【2025年】家具・インテリアのEC市場規模と動向|3大モールのデータから読み解く最新トレンド
家具、インテリア業界におけるEC市場の規模は他の業界と比べても高い水準であり、店舗と併せてインターネットでの販売に力を入れる家具店も少なくありません。本記事では家具のEC市場規模の概況と動向、拡大の要因を解説します。
また、インターネットでの販売においては重要な存在である「主要3モール」の売上規模と販売数量についても紹介します。いずれも今後の展開を検討するためには欠かせない情報をまとめたので、ぜひ確認してください。
目次
家具業界の概要
一言で家具業界と言っても、家具は大きく「業務用家具」と「家庭用家具」に分かれています。業務用家具は主に、オフィスや店舗に使用される家具でJIS規格に基づき強度試験を実施し耐久性が高い商品が多い傾向があります。
一方の家庭用家具は、お家での用途を想定した一般的な家具で、様々な素材、価格帯などがあり、デザイン性重視の製品も多くあります。また、同一規格(寸法)での生産を前提としている事も多いため、サイズに関しては固定のものが多くなる傾向があります。家具業界にはこの「業務用家具」と「家庭用家具」の2つが存在し、業界を構成しています。
本記事では、主に家庭用家具を含む「インテリア」分野に焦点を当て、EC市場の動向を見ていきます。
家具のEC市場規模と動向
EC(Electronic Commerce)は「電子商取引」という意味で、ネット通販やインターネットショップを総じて指すことが多いです。企業間取引(BtoB)、企業と個人の取引(BtoC)、個人間取引(CtoC)に分類でき、取引方法は主に「ECモール」もしくは「自社ECサイトによる直接取引」に区分されます。EC市場の調査を行っている主体は、官民さまざまですが、結果を調べる際は「どのような取引を対象にしているか」を明確に理解することが大切になります。
本記事では、ECサイト全般におけるBtoC(消費者向け電子商取引)の市場規模のデータを参照し、家具・インテリアをめぐる動向をEC市場全体と、3大ECモールからまとめます。
電子商取引に関する市場調査から見る「生活雑貨、家具、インテリア」のEC市場規模
経済産業省が毎年実施している「電子商取引に関する市場調査」によると、「生活雑貨、家具、インテリア」分野のBtoC-EC市場規模は、2024年時点で2兆5,616億円(前年比3.62%増)に達しています。EC化率は32.58%と、物販系分野の中でも「書籍、映像・音楽ソフト」(56.45%)、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」(43.03%)に次ぐ高い水準です。
直近3年間の推移を見ると、市場規模・EC化率ともに着実に拡大を続けており、2022年の2兆3,541億円(EC化率29.59%)から、2023年は2兆4,721億円(同31.54%)、2024年には2兆5,616億円(同32.58%)に達しました。

[図1: 経産省EC市場規模・EC化率推移+Nintインテリア市場推計]
ただし、この「生活雑貨、家具、インテリア」は名前の通り、生活雑貨と家具・インテリアが合算された数字です。
では、そのうち「インテリア・家具」に該当する部分はどの程度の規模なのでしょうか。
Nintでは、EC市場の約7割を占める、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングの3大ECモールにおける商品データを独自の分類により「生活雑貨」と「家具・インテリア」に分類しました。
その結果、あくまで3大ECモールでは。とはなりますが、売上構成比はおおむね生活雑貨:インテリア=6:4で推移していることがわかりました。

[図2:Nint分類における3大ECモールでの「生活雑貨」「家具・インテリア」の売上比率]
この構成比をもとにEC市場の家具・インテリアの売上規模を推計すると、2024年におけるECのインテリア・家具市場は約1兆円規模と見ることができます。
実店舗を含めた家具市場全体の中でも、EC経由の取引が相当な存在感を持つようになっていると言えるのではないでしょうか。

[図3: 経産省EC市場規模・EC化率推移+Nintインテリア市場推計]
3大ECモールにおけるインテリア市場の動向
ではここからは、3大ECモール(楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング)のデータから、インテリア市場のより詳細な動向を見ていきます。

