフォーム内の集計対象ランク外だったため比較値なし)
検索型(棚型)プラットフォームA
タイ
- フランスブランドA:約12.5億円(前年比:+57.6%、市場シェア:7.7%)
- ドイツブランドB:約10.1億円(前年比:+50.6%、市場シェア:6.2%)
- アメリカブランドC:約7.3億円(前年比:+21.2%、市場シェア:4.5%)
フィリピン
- 韓国ブランドD:約2.2億円(前年比:+34.1%、市場シェア:3.7%)
- フィリピンブランドE:約2.0億円(前年比:+16.4%、市場シェア:3.5%)
- スイスブランドF:約1.8億円(前年比:+28.9%、市場シェア:3.1%)
マレーシア
- 中国ブランドG:約3.3億円(前年比:+8.2%、市場シェア:5.8%)
- ドイツブランドB:約2.1億円(前年比:-、市場シェア:3.7%)
- 中国ブランドH:約2.1億円(前年比:+59.0%、市場シェア:3.6%)
タイでは欧州ブランドが上位2枠を独占し、いずれも前年比50%超の高成長を記録しています。フィリピンでは韓国・フィリピン・スイスブランドが均衡した形でランクインしており、特定国籍への集中が見られない多様な構成となっています。マレーシアでは中国ブランドが1位を維持しつつ、前年同期ランク外だった欧州ブランドが新たに上位に入るなど、ブランド構成の流動性も見られます。3カ国共通して上位ブランドのシェアが3〜8%台に分散しており、検索型(棚型)プラットフォームAのスキンケア市場は複数ブランドが競合する構造を形成しています。
検索型(棚型)プラットフォームB
タイ
- フランスブランドA:約2.4億円(前年比:▲11.2%、市場シェア:7.7%)
- ドイツブランドB:約1.9億円(前年比:-、市場シェア:6.0%)
- フランスブランドP:約1.5億円(前年比:▲6.0%、市場シェア:4.9%)
フィリピン
- フィリピンブランドL:約0.27億円(前年比:-、市場シェア:2.3%)
- スイスブランドF:約0.26億円(前年比:-、市場シェア:2.2%)
- アメリカブランドX:約0.25億円(前年比:-、市場シェア:2.1%)
マレーシア
- ドイツブランドB:約0.45億円(前年比:▲5.2%、市場シェア:4.1%)
- フランスブランドA:約0.30億円(前年比:▲10.6%、市場シェア:2.7%)
- 日本ブランドY:約0.28億円(前年比:-、市場シェア:2.5%)
タイやマレーシアでは、フランス、ドイツブランドなど一部のトップブランドが前年比でマイナス成長を示しています。その一方で、前年はランク外にもかかわらず新たに上位にランクインしたブランドが多く見られ、競争環境の変化が激しいことが窺えます。フランスブランドAとドイツブランドBは、タイとマレーシアの両国でトップ3にランクインしており、複数の国にまたがる強いブランド力を持っています。しかし、フィリピン市場ではトップ3の顔ぶれが全く異なり、フィリピンブランドLというローカルブランドが首位を獲得している点が特徴的です。
発見型(ライブコマース型)プラットフォームC
タイ
- タイブランドI:約23.4億円(前年比:-、市場シェア:10.1%)
- タイブランドJ:約12.1億円(前年比:-、市場シェア:5.2%)
- タイブランドK:約6.4億円(前年比:-、市場シェア:2.8%)
フィリピン
- フィリピンブランドL:約9.1億円(前年比:+239.7%、市場シェア:8.6%)
- フィリピンブランドM:約7.8億円(前年比:-、市場シェア:7.3%)
- 中国ブランドN:約5.3億円(前年比:-、市場シェア:5.0%)
マレーシア
- 中国ブランドG:約6.2億円(前年比:+3.2%、市場シェア:5.9%)
- 中国ブランドH:約4.7億円(前年比:▲39.6%、市場シェア:4.4%)
- 中国ブランドO:約2.5億円(前年比:-、市場シェア:2.4%)
タイの発見型(ライブコマース型)プラットフォームCでは地元のタイブランドが前年同期ランク外からTop3をランクインし、タイ国内ブランドが一斉に台頭したことが確認されます。一方、マレーシアでは中国系ブランドが非常に強い勢力を保っています。
展望予測とスキンケア市場を読み解くヒント
マルチプラットフォーム構造の加速
