【2025年最新】楽天ふるさと納税の市場動向を徹底分析|9月の駆け込み需要と人気返礼品ランキング
こんにちは、株式会社Nintです。
ふるさと納税市場は年々拡大を続けており、特に楽天市場は主要プラットフォームとして大きな存在感を示しています。2025年10月からの制度改正により、ポイント付与が禁止されたことで、9月には駆け込み需要が発生し、市場に大きな変化が見られました。
本記事では、楽天ふるさと納税の2025年1月~9月のデータをもとに、市場規模の推移、9月の駆け込み需要の詳細、人気返礼品ランキング、地域別・県別トレンドを徹底分析します。EC事業者や自治体の方々にとって、今後の戦略立案に役立つ情報をお届けします。
※本レポートのデータは株式会社Nintの推計データに基づいています(2025年10月時点)
目次
楽天ふるさと納税市場の現状と2025年の動向
ふるさと納税制度は2008年の開始以来、着実に成長を続けています。楽天市場は主要なふるさと納税プラットフォームとして、利用者の利便性向上と返礼品の充実により、市場拡大に大きく貢献してきました。

2025年1月~9月の期間において、楽天ふるさと納税市場は前年同期比で16.0%の成長を記録しました。販売件数も17.8%増加しており、利用者数の拡大が市場成長を牽引していることがわかります。平均単価は19,672円となり、前年から301円減少しましたが、これは幅広い価格帯の返礼品が選ばれるようになったことを示しています。
2025年1月~9月の市場規模と成長率
楽天ふるさと納税の月別推移を分析すると、季節性や制度改正の影響が明確に表れています。特に9月は制度改正を前にした駆け込み需要により、異例の成長を記録しました。
月別前年同期比成長率の推移(2025年1月~9月)


月別の推移を見ると、年初は前年同期比-3.4%と減少しましたが、2月には+51.2%と大きく回復しました。3月は再び-1.3%と減少し、4月は+13.0%、5月は+1.3%と緩やかな成長を示しています。
6月は前年同期比-14.3%、7月は-12.1%と減少傾向が続きましたが、8月は+14.0%と回復し、9月は制度改正を前にした駆け込み需要により+74.0%という高い成長率を記録しました。
2025年9月の駆け込み需要を徹底分析
2025年10月からの制度改正により、ポイント付与が禁止されることが決定しました。これを受けて、9月には多くの利用者がポイント還元を受けられる最後の機会として寄付を行い、市場に大きな変化が見られました。

9月の販売件数増加率は94.4%と、成長率の74.0%を上回っており、多くの利用者が寄付を行ったことがわかります。平均単価は18,639円となり、前年の20,823円から2,184円減少しました。これは、低価格帯商品の選択が増えた結果、平均単価が一時的に低下したことを示しています。
制度改正を前にした駆け込み需要により、普段は寄付を行わない層も含めて、多くの利用者が楽天ポイント還元を受けられる最後の機会として寄付を行ったと考えられます。前年同期比74.0%という高い成長率は、制度改正が市場に与えた影響の大きさを物語っています。
2025年9月の構成比(カテゴリ別)

※株式会社Nintの推計データによる(2025年10月時点)
人気返礼品カテゴリランキングTOP10
2025年9月の返礼品カテゴリ別構成比を分析すると、食品カテゴリが圧倒的な人気を誇っていることがわかります。ここでは、大カテゴリ(ジャンルLv1)、中カテゴリ(ジャンルLv2)、詳細カテゴリ(ジャンルLv3)の3段階でランキングを見ていきましょう。
ジャンルLv1(大カテゴリ)人気ランキングTOP10

📊 大カテゴリの特徴
食品カテゴリが構成比61.0%を占め、前年同期比99.1%の前年並みの水準成長を記録しました。カタログギフト・チケットは前年同期比252.4%という驚異的な成長を見せており、受取人が自由に選べる利便性が評価されています。
日用品雑貨は前年同期比-31.5%と減少していますが、これは制度改正を前に、ポイント還元率の高い食品カテゴリへの需要シフトが起きたためと考えられます。日本酒・焼酎は前年同期比367.0%という爆発的な成長を記録しており、高級酒類への需要が高まっています。
ジャンルLv2(中カテゴリ)人気ランキングTOP10

📊 中カテゴリの特徴
精肉・肉加工品が構成比23.6%でトップとなっています。魚介類・水産加工品も構成比18.8%、前年同期比116.8%と高い成長を記録しており、食品カテゴリの人気が際立っています。
カタログギフトは前年同期比1,864.4%という驚異的な成長を記録しており、受取人が自由に選べる利便性が高く評価されています。野菜・きのこも前年同期比217.1%と大きく成長しており、健康志向の高まりが反映されています。
ジャンルLv3(詳細カテゴリ)人気ランキングTOP10