[図4:インテリア売上指数・数量指数・平均単価の年次推移(2022〜2025年)]
3大ECモール合計のインテリア市場は、2024年にかけて売上・数量ともに拡大基調が続いていました。しかし2025年に入ると、売上指数・数量指数ともに前年から低下し、やや縮小に転じています。
一方で注目すべきは平均単価の動きです。インテリア全体の平均単価は2022年の5,414円から2023年に5,070円へと下落したものの、2024年は5,181円、2025年は5,353円と回復傾向が鮮明になっています。
つまり、市場全体としては「量の拡大」がやや鈍化する一方で、「単価の回復」が進むフェーズへと移行していると捉えることができます。
平均単価の変動理由は何だったのか? ─ 2023年4月の転換点
では、なぜ2023年に平均単価が下がり、その後回復に向かったのでしょうか。この変動の要因を探るため、月次データとジャンル別のデータから確認していきます。

[図5:インテリア平均単価の月次推移(2022年1月〜2025年12月)]
月次の平均単価を見ると、2023年4月に明確な下落が確認できます。
この時期、2023年5月8日に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に移行することが決定しており、消費者の間では「もうすぐ自由に店舗で買い物ができる」という期待感が広がっていたと推察されます。
実際にジャンル別で確認すると、単価の下落が顕著だったのは「現物を見て選びたい」商品カテゴリーです。

[図6:家具・インテリアカテゴリー単価変動の大きいジャンル]
ソファは2023年3月の24,176円から5月には20,829円へ約3,300円の下落、机は15,781円から12,090円へ約3,700円の下落、ベッド・フレームは15,710円から12,918円へ約2,800円の下落と、いずれも数千円単位で急落しています。
収納器具も4,228円から3,493円へと落ちました。
ソファや机、ベッドフレームなど、サイズ感や座り心地、質感を確かめたい商品は、店舗が自由に利用できるようになった途端にEC上では低価格帯の商品が中心になりました。
この背景には、まず「店舗で確認してから買いたい」ニーズの高まりと、そのような商品が、「高単価商品」であったこと。そして、それらの商品がオフライン店舗へと流れた結果、「店頭にはない価格帯」や「ECでしか買えない商品」が商品売上の中心となり、平均単価が押し下げられたと考えられます。
これは「オフライン回帰」とも呼べる現象であり、コロナ禍でECに流れていた需要の一部が、実店舗に戻ったことを示唆しています。
なぜ単価は回復したのか? ─ ECならではの利便性
しかし、この単価下落は一時的なものでした。2024年後半から2025年にかけて、インテリア全体の平均単価は明確に回復しています。月次で見ると、2025年後半には5,500〜5,700円台で推移しており、2022年の水準を上回る場面も出てきています。
この回復の背景には、消費者がECの利便性を再評価したことがあると考えられます。
家具・インテリアは大型で重量のある商品が多く、店舗で購入しても結局は自宅への配送を待つことになります。同じ商品を購入するならECの方が手間が少なく、さらにポイント還元も受けられるケースが多いです。
特に楽天市場やYahoo!ショッピングでは、スーパーSALEや5のつく日などのセールイベントと連動したポイント還元が充実しており、「店頭で実物を確認し、購入はECで」というショールーミング的な購買行動が、家具・インテリアカテゴリーでも広がっていると考えられます。以前より家電でよくみられていたショールーミングですが、近年ではそのジャンルの幅がEC利用者の増加と共にインテリアにまで広がりつつあるのではないでしょうか。
これは、ECの役割が「店舗の代替」から「店舗との併用」へとシフトしたことを示しています。結果として、高単価商品のEC回帰を後押しし、平均単価の回復につながったと言えるでしょう。
今後の家具EC市場はどうなるか?
住宅着工数とEC市場の関係
まずは、外部の需要から考えていきましょう。
家具需要を考える上で、しばしば言及されるのが住宅着工数です。新たに住宅が建設されれば、当然ながら家具の購入需要が発生します。
では、住宅着工数の動向はEC市場にどのような影響を与えているのでしょうか。

[図7: 住宅着工数 vs インテリアEC市場(2022〜2025年)]
国土交通省の建築着工統計によると、住宅着工数は減少傾向が続いています。総着工数は2022年の約85.9万戸から2025年には約74.1万戸へと減少。特に持ち家(注文住宅)の着工数は同期間で約25.3万戸から約20.1万戸へと約20%の減少となっています。
※出典:国土交通省「建築着工統計調査」
一方で、前述の通りEC上のインテリア市場や、経済産業省が発表する「生活雑貨、家具、インテリア」のEC市場規模は拡大を続けています。住宅着工数が2割近く減少しているにもかかわらず、EC市場は成長しています。 この事実が示しているのは、EC市場家具・インテリア市場の成長要因は新築需要ではないということです。
成長要因として考えられる背景や要因は大きく2つあると考えています。
1つ目はEC化率の継続的な上昇です。経済産業省データで確認した通り、「生活雑貨、家具、インテリア」のEC化率は2022年の29.59%から2024年には32.58%に達しています。家具を購入する際にECを利用する消費者の割合自体が増え続けているため、着工数の減少を補って余りある需要がEC市場に流入している可能性があります。
2つ目は既存世帯の買い替え・模様替え需要です。新築時に一度購入した家具の買い替えサイクル、あるいはライフスタイルの変化に伴う模様替え需要が、着工数とは独立して存在しています。こうした需要は、前述の通りECとの相性が良く、ショールーミングを経由したEC購入の受け皿となっています。
注目すべきカテゴリーと今後の展望
次は、カテゴリー内部の展望です。
3大ECモールのデータから、今後注目すべきカテゴリーを紹介します。

