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【2025年8〜10月】リビング・収納家具市場|低単価・効率化へ

#市場規模 #マーケティング #販促ノウハウ #ECデータ

2025年8月から10月におけるリビング・収納家具市場は、前年同期と比較して市場規模の縮小が見られました。その中で、平均単価の低下とともに「押入れ収納」カテゴリが大幅な成長を遂げており、ユーザーの関心が「見せる収納」から、限られたスペースを有効活用する「隠す収納・整理整頓」へと移っている傾向がうかがえます。

本レポートでは、大手ECサイトにおけるNint ECommerceのデータをもとに、最新の市場動向を解説します。

リビング・収納家具の市場規模

2025年8月〜10月の期間におけるリビング・収納家具市場の市場規模は以下の通りです。販売数量は微増したものの、平均単価の下落により、金額ベースでは前年を下回る結果となりました。

  • 3ヵ月合計販売金額(GMV)約108億円(前年同期比 ▲8.1%)
  • 販売数量 約196万個(前年同期比 +2.2%)
  • 平均販売価格(ASP)約5,538円(前年同期比 ▲10.0%)

市場全体として、高単価な大型家具の動きが鈍化する一方で、比較的安価な収納用品の販売数量が増加しています。これは、物価高騰などの影響を受け、消費者がより手頃で実用的なアイテムを選択していることや、大掛かりな模様替えよりも既存スペースの効率化(押入れ・クローゼット活用)に需要がシフトしていることを示唆しています。

リビング・収納家具市場のカテゴリ別売上構成比とトレンド

本章ではカテゴリ別の売上構成を比較し、トレンドを読み解きます。

カテゴリ別売上構成比(上位カテゴリ)

市場全体が調整局面にある中、「押入れ収納」が単独で大きな伸びを見せており、市場の牽引役となっています。一方で、テレビ台やキッチン収納などの大型家具は苦戦を強いられています。

  • 本棚・ラック・カラーボックス

構成比 25.04%(前年同期比 ▲3.2%)| 平均販売価格 約4,293円

  • キッチン収納

構成比 20.36%(前年同期比 ▲13.6%)| 平均販売価格 約9,685円

  • テレビ台・ローボード

構成比 10.14%(前年同期比 ▲21.7%)| 平均販売価格 約11,837円

  • 押入れ収納

構成比 9.26%(前年同期比 +28.5%)| 平均販売価格 約2,643円

  • タンス・チェスト

構成比 8.68%(前年同期比 ▲13.9%)| 平均販売価格 約8,143円

製品開発のトレンド

市場のトレンドは「大型・据え置き」から「小型・デッドスペース活用」へと変化しています。特に前年同期比で約3割増と急伸した「押入れ収納」や、シェアトップの「本棚・ラック・カラーボックス」に見られるように、比較的安価で汎用性の高い収納用品が好調です。製品開発においては、クローゼットや隙間にフィットするモジュール設計や、組み立ての手軽さ、居住空間を圧迫しないコンパクトなサイズ感が重視される傾向にあります。

リビング・収納家具市場の価格帯別販売構成と販売戦略

ここでは市場全体を価格帯別データに分けて整理し、販売戦略を考察します。

価格帯別の販売構成について

価格帯別では、低価格帯が市場の過半数を占め、販売数量のベースを支えています。中・高価格帯はシェアを落としており、高付加価値製品の訴求が課題となっています。

低価格帯(〜約1.3万円)売上構成比:約52%

販売数量の約8割近くを占める最大のボリュームゾーンです。カラーボックスや衣装ケース、押入れ収納ワゴンなどが中心で、複数買いや買い足しの需要が活発です。

中価格帯(約1.3万円〜約3.2万円)売上構成比:約25%

キッチンワゴンや中型のチェスト、本棚などが含まれます。機能性と価格のバランスが求められる価格帯ですが、低価格帯への流出も見られます。

高価格帯(約3.2万円〜)売上構成比:約23%

大型キッチンボードやデザイン性の高いテレビボード、完成品の家具などが該当します。販売数量は限定的ですが、一定の売上規模を維持しています。

価格帯別の販売戦略について

低価格帯

「押入れ収納」などの成長カテゴリにおいて、セット販売やまとめ買いによる客単価アップを狙う施策が有効です。また、サイズバリエーションを充実させ、隙間需要を逃さない展開が求められます。

中価格帯

単なる収納機能だけでなく、「隠す収納」としてのデザイン性や、掃除のしやすさ、移動の利便性(キャスター付きなど)といったプラスアルファの価値を訴求し、低価格品との差別化を図る必要があります。

高価格帯

素材感や耐久性、完成品ならではの作りの良さをアピールすることが重要です。長く使える家具としての信頼性や、リビングの主役となるインテリア性を強調し、指名買いを誘引するブランディングが求められます。

(参考)ジャンル別価格分布

Nint ECommerceを使った価格帯別売上規模推移
市場の見える化を実現するツール「Nint ECommerce」でTOP5メーカーの価格別売上構成比を見ると以下のように確認できます。
※ご契約プランによって確認可能

横軸:価格帯で分けており、太さが構成比
縦軸:該当価格帯におけるメーカーシェア率
出典:Nint ECommerce

展望予測とリビング・収納家具市場を読み解くヒント

本章では展望と市場を読み解くヒントをご紹介します。

今後の展望

短期的には、年末の大掃除シーズンや新生活準備に向けて、整理整頓ニーズがさらに高まると予測されます。特に好調な「押入れ収納」や「ラック類」は引き続き市場を牽引するでしょう。

中期的には、住宅事情のコンパクト化に伴い、壁面収納や突っ張りタイプなど、床面積を占有せずに収納力を増やせるアイテムへの需要が底堅く推移すると見られます。

市場を読み解くヒントは「Nint ECommerce」!

詳細な収納家具市場の分析や、カテゴリごとの競合動向の把握には、ECデータ分析ツール「Nint ECommerce」が役立ちます。大手ECモールの膨大なデータを活用し、成長カテゴリの早期発見や、自社商品の適切な価格設定にご活用ください。

また、NintではAIを活用して市場トレンドをいち早くキャッチできる「AIインサイトレポート」も提供しており、変化の激しいトレンドやニッチな需要の変化も逃さず、迅速な意思決定をサポートします。

調査概要

  • 対象期間:2025年8月1日〜2025年10月31日
  • データソース:Nint ECommerce
  • 対象カテゴリ:リビング・収納家具

この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト

株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。

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【出典:「【2025年8〜10月】リビング・収納家具市場|低単価・効率化へ」(2025年12月4日公開)】
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