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2025年8〜10月ECスキンケア市場の振り返り

#市場規模 #マーケティング #販促ノウハウ #ECデータ

夏の終わりから秋にかけて、紫外線ダメージのリカバリーや、空気の乾燥対策を意識したスキンケアニーズが高まりやすい時期です。一方で、物価上昇や生活防衛意識の高まりから、日々の化粧品購買では「必要なアイテムを厳選しつつ、効果実感のある商品にはしっかり投資する」という動きも見られます。

こうした環境の中で、スキンケア市場は、どのように変化しているのでしょうか。本記事では、大手ECサイトにおけるNint ECommerceのデータをもとに、カテゴリ別動向や価格帯別の特徴、今後の示唆をまとめました。

※本記事は大手ECサイトにおけるNint ECommerceデータを元に執筆しています。

スキンケア市場の規模

スキンケア市場は大手ECサイトでのGMVが約201.5億円(前年同期比+ 1.1%)、販売数量は約527.6万個 (前年同期比▲8.4%)、平均販売価格は3,819円(前年同期比 +10.44%)で着地しました。

とくに、市場の山場となる9月の販売数量は前年同月比で二桁減となっており、販促環境の変化やキャンペーンの組み方の違いなどが影響していると考えられます。

スキンケア市場のカテゴリ別動向

ここでは、ジャンルごとの構成比や成長率に着目し、2025年8〜10月のスキンケア市場でどのカテゴリが売上を伸ばし、どの領域が苦戦しているかをスキンケア市場を構成する上位5カテゴリーに注目しまとめました。

売上構成比を見ると、美容液が20%超の売上シェアでスキンケア市場を牽引していることがわかります。売上も前年同時期から+7.9%上昇させるなど、成長カテゴリーであることがわかります。フェイスクリームも売上シェアをやや伸ばし、スキンケアセットは大幅に売上シェアを上昇させています。この背景には、ギフトでの需要や、普段使いの商品のEC購買が広がっている可能性が伺えます。

一方で、化粧水・ローションやクレンジングは売上シェアを落としており、とくに化粧水は売上シェアを落としました。これらベーシックケアの一部が、オールインワン化粧品やセットに置き換わっている可能性や、大容量タイプの台頭などにより、購入頻度に変化が起きている可能性が考えられます。

価格帯別販売構成の特徴と販売戦略

次に、価格帯別の販売構成に着目し、スキンケア市場のどのゾーンに売上・数量が集まりやすいのかを整理します。

価格帯別の販売構成について

価格帯別の販売構成を見ると、4,000〜9,999円帯と1万円以上の高価格帯で全体の約6割を占めており、スキンケア市場は中〜高価格帯を中心に構成されていることが分かります。生ビタミンC美容液やスキンケアセット、リフティングクリーム、プレミアムなエイジングケアラインなど、「本格的な肌質改善」や「ブランドへの信頼」を理由に選ばれる主力となっています。

価格帯別の販売戦略について

■ 0〜1,999円帯

大容量シートマスクやW洗顔不要のクレンジングなど、「毎日惜しみなく使える高コスパ・時短アイテム」が主力。カテゴリの「入口商品」として、圧倒的なレビュー数と回転率で露出を最大化し、新規顧客を獲得することがおすすめです。

■ 2,000〜2,999円帯

 CICA(シカ)マスク、レチノール美容液、アゼライン酸化粧水など、「特定の肌悩み(ニキビ・赤み・毛穴)を解決する成分特化アイテム」が中心。リピート購入によるLTV(顧客生涯価値)の定着を図ると良いでしょう。

■ 3,000〜3,999円帯

 クレンジングの大容量エコパック(詰替え)、セラミド乳液、マイクロニードル美容液など、「継続ユーザー向けのお得用」と「攻めのケア」が混在。ニードルや高機能セラムなど、引きのある商品特徴を強調し、美容感度の高い層を取り込むのがおすすめです。

■ 4,000〜10,000円帯

 生ビタミンC美容液、人気ブランドのスキンケアセット、エイジングケアクリームなど、「本格的な肌質改善を目指すセット・高機能品」が主力。単品購入者に対し、商品のセット利用による相乗効果を訴求し一括購入を促します。