[図8: 注目カテゴリーの成長(平均単価推移)]
マクラは、インテリア全ジャンルの中で唯一、販売数量と平均単価の両方が伸び続けているカテゴリーです。平均単価は2022年の4,584円から2025年には5,575円まで上昇しており、「睡眠の質」への関心の高まりを反映しています。アパレル分野でも睡眠関連商品(リカバリーウェア、シルクナイトキャップ等)の伸長が確認されており、「睡眠」をキーワードとした消費トレンドはジャンル横断的に拡大しています。また、「コト消費」・「トキ消費」が見直されている昨今において「生活の質」に直結する「睡眠」のカテゴリーは今後も成長の伸びしろがみられます。
照明器具も平均単価が上昇しているカテゴリーの一つです。2022年の4,595円から2025年には5,093円へと推移しており、LED照明の高機能化やスマートホーム対応製品の浸透が背景にあると見られます。近年IT化が進む中で照明器具もAI×IoTツールの一環として、そして素敵な時間(体験)を過ごすという「トキ消費」需要の後押しにより注目されるカテゴリーの一つです。
ベッド・ベッドフレームは売上規模としてはインテリア分野で上位に位置するものの、平均単価は2022年の14,511円から2024年に12,418円まで下落した後、2025年に13,461円と再上昇しはじめています。これは先述の「オフライン回帰→EC回帰」の流れを最も色濃く反映しているカテゴリーと言えます。高単価帯の一部が店舗に流出した後、ポイント還元や利便性を理由にECに戻りつつある段階ですので、今後の戦略次第では、その売上規模を維持しながらECの家具・インテリアカテゴリーの主力商品として成長する可能性を秘めています。
まとめ
家具・インテリアのEC市場は、経済産業省調査ベースで2兆5,616億円(2024年)、EC化率は32.58%と、物販系の中でも高い水準にあります。Nintのデータから推計すると、そのうちインテリア・家具に該当する部分は約1兆円規模です。
3大ECモールのデータからは、2023年のコロナ5類移行を契機とした「オフライン回帰」による平均単価の一時的な下落と、その後の「ECならではの利便性」の再評価による回復という、明確なフェーズの転換が確認できます。
住宅着工数の減少にもかかわらずEC市場が拡大を続けている事実は、EC化率の上昇と既存世帯の買い替え需要がドライバーとなっていることを示しています。今後もショールーミングの定着とともに、「実物は店舗で確認し、購入はECで」という消費行動がインテリア分野で一層広がることが予想されます。
EC市場の家具・インテリア市場は、オフライン回帰からEC回帰を経て新たなステージへと入っています。今まで売れていたから、ではなく、消費者心理をしっかりと理解した「コト消費」「トキ消費」の訴求に加え、品揃えの豊富さ、自宅配送の利便性、スペック・価格比較の容易さといったECならではの特徴を把握することが重要です。さらに「ECの利便性」を軸とした新たな切り口、例えばオフラインの商品ラインナップを把握し、店頭にない商品の拡充を図るなど、従来とは異なる視点での戦略も求められるでしょう。
激動のステージに入ってきた家具・インテリア市場、データ活用の重要性はより一層増していきそうです。
参考文献
・経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」
https://www.meti.go.jp/press/2025/08/20250826005/20250826005.html
・政府統計一覧「建築着工統計調査」月次データ
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00600120&tstat=000001016966&cycle=1&tclass1val=0
調査概要
- 対象期間:2022年〜2025年
- データソース:Nint ECommerce
- 対象カテゴリ:家具・インテリア・生活雑貨
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
note:https://note.com/nint_ecommerce
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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「【2025年】家具・インテリアのEC市場規模と動向|3大モールのデータから読み解く最新トレンド」(2026年3月9日更新)】
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