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バレンタイン市場は回復基調!2025年の最新動向と2026年の展望

#市場規模 #マーケティング #販促ノウハウ #ECデータ

クリスマス、バレンタイン、母の日、お中元、お歳暮などさまざまなギフト商戦がある中で、年始最初のギフト商戦として多くの方が思い浮かべるのがバレンタインではないでしょうか。特にバレンタイン商戦は、チョコレート市場において年間売上に占める構成比が高い、非常に重要なイベントです。

本記事では、このバレンタイン商戦を通じて、チョコレート市場の2025年の結果と、2026年の展望を分析します。さらに今回も、「バレンタイン」関連の商品ワードが含まれる商品群を「バレンタイン市場(全体)」として捉え、その推移も確認します。

チョコレート市場から見たバレンタインの動向と、「バレンタイン」関連の商品ジャンルを分析することで、EC市場におけるバレンタイン商戦の2026年展望を探ります。


※本記事は大手ECサイトにおけるNint ECommerceデータを元に執筆しています。

本記事のポイント(1分解説)

  • バレンタイン時期(1月・2月)のチョコレート市場は前年比107%と回復基調。ただし販売数量は微減が続き、原料高騰の影響による商品価格の上昇により、平均単価の上昇したことによる影響が、売上回復を牽引した。
  • カテゴリ別では「無垢チョコ」が前年比115%と好調。高カカオチョコレートの需要拡大が影響。
  • 年間を通じた月別構成比では、バレンタイン期(1-3月)の構成比が55%→47%へ低下。一方で夏場(6-8月)は前年比113%と市場平均を上回る成長を見せ、冷蔵配送の定着や、健康維持による定期的な購入などにより、通年需要化が進行。
  • バレンタイン市場全体では、「バレンタイン」タグ付け商品の売上が大幅減。これはタグ付け戦略の変化(広く付ける→チョコに絞る)の可能性が高い。
  • 近年のイベント離れ(クリスマス市場の不調等)を踏まえると、今後のEC市場では「話題性」「イベント性」のブラッシュアップが求められる。

1:チョコレート市場の推移

チョコレート市場の月次推移

直近3年間の3大ECモール(楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング)のチョコレート市場の推移を確認すると、需要期は1月〜3月に集中しており、バレンタイン・ホワイトデー商戦が市場を牽引する構図は変わりません。

図1:3大ECモールチョコレート市場月次推移(3年分)

しかし、年間売上から各月のチョコレート市場の構成比を見てみると、2024年・2025年で変化が見られます。

図2:月別売上構成比(円グラフ)

バレンタイン・ホワイトデー期である1月〜3月の売上構成比は減少しており、2023年は55.5%、2024年は48.1%へ減少し、2025年には46.7%まで低下しました。一方で、夏場(6月〜8月)の売上は前年比113%と、市場全体の成長率(約110%)を上回るペースで拡大しています。また、構成比も0.3%の上昇が見られます。

この背景には、冷蔵配送の定着化があると考えられます。従来「チョコレートは溶けるから夏場は売れない」という常識がありましたが、配送技術の向上により、夏場でも安定した販売が可能になりつつあります。また、健康意識として定期的に高カカオチョコレートを食べる習慣が定着化しつつあり、結果として、チョコレート市場は「バレンタイン時期の単体依存」から「通年需要」へとシフトしつつあります。

2:バレンタイン時期(1月・2月)のチョコレート市場

売上・販売数量・平均単価の推移

バレンタイン時期(1月・2月)の3大ECモールのチョコレート市場の売上を見ると、2025年は前年比107%と回復基調で推移しました。

※図3:バレンタイン時期の売上・販売数量・平均単価の前年比推移

注目すべきは、販売数量は微減が続いているにもかかわらず、平均単価が前年比109%と大幅に上昇した点です。2023年から2025年にかけて平均単価は約150円上昇しており、昨今の物価高騰による値上げの影響や、消費者のプレミアム志向が顕著に表れています。

カテゴリ別の動向

次に、チョコレートジャンルを3つに分類し、その動向を確認しました。

  • 無垢チョコ:板チョコ・バーチョコ・割れチョコジャンル
  • 製菓用:製菓用チョコレートジャンル

その他(贈答用含む):上記以外のジャンル全て

※図4:カテゴリ別売上推移

2025年のカテゴリ別動向を見ると、「無垢チョコ」が前年比115%と最も高い成長率を示しました。この成長を牽引しているのが高カカオチョコレートです。健康志向の高まりを背景に、カカオ70%以上の高カカオチョコレートの需要が拡大しています。

「製菓用」も前年比136%と好調に推移。手作りチョコレートの需要は引き続き堅調です。

一方、「その他(贈答用含む)」は前年比105%と微増にとどまりました。バレンタイン時期のメインであるその他ですが、ギフト需要は2024年以降、オフライン回帰が影響していると考えられます。

3:チョコレート市場の競合動向

バレンタイン時期TOP5メーカーの推移

バレンタイン時期におけるTOP5メーカーの売上推移を確認すると、2024年に多くのメーカーが苦戦した中、2025年は5社中4社に微増~上昇傾向が見られました。

図5:チョコレート市場TOP5メーカーの売上推移

特に注目すべきはメーカーB(国内大手)の躍進です。メーカーBは2年連続で成長を続けており、2025年は前年比214%と大幅な伸びを記録しました。

メーカーBの成長要因

メーカーBのジャンル別売上を見ると、成長を牽引しているのは「無垢チョコ」ジャンルであることがわかります。

図6:メーカーBのジャンル別売上推移

メーカーBの「無垢チョコ」は前年比260%と急成長。これは同社の高カカオチョコレートシリーズが、健康志向の消費者ニーズを捉えた結果と考えられます。

4:売れ筋商品の分析

モール別TOP10の特徴

2025年、バレンタイン時期の売れ筋商品をモール別に確認すると、それぞれのモールで異なる傾向が見られました。
今回、売上上位商品を以下のジャンルで分類しております。
 ・高カカオチョコ
 ・海外高級チョコ
 ・国内ギフトチョコ
 ・割れチョコ・お得系
 ・駄菓子・その他