📊 詳細カテゴリの特徴
牛肉が構成比13.9%でトップとなり、前年同期比78.9%の成長を記録しました。セット・詰め合わせは前年同期比583.7%という驚異的な成長を見せており、複数の返礼品を一度に楽しめる利便性が評価されています。
旅行・交通関連チケットは前年同期比107.2%と高い成長率を示しており、体験型返礼品への需要が高まっています。鶏肉も前年同期比257.1%と大きく成長しており、健康志向の高まりが反映されています。
「実用性」がカギ:食品・日用品ジャンルの伸長
2025年のふるさと納税市場では、「実用性」が重視される傾向が顕著になっています。食品カテゴリは構成比61.0%を占め、牛肉、豚肉、魚介類などの生鮮食品や、米、調味料などの日常的に使用する食品が人気を集めています。
日用品カテゴリも構成比7.8%を占めており、ティッシュペーパーやトイレットペーパーなどの消耗品が選ばれています。これは、制度改正を前に、実用的で確実に使える返礼品を選ぶ傾向が強まったためと考えられます。
「プチ贅沢」「体験」などニーズの多様化
実用性重視の傾向がある一方で、「プチ贅沢」を楽しむための返礼品も人気を集めています。高級和牛、うなぎ、いくらなどの高級食材や、フルーツの詰め合わせ、スイーツなど、普段は手が届きにくい商品が選ばれています。
また、旅行・交通関連チケットが前年同期比107.2%と高い成長率を示しており、体験型返礼品への需要が高まっています。カタログギフトも前年同期比1,864.4%という驚異的な成長を記録しており、受取人が自由に選べる利便性が評価されています。
人気返礼品の特徴分析|価格帯とキーワードから見る消費者トレンド
2025年9月の人気返礼品TOP10を分析すると、消費者の選択傾向が明確に表れています。ここでは、商品の価格帯、よく使われているキーワード、商品カテゴリの特徴から、市場トレンドを読み解いていきます。
価格帯の二極化が鮮明に

📊 価格帯別の特徴
超高額帯(50万円以上):伝統工芸品などの高級返礼品が、わずか0.6%の販売件数で売上の18.7%を占めています。少数の利用者が高額寄付を行うことで、市場全体の売上に大きく貢献しています。
高額帯(3万円以上):寝具や家電などの生活用品、高級食材のセットが人気です。上位2商品だけで売上の37.4%を占めており、高額商品の売上貢献度の高さが際立っています。
低価格帯(1万円以下):フルーツ、肉類、魚介類などの食品が中心で、販売件数の51.5%を占めています。手頃な価格帯で、多くの人に選ばれる返礼品となっています。
「限定品」戦略が購買動機に

📊 キーワード分析から見える戦略
「限定品」の訴求力:TOP10のすべての商品に「限定品」「楽天限定品」「ふるさと納税限定」などの文言が含まれています。希少性や特別感を演出することで、購買意欲を高める戦略が広く採用されています。
高級感の演出:「高級」「特選」「プレミアム」「極上」などの言葉が3商品に使用されており、品質の高さをアピールしています。ふるさと納税は「プチ贅沢」を楽しむ機会として捉えられていることがわかります。
詳細な商品説明:商品名に産地、ブランド、調理方法、発送時期などの詳細情報が含まれており、利用者が安心して選べるよう配慮されています。
商品カテゴリ別の特徴
肉類(3商品)
黒毛和牛のステーキやローストビーフなど、高級肉類が3商品ランクイン。価格帯は8千円~1.7万円と幅広く、手頃な価格帯から高級品まで揃っています。
特徴:「黒毛和牛」「A5ランク」「特選」などの品質を示す言葉が多用され、産地や部位の詳細な説明が含まれています。
フルーツ(2商品)
高級苺が2商品ランクイン。価格は1.2万円で、販売件数構成比は合計29.7%と非常に高く、最も多くの人に選ばれているカテゴリです。
特徴:「先行予約」「2026年1月以降発送」など、旬の時期に合わせた発送が特徴。数量や重量が明記され、品質保証やアフター保証も訴求されています。
魚介類(2商品)
うなぎ×蟹のセットや明太ねぎとろなど、複数の魚介類を組み合わせた商品が人気。価格帯は7.5千円~2.9万円です。
特徴:「楽天限定品」「無着色」「刺身」など、品質や調理方法が詳しく説明されています。セット商品が多く、複数の味を楽しめる点が魅力です。
その他(3商品)
伝統工芸品(65万円)、寝具(3.6万円)、酒類(6万円)がランクイン。高額商品が多く、売上への貢献度が高いカテゴリです。
特徴:伝統工芸品は「窯元直送」「限定品」「コレクション」など、希少性と芸術性を訴求。寝具は「快眠」「おすすめ」など機能性を強調。酒類は「定期便」「飲み比べ」など、複数回楽しめる点が特徴です。
消費者トレンドのまとめ
- 価格帯の二極化:高額商品(50万円以上)が売上の18.7%を占める一方、低価格帯(1万円以下)が販売件数の51.5%を占めており、異なる需要層が存在しています。
- 「限定品」戦略の有効性:TOP10のすべての商品に「限定品」の文言があり、希少性が重要な購買動機となっています。
- 食品の圧倒的人気:TOP10のうち8商品が食品関連で、肉類、フルーツ、魚介類が特に人気です。
- 詳細な商品説明:産地、ブランド、調理方法、発送時期などの詳細情報が商品名に含まれており、利用者が安心して選べるよう配慮されています。
- セット商品の人気:複数の商品を組み合わせたセットや定期便が人気で、一度に複数の味を楽しめる利便性が評価されています。
地域別・県別の人気自治体ランキング
2025年9月の地域別・県別の構成比を分析すると、九州地方が圧倒的な人気を誇っていることがわかります。ここでは、地域別と県別のランキングを詳しく見ていきましょう。
地域別構成比ランキング(2025年9月)

