【2025年8〜10月】スマートフォン・タブレット市場|単価増が牽引
2025年8月から10月におけるスマートフォン・タブレット市場は、販売数量が前年を下回る一方で、スマートフォン本体を中心とした端末価格の上昇により、市場全体の売上規模は拡大しました。
高機能な新モデルやタブレット端末への投資意欲は高いものの、アクセサリーや周辺機器の買い控え傾向が見られ、量より質の消費へとシフトしています。
本レポートでは、大手ECサイトにおけるNint ECommerceのデータをもとに、最新の市場動向を解説します。

目次
スマートフォン・タブレットの市場規模
2025年8月〜10月の期間におけるスマートフォン・タブレット市場の規模は以下の通りです。販売数量の大幅な減少を、単価上昇がカバーし、金額ベースではプラス成長となりました。
- 3ヵ月合計販売金額(GMV)約233億円(前年同期比 +4.7%)
- 販売数量 約612万個(前年同期比 ▲17.6%)
- 平均単価(ASP) 約3,800円(前年同期比 +27.1%)
市場全体として、スマートフォン本体の大幅な売上増(+44.1%)が市場を牽引しています。一方で、販売数量のベースとなるアクセサリー類やバッテリー関連製品の需要が落ち着きを見せており、これが全体の数量減に影響しました。結果として平均単価は大きく上昇し、より高額なハードウェアへの支出が集中する傾向となっています。
スマートフォン・タブレット市場のカテゴリ別売上構成比とトレンド
本章ではカテゴリ別の売上構成を比較し、トレンドを読み解きます。
カテゴリ別売上構成比(上位カテゴリ)
市場をカテゴリ別に見ると、スマートフォン本体とタブレットPCが大きく成長しており、ハードウェア回帰のトレンドが鮮明です。一方、周辺機器は前年の特需からの反動減が見られます。
- スマートフォン本体
構成比 33.2%(前年同期比 +44.1%)| 平均販売価格 約57,009円
- スマートフォン・携帯電話アクセサリー
構成比 26.9%(前年同期比 ▲14.3%)| 平均販売価格 約1,709円
- タブレットPC本体
構成比 12.5%(前年同期比 +17.9%)| 平均販売価格 約34,151円
- バッテリー・充電器
構成比 9.7%(前年同期比 ▲27.0%)| 平均販売価格 約2,741円
- スマートウォッチ本体
構成比 5.0%(前年同期比 +4.2%)| 平均販売価格 約16,726円
製品開発のトレンド
「スマートフォン本体」の大幅な伸びは、ハイエンドモデルだけでなく、SIMフリー端末やリユース端末を含む多様な選択肢が定着したことによるものと推測されます。また、「タブレットPC」も好調で、動画視聴や学習用途など、大画面デバイスへのニーズが底堅く推移しています。一方、アクセサリー類は必需品として定着しているものの、買い替えサイクルが長期化しており、今後は機能性やデザイン性での差別化がより重要になるでしょう。
スマートフォン・タブレット市場の価格帯別販売構成と販売戦略
ここでは市場全体を価格帯別データに分けて整理し、販売戦略を考察します。
価格帯別の販売構成について
価格帯別では、低価格帯が依然として数量シェアの大部分を占めますが、売上金額においては高価格帯・中価格帯の貢献度が高まっています。
低価格帯(〜約1.4万円) 売上構成比:約46%
販売数量の約96%を占めるボリュームゾーンです。ケース、フィルム、ケーブル類などの消耗品やアクセサリーが中心で、圧倒的な集客力を持ちます。
中価格帯(約1.4万円〜約8.3万円) 売上構成比:約33%
タブレットPC、スマートウォッチ、ミドルレンジのスマートフォンなどが含まれます。性能と価格のバランスを重視する層に支持される重要なセグメントです。
高価格帯(約8.3万円〜) 売上構成比:約21%
ハイエンドスマートフォンやプロ仕様のタブレットが該当します。数量シェアはわずかですが、単価が高く、市場の売上成長を牽引する存在です。
価格帯別の販売戦略について
低価格帯
「ついで買い」を誘発する関連商品の提案や、複数購入による割引施策などで客単価アップを図ることが重要です。また、トレンドカラーやキャラクターコラボなど、視覚的な訴求で差別化を図るのも有効です。
中価格帯
「コストパフォーマンス」を重視するユーザーに対し、必要十分なスペックや、長く使える耐久性をアピールすることが鍵となります。特にタブレットやウォッチでは、具体的な利用シーン(学習、健康管理など)を提示し、購入後のメリットを明確に伝える戦略が求められます。
高価格帯
最新技術やブランド価値を重視する層に対し、機能の詳細な解説や、保証サービスの充実などを通じて「安心感」と「プレミアム感」を提供することが購入の決め手となります。
(参考)ジャンル別価格分布
Nint ECommerceを使った価格帯別売上規模推移
市場の見える化を実現するツール「Nint ECommerce」でTOP5メーカーの価格別売上構成比を見ると以下のように確認できます。
※ご契約プランによって確認可能

横軸:価格帯で分けており、太さが構成比
縦軸:該当価格帯におけるメーカーシェア率
出典:Nint ECommerce
展望予測とスマートフォン・タブレット市場を読み解くヒント
本章では展望と市場を読み解くヒントをご紹介します。
今後の展望
短期的には、年末商戦や新生活準備に向けて、スマートフォン本体やタブレットPCの需要が引き続き堅調に推移すると予測されます。特に、ギフト需要の高まる時期にはスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスも動きが活発化するでしょう。中長期的には、AI機能を搭載した端末の普及や、エコシステム(スマホとウォッチ、タブレットの連携)の強化により、ハードウェア間の買い回りが促進される可能性があります。
市場を読み解くヒントは「Nint ECommerce」!
詳細なスマートフォン・タブレット市場の分析や、競合各社のメーカーシェア把握には、ECデータ分析ツール「Nint ECommerce」が役立ちます。楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングの3大モールのデータを活用し、自社のポジショニング確認や次なる一手にご活用ください。

また、NintではAIを活用して市場トレンドをいち早くキャッチできる「AIインサイトレポート」も提供しており、変化の激しいガジェット市場において、迅速かつ精度の高い意思決定をサポートします。

調査概要
- 対象期間:2025年8月1日〜2025年10月31日
- データソース:Nint ECommerce
- 対象カテゴリ:スマートフォン・タブレット
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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【出典:「【2025年8〜10月】スマートフォン・タブレット市場|単価増が牽引」(2025年12月4日公開)】
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