【2025年8〜10月】キッチン家電市場レポート|単価上昇が牽引
2025年8月から10月におけるキッチン家電市場は、販売数量が前年を下回ったものの、平均単価の上昇により市場全体の売上規模は拡大しました。特に大型家電である冷蔵庫や、高機能な調理家電の需要が底堅く、市場全体を押し上げる要因となっています。本レポートでは、大手ECサイトにおけるNint ECommerceのデータをもとに、最新の市場動向を解説します。

目次
キッチン家電の市場規模
2025年8月〜10月の期間におけるキッチン家電市場の市場規模は以下の通りです。販売数量の減少を単価アップでカバーし、金額ベースでは堅調な成長を見せています。
- 3ヵ月合計販売金額(GMV)約205億円(前年同期比 +4.9%)
- 販売数量約173万個(前年同期比 ▲3.8%)
- 平均単価(ASP)約11,838円(前年同期比 +9.1%)
全体として、物価上昇の影響もあり販売数量は微減となりましたが、製品の高機能化や大型家電の好調により平均単価が約1,000円上昇しました。消費者が「長く使える良いもの」や「生活の質を高める製品」へ投資する傾向が強まっていることがうかがえます。
キッチン家電市場のカテゴリ別売上構成比とトレンド
本章ではカテゴリ別の売上構成を比較し、トレンドを読み解きます。
カテゴリ別売上構成比(上位カテゴリ)
カテゴリ別に見ると、生活必需品であり単価の高い冷蔵庫・冷凍庫が2桁成長を記録し、市場を牽引しています。一方で、ガスコンロなどの一部カテゴリでは前年の反動等による調整局面が見られました。
- 冷蔵庫・冷凍庫
構成比 19.8%(前年同期比 +15.7%)| 平均販売価格 約43,372円
- キッチン家電用アクセサリー・部品
構成比 10.84%(前年同期比 ▲2.4%)| 平均販売価格 約4,223円
- 炊飯器
構成比 9.86%(前年同期比 +2.9%)| 平均販売価格 約21,232円
- 電子レンジ・オーブンレンジ
構成比 9.22%(前年同期比 +9.7%)| 平均販売価格 約26,891円
- ガスコンロ
構成比 5.17%(前年同期比 ▲21.1%)| 平均販売価格 約14,981円
製品開発のトレンド
市場全体では、食材の鮮度保持機能や省エネ性能を高めた冷蔵庫への買い替え需要が顕著です。また、電子レンジや炊飯器においても、時短調理機能や独自のおいしさを追求した高付加価値モデルが支持されており、単なる調理道具から「家事負担を軽減するパートナー」としての役割が求められています。
キッチン家電市場の価格帯別販売構成と販売戦略
ここでは市場全体を価格帯別データに分けて整理し、販売戦略を考察します。
価格帯別の販売構成について
低価格帯(〜約1.7万円)売上構成比:約39%
キッチン家電用アクセサリーや電気ケトル、ミキサーなどが中心です。販売数量ベースでは市場全体の約75%を占めており、買い替えサイクルの早い消耗品や小型家電が活発に動いています。
中価格帯(約1.7万円〜約5.7万円)売上構成比:約34%
炊飯器や電子レンジのボリュームゾーン、食器洗い乾燥機などが含まれます。機能と価格のバランスが重視される激戦区であり、各社の主力モデルがひしめいています。
高価格帯(約5.7万円〜)売上構成比:約27%
大型冷蔵庫や高機能オーブンレンジなどが該当します。販売数量は全体の3%程度と限られますが、1点あたりの単価が高く、市場全体の売上成長を牽引する重要なセグメントです。
価格帯別の販売戦略について
低価格帯
消耗品やアクセサリー類が中心となるため、本体購入後の定期的なリピート購入を促す仕組みづくりや、ついで買いを誘引するクロスセル施策によるLTV(顧客生涯価値)向上が鍵となります。
中価格帯
多くの競合製品がひしめくゾーンです。単なる価格競争に陥らないよう、「時短」や「ヘルシー」といった現代のニーズにマッチした具体的な利用シーンを訴求し、独自のポジションを確立する必要があります。
高価格帯
冷蔵庫などの大型家電が中心となるため、省エネ性能によるランニングコストの削減効果や、鮮度保持などの高機能をアピールし、初期投資額に見合う「長期的なメリット」を伝えることが重要です。
(参考)ジャンル別価格分布
Nint ECommerceを使った価格帯別売上規模推移
市場の見える化を実現するツール「Nint ECommerce」でTOP5メーカーの価格別売上構成比を見ると以下のように確認できます。
※ご契約プランによって確認可能

横軸:価格帯で分けており、太さが構成比
縦軸:該当価格帯におけるメーカーシェア率
出典:Nint ECommerce
展望予測とキッチン家電市場を読み解くヒント
本章では展望と市場を読み解くヒントをご紹介します。
今後の展望
短期的には、年末商戦に向けた高単価製品(冷蔵庫、大型調理家電)や、ホームパーティー需要に対応するホットプレート等の動きが活発化すると予測されます。また、物価高が続く中ではありますが、毎日使用するキッチン家電においては「節約・省エネ」と「QOL向上」を両立できる製品への投資意欲は継続すると見られ、二極化する消費ニーズへの対応が鍵となります。
キッチン家電市場を読み解くヒントは「Nint ECommerce」!
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調査概要
- 対象期間:2025年8月1日〜2025年10月31日
- データソース:Nint ECommerce
- 対象カテゴリ:キッチン家電
この記事を書いた人

山本 真大(やまもと まさひろ)
株式会社Nint マーケティングDiv ECアナリスト
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。
セミナー登壇数は20を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。
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【出典:「【2025年8〜10月】キッチン家電市場レポート|単価上昇が牽引」(2025年12月4日公開)】
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