※株式会社Nintの推計データによる(2025年10月時点)

📊 地域別の特徴
九州地方が構成比30.1%を占め、前年同期比140.9%という驚異的な成長を記録しました。宮崎県や福岡県、鹿児島県などの畜産品が人気を集めており、高品質な返礼品が評価されています。
中部地方は構成比19.3%で2位となり、山梨県や静岡県、岐阜県などのフルーツや海産物が人気です。四国地方は前年同期比137.7%と高い成長率を示しており、地域の特産品への注目が高まっています。
県別構成比ランキングTOP10(2025年9月)
📊 県別の特徴
北海道が構成比10.8%でトップとなり、海産物や乳製品が人気を集めています。宮崎県は構成比8.3%で2位となり、前年同期比117.9%の成長を記録しました。宮崎牛や豚肉などの畜産品が高く評価されています。
福岡県は前年同期比160.8%という驚異的な成長を見せており、明太子や海産物が人気です。長崎県は前年同期比228.4%という爆発的な成長を記録しており、海産物や和牛への注目が高まっています。
2025年10月制度改正の影響と今後の展望
2025年10月から、ふるさと納税制度に重要な改正が実施されました。この改正は、市場動向に大きな影響を与えると予想されています。
主な改正内容
ポイント付与の禁止:ECプラットフォームによるポイント還元が原則禁止となりました。これにより、楽天ポイントなどの還元が受けられなくなります。
返礼品の経費基準の厳格化:返礼品の調達費用や送料などの経費基準がより厳格化されました。
市場への影響予測
短期的な影響
- 10月以降の寄付額の一時的な変化
- ポイント還元目的の利用者の行動変化
- プラットフォーム間の競争構造の変化
長期的な影響
- 返礼品の質や独自性が重視される
- 自治体の情報発信力が重要に
- 本来の制度趣旨への回帰
2025年9月の駆け込み需要は、この制度改正を前にした最後のポイント還元機会を逃さないという利用者の行動を如実に表しています。今後は、ポイント還元に頼らない、返礼品の魅力や自治体の取り組みが評価される市場へと変化していくことが予想されます。
今後の市場展望
制度改正後も、ふるさと納税市場は引き続き成長が見込まれます。ただし、その成長ドライバーは変化していくでしょう。返礼品の品質や独自性、生産者のストーリー、地域の魅力などが重視されるようになり、自治体や事業者は返礼品の差別化に注力することが重要になります。
また、体験型返礼品やカタログギフトなど、新しい形態の返礼品への需要も高まっており、市場の多様化が進んでいます。事業者にとっては、この変化をチャンスと捉え、真に価値のある返礼品を提供することで、持続的な成長を実現できる環境が整いつつあります。
まとめ
2025年の楽天ふるさと納税市場は、制度改正という大きな転換点を迎えながらも、1月~9月の期間で前年同期比16.0%の成長を記録しました。9月には制度改正を前にした駆け込み需要により、前年同期比74.0%という高い成長率を示しました。
食品カテゴリが構成比61.0%を占め、精肉・肉加工品、魚介類・水産加工品、フルーツ・果物が人気を集めています。カタログギフトは前年同期比1,864.4%という驚異的な成長を記録し、受取人が自由に選べる利便性が高く評価されています。
地域別では九州地方が構成比30.1%でトップとなり、県別では北海道、宮崎県、福岡県が上位を占めています。今後は、ポイント還元に頼らない、返礼品の魅力や自治体の取り組みが評価される市場へと変化していくことが予想されます。
事業者にとっては、この変化をチャンスと捉え、真に価値のある返礼品を提供することで、持続的な成長を実現できる環境が整いつつあります。
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調査概要・免責事項
- 調査機関: 株式会社Nint
- 調査対象: Nint推計データ (楽天市場)
- 転載・引用について: 転載・引用の際は出典を明記してください。【出典:「【2025年最新】楽天ふるさと納税の市場動向を徹底分析|9月の駆け込み需要と人気返礼品ランキング」 (2025年10月30日公開)】
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