2026年1〜2月期のデータから最も注目すべき点は、発見型(ライブコマース型)プラットフォームCのシェアが全体の53.8%に達し、東南アジアスキンケアEC市場における事実上のリーダーとなったことです。タイ・フィリピン・マレーシアいずれも同プラットフォームが国内シェア60%前後を占めており、現在の他プラットフォームの成長率を考慮しますと、この傾向は短期的には反転しにくい構造を持ちます。一方で検索型(棚型)プラットフォームAは絶対額の成長を維持しており、二大プラットフォームが並立する競争環境が続く見通しです。
国内ブランドの台頭とグローバルブランドの再編
発見型(ライブコマース型)プラットフォームCは、タイを中心に国内ブランドが上位を席巻する傾向が強まっています。ライブコマースや短尺動画を活用した販売手法が、比較的知名度の低い新興ブランドでも高速な市場獲得を可能にしていると考えられます。グローバルブランドは検索型(棚型)プラットフォームA&Bでの地位を維持しつつ、発見型(ライブコマース型)プラットフォームC対応の戦略整備が求められる局面に入りつつあります。
高成長カテゴリーへの注目
美容液・エッセンスおよび日焼け止めカテゴリーは、タイ・フィリピン・マレーシアの3カ国共通で前年比30〜130%超の高成長を示しています。スキンバリア意識の高まりや美白需要が引き続き購買動機を形成しており、製品開発・在庫戦略の両面で重点投資先として検討価値が高いと言えます。
検索型(棚型)プラットフォームBのポジション変化
プラットフォーム全体での存在感が低下する検索型(棚型)プラットフォームBですが、マレーシア(同+7.7%)では対前年成長を維持しています。全面撤退ではなく市場選別・リポジショニングの過程にある可能性があり、引き続き定点観測が必要です。
市場を読み解くヒントは「Nint 東南アジアECデータソリューション」
急速に変化する東南アジアEC市場では、常に最新のデータを把握することが不可欠です。
- プラットフォームごとのトレンド変動の早期検知
- 競合ブランドの戦略分析と価格動向の把握
- 未開拓カテゴリのポテンシャル可視化
東南アジア市場を読み解くヒントは『Nint 東南アジアECデータソリューション』に!

調査概要
- 対象期間:2025年1月〜2月、2026年1月〜2月
- データソース:Nint 東南アジアECデータソリューション
- 対象カテゴリ:スキンケア
- 為替レート:1 IDR = 0.0095 JPY / 1 RM = 31.71 JPY / 1 PHP = 2.66 JPY / 1 SGD = 110.44 JPY / 1 THB = 4.19 JPY / 1 VND = 0.0061 JPY
この記事を書いた人
孫 方彤(そん ほうとう)
株式会社Nint 戦略事業室 クロスボーダーUnit
日本企業を対象に、中国・東南アジアのEC戦略策定を支援。シンガポールで数年間の就業・生活及びECプラットフォームでの日系企業支援の経験を背景に、現地のトレンドや生活習慣への深い理解を持ちながら、データ分析を軸に施策の提案・推進を担う。
■転載・引用について
※本記事の一部転載・引用は歓迎します。
本レポート・ブログの著作権は株式会社Nintまたは執筆者が所属する企業が所有します。
下記の禁止事項・注意点を確認の上、転載・引用の際は出典を明記してください。
【出典:株式会社Nint「記事タイトル」URL(〇年〇月〇日公開・更新)】
引用時のリンク属性については:リリース転載ではなく、記事・グラフ・データの引用の際は、必ず本ブログページのURLを出典元としてご記載お願いします。
※nofollow属性不可
本記事で使用しているデータや市場規模に関する推計値を引用いただく際は、正確な表記と文脈を保っていただけますようお願い申し上げます。また、引用や再利用の際には、事前にご連絡をいただけると幸いです。
■禁止事項
・内容の一部または全部の改変
・公序良俗に反する利用や違法行為につながる利用
・企業・商品・サービスの宣伝・販促を目的とした転載・引用
■その他の注意点
本レポートを利用することにより生じたいかなるトラブル、損失、損害等について、当社は一切の責任を負いません。この利用ルールは著作権法上認められている引用などの利用について、制限するものではありません。
■転載・引用についてのお問い合わせは下記までお願いいたします。
株式会社Nint マーケティング・ディビジョン
E-mail: marketing@nint.jp