■ 10,001円〜

大手化粧品メーカー、高級路線の新興メーカーなど、「ブランド力と圧倒的な信頼性で選ばれるデパコス・指名買い」が独占。高額でも購入される理由は「ブランドへの信頼」にあるため、公式限定の「ベストセラーキット」や「2本セット」など、公式ならではの特典や安心感を強調しています。既存ファンにはまとめ買いを推奨しつつ、新規層には「まずはこのキットから」とエントリーのハードルを下げる導線を設計すると良いでしょう。

(参考)ジャンル別価格分布

Nint ECommerceを使った価格帯別売上規模推移
市場の見える化を実現するツール「Nint ECommerce」でTOP5メーカーの価格別売上構成比を見ると以下のように確認できます。
※ご契約プランによって確認可能
棒グラフの太さ:売上構成

棒グラフの縦軸:TOP5メーカーの構成比

横軸:価格帯で分けており、太さが構成比
縦軸:該当価格帯におけるメーカーシェア率
出典:Nint ECommerce

展望予測とスキンケア市場を読み解くヒント

ここではこれまでの結果を踏まえて展望と、市場を読み解くためのヒントをお伝えします。

今後の展望

ユーザーは「価格と価値のバランス」に敏感であり、日常使いのベーシックケアではコストパフォーマンスを重視しつつ、美容液やクリームなどの高付加価値カテゴリでは効果実感や安心感を求める傾向が見られます。コストについては、1回あたり・1カ月あたりの負担感が意思決定の軸になりやすく、利便性の面では、定期便やまとめ買い、ポイントプログラムなどがECならではの強みとして機能していると考えられます。

社会的な側面では、働き方の多様化に伴い、在宅時間と外出機会が共存する生活スタイルが一般化しています。オンライン会議やマスク着用などの影響から、顔全体よりも部分的な悩みをケアしたいというニーズも継続していると見られます。また、年代やライフステージによって、スキンケアに求めるものが細分化していることから、「誰に向けた商品なのか」をより具体的に定義する重要性が高まっていると考えられます。

コミュニケーションでは、商品ページだけでなく、レビューやSNS、動画といった複数のチャネルを行き来しながら情報収集する行動が一般化しており、一貫性のあるメッセージ設計が今まで以上に重要になっています。

スキンケア市場を読み解くヒントはNint ECommerce!

スキンケア市場の変化をとらえるためには、「今どのカテゴリが伸びているのか」「どの価格帯に売上が集まっているのか」「どのチャネル・ショップがシェアを伸ばしているのか」といった問いに、定量データで答えられる状態をつくることが欠かせません。感覚値だけで議論を重ねるのではなく、共通の数字を起点に関係者と会話できるかどうかが、意思決定のスピードと精度に影響してくると考えられます。

Nint ECommerceを活用すると、スキンケア市場における売上や販売量、平均販売価格、シェアの推移を、カテゴリ別・ブランド別・ショップ別に同じ指標で確認できます。たとえば、美容液やセット、ベーシックケアなど、成長が気になるカテゴリについて、上位商品の構成や価格帯、レビュー数、販促の有無などを一覧で比較することで、自社の商品ページ改善や新商品のポジショニング検討にそのまま生かすことができます。

スキンケア市場が「今どうなっているのか」が気になったときに、まずNint ECommerceで全体像の確認から始めてみてはいかがでしょうか?

スキンケア市場は、カテゴリ・価格帯・ブランド・ショップなど、多くの要素が重なり合う複雑な構造を持っています。すべてを人手で追いかけようとすると、どうしても時間と工数がかかり、「気づいたときにはトレンドのピークを過ぎていた」ということも起こりがちです。

こうした課題に対応するために有効なのが、Nint ECommerceのデータです。

マクロなジャンルの市場規模から、ブランド単位、商品単位の粒度の市場動向をリアルタイムにデータを取得することが出来ます。

更にはAIが自動で市場の変化を要約する「AIインサイトレポート」もあります。スキンケア市場全体の売上・数量のトレンドだけでなく、前年同期比で伸びているカテゴリや、シェアを伸ばしている価格帯、勢いのあるブランド群などを自動で抽出し、文章として整理します。

新商品の企画や既存商品のリニューアル、販促予算の配分、キャンペーンのテーマ設計などにぜひお役立てください!

調査概要

  • 対象期間:2025年8月1日〜2025年10月31日
  • データソース:Nint ECommerce
  • 対象カテゴリ:スキンケア

この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト

株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。

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