図7:モール別売れ筋TOP10商品

各モールの特徴としては以下があげられます

Aモールの特徴

  • 高カカオチョコレートが上位を独占
  • 健康志向・自己消費ニーズが強い
  • 大容量・BOX商品が人気

Bモールの特徴

  • 海外ブランドギフトが強い
  • 国内ブランドギフトも人気
  • ギフト需要が中心

Cモールの特徴

  • 割れチョコ・お得系商品が目立つ
  • 駄菓子系チョコもランクイン
  • 価格重視の消費者が多い

全体TOP100の分類別推移

3モール合計のTOP100商品を分類別に集計すると、2024年から2025年にかけて高カカオチョコレートと海外高級チョコレートのランクイン数が増加(36件→41件)していることがわかりました。

図8:TOP100分類別構成


ここまでをまとめると、モールごとに「バレンタインの意味」が異なってきており、

モールA=健康志向・自己消費(バレンタインではなく、定期的な消費)
モールB=ギフト(バレンタイン消費がみられる)
モールC=お得・価格重視(バレンタインもしくは配布等の需要)

という棲み分けがあらわれています。

5:バレンタイン市場【全体】の動向

「バレンタイン」タグ付け商品の推移

商品名に「バレンタイン」を含む商品を「バレンタイン市場(全体)」として売上集計すると、2025年は前年から大幅な減少が見られました。

図9:バレンタイン市場(全体)のジャンル別売上推移

ただし、これは市場の縮小ではなく、タグ付け戦略の変化と考えられます。2024年は「バレンタイン」タグを幅広いジャンル(食品、化粧品、酒類など)に付けていましたが、効果が限定的だったため、2025年はチョコレート系に絞ったタグ付けに戻した可能性が高いです。

ジャンル別構成比の変化

バレンタイン市場のジャンル別構成比を見ると、この仮説を裏付ける傾向が確認できます。

図10:バレンタイン市場ジャンル別構成比(2024年 vs 2025年)

チョコレートの構成比は2024年は29.0%、2025年は46.8%に増加。食品(チョコレート以外)の構成比は2024年は31.7%、2025年は20.4%に減少。

チョコレートの構成比が大幅に上昇し、それ以外のジャンルは低下しています。「バレンタイン」タグはギフト系チョコレートに絞って付ける戦略が主流になりつつあると言えるでしょう。

注目すべきは家電(5.2%→1.3%、-3.9ポイント)と酒類(4.5%→2.4%、-2.1ポイント)の大幅減少。実用ギフトやお酒ギフトへの「バレンタイン」タグ訴求効果は薄い可能性があります。一方で、服飾雑貨(5.2%→6.8%、+1.5ポイント)は微増。アクセサリーや小物など、チョコ以外でタグ訴求するならば有望なジャンルと言えます。化粧品は構成比微減(6.4%→5.0%)ながら、プチギフトやコフレ商品など一定の需要は維持しています。

6:2026年のバレンタイン市場展望

EC市場におけるバレンタインの変化

2025年のデータから見えてきたのは、チョコレート市場の「バレンタイン依存」からの脱却と、モールごとの役割分化です。バレンタイン期の構成比は低下傾向が続く一方、夏場を含む通年需要は拡大。また「バレンタイン」タグ付け商品はチョコレートへの集中が進んでいます。

2026年の展望と提言

近年、イベント離れが顕著になっています。クリスマス市場も2025年は前年割れとなるなど、「イベントだから買う」という動機が弱まっている傾向があります。

EC市場においては、以下の戦略が有効と考えられます。

1. タグ付け戦略の選択と集中

「バレンタイン」タグは広く付けても効果は薄く、ギフト系チョコレートへの集中が有効です。チョコ以外で狙うなら服飾雑貨(手袋・マフラー等)に可能性がありますが、やはり圧倒的にチョコレートが無難。化粧品はバレンタインタグとの相性が飛び抜けて高いわけではなく、もう少し様子見が妥当です。

具体アクション:バレンタインタグはギフト系チョコに絞り、他ジャンルは通常タグで勝負。タグの「数」より「精度」を重視する。

2. 話題性・イベント性のブラッシュアップ

イベント離れが進む中、単に商品を並べるだけでは厳しい状況です。「わざわざバレンタインに買う理由」を作る差別化要素が求められます。

具体アクション:限定パッケージ、SNSキャンペーン、コラボ商品など「今だけ」「ここだけ」の訴求を強化。特にギフト需要が強いBモールでの施策展開が有効。

3. 通年需要への対応

バレンタイン期だけに依存しない年間販売戦略の構築が重要です。特に夏場は前年比113%と成長しており、新たな販売機会として注目すべきです。

具体アクション:冷蔵配送対応の整備、夏向けパッケージ・商品開発、高カカオチョコの定期購入促進。「バレンタインで知ってもらい、通年でリピートしてもらう」導線設計を。

2024年の落ち込みから回復した2025年。2026年は「イベント消費の弱体化」と「通年需要の拡大」にどう適応するかが問われる年になるでしょう。

調査概要

  • 対象期間:2024年・2025年
  • データソース:Nint ECommerce

この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト

株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。

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【出典:「バレンタイン市場は回復基調!2025年の最新動向と2026年の展望」(2026年1月23日公開)】
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