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【2025年8〜10月】文房具・事務用品市場|デコレーション需要が市場を牽引

#市場規模 #マーケティング #販促ノウハウ #ECデータ

2025年8月から10月における文房具・事務用品市場は、市場全体の売上金額は前年同期比で微減となったものの、販売数量においては大幅な増加を記録しました。特にラベル・ステッカーやギフトラッピング用品といった、手帳やギフトを彩る「デコレーション・カスタマイズ」関連のカテゴリが大きく伸長し、低単価帯の購入頻度向上が市場の活況を支えています。

本レポートでは、大手ECサイトにおけるNint ECommerceのデータをもとに、最新の市場動向を解説します。

文房具・事務用品の市場規模

2025年8月〜10月の期間における文房具・事務用品市場の市場規模は以下の通りです。高単価商材の動きが一巡した一方で、日常使いや趣味性の高い低単価商材の需要が急増し、販売数量ベースでの市場拡大が続いています。

  • 3ヵ月合計販売金額(GMV)約59億円(前年同期比 ▲4.1%)
  • 販売数量 約832万個(前年同期比 +15.8%)
  • 平均単価(ASP)約713円(前年同期比 ▲17.1%)

市場全体としては、平均単価の下落に伴い売上金額がわずかに減少しましたが、販売数量は前年比約16%増と力強い伸びを見せました。これは、消耗品やデコレーション用品などの比較的安価なアイテムが、幅広い層に購入されていることを示唆しています。

文房具・事務用品市場のカテゴリ別売上構成比とトレンド

本章ではカテゴリ別の売上構成を比較し、トレンドを読み解きます。

カテゴリ別売上構成比(上位カテゴリ)

カテゴリ別に見ると、定番の「手帳・ノート」や「筆記具」が依然として大きなシェアを占める一方で、個人の趣味やギフト需要に対応するカテゴリが高い成長率を記録しています。

  • 手帳・ノート・紙製品

構成比 23.5%(前年同期比 +1.1%)| 平均販売価格 約805円

  • 筆記具

構成比 22.4%(前年同期比 ▲2.7%)| 平均販売価格 約667円

  • ギフトラッピング用品

構成比 7.5%(前年同期比 +1.9%)| 平均販売価格 約297円

  • ラベル・ステッカー

構成比 7.4%(前年同期比 +3.3%)| 平均販売価格 約599円

  • ファイル・バインダー

構成比 6.2%(前年同期比 +1.0%)| 平均販売価格 約812円

製品開発のトレンド

特に注目すべきは「ラベル・ステッカー」と「ギフトラッピング用品」の躍進です。手帳やノートを自分好みに飾る「手帳デコ」文化の定着や、推し活に伴うデコレーション需要が、シールのバリエーション拡大を後押ししています。また、筆記具においては、高機能ボールペンなどの高単価品から、カラーペンやマーカーなどの多色展開・低単価品へ需要の重心がシフトしている傾向が見られます。

文房具・事務用品市場の価格帯別販売構成と販売戦略

ここでは市場全体を価格帯別データに分けて整理し、販売戦略を考察します。

価格帯別の販売構成について

価格帯別の動向では、低価格帯が圧倒的な販売数量を占めており、ついで買いやまとめ買いを誘発しやすい構造となっています。一方で、高価格帯はギフト需要やビジネス用途での指名買いが中心です。

低価格帯(〜約1,400円)売上構成比:約46%

販売数量の大部分を占めるボリュームゾーンです。筆記具、ノート、シール、ラッピング用品などが該当し、新商品の投入サイクルも早い傾向にあります。

中価格帯(約1,400円〜約4,200円)売上構成比:約29%

機能性の高いファイル用品や、セット販売のペン、システム手帳のリフィルなどが含まれます。実用性とデザイン性を兼ね備えた商品が選ばれています。

高価格帯(約4,200円〜)売上構成比:約25%

高級筆記具や本革製の手帳カバー、画材セットなどが中心です。自分へのご褒美や贈答用としての需要が根強く存在します。

価格帯別の販売戦略について

低価格帯

「全色セット」や「テーマ別シールセット」など、単価アップを狙ったバンドル販売や、メール便対応による送料ハードルの引き下げが有効です。

中価格帯

オフィス需要や学習需要に対し、機能性(整理しやすさ、書きやすさ)を訴求するとともに、まとめ買いによるメリットを提示することで客単価の向上を図ります。

高価格帯

名入れサービスや専用ギフトボックスの提供など、付加価値を高めるサービスを充実させ、特別なギフト需要を確実に取り込む戦略が求められます。

(参考)ジャンル別価格分布

Nint ECommerceを使った価格帯別売上規模推移
市場の見える化を実現するツール「Nint ECommerce」でTOP5メーカーの価格別売上構成比を見ると以下のように確認できます。
※ご契約プランによって確認可能

横軸:価格帯で分けており、太さが構成比
縦軸:該当価格帯におけるメーカーシェア率
出典:Nint ECommerce

展望予測と文房具・事務用品市場を読み解くヒント

本章では展望と市場を読み解くヒントをご紹介します。

今後の展望

短期的には、年末年始に向けた2026年版の手帳・ダイアリー、カレンダー需要がピークを迎えます。同時に、年賀状やクリスマスカード作成に伴う筆記具・デコレーション用品の動きも活発化するでしょう。中期的には、4月の新入学・新社会人シーズンに向けた準備需要が立ち上がり、名入れ筆記具や学童文具の需要拡大が見込まれます。

文房具・事務用品市場を読み解くヒントは「Nint ECommerce」!

詳細な文房具市場のカテゴリ分析や、急成長するトレンド商品の発掘には、ECデータ分析ツール「Nint ECommerce」が役立ちます。楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングの3大モールのデータを活用し、自社の品揃え強化や販売戦略の立案にご活用ください。

 また、NintではAIを活用して市場トレンドをいち早くキャッチできる「AIインサイトレポート」も提供しており、変化の激しいトレンド雑貨や文具市場において、迅速な意思決定をサポートします。

調査概要

  • 対象期間:2025年8月1日〜2025年10月31日
  • データソース:Nint ECommerce
  • 対象カテゴリ:文房具・事務用品

この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト

株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。

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