【2025年8〜10月】アウトドア用品市場動向|販売数量は前年超え
2025年8月から10月におけるアウトドア用品市場は、販売数量が増加傾向にある一方で、平均単価の下落により市場規模(売上金額)は微減となりました。大型の高額ギアから、手軽なファニチャーやウェア、小物類へと需要の中心がシフトしており、ライト層の流入や既存ユーザーの買い替え需要が市場を支えている様子がうかがえます。本レポートでは、大手ECサイトにおけるNint ECommerceのデータをもとに、最新の市場動向を解説します。

目次
アウトドア用品の市場規模
2025年8月〜10月の期間におけるアウトドア用品市場の規模は以下の通りです。物価高の影響やキャンプブームの落ち着きにより高単価商品の動きが緩やかになる一方、販売数量は前年を上回っており、市場の底堅さが確認できます。
- 3ヵ月合計販売金額(GMV)約116億円(前年同期比 ▲2.7%)
- 販売数量 約246万個(前年同期比 +2.3%)
- 平均単価(ASP)約4,696円(前年同期比 ▲4.9%)
全体として、売上金額は前年をわずかに下回る結果となりましたが、販売数量はプラス成長を記録しています。これは、エントリーモデルや消耗品、比較的安価なギアへの需要シフトが進んだこと、および平均単価の下落が購買ハードルを下げ、数量ベースでの成長を後押しした要因と考えられます。
アウトドア用品市場のカテゴリ別売上構成比とトレンド
カテゴリ別の売上構成を比較し、トレンドを読み解きます。
カテゴリ別売上構成比(上位5カテゴリ)
市場全体では単価調整局面にあるものの、カテゴリ別に見ると「チェア・テーブル」や「ウェア」がシェアを伸ばしており、楽しみ方の多様化が見て取れます。
- テント・タープ
構成比 18.36%(前年同期比 ▲7.5%)| 平均販売価格 約9,363円
- ウェア
構成比 15.07%(前年同期比 +3.9%)| 平均販売価格 約7,016円
- チェア・テーブル・レジャーシート
構成比 13.98%(前年同期比 +30.0%)| 平均販売価格 約3,116円
- バッグ
構成比 11.49%(前年同期比 +9.5%)| 平均販売価格 約4,897円
- アウトドア用寝具
構成比 8.03%(前年同期比 ▲11.1%)| 平均販売価格 約6,664円
製品開発のトレンド
主力である「テント・タープ」のシェアが微減する一方、「チェア・テーブル・レジャーシート」が大きくシェアを拡大しています。これは、本格的な宿泊キャンプだけでなく、ピクニックやデイキャンプ(日帰り)といったライトなレジャーを楽しむ層が増加していることを示唆しています。また、「ウェア」や「バッグ」の伸長からは、アウトドアファッションの日常化や、フェス・トラベル需要の回復が市場に好影響を与えている傾向が見られます。
アウトドア用品市場の価格帯別販売構成と販売戦略
ここでは市場全体を価格帯別データに分けて整理し、販売戦略を考察します。
価格帯別の販売構成について
価格帯別の動向を見ると、低価格帯のアイテムが販売数量のベースを支えており、高価格帯商品は選別消費の傾向が強まっています。
低価格帯(〜約6,000円)売上構成比:約34%
販売数量において圧倒的なボリュームゾーンです。チェア、小物類、消耗品などが中心で、手軽に購入できるアイテムが市場の回転率を支えています。
中価格帯(約6,000円〜約30,000円)売上構成比:約47%
スタンダードなテントやタープ、高機能なウェアが含まれるゾーンです。初心者から中級者へのステップアップ需要を取り込んでいます。
高価格帯(約30,000円〜)売上構成比:約19%
大型テントやポータブル電源などの高機能製品が含まれます。売上金額への貢献度は高いものの、販売数量の伸びは限定的であり、付加価値の訴求が重要となっています。
価格帯別の販売戦略について
低価格帯
シェアが急伸しているチェアやレジャーシートをフックに、ピクニックや公園遊びなど「身近なアウトドア」層へアプローチ。購入ハードルの低さを活かし、ブランドのエントリーポイントとして機能させる施策が重要です。
中価格帯
ウェアやバッグが好調なこの価格帯では、機能性だけでなくデザイン性を重視。ギアとアパレルのトータルコーディネート提案や、自宅のインテリアとも馴染むファニチャーを訴求し、利用シーンの広さをアピールします。
高価格帯
すでに基本装備を持つ層に対し、より快適な睡眠を提供する高級マットや、冬キャンプを見据えた高機能シュラフ・ポータブル電源などを提案。既存装備の「質」を高める買い替え・買い増し需要を喚起します。
(参考)ジャンル別価格分布
Nint ECommerceを使った価格帯別売上規模推移
市場の見える化を実現するツール「Nint ECommerce」でTOP5メーカーの価格別売上構成比を見ると以下のように確認できます。
※ご契約プランによって確認可能

横軸:価格帯で分けており、太さが構成比
縦軸:該当価格帯におけるメーカーシェア率
出典:Nint ECommerce
展望予測とアウトドア用品市場を読み解くヒント
本章では展望と市場を読み解くヒントをご紹介します。
今後の展望
短期的には、秋の行楽シーズンおよび冬キャンプ需要に向け、防寒対策となるヒーター類や暖かい寝具、焚き火関連グッズの需要が高まると予測されます。中長期的には、キャンプブームの沈静化に伴い「選別・買い替え」フェーズへの移行が進むため、機能性だけでなく、自宅でも使えるインテリア性や収納性を兼ね備えた「デュアルユース」製品の開発が市場の鍵となるでしょう。
アウトドア用品市場を読み解くヒントは「Nint ECommerce」!
詳細なアウトドア用品市場の分析や、競合各社の動向把握には、ECデータ分析ツール「Nint ECommerce」が役立ちます。楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングの3大モールのデータを活用し、自社のポジショニング確認や次なる一手にご活用ください。

また、NintではAIを活用して市場トレンドをいち早くキャッチできる「AIインサイトレポート」も提供しており、変化の速いEC市場において、迅速かつ精度の高い意思決定をサポートします。

調査概要
- 対象期間:2025年8月1日〜2025年10月31日
- データソース:Nint ECommerce
- 対象カテゴリ:アウトドア
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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【出典:「【2025年8〜10月】アウトドア用品市場動向|販売数量は前年超え」(2025年12月4日公開)】
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